あぁ、告白した。してしまった。
いや、してしまったなんて言い方はないよね。
しかし、自分で自分に驚いてしまった。
よもやあんなタイミングで告白することになるなんて。
布石は確かにあったんだけど。
イルハさんが、というか男の人が“そういう”ことに対して興味というか、欲求とでも言えばいいのか、があるのは至って自然なことだと思う。
でも、イルハさんには“そういう”所に行って欲しくはなかった。
何と言えばいいのか。この感情は。
誰とも知れない人と、イルハさんが肌を合わせるだなんて。
考えただけで嫌だ。
だから自分が、なんて安易な考えだけど。
でも考えるより先に言葉が出てしまった。
私ってそんなに直線的で強引な人間だった?
「…まぁ、どうしてもっていうなら、私が何とかしますよ?」
私の口から、そんな言葉が出るなんて。
言っていて驚いてしまった。
私何言ってるんだろう? はしたないコだと思われてしまっただろうか。
でもそうでも言わないと、この人には通じない。
そんな気がしていた。まぁ、どうやらその考えは正解だったみたいだけど。
そのイルハさんといえば、思った通りというか何というか。
案の定オロオロしていて、正直見ていて微笑ましかった。
この人は純粋な人だ。
これがイルハさんに抱いた私の印象。
表も裏もない、まっさらな人。
ルイーダの酒場で初めて見たとき、まずマナに引かれた。
あんな人見たこと無かったから。
そして一緒に旅をするようになって、今度はその人柄に惹かれた。
人に接するときの誠実さ、謙虚さ。
多分この人は誰とでも分け隔て無く接することの出来る人。
この人と一緒に旅が出来るのは、多分凄く幸せなことなんだと思う。
勿論苦しいことも、哀しいことも沢山あるんだと思う。
でもこの人は、それを補って余りあるモノを、皆に与えてくれるんじゃないかな、と。
漠然と思ってしまうのだ。
だから惹かれた。
好きになってしまった。
心が欲してしまったんだと思う。
それに旅を続けていく上で、この気持ちを伝えられなくなってしまう事態に陥らないとも限らない。
なんて少し怖い想像をしたら、言えるときに言っておかないと、取り返しがつかなくなってしまうような気がした。
言わずに後悔より言って後悔した方が、自分の気持ちにもケジメがつけられる。
「どしたの? ハイネ。寝れないの?」
「…ううん、大丈夫だよ、ニル。ちょっと考え事してただけだから…。」
ニルが私を心配して声をかけてくれる。
「何か心配事があるなら相談にのるから言ってね?」
「うん、ありがとう、ティファ。」
ティファもまた心配してくれる。
でもこれは少し相談しづらいこと。
出来れば相談したい。でもちょっと難しいこと。
二人には打ち明けておいた方がいいのかな…。
イルハさんの返事が貰えたら打ち明けた方がいいよね。生来、隠し事をするのは下手な方だし。
例え良い返事でも、悪い返事でも、ちゃんと二人には報告しよう。
もし悪い返事だったとしても私は一緒に旅を続けたい。
みんなの手助けをしたい。
その時は少し哀しい気持ちになるかもしれないけれど。
イルハさんやみんなと一緒に、平和になった世界を見たい。見てみたい。
みんなで平和になった世界で笑い合おう。
昔、そんなこともあったねと笑い合おう。
うん、そうしよう。
そういえる日が来るように頑張ろう。
…でも、できれば良い返事を貰いたいものだけれど。
それは私の我が儘なのかな?