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No.4530の一覧
[0] 俺の道(現実→DQ3トリップ)[緑茶爺](2008/10/21 17:53)
[1] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第一話[緑茶爺](2008/10/21 11:49)
[2] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第二話[緑茶爺](2008/10/22 09:25)
[3] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第三話[緑茶爺](2008/10/22 09:28)
[4] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第四話[緑茶爺](2008/10/22 14:44)
[5] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第五話[緑茶爺](2008/10/22 19:06)
[6] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第六話[緑茶爺](2008/10/23 13:25)
[7] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第七話[緑茶爺](2008/10/24 18:39)
[8] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第八話[緑茶爺](2008/11/06 12:12)
[9] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第九話[緑茶爺](2008/11/29 15:58)
[10] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第九話 番外編[緑茶爺](2008/11/29 15:59)
[11] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第十話[緑茶爺](2009/07/04 20:49)
[12] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第十一話[緑茶爺](2009/12/15 18:06)
[13] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第八話終了時ステータス[緑茶爺](2008/11/06 12:11)
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[4530] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第四話
Name: 緑茶爺◆9b0f1c9a ID:8b4f46b1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/10/22 14:44

「おはよー、ちゃんと休めたか?」



待ち合わせ場所の、ホテルのロビーで待っていた俺は、駆け足でこちらに向かってきた二人に声をかける。


「はい、バッチリです!」


ビシッとブイサインなんかしながら、元気一杯にニルが応える。
おぉ、馬子にも衣装ってか。一端の魔法使いに見えるぜ。ただ装備的には、見習いだけあってお世辞にもいいとは言えない。

その後ろでハイネもまた笑顔を浮かべている。
ハイネもまた、しっかりとした僧侶然としていた。しかし、やはりこちらも装備が心許ない。

こりゃちっと装備を整えてやらにゃいかんか。


「おし、んじゃこれから出発する。
 が、ちと君たちの装備が心許ない気がするので、装備を調えにいこう。」


え?と同じ反応をする二人。と表情が曇る。


「でも、私たち手持ちがあんまりなくて…。」

「…そうなんです。新調しようにも宿泊費などで使ってしまっていて…。」


二人とも俯きながら、声のトーンが落ちる。
そう言えば、依頼もあんまりこなせてなかったんだっけか。
それじゃ、蓄えもそんなに無いんだろう。


「あー、そのことだけど気にするな。俺が買ってやるから。」

「えっと?」


ハテナが浮かぶ表情のまま、ニルが聞き返す。


「袖振り合うも多生の縁ってな。さ、行くぞ。」


そう言って宿を出ようとする俺にハイネが、


「いえ!そこまでしていただくわけにはっ」

「いいんだよ、俺が買ってやりたいから買うの。それにこれは、これからの君たちの安全にも繋がるわけだ。
 冒険で安全ってのもおかしなモンだが、君たちの損傷に繋がる因子を取り除けるなら、安いモンだ。
 装備品をケチって、怪我したんじゃ意味無いからな。」


そういって宿を出る。

さてっと武器防具屋はっと。確かあっちだったかな?


「おーい、二人とも俺はまだこの町に不慣れなんだ。案内頼むぞ?」


そう言って声をかけられた二人は、まだ納得してないのか、困惑気味だ。
気にしなくてもいいんだがなぁ。若いウチは年長者に甘えとけってのに。


「んー、まだ気にしてるんなら、出世払いってのはどうだ?
 君たちが稼げるようになった時に返してくれればいい。それまでの貸しってことでな。それでどうだ?」


しばらく二人は顔を見合わせた後、「それなら…」と、やっと二人は納得してくれたようだ。


「よし、じゃぁ案内してくれ。」



そして二人は、新調した装備として

→ニル
 E.ひのきのぼう
 E.旅人の服

→ハイネ
 E.銅の剣
 E.革の鎧
 E.革の盾

という装備になった。

二人とも、見習いだったせいもあって、貧弱だった装備が少しはましになったかな?
ハイネはまぁ現段階いいとして、問題はニルだな。
魔法使いだから装備できるのが少ないのはしょうがないんだが、ちと辛い。
まぁ、二人とも後衛だから、ひとまずよしとするか。


「いいなー、ハイネは色々装備できて…。」


ニルが恨めしそうに文句を言う。


「しょうがないじゃない。職業的にどうしようもないでしょう?」


確かに。そこに文句を言われてもどうしようもない。


「腐るな腐るな。君たちには、危害が及ばないように俺が気をつけるから。」


ニルの頭をぽんぽんと軽く叩きながら言う。



そして次は道具屋。

ここでは薬草×5、毒消し草×5、キメラの翼×2、お鍋の蓋×1を購入。

早速お鍋の蓋を装備したニルだったが、


「…こんなのやだよぅ…。」


そりゃごもっとで。でもしょうがないだろう。
見た目は悪いが、何にもないより随分マシだぞ?

後は野宿に必要な食料品やら水、そして雑貨類を購入。
1泊だけの予定だから、荷物的には大したことはない。





そんなこんなで街の出口。


「さて、昨日言ったとおり、俺が前衛、君たちは後衛。基本的に補助だ。」


昨晩の打ち合わせで確認したのだが、基本的に彼女らは見習いっていうか、新米の魔法使いと僧侶だ。
なので、経験が不足している。ということは戦力的にも期待はかけられないと言うことだ。

みんな初心者パーティーであれば、そんな事はいってられないが、事今回は俺みたいな特異な存在がいるからな。
ひとまず、俺が二人を引っ張り上げていかないと。

…あー、なんで俺はこんなにまとめ役みたいになってるんだ?
俺だって、昨日が初戦闘だったのになぁ。





「じゃぁ、出発しますか。」

「「はい!」」


二人とも元気がいいな。あんまり最初から張り切りすぎてると、すぐにバテるぞ?



そして、のんびりと歩きながら、とりあえず昨日俺が倒れていた森へ向かう。
あそこなら若干地理がわかるしな。
ついでに何か見つかればいいかな、と淡い期待も抱いている。


「イルハさん。」

「んー?」


ニルが先行して歩く俺に声をかける。


「イルハさんって、どこでそんなレベルになるまで修業していたんですか?
 イルハさんのレベルって多分、今旅をなさっている勇者様達より高いと思うんですが…。」



…痛いところと突いてくるな、キミは…。

どうするか、ってホントのことは言えないわな。信じられないだろうし、説明もしづらい。
かといって下手に嘘をつくのも、ボロが出そうだからな。
でも、この世界的に考えれば、結構でっち上げの村の名前でも分からないのかも。
連絡を取るといっても、ルーラやキメラの翼くらいだもんな。行ったこと無ければ行けない訳だし。

うーん、適当に誤魔化しておくか。
ばれたらばれたで白状するなりすればいいしな。信じてくれるかどうかは別として。


「レベル的にはどうなんだろうな。会ってみないとそれは分からないな。
 どこで修業してたかっていうと、故郷を出てからずっとだな。
 旅をしながら、経験を積んできたんでな。一箇所にとどまってたこともない。」


すらすらと嘘を並べる俺。ごめんよ二人とも。


「「へぇー…。」」


あぁ、二人の素直な視線が痛いっ。


「それにしてもレベル高いですよね。そんなレベルの人、世界にn「来たぞ?」


ニルが喋っていると、少し離れた所の草むらが不自然に揺れる。


そしてそこから現れたのは、おおがらす×2、いっかくうさぎ×2。

もしこの二人だけなら、ちと荷が重かったな。


ちらりと後ろを見ると、二人とも身構えているが、表情が硬い。緊張しているのがありありと分かる。
それじゃぁ、身体が硬くなって動けないぞ。


「…二人とも、そんなに緊張するな。大丈夫、落ちついて敵を見るんだ。初めての戦闘って訳じゃないんだろ?」

「それはそうなんですけど…。」


ニルが心配そうに言う。


「…大丈夫、俺が切り込むから、ニルは魔法の用意。俺がおおがらすに切り込むから、いっかくうさぎに向けて放ってくれ。どっちのヤツでもいい。
 ハイネはニルの援護。もし魔法を放った隙に襲ってくるやつがいたらそれの対処。いいか?」


コクリと頷く二人。
よし。良いコだ。


「じゃぁ、三人での初戦闘だ。張り切っていくぞ?」



そして俺は鞘から雷神の剣を抜く。

バチバチと紫電を走らせる剣。ホントこの武器って構えるだけで、敵を威嚇できるな。

そして後ろから聞こえる、感嘆の声。…こらこら、二人とも戦闘に集中しなさい



さてまずは、おおがらすっ

本気ダッシュから右のおおがらすに斬りかかる。
横薙ぎに一閃。返す刀でもう一匹のおおがらすも切り伏せる。

さて残りはいっかくうさぎだ。

ニルの魔法は? まだ来ない?

なぜ? と確認すると、ニルが固まっている。何してるんだ。魔法っていっただろうに。

しゃーない、ってんで、いっかくうさぎにも斬りかかる。

まずは一匹目のやつの眉間を一突き。そして隣のやつには横蹴りを一発。吹っ飛んだところを追い打ちっと思ったら、何とその蹴りでケリがついてしまった。………洒落に非ず。



なんだ、拍子抜けだな。ってそりゃそうか。レベルがレベルだったな。
昨日の戦闘では、自分の能力が分かってなかったから余裕が無かったが、今回は比較的広い視野で戦闘ができたな。
収穫収穫。

と、そう言えば二人は?


「…どうした? 戦闘は終わったぞ?」


剣を鞘に納めつつ、まだ身構えたままの二人へ声をかける。


「「……………。」」


まだ、固まってる二人。


「おいおい、早く宝石を回収するぞ。ボーッとしてるなよ、また魔物が襲ってくるかもしれんぞ。」


それでやっと二人は再起動して、落ちていた宝石を拾いに走る。

拾ってきた宝石を俺に手渡しながら、ニルが、


「イルハさんって凄いんですね!今の戦闘を見て改めてそう思いました!」


そうか?


「えぇ、正に目にもとまらぬ早業というのは、こういう事なのだと思いました。」


ハイネにも誉められた。

まぁ、二回目の戦闘だったし、自分の能力がどの程度か少し分かったから、やりやすかったってのもあるな。
それに、ここいらの敵なら問題ないってのも知識として持ってるわけだし。

でも全力で動いてみて、自分がどの程度動けるのか少し分かったかな?
ここでの戦闘はやはり本物だ。コマンドを選択して、自分のターンがあって敵のターンがあってって訳じゃなく、機先を制した者がやはり有利なんだ。
先ほどの戦闘でも敵の攻撃は一回も無し。それに対して俺の攻撃は4回。
先手を打てる力があれば、敵の攻撃を受ける、というか、敵が攻撃する前に撃破することも可能だ。

うん、これからの戦闘も出来うる限り、速攻で潰そう。
そうすれば二人の負担も減るし、二人は労せずレベルアップもする。
まぁ、あまり経験が積めないかもしれないが。 
でも最初のウチは二人に戦闘はさせなくてもいいだろう。

ゲームではダメージを受けても、回復すりゃいいやってな感じだったが、ここではホントの損傷として受けるのだ。ホントの痛みなんだ。
そりゃ、回復呪文や、回復アイテムなどもある。が、実際に目の前で怪我をされるのはご免被る。
どの程度綺麗に直るのかもわからないし。試したくもないしな。女の子の肌に傷でも残ったら一大事だ。


「しばらくの間、出来る限り俺が敵さんの相手をする。君たちはまず戦闘の空気に慣れるんだ。
 俺がどう動くのか、敵がどう動いてくるのか。それをよく観察してくれ。
 それと、いくら俺のレベルが高いと言っても俺も人間だ、ミスもある。それをフォローしてくれると助かる。」

「「ハイ!」」


うん、ホントに素直な良いコ達だ。こんなコ達が戦闘するなんてなぁ。





「…不躾だが、君たちの冒険者になる目的ってな、なんだ? 聞いても大丈夫なら教えてもらってもいいかな?」


歩きながら尋ねると、一瞬二人の表情が曇る。んーと、こりゃ聞かない方が良かったかな…?


「いや、言いづらいのなら言わなくていいんだ。気にしなくていい。」


と、俺はこの話を切り上げようとしたんだが、


「…いえ、そんな大した理由ではないんです。」


そう言って二人は語り出した。



この二人はアリアハンから離れた村で過ごしていた幼なじみなんだと。
で、小さい頃から遊ぶのも、学校に行くのも一緒だったんだそうだ。

ある時二人、村はずれで遊んでいたときに魔物に、スライムに襲われたんだそうだ。
二人はその時に、初めて間近で魔物を見たんだそうだ。で、二人とも怖くて動けなくなってしまった。
スライムとはいえ立派な魔物だ。身体は柔らかいが、あの身体で体当たりされたら子どもなんて簡単に吹っ飛ばされる。
もうダメだ、と二人で抱き合いながら目を瞑ったんだが、攻撃は一向に来ない。
どうしたのかと、目を開けてみるとそこには冒険者の姿が。
彼がスライムを倒してくれたんだそうだ。

で、その時の感謝の念から、自分たちも冒険者になって、魔物に虐げられる人たちの手助けになりたい、と。
それから、二人は冒険者になるために、勉強をし、彼女たちなりに鍛えていたんだそうだ。

そして学校を卒業し、彼女らの両親を説得して、冒険者になるべくアリアハンへ上京。

ギルドに登録して、いざ冒険者にと思ったんだが、初心者の女の子二人だ。
殆ど誰もパーティーを組んでくれなかったようだ。
組んでくれても、おっさん連中のイヤらしい眼に晒されたり、女だてらとバカにしたような態度を取られて、報酬も約束の額より少ないなんてこともあったと。



………ひどい話だ。
どこの世界も変わらんなぁ。



でも、二人支え合って何とか一人前になろうと頑張っていたそうだ。なんて健気な話だ。
そんな健気な二人をルイーダが放っておく訳なく、何かと助言していたんだそうだ。

そして昨日、変わったやつが来たってことで俺についていけと。
どうしてそうなるんだ。


「ルイーダさんが、あの人は悪いやつじゃないって。あの人は信用出来る、心配するな、あたしが保証するって…。」


なんだそりゃ。無茶苦茶な理由じゃないか。

…しかし、まぁ、そこまで期待されてるなら、こりゃいよいよ頑張らないとな。
こんなコ達の期待を裏切るわけにゃいかんよ。
俺も初心者なんて泣き言、言ってられないな。


「了解。そこまで言われちゃな。俺も出来る限り手助けするよ。よろしくな」


そう言って二人の頭をぽんぽんと軽く叩く。


「「はい、よろしくお願いしますっ」」


そう言って二人は深々とお辞儀をした。
うん、素直で良いコたちだ。

しかし、ルイーダからこの二人を紹介した、ちゃんとした理由を聞きたいもんだ。
会って直ぐの人間に、こんな良いコ達を任せるってどういった考えがあったのか。
昨日は勢いで受けてしまったが、今度行ったら尋ねてみよう。





それからは、森に着くまで何度か戦闘があった。

その中で俺はニルのメラを初めて見た。正直感動した。
ニルの指先にサッカーボール程度の火球が渦巻き、それが敵に向かって飛んでいく。
そして、それがおおがらすに当たり、炎を伴いながら吹っ飛ばした。
それが致命傷になったのか、おおがらすが宝石になる。

なんだよ、ニルってスゲエじゃん。
っていうか魔法って、こんな小さな女の子でも十分戦える力を与えてくれるんだな。
こりゃ強力だわ。初歩のメラでコレだもんな。
これからの成長が楽しみだ。



「さて、今回はこの森の中で一昼夜戦ってみよう。大丈夫、出てくるモンスターは大したことないから。
 さっきまでのやつと同じだよ。」


森に入る手前で、ニルとハイネに向かいながら話をする。


「今回の目的は二つ。一つは昼間の移動しながらの魔物狩り。レベルアップ+資金調達の為だな。
 そしてもう一つは野営、野宿だな。交替で番をしながら、夜を明かす。
 まぁ、今回は一日だけだから、夜の番は俺がやるつもりだ。そんなに気にしなくてもいい。
 野宿とはこんなもんだと肌で感じてくれればいい。」


こくりと頷く二人。素直だなぁもう。

と言いつつも、実は俺もちっと緊張してたりする。
キャンプはよく行っていたし、事情があって森で夜を明かした経験もあるから、さほど、と言うわけでもないが。
まぁ、とはいえ命の危機まで感じたことはなかったけども。

今の能力を考えると俺は少し余裕があるから、俺がしっかりした所を見せていないと、二人が心配するだろうからな。
完徹には慣れてるから大丈夫だろう。





そして森に分け入ること、数時間。


何度か魔物と遭遇し、戦闘を繰り返す度、ハイネが意外と実戦向きな事が分かってきた。

まぁ、僧侶であるから武器での戦闘もそつなくこなすであろうとは思っていたが、俺が思っていた以上にセンスがあるようだ。


「ハイネ、キミは誰かに師事して、剣技の指導でも受けたことあるのかな?」


ハイネは剣技の筋がいい。ホントに見習いなのか?と思うような動きをする。

先ほどの戦闘でも、多数の敵相手にも視野の広い戦闘を見せてくれた。

ニルが魔法を放つ時は、いつでもニルの傍によれる距離に、敵が近づいたときには無理に突っ込まず、俺の対応を見てからアクションを起こす。

俺が言いたいことを、俺が言う前にやる。これは凄い事だと思う。初心者ではなかなか出来ない動きだ。


「いえ、学校で習った程度で、特に…。
 ただ、強いて言えばイルハさんの動き、ですかね。」


俺の?


「ええ、イルハさんの動きをよく見ていると、本当にムダがない。一連の動作に流れというか、淀みがないんです。
 で、その動きを真似、ってそんな簡単に真似出来るわけはないんですけど、手本にしてるというか…。」


そうなのか。


「ええ、そうなんです。」


そう言いながら微笑むハイネ。それで動きがよくなるなんて、お前は写輪眼使いか。

出来の良い生徒を持つと楽ではあるが、気が抜けないなって、まぁ抜くつもりは無いんだけどね。
この動きってのも、本来の自分ではないというか、何というか…。
自然に動いちゃうんだよな。頭より先に身体が動くっていうか。



そうして何度か戦闘を繰り返す内に、元々暗かった森がより一層暗くなってきた。
こりゃ、ぼちぼち野宿の準備かな。



「よし、今日の所はそろそろ野営の準備に取りかかろう。」



休むにはちょうど良さそうな大木があったため、今日はそこを塒にすることにした。
近くに綺麗な小川も有ったことだしな。

お、魚や虫も居る。水質は大丈夫そうだな。

まずは周囲から薪を集め、火を起こす。
明るくなる事で少し気分が和らぐ。なんでなんだろうな、この感じ。
やっぱ、基本的に人間は闇を恐れるからか。

周囲に落ちている石などで簡易的に釜戸を作る。
そして、腰袋の中から小さめの鍋を取り出し、その中に買ってきた干し肉と調味料、野草を入れる。

野草はニル達に食べれるのを教えてもらった。学校でこういうことも習うんだと。
えー知らないんですかーなんて言われてしまったが、しょうがない。
現実世界でもキャンプなんかは好きだったが、流石にそこらに生えてるやつは中々喰う気になれない。
知識がないってのもあったが。
やっぱ、世界が違うなぁ。サバイバルな野外授業なんて受けてみたい。

そして近くの小川から汲んできた水を入れ、一煮立ちさせる。うん、なかなか良い匂いだ。
そして十分火が通ったことを確認すると、それぞれに持たせておいた皿に入れ分ける。

そして保存が利くように乾いたパンを、それに浸して食べる。

おお、存外に旨いじゃないか。勘頼りに作ったわりに上出来だ。
二人も美味しいといってよく食べている。おかわりも少しならあるからな。



そして食事の後片付けをして、とりあえずの寝床の準備。



各員が小さくまとめた寝具を携帯している。
シュラフのようなものでもあるが、こんな中に入っているときに魔物にでも襲われたら一溜まりもない。
幸い陽気的にも日が暮れたとはいえ、それほど寒いわけでもない。
これを掛けて寝ることにする。



そこで重大問題が。


トイレだ。


って俺が焦ってたんだが、娘っコ二人はあっけらかんとしたもんで、
覗いちゃダメですよ、何つって用を足しに行ってしまった。

そうか、俺の感覚では重大事だったんだが、こんな事に慣れているこの世界の人たちからしたら、さしたる問題でもないのか。
確かに、そこらに公園があってトイレがあって、なんてことはこっちの世界じゃあまりないもんな。

いやはや、逞しいもんだ。俺も見習わないと。



寝床の準備も整ったということで、


「さて、今日の成果を確認するとしよう。」


そういって全員のギルドカードを見せ合う。

俺は特に変化なし。ま、しかたないだろう。この辺りで稼げる経験値なんて、今の俺にすると微々たるもんだし。

で、二人はっと。

おお。ニル凄いじゃないか。レベルが4になっていた。
誉めてやると、えへへーとニルは嬉しそうだ。

ハイネはっと、おおハイネも凄いじゃないか。同じくレベル4だ。
はい、ありがとうございます、と微笑んでいる。

ということは、使える呪文も増えたのか?
二人は、はいっと嬉しそうにギルドガードの裏側を俺に見せてくれた。

そこには呪文の名前が刻まれていた。

ニルのカードには、
メラ・スカラ・ヒャド

ハイネのカードには
ホイミ、ニフラム・ピオリム

と刻まれていた。

二人とも順調な成長をしている。
戦闘は俺が殆どこなしているが、ちゃんと経験値としては割り振られているようだ。


それにしても裏? ギルドカードの裏なんて何か書いてあったの?


俺も自分のギルドカードの裏を確認してみる。

そこには、


「すっ、凄い…!」

「こんなに沢山…!」


…何というか、小さい文字でびっしりと書いてあった。っていうかコレ、文字だったのか。てっきり模様か何かかと思ってたよ。

あー、なになに…。

確認してみるとそこには、魔法使いと僧侶、さらに商人や盗賊の特技などまであった。


…おいおい、どんな極めキャラだよ…。



「…イルハさんってホントに何者…?」



二人から訝しんだ視線を送られた。

俺だって自分が正直よくわかんねーよ。

しかし、よく見ると呪文には幾つか足らないものある。
レベルが上がれば覚えるのか?それらも。


「いや、俺も正直驚いてるんだ。呪文なんて今まで使ったこともないしな。」


そう言ったら二人から驚かれた。当たり前だが。


「…剣一筋できたんですか…? そのレベルまで…?」

「凄いというか、呆れるというか何というか…。」


何だか生暖かい視線を送られた。なんだよ、こら。仕方ないだろ。込み入った事情があるんだってば。

しかし、二人の中の俺の位置付けが、若干変わった気がするがまぁいいだろう。



二人からは呪文を見てみたいと言われたが、取りあえず却下。
こんな所で高位呪文を使って、どんな影響が出るのか分からないからな。
しかも、今は夜だから余計にダメだろうが。そんなことしたら魔物が寄ってくるぞ。
いや、反対に寄ってこなくなるか?恐れをなして。
ま、明日また開けた所ででも試してみるさ。



さて、夜番は俺がしているから、君たちはもう寝なさい。
寝て身体を休めることも、立派な冒険者の仕事の一つだ。

とはいえ、中々寝れるもんでもないんだがな、なんて言ってたら速攻寝息が聞こえてきた。



おいおい、そりゃ疲れてはいたんだろうが…。逞しいなー。



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