「桜か……」
「うん、綺麗だね」
「金色に桜色、悪くないな」
「千雨さん、見とれてないで行くデスよ」
「ちょ、おい引っ張るなって」
「みんな待ってるんデスよ、ほら」
「みんなって……あっ……」
「千雨ちゃん?」
「ううん。いやさ、二年経てばみんなけっこう変わっちまってるな、って」
「うん、そうだね。でも変わってないものもあるよ。あれ見て」
「……ぷッ、本当だな。あいつら、二年経ってもああいう馬鹿馬鹿しい所、変わってないよな」
「チサメ、泣いてるの?」
「な、泣いてなんかねーよ、このアホネズミ!」
「あー、また言ったなぁ! 僕にはちゃんと――」
「はいはい、二人ともこんな所で喧嘩しちゃダメでしょ。ほら、みんな待ってるんだから」
「やれやれデスね」
「まったくですぅ~。千雨様とバカネズミは相変わらず不毛な事をやっていますね」
「ポンコツAI、お前こそそろそろ口のきき方を覚えるデス」
「ぴぎゃ! デコピンは止めてくださいって言ったじゃないですか、マスター!」
「そういえば千雨さんに言い忘れてましたね」
「うん、そうだね〝約束〟だったもんね」
「おかえりなさい、千雨ちゃん」
「おかえりなさいデス」
「――ッ」
――ただいま。
※地の文は削除しました。