<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

椎名高志SS投稿掲示板


[広告]


No.39305の一覧
[0] 椎名高志先生作品短編集[凍幻](2014/01/23 18:40)
[1] 丁稚を待ちながら(GS美神)[凍幻](2014/01/21 21:52)
[2] 儀式(GS美神)[凍幻](2014/01/21 21:52)
[3] 年の初めに(GS美神)[凍幻](2014/01/21 21:53)
[4] 好物お肉の考察(絶チル)[凍幻](2014/01/21 21:53)
[5] 検査と日常(絶チル)[凍幻](2014/01/21 21:54)
[6] 真熱の夜(絶チル)[凍幻](2014/01/21 21:57)
[7] 帰ってきた、はぐれ悪魔(GS美神+悪が呼ぶ!)[凍幻](2014/01/21 21:58)
[8] はぐれ悪魔、再び(GS美神+悪が呼ぶ!)[凍幻](2014/01/21 21:59)
[9] はぐれ悪魔、再会する(GS美神+悪が呼ぶ!)[凍幻](2014/01/21 21:58)
[10] ホワイトの決意(GS美神)[凍幻](2014/01/21 21:59)
[11] 真夏の光(GS美神)[凍幻](2014/01/21 22:00)
[12] 核ミサイルの未来(絶チル)[凍幻](2014/01/21 22:01)
[14] 唐巣和弘雪山奮闘記(GS美神)[凍幻](2014/01/21 22:01)
[15] 真夏の妖精(GS美神)[凍幻](2014/01/21 22:02)
[16] たそがれて(GS美神)[凍幻](2014/01/21 22:02)
[17] 制服とネクタイ(絶チル)[凍幻](2014/01/21 22:03)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[39305] 帰ってきた、はぐれ悪魔(GS美神+悪が呼ぶ!)
Name: 凍幻◆786b687b ID:86a11131 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/01/21 21:58
「ふっ……ここか。今度のやつは」
 男は、サングラス越しに高校の校舎を見つめた。
 情報によれば、ここは妖怪の巣と化しているのだと言う。
 机妖怪や、ピアノ妖怪、そして、好都合なことには、魔力を持ったものさえ居るのだと言う。
 俺がしようとする仕事にとっては、実におあつらえ向きの場所だ。
 俺が何をしようとも、彼らの気に紛れて、やつらは何も感知できないだろうからな。
 まあ、まだ感知できるやつが居るとして、だ。
 だが、数が減ったとは言え、いつ何時、追っ手が掛かるか分かったものではない。
 しかし、それまでは、ここで仕事させてもらうさ。
 なにせ、人間界での仕事って、これしか分からないからなぁ。
 男は苦笑すると、黒スーツに身を包んでいる身を踊らせた。
 長く垂らした黒髪も、ぱっと跳ね上がり、その辺一帯が黒一色に染まる。
 まず行くのは、職員……いや、校長室か。
 仕事は、それからだな。
 そして彼は、堂々と校門から進入していった。

 校長室で彼は、一人の男と向き合った。
「歴戦の人物が、まさかこんな若い男性だとは思わなかったな」
「既に、十年以上になるかな。俺はプロだから、歳は関係ないだろ?」
「経歴は読んだよ……見事なものだ。これなら妖怪が巣くう我が高校も、少しは綺麗になるだろう」
「では、雇ってくれるのか?」
「もちろんだよ。ここは、君のようなプロフェッショナルを待っていたんだ」
 男たちは、にやりと笑いあうと、契約書を整えた。
「明日には……いや、これから取りかかろうか?」
 サングラスの奥から鋭い眼光を飛ばす男に、もう一人の男は、少し考えてから答えた。
「少し待ってくれ。仕事をスムースにするため、明日、ちょっとしたことをしてからだな。それから頼む」
「分かった」
 男たちは納得して、別れた。


 そして翌日。
 男は、昨日の格好のまま、体育館の壇上に立たせられていた。
 横島は、生徒たちと一緒に立ちながら、黙って男を見ていた。
「あいつ……俺と同じ? いや、まるっきり正反対……? しかし、妙に気になるのは何故だ?」
 男からは、魔界出身の匂いがする。横島には、彼は悪魔族なのだろうと思われた。
 しかし、何故か魔力が感じられないのだ。
 人間なのに、ルシオラの因子で魔力を感じさせてしまう横島とは、反転した存在のようである。
 どんなやつなんだ? そして、どんな理由で、この高校に?
 戸惑う横島らの前で、男は、堂々と挨拶した。
「こんど採用された、伊藤妖火堂です。よろしくお願いします」
 ざわめく生徒を前に、校長が補足する。
「伊藤さんは、今度、我が校の用務員として採用されました。掃除のプロだから、みんなも教えを請うようにな。とくに横島は!」
 最後の一言で、どっと笑い声があがる。
 横島が掃除をさぼっていることを、校長までもが知っているのだ。他の生徒も、噂くらい聞いている。
 そして、受けたと思った校長は、更に続きを言った。
「そうそう、伊藤さんのことを、ダイ○ーさんとか、西○さんなどと言っちゃいかんからな」
 それを聞いて、体育館の中は、ますます笑い声で包まれた。
 やはり、言う機会を確保して良かった……
 校長は、心の中でガッツポーズをすると、大歓声に、満足げに頷くのであった。
 一方、伊藤は、サングラスの奥で、恥ずかしさで顔を赤くしながら、拷問に耐えていた。
 何でギャグになってしまうんだ……?
 俺はもう、ギャグとは縁を切ったはずなのに……
 最初の際の経験から、身を隠す場所として高校を選んでいた伊藤は、この高校の存在を知って喜んだ。
 こんなにも力のたまり場になっているここなら、俺なんか些細なものだからと。
 かつて『魔王後継者』の一人とされ、しかし逃げ出した、はぐれ悪魔――伊藤妖火堂(いとうようかどう)。
 魔界から追われる日々だった彼は、ここなら追っ手も掛かりにくいだろうと考え、ここに来た。
 しかし、彼は知らない。
 横島のギャグワールドがここを包み、今までのハードボイルド路線が、ものの見事に壊されていくのを。
 そして、元ネタがギャグ出身者の常として、自分が以前の笑われる存在に変わろうとしているのを。
 今までの比でない苦難は、いま、まさに始まったばかりなのだ。
 負けるな伊藤。頑張れ伊藤。いつかきっと、シリアスに戻れる日まで……ありえないけど。


 ―続く―


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.022601127624512