いつの時代にも犯罪は存在する
どれだけ時間が経とうと、それは変わらない
犯罪を行うことに憧れを抱く者もいる。例えを挙げるならば模倣犯だろう。
ある時カニバルと呼ばれる殺人鬼の模倣犯がいた。その模倣犯はカニバルが行う残虐な行為に惹かれていた。模倣犯はカニバルになりたかった。模倣犯はカニバルを真似をして殺人をし、食人行為まで行ったが、その被害者は片手で数えられるほどしか出なかった。なぜなら“ホンモノ”に勝てなかったからである
模倣犯は路地裏で殺人を行おうと獲物を探していた。チラリと目に入ったのは紫髪の女性。背後から細心の注意を払ってナイフを振り上げる。が、ぐちゃりと柔らかいナニかが潰れる音がした。模倣犯は自分の腕を見る。…ナイフを握っていたはずの腕に赤黒く発色する見たことも無いモノが刺さっていた。今まで味わったことの無い痛みが襲ってくる。
「随分野蛮ね。いきなりナイフを振り上げてくるなんて」
女は口元に笑みを浮かべ、模倣犯に近付いてきた。赤黒い“ソレ”は女の腰辺りから生えていた。ズブッ…と赤黒い触手が腕から抜かれる。と、同時にその触手に足を掴まれ、思い切りコンクリートの地面に叩きつけられる。
「だけど、貴方が悪いのよ?貴方のせいで今日の獲物見失っちゃったじゃない」
女はそう言うと模倣犯を触手で地面に縫い付ける。模倣犯の太腿に座り、触手の先でツツ…と腹を割いていく。模倣犯は必死に抵抗するが、かなわない。
「動かないで。動いたら出血が多くなって早く死んじゃうじゃない。」
女はすぐ模倣犯を殺すつもりは無いらしい。模倣犯は恐怖した。意識を保ったままどんなことをされるのかを想像したからだろう。模倣犯は必死に、殺さないでくれ、と命乞いをする。女はそんなもの聞こえていない風に模倣犯の内臓を引きずり出した。ゆっくり、じっくり、優しく。
「内臓って丁寧に引きずり出せば意識を保ったままなんですって。どうなの?」
模倣犯からの返事は無い。荒い息が聞こえるだけ。
「死んだら味が落ちちゃう。頑張って♡」
失いかけた意識を無理やり女は覚醒させた。模倣犯は意識を保ったまま己の臓物が食い尽くされるのを待つだけだった。模倣犯は知る。これがカニバルかと
「あら?死んじゃいました?」
こいつはバケモノだ、と