「改めて言おう、レオ・フレイムス。我々の目的、ズバリそれは......」
アイザックはワザとらしく一息を置いた。
「それは......?」
アイザックの語りの続きをいまかと待つレオは相槌を打つ。
「現帝国の崩壊、及びレイシス教会の再編だ」
アイザックは言葉の続きをためらうかのように間を空けたが、ついにその真髄をレオに語った。
「帝国の崩壊......?国を滅ぼしたいのか......?」
あまりの計画の壮大さに、レオは息を呑む。
「まぁ、無理もないですよね。本来であればもっと順序を踏んでいくところでしたけど」
アイザックの背後にいたクライネが口を静かに開く。
「そして、それらを踏まえて。今回の我々の任務は特異点、つまりはレオ・フレイムスさんの威力検証と保護が主な目的ってとこです」
レオは聞き入れた内容に理解の姿勢を示すと、体の態勢を組み直す。
「それで先日のアレが威力検証......なわけか?あの子供にボコされて保護どろこじゃなくなるところだったろ?」
レオは多少憤りを見せるも、クライネは平常に言葉を返す。
「えぇ、まぁ。それは順序の問題です、我々はあなたが何者なのかを確かめる必要も同時にありました、正直に言うならば、それで死ぬようならそれまでと割り切っていましたよ。ですが、何も知らされていないレイロードとの戦闘で死ぬような存在を、わざわざ教会が標的に設定するとも考えにくいですけどねそもそも」
「ほほう、手厳しいねぇ」
レオはギャップを感じつつも、笑ってクライネの話を聞き入れる。
「まぁそういうこったレオ、お前には俺たちの情勢に巻き込んじまって悪りぃとは思ってるが、改めてお前に全面的な協力を要請する」
アイザックの真摯な眼差しは、これまでに見せたことのないものだった。それだけアイザック達の抱えている計画は彼らにとって相当重要なものなのであろう。
「どうするレオ?」
アイザックは腕を組みながらこちらを向くと、返事を請うた。
「ま、良くも悪くもあんた達は命の恩人。アイザックの介入がなければ今頃は教会に捕まって何をされていたかも分からない、それに俺を平穏な生業からわざわざひっ捕まえてどうする気なのかも問いただしたいしな。いつまでもこんな所で匿ってもらうのも格好が悪りぃ、いいぜぇアイザック。あんた達の悪巧みに、真っ正面から乗り掛かってやるよ!」
レオはアイザックに向けて腕を差し出した、それを受けたアイザックは快い様子で腕をぶつけた。