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No.43351の一覧
[0] EVAザクラ 新劇場版[まっこう](2019/08/30 22:14)
[1] EVAザクラ新劇場版 序の次 第一話[まっこう](2019/08/30 22:12)
[2] EVAザクラ新劇場版 序の次 第二話[まっこう](2019/08/30 23:59)
[3] EVAザクラ新劇場版 序の次 第三話[まっこう](2019/08/31 12:37)
[4] EVAザクラ新劇場版 序の次 第四話[まっこう](2019/08/31 19:23)
[5] EVAザクラ新劇場版 序の次 第五話[まっこう](2019/08/31 22:22)
[6] EVAザクラ新劇場版 破 第一話[まっこう](2020/06/01 21:04)
[7] EVAザクラ新劇場版 破 第二話[まっこう](2020/06/26 21:46)
[8] EVAザクラ新劇場版 破 第三話[まっこう](2020/07/05 16:22)
[9] EVAザクラ新劇場版 破 第四話[まっこう](2020/07/22 00:29)
[10] EVAザクラ 新劇場版 搭乗人物一覧[まっこう](2020/07/24 19:53)
[11] EVAザクラ新劇場版 破 第五話[まっこう](2020/08/12 15:01)
[12] EVAザクラ新劇場版 破 第六話[まっこう](2020/09/30 19:42)
[13] EVAザクラ 新劇場版 搭乗人物一覧 update[まっこう](2020/09/30 21:52)
[14] EVAザクラ新劇場版 破 第七話[まっこう](2020/10/06 17:44)
[15] EVAザクラ新劇場版 破 第八話[まっこう](2020/10/10 17:16)
[16] EVAザクラ新劇場版 破 第九話[まっこう](2020/10/15 14:10)
[17] EVAザクラ 新劇場版 搭乗人物一覧 update[まっこう](2020/10/15 14:22)
[18] EVAザクラ新劇場版 破 第十話[まっこう](2020/11/05 17:09)
[19] EVAザクラ新劇場版 破 第十一話[まっこう](2020/11/26 17:26)
[20] EVAザクラ新劇場版 破 第十二話[まっこう](2020/12/26 18:14)
[21] EVAザクラ新劇場版 破 第十三話[まっこう](2021/01/31 20:05)
[22] EVAザクラ新劇場版 破 第十四話[まっこう](2021/04/02 22:25)
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[43351] EVAザクラ新劇場版 破 第九話
Name: まっこう◆048ec83a ID:8e1d4fad 前を表示する / 次を表示する
Date: 2020/10/15 14:10
入院中はズバットとサンダーバードare go!ばかり見ていました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 芦ノ湖の海賊遊覧船は今でも健在だ。この所お疲れ気味のミサトとリツコは慰労と言う事で二人で芦ノ湖の湖畔の温泉に来ている。業務上それほど遠くには行けないのが残念だ。ミサトとしてはマコトやマヤなども連れてもう少し大人数で楽しみたいところだが、テロなどが会った場合それでは業務に支障をきたす為、リツコと二人で来ている。まあこの二人がいなくなったらそれなりに大変だろうが、代わりはいる。

「いい天気ねえ~」
「そうね」

 甲板の先端で乗り出して辺りを見回しているミサトと違いリツコはベンチで本を読んでいる。美人の二人連れとも成れば無謀にもナンパしてくる者もいる。もっとも成功しない。リツコを口説こうとした者は芦ノ湖が凍りそうな視線を食らって敗退している。ミサトを口説こうとした者は、「私ネルフの作戦担当なのお~。私より喧嘩が強ければ付き合ってあげるわよ~」等と言うとこれも去って行く。一人力自慢の巨漢がそれならばと手を握ってきたので派手にぶん投げたためその後は誰も寄ってこない。
「リツコ、あんた楽しいの?」
「ええ、お日様の下の読書も新鮮だわ」




EVAザクラ 新劇場版

破 第九話

参上




「ま、楽しいならいいか」

 ミサトはそう言うと尻ポケットのスキットルから一口ウイスキーを飲んだ。

「アル中」
「ガリ勉」

 気の知れた二人旅なら悪口も楽しいものだ。二人の服装は対照的だ。リツコは白い長袖のブラウスに白いスカート、ツバの大きい帽子にサングラス。日焼け対策はバッチリだ。ミサトは短く切ったデニムのショートパンツにへそが出ている短いデニムジャケットで、結構際どいカットのため下着がチラチラ見えたりする。どちらもそれなりに似合って見えるのは、やはり美女二人組なのだろう。

「そろそろ戻るわ」
「もう、リツコは、何しに来たんだか」
「いえネルフの牛乳女の生態を楽しませて貰ったわ」
「しっつれいね、小さいよりいいでしょ」
「役に立ってる?」
「リツコよりは」

 減らず口を叩きながら、二人は特別室に戻っていく。平日なのと、料金が高い為か他には誰もいない。

「でも、この旅行はミサトにしては良いチョイスだわ。行く先がネルフの契約温泉なら安心だし、あそこ結構料理がいいのよね」
「お酒もいいのが揃っているし」
「やっぱりアル中。加地君に嫌われるわよ」
「へーんだ」

 ミサトはまたウイスキーをあおった。

「加地なんて」
「ハイハイ、ふってやったんでしょ」




 桃源台港につくと次は箱根ロープウエイに乗りかえた。この辺りは使徒の通り道でないので、景色も昔のままだ。ロープウエイも空いていてふたりだけだ。

「空、青いわね」
「そうね」

 ミサトは立ち上がりロープウエイのガラスに顔を近づけて外を見ている。窓が開くなら、乗り出して見ていそうだ。リツコは逆に座って見ている。流石にサングラスは外している。

「それにしても、貴方のプロポーション反則ね。あれだけだらしない生活していてその腰の細さは何なの?ま、その分性格があれだから、天は二物を与えないわね」
「あーら、リツコだって素敵じゃない。その立派な安産型。腰が据わっていてうらやましいわ」

 くだらない事を言い合えるのも気ままな女二人旅だろう。

「芦ノ湖も青いわ」
「そうね」
「なんで海は赤く成ったのかしら」
「赤い物質が溶けているからよ」
「身も蓋もないわね」
「詳しく説明しましょうか?」
「いいわ。どうせその物質がメチル基がどうたらこうたら、特定波長を吸収するどうたらこうたらでしょ」
「ご名答」

 ミサトはリツコの隣の席に座った。肘掛けにもたれる。

「どうなるのかしら、これから」
「温泉に行って、美味しいご飯を食べて寛ぐ」
「じゃなくて、EVAの事とかネルフの事とか」
「あなたちゃらんぽらんのくせに、心配性なんだから」
「ちゃらんぽらんで悪うございました」
「ま、心配性なのは普段の準備が足りないからよ」
「はいはい、ネルフの説明おばさんには口では勝てませんよ」
「そう、私も二本足歩行ホルスタインには勝てないわ」
「偽金髪」
「アル中」

 そんな事を言っている間に大涌谷駅に着いた。陰陽二人の美女が並んで歩いていると、皆の目をひく。寄ってくる男どもを一々撃退するのは面倒なので、ミサトはネルフの制帽を被って目つきを鋭くした。それだけで男どもが寄ってこない。何か違うのが判るのだ。

「そうそう、レイが大涌谷の黒たまご買ってきてだって」
「あの子が。ま、食に興味を持ってくれるのはいい事だわ。健康は食事からだもの」
「最近は手が絆創膏だらけね」
「包丁傷ね」

 大涌谷の土産物売り場を二人で回りながらのおしゃべりはとりとめのない物だ。また寄るのでお土産は帰りに買う事にして、今夜の酒とつまみだけ買って行く事にした。買い物が終えた後は二階のレストランで昼食だ。名物に旨いものなしと言われるが、大涌谷の名が付いたカレーを二人で食べる。意外と旨い。

「そう言えば、レイは煮込み料理で行くらしいわよ。シチュー、まあ無難ね。切って煮込めば形になるし」
「あらぁ、アスカともろに当たるわよ。アスカはカレーだけど」
「面白いわね。言っておくけどミサトは手伝わない方がいいわよ。あなた味音痴だし」
「リツコだって飯屋でバイトしていたくせにちっとも上手くならなかったじゃない」
「ミサトも同じ店でバイトしていたでしょ」
「まっね~。うらなり君どうしてるかしら。リツコ連絡はしてないの」
「別世界の人間よ」
「食堂の女将さんもよかったんじゃない」
「うらなり君は私には勿体ないわよ」

 二人が大学生の時バイトをしていた食堂の店主の話で盛り上がった。




「まずは温泉温泉」
「それについては同意見だわ」

 大涌谷のレストランで食事を終えた後またロープウエイで早雲山駅まで行く。駅を降りて道を少し上っていくと、お目当ての温泉宿についた。全部で八部屋しかない温泉宿で、いつも予約は埋まっている。ネルフ関係者専用の温泉宿だ。チェックインを済ましもてなしのお茶とお茶菓子を平らげた後早速温泉に行く事になった。この宿は部屋数にあわせて八つ露天風呂がある。ミサトの趣味で空がよく見える風呂に入る事になった。

「温泉って言ったらこれよこれ」

 ミサトはどこから持ってきたのか木のお盆に徳利とおちょこを乗せて、お湯に浮かべて早速いっぱいやっている。

「飲み過ぎないようにね」
「だいじょうびゅ~」

 すでに口元が怪しくなっている。

「温泉来たの久しぶりよね~」
「そうね、大学以来だもの。あの時は加地君もいたわね。夜うるさくて眠れなかったわ。私の事忘れて盛りがついてるのだもの」
「そんな事もあったわね~」
「昔は良かった、か」
「私たちセカンドインパクトが無くって出会っていたらどうなってたのかしら~」
「さあ。あなたが飲兵衛なのは変わらないでしょうね」
「あなたが理屈っぽいのもね」

 リツコはお湯の中ミサトに寄ってきた。

「ちゃんと私の分のおちょこもあるのは流石、天下のネルフ一の飲兵衛ね」
「ま、ね~」

 リツコがおちょこを手に取ると、ミサトがついだ。

「酒旨ければ、天下に勝る。全て憂い無し」
「誰の言葉?」
「わたしの~」
「まあいいわ、乾杯」
「乾杯」




 温泉から上がると早速二人で宴会だ。箱根は山の幸、海の幸両方が味わえる。煮物、焼き物とどれも美味しい。何でも解説してしまうリツコも黙々と箸を動かし、ミサトも浴びるように日本酒を飲み酒の肴を摘まんでいい気分だ。宴会が始まって一時間ほどで一段落付き、二人の手もゆっくりとなった。

「そお言えばダミープラグって、実際どうなのよ」

 冷や酒のコップを目の前でゆらゆらさせたミサトが、コップに歪んで映ったリツコに話しかける。

「あなた、普段の態度の割に仕事好きよね」

 リツコはウイスキーの水割りだ。

「かもね、ま、好奇心は豊富だわ」
「全機械式でチルドレンが意識不明などに陥った時コントロールが可能って事に成ってる。詳細は不明よ」
「なんかいけ好かないわね。対抗手段はないの?」
「うちの第二開発部の市ヶ谷博士が開発してる。EVA技術を応用した人工生命体プロジェクト・テルルがある。レイの思考パターンを元に学習させたAIを搭載した有機無機混合のロボット、身体のモデルはミサトのを使わせて貰ったわ」
「へえ~そんなもん作ってたの」
「ダミープラグと似たり寄ったりかも知れないけど。一応首から下は出来たけど、AIとの同期に手こずってる。最終調整に二年かかるわ」
「そ、ま、正体がわからないダミープラグよりましかもね」
「そうね」

 ミサトが丁度グラスをあおったので、リツコの口元が少し歪んだのには気づかなかった。

「ともかく、うちの上位組織って謎だらけね」
「そうね、仕事の話はこのぐらいにして、そろそろ舟盛り出して貰いましょうか」
「待ってました」




 翌日、リツコは二日酔い気味だった。リツコの二倍飲んだミサトが平気なのは流石と言うべきだろう。

「向かい酒行っとく?」
「あのね」

 旅館の朝食は美味しかった。ご飯にお味噌汁、干物に漬物、だし巻きに梅干しと実に伝統的な物だが、きちんと手がかかっていて旨い。ミサトはバクバクご飯をおかわりして食べている。リツコはちまちまと箸を進めている。

「なんなら、もう一日泊まってく?」
「できないでしょ」
「まっね~」
「ホントに神様は不公平だわ」

 リツコはご飯に味噌汁をかけてすすり込むことにした。

「あら、無作法」
「今度アルコール拮抗薬を食べ物に混ぜてやるから」
「お~こわ。流石ネルフが誇るマッドサイエンティスト」
「うるさい、アル中ビヤ樽女」
「リツコよりウエスト細いもん」
「1センチでしょ」




 朝食をとった後一っ風呂浴びたところリツコの体調も良くなってきた。仕事もあるので帰る事となった。旅の帰りのルートは行きと逆だ。早雲山からロープウエイで大涌谷にまず降りた。土産物屋でリツコは黒たまごとせんべいなどを買い、ミサトは地酒とつまみを買った。今日はレストランに寄らずまロープウエイで桃源台港まで降りた。それほど待つこともなく海賊遊覧船に乗り込んだ。今日は船底に近い普通席だ。今日は時間も早いせいか他に誰も客はいない。貸し切り状態だ。

「これ食べる?朝あまり食べなかったから、私お腹空いて来ちゃって」

 リツコが黒たまごの一個入りパックをミサトに差し出す。

「サンキュー、あとで頂くわ」

 ミサトはジャケットのポケットに入れた。リツコはパックから取り出すと、付いている味塩を振りかけてぱくついた。

「あら、美味しい」




 遊覧船が出航したが行きと違ってミサトも静かに席にいる。窓から流れる風景を眺めている。卵を食べ終わったリツコは居眠りを始めた。

「ん?」

 ミサトが急に斜め上を見た。何かゾクッとした。ずっと戦いの場に身を置くと、勘がさえてくる。殺気みたいなものを感じるようになる。ミサトはそのような感覚を無視しない。

「リツコ起きて」

 リツコを揺り起こす。

「へ?」
「狙われてる」

 それでリツコもシャキッとした。ミサトの直感による行動は何度も目にしてる。それに何度も助けられている。ミサトの直感は相当な確率で信頼できる。一方ミサトのゾクゾクした感覚はより強くなった。

「リツコ通路に出て」

 ミサトは立ち上がったリツコを通路に押し出した。リツコに飛びつき抱きつくと、ポケットから取り出したカプセルを取り出し、起動スイッチを押した。カプセルから何かが吹き出し、ミサトとリツコを覆う。それは直径三メートルほどの球体となった。厚みは百ミクロン程だが手榴弾の接触爆発にも耐え、数トンの加重にも耐える優れものだ。特殊な高分子膜で出来ており、光も反射し、気体もシャットアウトする為、光学兵器や毒ガスにも対応する、ポータブルの個人用シェルターと言える物だ。最近テロがいくつかあったのでリツコが作った試作品で、とりあえずミサトに渡した物だ。ただ試作品なのでまだ解決していないところがある。光学兵器に対応するように作られた為、外部の状況が見ることが出来ない。カプセルにある酸素交換機は一人一時間分のエネルギーしかない。二人だと三十分だ。真っ暗なシェルターで抱き合ったまま身構えた二人は、次の瞬間に轟音と共に迫ってきたシェルターの天井部分に激突して気を失った。




「アヤカ、箱根海賊船の運営会社から緊急通信です」
「了解、こちらWWR」

 TB5の今週の当番はアヤカだ。壁を蹴ってディスプレイの前漂っていく。

「うちの観光船が謎の爆発を起こして沈没しました。船長と乗組員は水面に漂っているのを救助しましたが、乗客二人が船と共に沈んだと思われます。船室は気密構造になっているので生き残っている可能性もありますので救助をお願いします」
「了解しました。至急こちらのチームを送りますので、隊員の指示にしたっがってください」
「了解しました」

 アヤカはイオスに命じて、MAGIとの直通回線をオープンさせた。第三新東京市近郊の事故、事件はネルフが関わっていることが多い為、あらかじめ情報を共有する取り決めがある。

「イオス、芦ノ湖をスキャン」
「了解」
「大道寺島本部、芦ノ湖で遊覧船の沈没事故発生。客が二人船内に取り残された模様」
「了解、TBNを先見に、TB2およびTB4を救助に向かわせるです。追加情報が入り次第連絡を頼むです」
「了解」

 TB1はマリエルと共に別の現場に行っているらしい。TB2のメインパイロットのクルミから返答が帰って来た。クルミ達が準備をしている間に、芦ノ湖の3Dスキャン結果がホログラフィーでアヤカの目の前に現れた。

「芦ノ湖の最深部に船の残骸が沈んでいます。バラバラになっています。あれ?」
「どうしたのイオス」

 人工知能のイオスが変な声を出した。他の世界から来た人格と融合してからは、こんな人間らしい反応をすることが多い。おしゃべりなアヤカの影響を受けたのか少し話し方が大雑把になったのは問題だ。

「残骸の下に球形のスキャン不能部分があります」
「変ね、TB5のセンサーでスキャン出来ないなんて。重力勾配探査出来る?荒い精度でいいわ」
「はい」

 5秒後結果がホログラフィーに追加された。

「球体内に、98プラスマイナス20キログラムの質量あり、二人分の質量ね。イオス、遊覧船の売り場の監視カメラにアクセス。乗客を特定して」
「了解」

 イオスが監視カメラのシステムにハッキングする。一々許可を取るより早い。

「人物特定、葛城ミサトおよび赤木リツコと判明」
「え、すぐにネルフに連絡」
「MAGIを通して連絡済み。あの球体は試作品の個人用シェルター、酸素は30分持ちます」




「ボス、上手くいきやしたね」
「こんな仕事であんだけ出すとはデストロンは金払いがいいですね」
「ああ、それに現れたWWRの奴らをあの先生にやって貰えば、メンツも立つ」

 箱根の山中に目つきの悪い男達の集団がいた。以前威張組に助っ人を出した暴力団新星組の一党だ。ボスとその配下15人、それにデストロンからよこされた大柄の男が一人いた。

「大体正義気取りの奴らは虫が好かん。ぐちゃぐちゃにぶっ潰してやる。先生お願いします」
「ああ」

 その時だった、どこからともなくギターの音が聞こえてきた。

「ん、なんだ」

 皆、音の方を向いた。

「誰だ」

 ボスが叫んだ。獣道の向こうからギターを弾きながら黒いジャケットに赤いシャツ、白マフラー、黒いテンガロンハットの伊達男がやってきた。

「残念ながら、お前達が狙った美女二人は生きている。さっきWWRから連絡があった。救助作業中だ」
「お前、早川」
「その通り、害虫退治が好きな私立探偵だ」
「威張組のようにはいかんぞ、おまえら」
「へい」

 手下達はポッケとから薬を出し飲んだ。みなの身体の筋肉が膨れ上がる。デストロンから支給された筋力増強剤だ。筋力が二倍なる。手下達は一斉に早川に襲いかかった。




 TBNが現場に着いて上空から直接観察を始めて五分後、ほぼ同時にTB2とネルフの作戦部の作戦指揮車が桃源台港に到着した。救助はWWRが本職なので、周囲の警護と人払いをすることになった。

「マヤちゃん、あのシールドの酸素は何分持つんだい」
「安静状態で二人で三十分」

 戦闘指揮車の中のモニターにTBNからの映像とシェルターの性能図が映っている。マコトとマヤが来て現場の指揮をしている。

「トウジ君、そちらから視認した限りではどうだい」
「あかん。爆発のせいか水が濁ってしまってる。目ではみえへん。ただレーザーレーダーではまだ球体は壊れてない」
「すまんが、変化があったら教えてくれ」

 いっぽうTB2は湖畔の空き地に着陸し、着陸ギアを伸ばしてTB4の発進準備をしていた。いつもならTB4が入ったコンテナを水面に落としてそこから緊急発進させるのだが、コンテナが着水した衝撃でシェルターが潰れる可能性がある為、TB4を湖畔から発進させることにした。

「カリンカちゃん、サキちゃん、準備いいですか」
「OK姉さん。以降はこちらでコントロールします」

 TB4のメインパイロットのカリンカから返事が返ってきた。

「ドッキングクランプ解除、TB4発進」

 TB4は倒れたコンテナの前面から滑るように発進し、水中に入って行った。




 ミサトとリツコは暗闇の中にいた。二人とも衝撃で気絶したが五分後ミサトが目を覚ました。

「リツコ起きて」

 ポケットに入れてあったペンライトを付けたミサトはまだ気絶しているリツコに声をかけた。

「あ、ミサト。ここは」
「リツコがくれた個人用シェルターの中、爆発があったから芦ノ湖に沈んでるんじゃない」
「そう、いたたたた」

 リツコは胸を押さえた。相当痛いらしい。呼吸が上がってる。

「肋骨にヒビが入ったみたい。もしかしたら折れてるかも」
「楽にしてあげる」

 ミサトはリツコを服の緩めた。

「有難う。でもヤバい状態ね。空気は三十分しか持たないわ」
「三十分あればうちの作戦部かWWRが来てくれるわ」
「私今骨折で呼吸が世話しなくなってるからもっと短いわよ」
「その時はその時よ。二人で組めばどんな事でも何とか成る。そう言ったでしょ」
「まあね。とは言え対策は必要だわ」

 リツコはそう言うとバックから何か錠剤を取り出した。

「なにそれ」
「自決薬」
「何バカな事を言ってるの」
「冗談よ、仮死薬よ。新陳代謝を極限まで落として仮死状態にするような薬。酸素の消費を相当抑えるの」
「危険は無いの?」
「若干の危険は有るけど酸欠で死ぬよりいいわよ」
「じゃ私が飲むわ。けが人にそんな薬飲ませられない」
「逆よ。貴方が仮死状態になったら、けが人の私は一人じゃ身動きとれんないわ」
「でもリツコ」
「赤木リツコを信じて。私の科学的技術的知見は信じられるでしょ」
「そうだけど」
「じゃ、決まり」

 リツコは錠剤を口に放り込んだ。

「二十秒ほどで効いてくるわ。あとはたの」

 急にリツコの全身が痙攣した。痙攣が止まると呼吸が極ゆっくりな物になった。リツコは昏倒した。ミサトは上着を脱ぐとリツコにかけた。




「TB4が発進した。後は彼らに任せるしかない。俺たちは警備に専念しよう」
「せんぱい」

 マコトは戦闘指揮車から、警備に当たっている作戦部の部員達に指令を出した。マヤはTBNを通して送られる情報を随時チェックしている。

「え?」
「爆発音?」
「TBN、そっちから見える?爆発音がまた聞こえた」
「聞こえました。少し離れた山中から煙が上がってます」




 たとえ筋力増強剤を使っても手下どもでは早川の敵ではない。早川は襲いかかってきた手下どもをその力を逸らして投げ飛ばし、急所を突いては倒していった。どんどん手下が減っていく。ボスは慌てて大男にすがりつく。

「先生お願いします」
「ふん」

 大男がボスの顔面を殴り倒した。丁度早川が丁度手下達を全て倒した時だった。

「カメバツーカ」

 大男がそう叫ぶと身体が膨れ上がった、みるみるうちに身体が変わっていく。そしてそこには亀の怪人がいた。背中に亀の甲羅のような物がありその上に砲台の様な物が付いている。

「お前はデストロンの怪人だな」
「そうだ、ババツーカ受けてみろ」

 怪人は素早く四つん這いになると、早川に砲台を向けた。

「ババツーカ」

 カメバツーカの叫びと共にエネルギー弾が発射された。早川はとっさに避けた為直撃は避けられたが、直ぐ横の岩にエネルギー弾が当たり爆発を起こした。爆発のあおりを食らって早川は跳ね飛ばされ山の斜面を落ちていった。

「わはははは、たわいのない奴」

 カメバツーカは大声で嘲り笑った。

「これで一人邪魔者が消えた」

 その時だった、山の向こうから何か赤い物が飛んできた。カメバツーカが見るとそれは変な形をした自動車だった。惑星探査用ローバーの試作機ズバッカーだ。

「ちぇい!」

 近くまで来た時、全身が真っ赤な装甲服の男が飛び降り、カメバツーカから少し高い丘の上に着地した。

「お前は何者だ」
「はっはっはっ、ズバッと参上、ズバッと解決、人呼んでさすらいのヒーロー怪傑ズバット」

 ズバットは右手でカメバツーカを指さし言った。

「みんなの楽しみ海賊遊覧船を爆破し、あまつさえ女性二人を殺そうとしたカメバツーカ、許さん」

 ズバットはジャンプしカメバツーカの前に着地した。

「お前などこのババツーカの敵では無いわ」

 カメバツーカはまた素早く四つん這いになった。

「ババツーカ」

 エネルギー弾がズバットに向かって発射された。

「ちぇい!」

 かけ声とともにズバットが鞭を振り下ろすとエネルギー弾は両断され空中で四散した。

「なにいい」
「はははは、ズバットにそんな物は効かない」
「なんの、ババツーカ速射」

 少し威力が小さいがババツーカが三十発ほど連射される。

「ちぇい!ちぇい!ちぇい!ちぇい!」

 ズバットは鞭を振り回し全てのエネルギー弾を切り飛ばし、跳ね飛ばした。

「ズバッ」

 ズバットがカメバツーカの首に鞭の先端を絡みつけた。

「ズバッ」

 ズバットが手を引くと、カメバツーカが宙を舞い地面に叩き付けられる。
「ズバッ!ズバッ!」

 ズバットは十回ほどカメバツーカを地面に叩き付けた。鞭をほどいた。カメバツーカは直ぐに立ち上がる。

「このカメバツーカ、甲羅も身体も特別製、そんな攻撃ではびくともしないわ」
「何」

 ズバットは距離をとりにらみ合い状態になった。

「このままでは制限時間を超えてしまう」

 ズバットの装甲スーツは五分の制限時間を過ぎると装甲服が負荷の限界を超えて爆発してしまう。動力を解除すると鉛のように重くなってしまうのだ。

「ババツーカ」

 またカメバツーカが四つん這いになるとババツーカを撃とうとする。

「ちぇい!」

 ズバットは地面に落ちていた大きな石を鞭ではじいてババツーカの砲身に叩き込んだ。そこでババツーカを発射したからたまらない。ババツーカは暴発し、砲身は裂け、カメバツーカの甲羅にもひびが入った。

「チャンスだ、ちぇい!」

 ズバットはジャンプすると空中で一回転しカメバツーカに向かって飛んでくる。

「ズバット、アタック!!」

 両足の跳び蹴りを立ち上がったカメバツーカの肩の辺りに炸裂させる。反動で距離をとった。

「バババツーカ」

 カメバツーカはそう言うと倒れ込み爆発を起こし。身体が四散した。




 スパシンの元祖は早川ケンだと言ったら、早川ケンはもっとスーパーだと言われてしまうだろうか。早川ケンなら誰よりも上手にEVAを操縦してしまうと思うのは錯覚だろうか?

次回「EVAザクラ新劇場版 破 第十話」
さぁて、この次もサービス、サービス!

つづく


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