「あっつ~い!」
ランドリースペースの前を、ちょうど通りがかった時である。
アコーディオンカーテンを開けると、アスカもまたバスルームのドアを開けたところだった。
「お風呂熱すぎよ、ミサト!」
「一番風呂だもの、仕方ないじゃない」
「仕方なくないわよ! ワタシの珠のおハダが火傷したらどうしてくれんのよ!」
嘆息
ランドリースペースに踏み入って、後ろ手にアコーディオンカーテンを閉める。
「責任は取るわ」
カットソーの裾に手をかけ、一気に脱ぐ。顔にかかった髪を一振り。
「みっ、ミしゃト!なっなにを……」
さっさと裸になると、後退るアスカを追いかけるようにバスルームへ。
「熱いお風呂をうめる方法はひとつしかないわ」
じわじわと追い詰めるように、ことさらゆっくりと。
「わっワタシは美味しくないわよ」
動揺してる。
壁に張り付くアスカから視線を外して、手桶でかけ湯を2杯。
すっと湯船につかった。
「人が入ればいいのよ」
脱力したらしいアスカが、ずるずるとへたり込んだ。
これ以降、アスカがお風呂の湯温に文句をつけることはなくなった。
終劇
2006.11.20 DISTRIBUTED
2007.03.12 PUBLISHED
【第八回エヴァ小説2006年度作品人気投票】にて、過分なご支持と評価をいただきました。
投票してくださった方々への感謝の気持ちを、この一篇に添えて、御礼申し上げます。ありがとうございました。
【 予 告 】
デート・墓参り・友人の結婚式
それぞれの明日を胸に、葛城家の夜は更ける
立ち去るリツコのあとに、ミサトが見た色とは、その決意とは
次回「シンジのシンジによるシンジのための補完 第拾壱話」
この次もサービス、サービスぅ♪