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椎名高志SS投稿掲示板


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No.2440の一覧
[0] ああっ女神さんっ その1[かいず](2007/12/24 16:51)
[1] ああっ女神さんっ その2[かいず](2007/12/24 16:54)
[2] ああっ女神さんっ その3[かいず](2007/12/24 16:55)
[3] ああっ女神さんっ その4[かいず](2007/12/24 16:57)
[4] ああっ女神さんっ 「女神のブートキャンプ」その1[かいず](2007/12/26 01:58)
[5] ああっ女神さんっ 「女神のブートキャンプ」その2[かいず](2007/12/26 02:00)
[6] ああっ女神さんっ 「女神のブートキャンプ」その3[かいず](2007/12/29 10:32)
[7] ああっ女神さんっ その8[かいず](2008/01/12 02:54)
[8] ああっ女神さんっ その9[かいず](2008/01/24 02:12)
[9] ああっ女神さんっ その10[かいず](2008/02/05 02:02)
[10] ああっ女神さんっ その11[かいず](2008/01/24 02:24)
[11] ああっ女神さんっ その12[かいず](2008/02/05 02:21)
[12] ああっ女神さんっ その13[かいず](2008/02/15 01:15)
[13] ああっ女神さんっ その13 修正・追加版[かいず](2008/03/17 02:37)
[14] ああっ女神さんっ その14[かいず](2008/03/25 02:00)
[15] ああっ女神さんっ その15[かいず](2008/03/27 01:52)
[16] ああっ女神さんっ その16[かいず](2008/03/31 02:49)
[17] ああっ女神さんっ その17[かいず](2008/04/06 02:58)
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[2440] ああっ女神さんっ その10
Name: かいず◆19b471f3 ID:79663dda 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/02/05 02:02
「おのれッ!!美神令子ならまだしも、なぜあいつにこうも・・・・」

月の魔力を地球に送る計画は、頓挫した。
せっかくあれだけの時間と技術、そして魔力を費やしたのに!
あたしは、今になってようやく奴が特別な存在だと認識した。
こいつこそ、私にとって最大の障害だったのだ!

「貴様だ・・・!!貴様を先に殺しておくべきだった!!」

あたしは後悔した。
全てが、全てが徒労に終わっちまう。
また、あたしはくだらない時を過ごしてしまったのか。
くそっ、嫌だ・・・。
嫌だ!

「せめて道連れに・・・・・!」

あたしは最後の力を振り絞って、横島に攻撃をした。
命中!
奴は重力に引かれて、仲間のロボットと共に落下していく。
殺ることは、できただろうか?
奴は何やら叫んでいるが、もう確認ができないくらい遠い。
多分横島のことだ、生き残るだろう。
悔しいが、そんな気がする。
あたしには、もうどうすることもできない。
そう考えたら、何もかもがどうでもよくなった。
あたしの身体も引力に引かれて、どんどん落ちていく・・・。

不思議と熱いという感覚は、なくなった。
先に神経が死んでしまったのだろうか?
今のあたしは髪や肌は焦げ付いて、さぞ汚いザマだろうよ。
ふと確認したくなって、高熱で開けていられなかった両目を何とか開けてみた。
瞬間、目をやられた。
少しだけ見えたが、私の腕は焼けた木炭のようになっていて、手もなかった。
そっか、もうそんな風になっているんだ。
また、目を開けて確認することはできなかった。

人間は死ぬ時に自分の一生を振り返り、走馬灯のように
記憶が巡るらしいが・・・。
あたしには、何も浮かばない。
結構、色々なことをやってきたと思うのだが。
それほど、つまらない日々だったのだろうか。
あたしはこの長い時間を、自分のやりたいようにやってきたつもりだったんだけどな。

本当にやりたかったことかといえば、そうじゃないかもしれない。
ぼんやりと考えているうちに、どんどん身体が小さくなっていく感じがする。
全身が砂のように崩れ、大気に溶けていくのだろう。
もはや、これまでか。
怖くはなかった。
ゆっくりと意識が遠のいていく。
それなのに頭の隅っこに浮かんでいたものだけが、どんどん主張をしはじめた。
げ、横島だ。
あいつ、あたしの死に際までちょっかいを出しにきたのか。
怒りをとおりこして、不思議と笑えてくる。

そうだね。
こんな寂しいところでひとりぼっちで逝ってしまうよりは、
敵とはいえ、知っている奴がいたほうが寂しくない。
ああ、そうか。
あたしはずっと寂しかった・・・。
そういえば、あいつらと、争っていた時は、変に、気持ちが高ぶって、いたね。
充実というやつが、あったの、かなあ。
こんなこと、考えているなんて。
最後の、最後まで。
あたしは。
馬鹿だ、ね。

あたしとあたしの意識は、
どんどん落ちていった。




えー、皆さんこんばんは。
妙神山の管理人をしております小竜姫です。
唐突なんですけれど、今から思えば私の長い生涯において大きな転機が2つあったと思うんです。
まず1つ目は美神さん達と出合ったこと。
そしてもう1つは、まさにこの瞬間でした。


「辞令、妙神山管理人・小竜姫。本日付をもって、管理人の職を解任します」

えーっ!!!!
私は、耳を疑った。
何で!何でなんですか!
私が解任!?
私、何か落ち度がありましたか?
そりゃ、私はアシュタロス戦では正直、活躍していなかったし・・・。
妙神山の建物も敵艦の攻撃にあって跡形もなく消えちゃったけれど・・・。
私だって精一杯戦ったんですっ!
信じてください!

ここは人事部の中にある部長室です。
人事部の雑然とした室内には、30人ほどの職員さんがいるでしょうか。
皆さん自分のデスクで忙しそうに書類のチェックをしたり、電話で連絡をしたりしています。
今朝方、「妙神山・総本山」の人事部から私に呼び出しがありました。
今の私は、人事部の奥にある部長室で部長さんと一対一で面談中。
目の前にはどっしりと大きい黒檀の机が置いてあり、机には部長の表札が掲げられています。
私はその前で直立不動でしたが、一気にパニックとなりました。
私は辞令を読み上げでいるその机の主、人事部の部長で上司でもある大竜姫様に詰め寄りました。
大竜姫様はヤレヤレといった顔で、私をジッと見ます。

「小竜姫、あなたね・・・。前も妙神山の建物を跡形もなく壊したでしょ?」

あ、それは・・・・。
私は言葉を失った。
確かに私は、美神さんの修行中の事故で竜に変化してしまったんです。
だって、あれは横島さんがセクハラをしたんですもの。
私の誰にも触らせたことのない、あんな敏感な部分をもてあそぶなんて・・・。
げ、逆鱗を触られるなんて・・・、死にたいくらい恥ずかしいです!
もう私、お嫁には行けません・・・。
横島さん、責任は取ってくれるのでしょうか・・・。


ええい、そうじゃなくてですね。
その時、竜に変化した私は大暴れして建物を跡形もなく壊してしまいました・・・。
真っ青になっている私を尻目に、大竜姫様は新たにメモを手にしました。
ため息を一つして言葉を続けます。

「それに、妙神山に蓄えてあった小判やその他の宝物も圧倒的に少なくなっているみたいだし・・・。あなたこれって業務上横領になりますよ?」

あっ、それは私が使ったんじゃありません!
人間界で暗躍したアシュタロス派に対抗すべく、美神さん達に協力要請をしたんです!
その時の必要経費なんですっ!
ほら、以前に妙神山から脱け出した王子の護衛とか色々とありましたし!

そう訴える私に、大竜姫様は身体を乗り出して顔をグイと近づける。
怖い!
メチャクチャ睨んでいる!

「ここに記録されている事件に対する必要経費にしては、額が大き過ぎます!!!」

大竜姫様は報告書と請求書、帳簿などをパラパラと見ながら大きなため息をつき、
私から離れて背を向けた。
私は力なくうなだれる。
だって美神さんが・・・。
美神さんが、がめついんですもの・・・。

「まぁ、いいでしょう。本来でしたらあなたは最低1千年間、妙神山名物・竜泣かしの井戸に閉じ込められて、暗くて狭くてかび臭~い青春を泣きながらエンジョイしてもらうはずでしたが・・・」

背を向けて話していた大竜姫様は、ついと振り返って「う○おととら」に出てくるような悪巧みの笑顔でニタリと笑いました。

ひっ、あの井戸に1千年も・・・。
やめてください!やめてください!
許して!許して!
あんな狭くて、生暖かくて、ヌメヌメしていて・・・。
ひゃぁあああ!
身体の震えがとまらない。
メソメソ泣き出す私を見て、大竜姫様はニッコリと微笑んだ。

「というのは可哀相なので、今回は大目に見てあげます。齊天大聖老師に感謝しなさい」

老師様がとりなして下さったんですね。
ありがとうございます!老師!
日頃「ゲームばっかりして!」と怒ってばかりの私でしたが、
これからは寛大な心でいましょう。
ゲームも1日2時間にしてあげましょう。
夕飯が食べれなくなるからと禁止していた、ゲームをしながらのポテトチップスも許しましょう。
私がホッとしたのも束の間、大竜姫様は言葉を続ける。

「あ、でも本日付をもって妙神山の管理人の職が解かれるのは決定事項だから。後任が決まるまでは、私が代理で管理人をしますのでヨロシクね」

「えー、そんなぁ!やっぱり私、クビですか!?」

全然大目に見てくれてないじゃないですか!
管理人じゃなくなったら、私、行くところがありません。
実家に帰るわけにも行かないし・・・。
これからどうしよう。
住む場所も収入もなくなってしまいます。
とうとう私もクリスマス・イブの雪降る夜に、凍えながらマッチを売ることになるのかしら・・・。


マッチ、マッチを買ってくださぁい・・・。
町を行く人達は、イブの夜をみんな楽しそうに過ごしています。
私も素敵な夜を過ごしたかったな・・・。
雪がしんしんと降ってきて、とても寒いです。
そうだ、このマッチで暖をとりましょう。
あ、マッチに火を灯すと暖かいコタツや、美味しそうなぜんざいが見えますよ。
いいなあ、いいなあ。
あ、横島さんや美神さん達が手を振ってくれている。
私もパーティに連れて行ってくれるんですか?
うれしいなあ、うれしいなあ。
ああ、だんだん暖かくなってきて、眠くなってきました・・・。




この時の私の意識ははるか彼方に飛んでしまい、「マッチ・・・、マッチ・・・」とぶつぶつと言っていたみたいです。
大竜姫様が「おーい、戻ってきてー」と呼び戻してくれました。

「話は最後まで聞きなさい、小竜姫。あなたには別のお仕事をしてもらいますから、安心しなさい」

「えっ!それじゃあ傘を作って町に売りに行けばいいんですか?傘なら売れなくても、お地蔵様にあげればいいですから安心ですよね?!恩返しもして頂けますし!」

「いや、昔話はもういいですから・・・。現実逃避はやめなさい、お願いだから。
えー、おほん。とりあえず今からここの地図に書いてある場所に行ってください。そこで、仕事の説明がありますのでよろしくね」

地図をもらってみると、これは・・・東京の地図です。繁華街の駅前が待ち合わせ場所でした。そこで上司になる方と合流して、面談の会場に移動するみたいです。

「今からですか?待ち合わせ場所も東京都内ですし、仕事の内容もそこで受ければいいんですか?何だか変な感じですねぇ」

今と引き続きで人間界が職場になるのはまあ分かるとして、事前に仕事内容の説明もないだなんて何だか変です。
私は首をかしげる。

「あら、変な仕事じゃないわよ。待ち合わせ場所も担当の方がそちらで重要な用事があって、その場所で面談する方が都合が良かっただけということよ」

大竜姫様は、ホホホと笑いながら説明をする。
何だか楽しそうですねえ。

「ちなみに新しい職場が嫌だったら即、井戸際社員になってもらいますからね。ああ、この場合は井戸中社員よね(笑)」

笑えませんから。
全然、笑えませんから。
泣けますから・・・。
私の退路は絶たれました。
泣きながら前進するしかないのだと思いました。
でも、管理人の仕事は長く続けてきた仕事だし、辞めてしまうのは残念だなあ。
新しい仕事の内容によっては、もう横島さん達にも会えなかったりするかもしれないなぁ。
せっかく、知り合いになれたのにね。

「分かりました。謹んで拝命いたします・・・」

私が管理人を辞めされられたことで落ち込んでいると、大竜姫様はすぐ側に来てくれて、優しく微笑んでくれました。

「管理人でなくなったことは残念だけれど、新たな仕事も重要な任務であると聞いています。誇りを持って望んでください。では頑張ってきなさいね、小竜姫・・・我が妹よ」

そして私をギュッと抱きしめてくれた。
私の全身がフワッ暖かくなる。
姉さんの良いにおいがする・・・。

「うん、姉さん・・・いえ、大竜姫様。私、新しい職場でも頑張ります!」




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