被害はデクたちのおかげで少ない。それは奇跡だった。
「よぉ、全員無事で何よりだ」
「無事じゃないなマグナ、右脚骨折だろ」
クロノは責め立てるように言った。マグナの顔が引きつる。
「ま、まぁ!他と比べりゃ骨の一本や二本、安いもんだ。それに大役ご苦労、
イザナ。ヒーロー名は変えるんだろ?エリちゃんのために」
クルアーンからイザナという名前に変更しエリから呼ばれやすくなった。
彼もまた上半身には包帯が巻かれていた。
「まさか捨て身の攻撃に出るとは思ってなかったな…メディスンは?」
「あいつは無傷だったよ。一応診察してもらったけどな。って、それを
話に来たわけじゃねえ!ソレイユ、お前の個性、両親の混合だって
聞いたが俺はそうじゃねえと考えている。アンタの父さんは元、ヒーロー
ロールシャッハ、今は十神新輝は複数の個性を持っていたと聞いてる。
似たような個性、性質変化と個性を進化させる個性」
ソファに深く腰掛けマグナガイアは話を続ける。
「ちなみにマグナガイアはロールシャッハのサイドキックから独立し
今に至っている。つまりは若いお前の父親を知っている」
「なるほど」やっと理解した。イザナのおかげだ。
「母親は優佳里さんだったか。あの人は個性を強化する個性を持っていた。
もし、親のすべての個性を受け継いでいるとしたら…お前の変換という個性は
もう一段階以上あるはずだ」
マグナガイアはソレイユ、ノアを見据える。真剣な表情はいつもの
茶目っ気ある顔に変わった。
「まぁ気を張りすぎるなよソレイユ。これ、秘密な?バレると叱られる。
太陽名乗ってんだろ、役割を忘れちゃならねえぞ」
「…はい!!」