闇夜の月が明るく線路を照らす。
そんな一直線に延びたレールの上に一匹の狼。
一般的な狼より一回り大きい銀狼、そう長谷川千雨は一歩一歩麻帆良に向かって歩き進めていた。
失踪してからはや一ヶ月。
もう元の生活に戻ることはないし、あの街にも居られないだろう。しかしながら最後に一度は自分が過ごしていた街を見ておきたい。その気持ちで胸がいっぱいであった。
寮生活で離れ離れになっていた両親。
こんなひねくれものでも暖かく見守り、育ててくれた存在。
非日常が這い寄る街。
自分のストレスの元であるが今になったら懐かしく感じる麻帆良。
1-A組のクラスメイト。
友達と言える存在はいなかったが今ほど非現実的ではない賑やかなクラス。
正直良い思い出は殆どない。
しかしながら愛着があったかと言えばないとは言いきれず、クラスメイトも自分が壁を作るだけで人柄として良い人物は沢山いたのだろう。だが今はもう過去の出来事である。
千雨は一通り街を見て回るとそのまま何処か遠くへ行方を眩ませるつもりであった。
子連れで日本中、いや世界中を回ってみるのも面白いかもしれない。“人”としてシングルマザーで暮らしていくのは大変厳しいが狼として暮らしてゆくのなら問題ない。
普段は山の中で身を潜め、時々街へ“遊び”に行く自由気ままな狼としての生活。どうせもう“人”として生きてはいけないのだ。
好きなように生き、好きなように死ぬ。何処かの傭兵の台詞が思い浮かぶ。
しかし子供達はどうしようか。
“狼”としての育て方は本能として持ち合わせているが“人”としての育て方は人の本能だけでは簡単に育てられる物ではない大変複雑なものである。
今度個室ビデオ店でおおかみこどもでも見て参考にしよう。そう思いながら自分のお腹を覗き込む。
まだ狼の姿では膨らんでいないお腹だが確実にこの中にはもう一つ、いや複数人の命が宿っていた。
最初は堕ろすつもりであった。
あの忌々しい狼との子供である。惨劇の張本人との子供に愛し、育てることが出来るだろうか? いや出来るはずがない。
しかしこの状態、畜生であり化け物である存在で病院に行くこと出来ない、話せない。
ならばと自分自身が出来る様々な方法で試した。
激しい運動でお腹の子供へダメージが行くように無理をした。勿論雨の中縄跳びもした。
しかしダメだった。
化け物である今の体に生半可なダメージは意味をなさない。あやしい薬も試したがそれも同様である。
夜な夜な一人山の中で、泣きじゃくりながら何回自分のお腹を殴った事か。お腹のは赤くアザが沢山出来た。
それでもダメだった。
そうして暫くすると次第にお腹の子達は私に会いたくてひたすら耐えているのではないか。そのように思うようになった。
まだ見ぬ母親に出会う為、ひたすら耐えて耐えて。
お腹の子供らに罪などないのは分かりきってる。
そんな子供達に私は一体何を。
罪の意識の中で次第に子供達の嫌悪感から愛情へと変わって行った。
今の私に社会的立場などない。産む、産まないは自分の意思しかないのだ。
それから私はこの子達を産み、育てる決心をしたのである。
線路を辿って麻帆良に向かう千雨。やがて線路の先に大きな大きな大木が見えくる。
神木・蟠桃。
麻帆良の中心に存在する巨大な大樹。目的地はすぐそこであった。
麻帆良学園の夜は人通りが殆どないので有名である。
学園都市と言う性質であるため住民の大半は学生でありその殆どが寮、または実家で暮らしているからである。名目上は学生の夜遊び禁止などごく普通の理由であるが実際の所はまた別の、『裏』の理由があるのだ。
それは侵入者対策である。
麻帆良の中心に鎮座する世界に類を見ない巨大な世界樹や世界中から様々な貴重書が蔵書されている図書館島など『魔法使い』にとって貴重な存在が数多くこの地に保存されている。それを狙った盗難者や関東魔法協会を心良く思っていない者など『裏』の人間がこの地に現れるのだ。
『裏』の人間にとって『表』の人々、俗に言うカタギを巻き込みたくない。なので日中は大っぴらに活動出来ない。なのでわざわざ夜に侵入するわけである。
それを向かい撃つのは関東魔法協会の魔法使い、麻帆良の魔法先生、生徒達。彼らは麻帆良の町をひっそりと守っているのであった。
そんな夜の麻帆良を歩く二人組。
一髪を頭の右で縛ったサイドテールの小柄な色白の少女とストレートロングの黒髪と三白眼を持つ背が高い褐色肌の少女。そんな二人は中学生でありながらカタギ、一般人とは見えない近よりがたい雰囲気を醸し出していた。
小柄な方は桜咲刹那。長身の方は龍宮真名と言う。
二人は麻帆良の治安を守る魔法生徒と呼ばれる存在でパートナーとして夜の警備に着いていたのである。
「…なぁ龍宮。吸血鬼のペットってコウモリじゃないのか?」
「藪から棒にどうした? 話が点で分からんぞ」
「いや、“あの人”が教室でペット特集の雑誌を読みながら『猫の恩返しを見たら猫も良いかもしれない…』と呟いていたもんから不意に考えてしまった」
「…つまり闇の福音はペットが欲しいって訳か。…コウモリはどちらかと言うと自分自身ではないか? 体を蝙蝠に変えるのが吸血鬼だろ」
「それもそうか…」
「そうだろ」
「「・・・」」
この二人、決して仲が悪い訳ではないがどちらもあまり喋るタイプでないため気まずくなるとこのようにどうでも良いことを呟いては空気を白けさせていた。
「でも…『猫の恩返し』に猫の良いところってあったか?」
「金曜ロードショーでやってたがないはず…。あれは身勝手なだけだったな」
「その代わりバロンがかっこよかった」
「確かに」
下らない会話を交える二人であったがその実力は他の魔法生徒と一線を越す。刹那は京都神鳴流の剣士として、真名はフリーランスの傭兵として。
技量も実戦経験も持ち合わせている二人にとって今夜の警備も何時もと変わらないルーチンワークの一つ。しかし暫く巡回していると唐突に真名のポケットの携帯電話が震え始めた。
「はい、龍宮ですが。はい……分かりました。此方も警戒します」
「どうした龍宮。何があった?」
「瀬流彦さんからの連絡だ。侵入者が此方に向かってるらしい」
「了解」
侵入者の情報を聞き、二人は気を引き締める。
空に上がっている月は満月であった。
『ちょ、ちょっと待て! 麻帆良ってこんな危なかっしい町だったのかよっと!』
『クソ、着いてくるな金髪野郎! なんじゃあのデカブツは!』
千雨の後ろを追いかける真っ黒な影の巨人。巨人は両手の触手を鞭のようにしならせて襲い掛かりながら千雨を追いかける。そして一緒に金髪の、聖ウルスラ女子高等学校の制服を身に纏った少女と箒を持った幼い顔立ちの少女が後ろから追いかけていた。
「待ちなさいそこのケダモノ! ここ麻帆良に侵入するとは良い度胸。この私、高音・D・グッドマンが成敗してあげますわ!」
「ま、待ってくださいお姉さま~」
「遅いわよ愛衣。あなたは箒を使いなさい箒を」
「はい! さすがお姉さま」
「全く愛衣は。そのままでは立派な魔法使いになれませんわよ」
彼女達は龍宮達と同様で麻帆良の町を守る魔法生徒である。
“立派な魔法使い”を目指す彼女達、高音・D・グッドマンと佐倉愛衣はペアで警備の巡回中、不振な影を確認。確認してみるとそこには一匹の大きな狼が石畳の上をノコノコ歩いていたのである。
キョロキョロと回りを見渡せばひっそりと進む姿は侵入者そのもの。明らかに外敵である。しかしながら立派な魔法使いを目指す彼女達は後ろから不意打ちするなどの卑怯な事はしない。高音は愛衣を連れてわざわざ目の前に飛び出すと自分達の名前を名乗りあげ、堂々と千雨を撃退すると宣告したのだ。
この時千雨の額には冷たい汗が流れていた。
麻帆良に侵入してからやけに体が重いのである。まるで何かに抑えて付けられてるようなそんな感覚。麻帆良に魔法使いと分類される人々がいる事はまだ人間だった時の記憶と照らし合わせ、存在すると察していたがまさか町全体に不可侵な力が働いているとは。
そんな時に魔法使いと名乗る二人組である。ヤバいと言ったらありゃしない。
万全の状態なら戦闘も難なくこなせるだろう。しかしながら今は力が押さえ付けられてありながら尚且つ妊婦である。状況は最悪だった。
スタンドの如く巨大な巨人は影を伸ばしうねりを挙げながら嫉妬深く攻め立てる。決して局部が攻められているなどのエロティカルな事ではなく純粋に襲われていると言う意味だ。それを右に左と避ける。横殴りの攻撃はジャンプをしながら木々を飛び移る。
すると今度は火の玉が何個も飛んで来る。それも同様に上へ下へ、右へ左へ避け、くるりと身を空中で身を翻す。
あまり派手な事はしたくないのが千雨の考え。ここで応戦しても良いが町全体が魔法使いの町だと考えると仲間は他にもいるだろう。もしかしたら自分以外全員魔法使いだった可能性だって否定できない。応戦してしまうと技量で上回っていたとしても物量で負けてしまう。
ここは逃げるのが一番の得策。
お腹の我が子を思いやりながら早々と駆けて行く。しかしながら今度は左前方から右頬の毛を掠りながら一発の銃弾が後ろの街路樹に打ち込まれた。打ち込まれた街路樹は衝撃の威力で大きな穴が開く。そして遅れて届く発砲音。
「…ち、はずしたか。すばしっこい奴め」
人間の時よりも格段に感度の良い聴力が数百メートル先のビルから漏れた独り言を捉えた。咄嗟に狙撃ポイントを目視するとそこには1メートルぐらいの巨大な銃のスコープを覗く同級生、龍宮真名が次弾装填の為素早くボルトに手を掛ける。
装填された.338 ラプアマグナム弾(対魔仕様)はPGM .338 LMの銃身から音を起て射出される。そのまま一直線に千雨の額を狙った銃弾。それを千雨は火花を立てながら前歯で止めてみせた。途端に口の中に広がる不快感。直ぐに吐き出すが口の中はまるで妊娠初期の不快感の様である。咄嗟に唾を吐き捨て、そのまま狙撃の邪魔になるように雑木林に飛び込んだ。
「アイツ…歯で止めた挙げ句、対魔が効いてないのか?」
『どうした龍宮?』
「あぁ、どうやら侵入した妖怪は対魔があまり効かないみたいだ。銃弾を前歯で止めた後、そのまま吐き捨てた」
「効果がないって事か?」
「不快な表情をしていたがダメージにはなってない所を見るとそうだろう。桜咲、お前の神鳴流はアドバンテージにならないぞ。気を付けろ、ターゲットは今そっちに向かってる」
『了解』
そういって桜咲への連絡を切る。桜咲と龍宮は別のポイントで待機しており狙撃で撃退、不可だった場合は雑木林の方へ誘導するように作戦を立てていた。
「しかし私の銃弾が目視されていたとしても止められるとは…。面白くなってきた」
そう言いながらまるで曲芸の様に胸の間の亜空間に収納されるPGM .338 LM。そしてギターケースを開くとFN P90TRとIMI デザートイーグル MK.XIXを取り出す。二挺拳銃になると龍宮はグットマン達に続いて雑木林に飛び込んだ。
『ふざけんな! やっぱりあれってモデルガンじゃねーじゃねーか!』
今度は同じクラスメートが巨大な銃を持って狙撃してきたのである。しかしながら突っ込む所は少しズレていた。元々教室でモデルガンと自称する物を整備しているような奴である。スナイパーでも全くって良いほど驚かなかった。
『龍宮がスナイパーって事は…桜咲が剣士、長瀬が忍者、絡繰がロボットで…あぁもうなんなんだこの街は! ただ最後に町を見て回りたいだけだって言うのに』
とっととこの物騒な街を出ていきたい。でも魔法使い達が邪魔をする。なるようにならないかと半場諦めながらも逃げ切るために必死に足を動かす千雨。自分は化け物であるからこの対応は当たり前であろう。
風に乗った様に疾走する千雨。
桜通りの石畳を横切りまた森の中に入り込む。すると今度は前方真正面に長大な野太刀を構える同級生、桜咲刹那が。彼女は千雨を見つけると抜刀する。
「斬空閃‼」との掛け声と共に降り下ろされる刀。すると刀身から飛ばされた気が千雨を襲いかかる。刀でまさかの遠距離攻撃である。避けきれず右前足から少量ながらも血が流れた。
後退するにも後ろからはグットマン達が追いかけており前方には桜咲が待ち構えている。
千雨は一旦桜咲と距離を取ると鋭い目付きでグルルと喉を鳴らして威嚇。そして彼女の一瞬の怯みを感じると咄嗟に桜咲の横を駆け上がった。しかしながら彼女も咄嗟に体制を整え横を通りすぎる千雨に対応する。
「神鳴流奥義…斬魔剣‼」
降り下ろされるのは古くより、日本にはびこる「魔」を剣で封じ込めてきた神鳴流の対魔の技。彼女の剣技は千雨の首元の毛を掻き進めながらを薄皮一枚に傷つける。ここでごく普通の魔物ならば刀傷の他にある程度の術祖的なダメージが入るのだがやはり龍宮の連絡通り、狼には大きなダメージとなり得ていないように見えた。
と言っても千雨自身にとってダメージになっている事には変わらず、妙に傷口がヒリヒリしていた。千雨は山犬信仰としての神性が魔としてのダメージを抑えていたのである。神様と化け物は信仰ひとつで成り代わるものであり、諏訪湖の祟り神などが代表的な一例であろう。
なんとか身を翻しながら躱した千雨はそのまま後ろ足で桜咲を蹴飛ばす。蹴飛ばされた桜咲は木々を巻き込みながら数メートル先に飛ばされる。
『スマンな…大丈夫かあれ?』と千雨は心のなかで桜咲に軽く謝罪をし、そのまま更に森の中へ進んで行った。
「おい桜咲! 大丈夫か?」「大丈夫ですか桜咲さん?」
「あぁ…大丈夫。蹴飛ばされただけでダメージは殆どない」
「それで侵入者は何処に…?」
「…私を躱けて先に進んで行ってしまった。すまない私が不甲斐ないばかりに」
「お姉さま。確かこの先って…」
「えぇ…“あの人”のお住まいですわ…」
後ろを追いかけていた高音達と龍宮が木々と共に倒れていた桜咲と合流。桜咲に事情を聞き取る。そして桜咲を撃退し、侵入者が進んで行った先に在るものに4人全員に心当たりがあった。
「闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)」「人形使い(ドール・マスター)」「不死の魔法使い(マガ・ノスフェラトゥ)」など数々の異名をもつ吸血鬼の真祖。今はこの麻帆良の地に封印されている彼女。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの住まいであるログハウスである。
「茶々丸、侵入者か?」
「はい、南西の方から時速40キロで此方へ向かってます。先程龍宮さんから桜咲さんへの通話を傍聴した限り、エヴァンジェリン様を標的にした侵入者ではないようです」
「それならアイツらに任せておこう。今日は非番だしな」
そう言ってワイングラスを傾ける金髪碧眼の幼い少女。しかしながら彼女こそ魔法使いに伝説として語り継がれる吸血鬼、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルである。普段は女子中学生として日々を過ごしながら夜は麻帆良の警備員として過ごす彼女はせっかくの休日と言う事で優雅に休暇を満喫してる最中であった。
そうしている間にも近付いて来る侵入者の影。そんな時、不意に掛かってくる電話。学園が支給しているエヴァ宛の携帯電話が細かく震えていた。
「ん…、もしもし私だ。どうした? あぁそれならいいぞ。私は気にしないからな」
何とか桜咲達を巻き上げ、森の中をさ迷っていた千雨であるがふと何時の間にか森が開かれた一面見張らしの良い場所にたどり着く。そこにはポツンと二階建てのログハウスが立っていた。
『疲れた…今日はもう休ませてもらうか…。軒下に隠れさせて貰いますよっと』
そう心のなかで承諾を得てひっそりと隠れ込もうとした時である。
不意に感じる殺気。咄嗟にその場を後ろへバックステップ。するとその場所に一発の銃弾が打ち込まれた。先程の銃撃よりも更に威力が高いのか土ぼこりが高く舞う。目眩ましかと判断し迎撃の為、見晴らしの良い拓かれたログハウスの前まで飛んでいく。
先程まで立っていた土ぼこりが舞う場所が徐々に鮮明になって行くとそこには桜咲が凛とした表情で右手を柄に握っていた。
咄嗟に左右どちらかに逃げようとするが今度は両側からでてくる高音と愛衣。高音には真っ黒で大きな巨人。愛衣には大きな箒を構えており此方側も準備完了である。
すると再度目の前に打ち込まれる銃弾。狙撃ポイントを辿るとそこはログハウスの屋根。そこには龍宮が先の銃撃時よりもさらに大きな身の丈ぐらいの巨大な銃PGM Hecate II を片手に持ち構えていた。
「チェックメイトだよ侵入者。大人しくここで終わりにさせてもらう」
龍宮の冷たく威圧的な台詞が耳に入る。対物ライフルを片手に彼女は宣告した。
正直千雨は戦闘になったら逃げ切れる自身はある。しかしながらお腹の事もあり、また顔見知りを傷つけるのは抵抗があった。もしこの場にウルスラの女とそのコンビしかいなかったら殺しても多少罪悪感を感じるだけであろうが『顔見知りはちょっと…』と言う感情である。それに何かしらの組織に属してあろう人間を傷つけるのは今後追われる立場になる可能性を考えると得策と言えない。
何処かのサラリーマンと同様に長谷川千雨は静かに暮らしたいのだ。
『あかん…どうしろっていうんだよ…詰んだじゃねーか…』
逃げるならこの中で一番弱いピンク髪の少女の方からだろう。それともログハウスの住民を人質に取って逃げるか。頭の中でPCの技術で培われたシュミレーション技術が灰色の脳細胞を活性化させる。そうしている間にも彼女達は徐々に距離を詰める。ここはピンク髪を殺るか。そう決めかかった時であった。
「ほう、お前がその侵入者か…」
ログハウスと扉が開かれ其処から真っ黒で禍々しいオーラが流れ込む。咄嗟に振り替えるとそこには同じクラスで千雨同等に喋っている姿を見たことがない儚げな少女であった彼女、エヴァンジェリンが今は全く逆の生存本能に警鐘を鳴らすぐらいの威圧感を発する怪物となり、仁王立ちで立っていた。千雨に冷たい汗が流れる。
『まさかこいつもビックリ人間、いや多分私と一緒だと…。勘弁してくれよ』
まさかのイレギュラーに困惑する千雨。まさか自分と同じような存在が身近な存在にいたとは。しかしながら自分が長谷川千雨と告白する気はない。何をされるか解ったものではないしなにより妊娠しているのだ。それを伝える勇気は無かった。
「わざわざ私の家を迎撃ポイントとして使わせて欲しいと電話があった時は驚いたがまさか狼、それも神狼とはな」
その台詞に回りに困惑が生まれる。魔法生徒である彼女達はてっきり術者が呼び寄せた魔物であると思っていたが実際はまさかの神様である。咄嗟に龍宮は右目の魔眼を使い確認する。するとやはり神性を帯びた実体を持つ狼であった。
「このご時世に現世に残る奴も珍しい。言葉は解るか?」
言葉が解るかと聞かれ首を縦に降る千雨。喋ったり念話すると声でバレてしまう可能性がある。「そうか…」と呟くと次に千雨へとある提案を訊ねる。
その提案はここに居る人全員が驚く驚愕の提案であった。回りはさらに困惑が生まれ、千雨自身も驚きと困惑で頭が真っ白になる。それは…
「じゃあ提案だ。私のペットにならないか?」
《後書き》
大体2ヶ月ぶりの更新です。エロじゃなくてごめんなさい。
どうしてもこの話を入れておかないと学園を舞台に出来ないからね。仕方ないね。
と言う事でエヴァ様のペットコースです。これで百合と主従要素が追加出来るぜ。
この話ではじめての戦闘シーンを書いたのですがこのような感じで大丈夫ですかね…。
感想、評価宜しくお願いします。
なお次回の更新も遅くなります。はぁ…
≪追記≫
いいか! 絶対、UQホルダー12巻の『限定版』を買うんだぞ!
なんとなく予想は付いていたけど衝撃の事実が発覚するぞ!