その動画に出ている紳士はこういった。
これから行うことは世界を揺るがす、と…。その動画を見ていたのは計二人。
緑谷出久と早乙女零夜。緑谷は買い物の帰りに動画の男に遭遇する。
「(流石に遅いなぁ…もう少しで始まっちゃうんだけど…)」
ノアは時計に目を向けて不安を募らせる。一方、職員室にいた早乙女は席を
立つ。
「ちょっと、どこ行く気?」
ミッドナイトは彼に問いかけた。零夜は笑顔を向けて言う。
「生徒の帰りが遅いから迎えに行くだけだ。何かあったら大変だからな」
「…そう。でも遅くならないでよ」
「分かってる」
そう答えて彼は廊下を速足で抜けていく。例の動画、そして正義感がある
緑谷の帰りの遅さ…動画の男と戦闘になっていると考えると辻褄が合う。
校舎を出ると目を閉じ個性を使う。弱めの殺気。緑谷なら気付けるはず。
戦闘中の緑谷は察知する。
「(この感じは…早乙女先生の殺気…!)」
攻撃を躱し攻撃を放つ。じっと見つめるラブラバの背中に冷や汗が流れる。
「ジェントル、不味いわ!!この感じ…」
ラブラバが急に倒れた。ジェントルは目を見開く。何が起きたのか理解が
追いついていない。
「そうこの感じは殺気だ。生半可な精神力の人間はこの量の殺気には耐えられ
ないぜ?」
「なっ、いつの間に―ぐふっ!!?」
片脚で地面を蹴り、もう片方の足で軽く着地。素早くジェントルの顔面に
膝蹴りを入れる。
「先生!?」
「何驚いてるんだ?ちゃんと合図は送っただろ」
「じ、じゃなくて!!」
戻ってきたジェントルは零夜の顔面にドロップキックをする。零夜が相手を
睨む。最大に近い殺気を放ち手を出すことも無く気絶させて見せた。近くに
いた緑谷も殺気が引いても動けなかった。だが彼の背中を零夜は軽く叩き
我に返らせる。
「戻るぞ。どれだけ仲間を待たせるつもりだ」