「クロノの個性文武強化は知能と身体能力を強化する。素のスペックが
高い奴が使えばかなり厄介な個性だ。一方、十神は物質を他のものに変える
個性を持つ。個性だけ見れば希十神が有利だ。…だけど」
早乙女が口を閉じた。
「頭脳と身体能力は圧倒的に三雲のほうが上か」
「おぉ、流石相澤先生。理解が早いな」
ミリオが基本、A組の相手をしているが希愛だけクロノがついている。
何処から出てくるか分からない相手を警戒しながら緑谷は考え続ける。
「(十神さんの個性なら通形先輩を妨害できるかも知れない。けど助けに
行きたくても何処から出て来るのか予想も出来ない、行ったとしても三雲
先輩に一蹴される可能性も高い)」
「緑谷さん、私たちは通形先輩の相手に専念しましょう。十神さんが
言っていたあの人の個性なら既に私たちの個性についても考えられてるかと
思います」
クロノは個性が無くとも高い頭脳と身体能力を持つ。そこにプラス彼の
個性ならばワン・フォー・オール並の力も発揮することが出来てしまう。
希愛もクラスメイトのフォローに行きたいが躱すので精いっぱいだった。
「個性はそれなりに扱えているが力に欠けているな…」
クロノが大きく拳を振りかぶる。希愛は空気を炎に変え翼の形にして宙に
浮く。彼の拳が地面に振り下ろされた瞬間、大きな音と爆発を起こした。
全員が冷や汗をかく。
「なぁっ!?大きく地面が抉れてるぞ!」
「流石にここまでやっちまったら続行も何もねえな。さぁ終わり終わり」
早乙女は笑顔で手を叩き終わりの合図をした。ミリオ曰く、弱くても
努力をすれば強くなれると伝えたかったらしい。