「…うわぁ…。やっぱりというか何というか。ホントにドラクエなんだなぁ…。」
俺は、アリアハンと思われる城下町を眺めながら呟いた。
俺が彷徨っていた森は、思っていたより奥深くはなかったようで、小一時間ほど歩いて抜けることができた。
初戦闘の後、モンスターに出会うことがなかったことも順調に森を抜けることができた一因だろう。
しかし俺ってこんなに体力あったか?
こんな重装備で、平坦だったとはいえ、足場の悪い道を一時間余り歩いたのに、大した疲れも感じていない。
この世界にトリップしたことによって、何か補正でもかかったんじゃないのか?って位だ。
この辺もまた折を見て調べたい事なのだが、調べようがあるのか…。
教会やら、ルイーダの酒場、もしくはダーマ神殿でなら可能か?
などと考えつつ、草原を順調に歩を進めること暫し、遠目に城下町らしきものが見えた。
遠目からでも分かるほど立派な城。それに城下町。
現実で、こんな立派な町や城など見たことがない。
改めてここがドラクエの世界なんだと実感させられる。
「…こういった所ってのは、通行に厳しいかと思ったんだが…。」
俺は町の入口で特に止められるでもなく、至って普通に町に入ることができた。
大丈夫なのか、こんなセキュリティで。
魔物以外はホント、フリーパスだ。テロやら犯罪やらってのは無縁なのかね?
まぁ、盗賊なんていう職業が、職種として登録されている世界だもんな。人に対しては大らかなのかも?
問題は大ありな気もするんだが。カンダタなんて輩もいるわけだし。
余談ではあるが、第一町人によると、やはりここはアリアハンだそうだ。
ちょっち世間話程度に話したところ、勇者様が半年ほど前に旅立ったそうな。
なんだ、憑依系とはいえ、俺が勇者だってことじゃないのか。
ちと残念…。デイン系呪文って一回試してみたかったのだが。
で、魔物が最近凶暴化してるらしい。とはいえ町まで襲って来るほどではないんだとか。
だよなぁ。こんな警備程度しかしてないんだもんな。
これじゃ、あっと言う間に攻められるぞ。
と思ったら、町全体に結界が施してあるんだと。なんだそりゃ。初耳だ。
だから大した警備もいらない。そこらの魔物じゃ入れないと。
ってことで町に入れる=人間だから大丈夫なのか。はぁ、そんな仕組みが、ね。
ん? ってことはサマンオサの王様が入れ替わったのって…。
そうか、それだけの魔物となると結界も効き目がないのか、それとも薄いのか? それともまた別の要因?
なんて事を考えてると町人が訝しんできた。この世界の人間には常識だったか。
「すいません、急ぎますので…」なんて曖昧に言い訳して早々に退散しました。
町人も町に入れた時点で魔物ではないと安心してるのか、大した追求もなく。
危ないとこだった。気をつけないと。
「さてと。ひとまずはルイーダの酒場だな。」
俺は町に入って左手、かなり立派なバー、ルイーダの酒場に向かう。
っとその前に兜だけは取っておくか。平時にこんなの被ってたら怪しい人だよな。
現実世界ではだけど。
こっちでは別段、普通なのかな?
で、中に入ってみると薄暗いが、空気は淀んでいない。
何だか、イメージしていた酒場とは大分違うようだ。
むしろ清潔感のある、酒場とはほど遠い感じ。普通に瀟洒なレストランといった所か。
店の奥にカウンターが見えた。そこに店員らしき人もいる。
まずはカウンターで話を聞くか。
俺がまるでお上りさんの様にキョロキョロしながら、カウンターに向かうと女性から声をかけてきた。
「そこのお兄さん、何の用だい?」
おお、美人さんだ。
ん? この人がルイーダか?
だとすると、なるほど、ただ美人さんなだけでなく、眼光が鋭い。酸いも甘いも知った眼だ。
これまでの経験上、こういった眼を持った人には逆らわない方が良い。人間関係を円滑に回すためには。
「あー、いえいえ。初めて来たもので、ちょっとお聞きしたいことが…。」
何てことを言ったら、
「初めて? 本当にそうなのかい? 大層立派な身なりだが…。」
…やっぱりこの装備は目立つよな…。装備品全てがこの大陸にはないものばっかりだし。
雷神の剣に至っては売ってすらいないからなぁ。
「ええ、かなり田舎から出てきたものですから、この様な栄えた街自体が初めてなもので…。
それにこの装備品も、父や祖父から譲り受けたものでして、詳しい由来は知らないんですよ。」
ひとまず嘘をついてしまったが、この際しょうがないだろう。
本当のことを言っても信じてもらえるはずもないし。余計に怪しまれるだけだ。
それに、ゲーム中ではそれほど感じなかったが、このアリアハン大陸はかなり広い。
まぁ、レーベ以外にも村などは存在するだろう。ちっと賭ではあるが…。
「そうなのかい? まぁ、最近は冒険者も増えてきて、このギルドも出入りが激しくなってきたからね。
田舎から出てくるヤツなんてのは、それこそ数え切れない位いるしね。」
とりあえずやり過ごせたようだ。すいませんルイーダさん、騙してしまって。心の中で謝ります。
「で、だ。アンタはギルド登録にやってきたってとこかい?」
これは渡りに船だ。ここの厄介になれば冒険者達から情報も集められるだろう。
どうやらゲームのドラクエとは少し違うようだからな。
「ええ、そうなんです。ですが如何せん田舎者でして。右も左もよく分からず…。
それで、教えていただきたい事が多々あるのですが、よろしいでしょうか?」
ルイーダはさして疑いもせず、この冒険者ギルド「ルイーダの酒場」について教えてくれた。
俺みたいな新参の志願者が結構いるんだろうな。
やはり基本システムはほぼゲーム通りだった。ここで冒険者として登録し、依頼された仕事を仲間やその依頼に応じたメンバーを募り、こなして報酬を得る。
そのまま固定メンバーになる者や、また別の依頼を個別に受けてこなす者、それはその都度それぞれのようだ。
だが、一つゲームとはだいぶ異なるものがあった。
それはレベルなどを確認する「つよさ」などのコマンドメニューだ。
「このギルドカードにそれぞれの職業、レベル、強さ、使用できる呪文や特技などが記される。」
これには驚いた。
ミスリル製らしい、名刺の倍くらいあるサイズのカード。
これは竜の神様の洗礼を受けると、このカードに自動的に書き込まれるのだとか。
竜の神様ってなんぞや? と思ったんだが、光の玉を守っていた竜のことか? それともまた別の存在?
「このカードはレベルが上がる毎に発光震動し、冒険者に自分の強さを教えてくれるのさ。
どういう構造かって? それがねぇ、私たちでもイマイチよくわからないのさ。昔からのやり方でね。
それこそ神話級の昔からさ。文献にも載っているのかいないのか…。」
ということらしい。まぁ、分かりやすいからコチラとしては文句はない。
それと、次のレベルまで幾つ必要なのかは、やはり教会で聞くんだそうだ。神のお告げとして。
ただセーブなんてのは無いらしい。当たり前か。ここはこれが現実なんだから、やり直しなんて有るわけないもんな。
「…分かりました。で、その洗礼ってのはどこで受けられるんです?」
「それはここ、ルイーダの酒場でだよ。」
これまた驚きだ。ここで受けられるとは。更に驚いたことにルイーダ本人がやるんだと。
「これが「ルイーダ」と呼ばれる人間の受け継がれる能力だからね。」
そういってルイーダは店番を他の店員に任せると、「こっちにおいで」とカウンター横の小さな部屋に入っていった。
中に入るとそこには小さな祭壇。その真ん中には立派な竜の置物。これがいわゆるご神体になるのかな?
「さ、ここに座りな。」
ルイーダに促され、部屋の真ん中、なにやら魔法陣めいたものの中心に座らされた。
「目を瞑り、気持ちを落ちつかせるんだ。」
言われるまま目を瞑る。気持ちを落ちつかせろって言われても、知らず気分が高まってしまう。
緊張とは違うな。楽しみなんだ。年甲斐もなくワクワクする。子どもか。
なにごとかルイーダが呟いている。
と、身体全体が何かに包まれているというか、暖かくなるというか。不思議な感覚が身体を包んだ。
そして頭に直接響くような声がする。これが竜の神様の声なのか?
ただ、何かを言われているようなんだが、遠いのか、声が小さいのかうまく聞き取れない。
そうこうしている内に身体を包んでいた不思議な感覚が薄れていくのに気がついた。
「もう目を開けても大丈夫だよ。無事アンタの洗礼も終わったから。」
早い。こんなもんで済むのか。ってゲーム中じゃこんなのもなかったから、比較しようがないんだが。
俺は先ほど聞こえた不思議な声についてルイーダに尋ねてみた。
「声? 声だって?」
ルイーダは訝しむ。
「ええ、ただ遠くで喋っているような感じで、何を言ってるのか分からなかったんですけどね。」
ルイーダはそれを聴き、考え込むように腕を組んだまま黙ってしまった。
そして考え込むこと暫し。
「ふーむ、その声に心当たりがあると言えばあるんだが…。いや…。しかし…。」
何とも煮え切らない態度だ。何か不都合があったのか?
「あー、何か言いづらいことであれば、また今度の機会でもいいですよ?
ルイーダさんの方で整理がついてからでも。」
俺がそういうと、ルイーダは何か思い出したかのように、祭壇へ向いて何かを確認した。
そして…。
「はぁ…?」
ルイーダの何とも間の抜けた声。
そしてこちらに向き直り、祭壇から持ってきた一枚のカードを見ながら、何だか納得できていないようだが喋りだした。
「いやね、ギルドカードなんだが…。」
そう言いつつ、ルイーダは新しい、俺のだと思われるギルドカードを手渡してくれた。
そのカードには不思議なことに日本語で文字が書かれていた。
ってこれば別に不思議でもないのか。問題はそこではないようだった。
「職業の所を見てごらん。」
職業?
そう言われて確認した俺の職業は…。
「……使者……?」
なんぞこれ?
使者…。
使者って職業か? 職業じゃぁないだろう。
そりゃルイーダも固まるわ。こんなん。
「…えーっと、何ですかね?これ。」
「私が聞きたいよ。」
ごもっともで。
職業ってのは大別して9職種。まぁそのうち勇者ってのは特別職みたいなもんなので、勇者を除いた8職種が基本。
それから転職をしたりして二次職になる奴もいる。
まぁ、この二次職ってのも世界で数人しか居ないらしいんだが。
そりゃそうか。レベルでいったら相当のレベルだもんな。
っていうか、そいつらが世界を救う旅に出たら、全て問題解決だと思うんだが。それは言いっこなしなのか?
っと話が逸れたな。その二次職、三次職と転職を繰り返しても、「使者」なんて職業は聞いたことがない。
それがルイーダからの情報だった。
確かに、俺がゲームやっててもそんなのは聞いたことも見たこと無い。
「どうしましょうかね、これ?」
「どうもこうもないよ。竜の神様からのお告げだ。ありがたく受け取っておきな。」
まぁ、俺の存在自体イレギュラーだからなぁ。職業もイレギュラーになってしまったのか。
深くは考えないでおこう。おいおい分かってくるだろう。
なーんて楽観的に考えておく。
そしてカードでステータスを確認してみたんだが…。
「…なんです? この数値は…?」
「…言っておくけど、そのカードに間違いは無いはずだよ?」
ですよねー。
何というかその数値たるや驚くものだった。
レベル35。
既に標準クリアレベル辺りなんだが。そういえば装備的にも、やろうと思えばクリア可能な装備だし。
俺は一体どういう意図でこの世界に連れて来られたんだ?
冒険してレベルを上げるとかって必要がほぼ無いんだが。
「私も長くこの仕事をしてるけど、洗礼の段階でそんな高レベルな奴は初めてだね。」
そりゃそうだ、こんなレベルあり得ない。よっぽど長旅をした冒険者でもない限り、こんなレベルになるなんてな。
道理で森での戦闘や、その後の行動が堪えない訳だ。身体がもう出来上がっていたのだ。
「で、どうする?この後。パーティメンバーを探す? それとも何か依頼を受ける?
あんたのレベルなら、どちらでも引く手数多だと思うから、依頼も選り取り見取りだよ?」
そうなんだよな。この後どうするか。定石から言えば、まずは経験を積みたいところだ。
レベル的にとか強さ的にみたら経験なんぞ、無理に積まなくても大丈夫そうだ。
しかし、実体験的に経験値が足りない。自分で自分がどこまで出来るのか把握しておかないと…。
ってことで、まずはパーティーを組んで、経験者から戦闘における常識や立ち振る舞いを学ばないとな。
そんなことを考えているとルイーダが思い出したように質問してきた。
「そういえば肝心なことを忘れてた。アンタ名前は?」
…そういえばここまで名乗らずにきてしまった。
名前。どうするか。ってここで名乗るのにあまり時間がかかると怪しまれそうだな。
無難に名前だけ名乗っておくか。それとも渾名にしておくか?
「すいません、俺も忘れてました。名前はイルハと言います。以後よろしくお願いします。」
そう言いつつ深々とお辞儀をする。ひとまず渾名で通そう。
呼ばれ慣れた名前じゃないと咄嗟に反応できないだろうしな。
「あいよ。じゃあこのペンでそのカードに署名しな。それでアンタもこのギルドの登録メンバーだ。」
そう言ってルイーダから手渡された羽ペンは不思議なものだった。
羽が銀のように固く見えたんだが、触ってみるとふわふわしている、何とも不思議なペン。
ペン先が仄かに光っているのも面白い。
では、署名を…。
ペン先をカードに走らせると筆跡が光り、カードに名前が刻み込まれた。
まるでレーザーカッターで刻んだかのように、固いカードにはっきりと。
「OK。これで正式な登録メンバーだ。これからよろしくな。」
そう言ってルイーダは手をさしのべてきた。
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
俺もそう言いながらその手を握り返す。
さて、これでとりあえずのスタートラインに立ったかな?
何とかして現実世界に戻る方法を探さないとな。
長い旅か短い旅か。どちらにせよ大変な旅になりそうだなぁ。
これからの事を考えると気が重い反面、ワクワクしている少年のような気持ちがあることに気がついた。
「…まったく、これだから男はバカだって言われるんだよな…。」
「ん? 何か言ったかい?」
「あー、いえいえ、独り言です。お気になさらず。」
怪訝な顔をするルイーダに、愛想笑いを浮かべつつ誤魔化す。
何はさておき、今はひとまずこの装備を脱いで、ひとっ風呂浴びたい気分だ。
「さて、イルハ。改めて聞くがアンタこれからどうするんだい? 早速依頼や仲間を探してくのかい?」
「あー、それなんですが、ちょっと疲れてしまいまして…。今日は宿に帰って休もうかと。」
ホントに色々ありすぎた。体力的には大丈夫なんだが、精神的にクタクタだ。
ゆっくり休みながら気持ちの整理をしたい。今後の方針も考えないと。
「そうかい、じゃぁ、まただな。明日は来るのかい?」
「そうですね、明日またお邪魔します。本当に今日は色々とありがとうございました。」
いいってことよ、と言うルイーダに一礼して洗礼室を辞した。
さて、ああ言ったものの、依頼ってのも少し気になるな。ちっと見ていくか。
何か小さくてもいい、情報があればいいんだけどなぁ。
店の壁一面が掲示板になっていて、そこに張り紙で依頼やら仲間募集やら雑多に張り出されている。
こりゃ、お目当てのものを見つけるだけで骨が折れるな。
その雑然とした情報と張り紙の多さに辟易する。
やっぱり明日ゆっくり見ることにして、今日は宿へ行って休もう。
ルイーダの酒場から出ると外は既に夕暮れ時だった。
通りにも先ほどより人があふれ、家路に就くもの、飲み食いに出かけるものなど様々なようだ。
この時間の空気感は現実世界と変わらないように感じられた。
さて宿屋はっと。
確か大通りを城に向かった方にあったはず。
大通りは結構な人で溢れかえっていた。
商店の呼び込み。主婦達の井戸端会議。子どもたちの追いかけっこ。
ホントにこういったところは変わらないんだな。不思議なもんだ。
そんな風景を見つつ宿屋を探す。
っと、あったあった。
分かりやすく[ INN ]と、でかでかと看板が出ている。
この世界の宿屋はチェーン店か何かなのかと思ったんだが、どうやらそうでもないらしい。
宿屋を示す記号としての「INN」なのであり、宿屋名としてはちゃんと別にあるようだ。
INNと掲げている店が数軒並んでいる。この辺は宿屋街のようだ。
その中でも派手でもなく、かといって寂れているようでもない、普通に小綺麗な宿に入った。
今俺がもっているゴールドでどのくらいの宿に泊まれるか分からないので、一番平均的な店を選んでみたのだ。
この袋に入っている量から、アリアハンでなら問題なく泊まれるとは思うんだけどな。
「いらっしゃいませ、お客様。お一人でのお泊まりでしょうか?」
カウンターには洒落た老紳士が立っていた。一見すると執事のような人だ。
「ええ。一人でお願いします。」
「お部屋のタイプは如何いたしましょうか?」
部屋のタイプ?
「はい。シングル、ダブル、ツイン、セミスウィート、スウィートとなっておりますが。」
なんと。そんな風になってるのか。
とはいえ、別にそんな豪華な部屋に泊まらなくてもいいので、ここはシンプルにシングルで。
「それでは2ゴールドでございます。」
2ゴールド。
この袋の中身はいったい何ゴールドなのか。
ひとまず入っていた金貨2枚をカウンターに置いてみた。
「………お客様、これはちょっと…。いさかかチップとしても頂き過ぎかと思うのですが…。
それとも長期滞在をご希望でございましょうか?」
「え?」
いわれてカウンターに置いた金貨を見てみた。
今初めて気づいたことなのだが、金貨の真ん中には数字が振ってあった。
カウンターに置いた金貨は、
10G×1
1000G×1
の計1010G。
あー、こりゃ流石に店も引くな。1年以上泊まれる金額出されたとあっちゃ。
「す、すいませんすいませんっ」
主人は、いえいえと気さくな笑みを浮かべていた。
ちゃんと確認しないからだな。これからは気をつけねば。
って冷静に考えれば15000Gの武器買うのに15000枚の金貨なんてあり得ないよな。
どうやって持つんだっつの。しかも数える方もキツイって話だな。
宿代はチップ込みで10G手渡しておいた。釣りはいらねぇぜ。なんつって。
あー、しかしビックリした。なんだこの手持ちの金額は。後で部屋に行ったらキッチリ確認しておこう。
そして通された部屋は簡素ではあるが、掃除の行き届いたキレイな部屋だった。
ベッドもふかふかだ。ただ、水回りなんかは無い。風呂なんかも大浴場へ入りに行くようになっている。
トイレも共同だった。ちと不便だが、まぁ、それほど気にすることもないだろう。
そして鎧などの装備品を外そうと思ったんだが、この世界では装備品を収納しておく棚なんかが標準なのか?
装備一式納められる開き戸があった。そこへ鎧やら兜やらを外していって、気づいたのだが普通に外し方が分かるのだ。
鎧なんて着たこともないのに、脱ぎ方が分かる。なんかこう気持ち悪いな。原因が分からないってのは。
トリップだからって気持ちの整理がつかない。
そしてまた新たな事実発見。
俺の左手に星降る腕輪が付いていた。おいおい、ホントになんだコレ。
強くてニューゲームか?
まぁ、今はひとまず置いておいておこう。星降る腕輪も外して、今度こそベッドにダイブ!
あー、いいね。このふかふか感。身体の疲れが外に染み出していく感じ。
そんな感じで小一時間ほど何も考えず横になってました。