月詠邸~ 「アラアラ、美味しいじゃない。白銀、アンタ結構贅沢してるわね~。」月詠邸で一緒に晩御飯を頂く香月博士。やちるの手料理が気に入り、パクパクと食が進む。 一緒に同行してた椿や沙耶も、幸せそうな表情で食事をする。「ご馳走さま~。本当に美味しかったわ~♪」「ありがとうございます。」香月博士に絶賛されて、喜ぶやちる。その姿を見て、嬉しそうな表情になる真耶。 「先生、そろそろ『大事な話』しませんか?」「別に良いけど、ちょっと待ちなさい、白銀。今此処に『二人程お客』が来るから、その時に話すわ。」「わかりました。」『大事な話』という言葉に反応する真耶・椿・沙耶の三人。すると、良いタイミングで、玄関から声が聞こえる。 「ハイハイ、ちょっとお待ち下さい。」パタパタと玄関に走って行くやちる。『来たか』と呟く香月博士を見て、『お客』が来た事を悟る。 「真耶様・香月様、お客様が来ました。」「やちる、済まないが客を上げてくれ。」「お願いするわ。」「畏まりました。」再びお客の下にパタパタと走るやちるそして、やちるの案内と共に『お客二人』がやって来る。 「夕…香月博士…随分と探したんですけど…?」「ゴメンね~、まりも♪あと、おかえり『伊隅』無事帰って来て何よりだわ。」月詠邸にやって来た『お客二人』---それは、神宮司軍曹と『伊隅みちる大尉』だった。 「帰って来た途端『京都の帝都城に来い』と命じられ、来てみれば…博士を探してる軍曹に出会い、しばらく探しましたよ…?」「殿下との大事なお話をしてる間に、人に用事押し付けて、終わらせて戻ってみれば…いつの間にか居なくなってるし…。ハンガーに居るとエルヴィン殿から聞いて来てみれば、今度は整備長から『伊隅大尉と一緒に、月詠邸に来て頂戴』だもの…博士の『護衛』として来てる私の立場も考えて行動してくれませんか?」ガミガミと香月博士に説教をするまりもしかし、当の香月博士は反省の様子は無かった。 そして、同時にみちるが登場した事で、タケルは『光州作戦』が終了した事を理解する。「それで伊隅、作戦はどうだった?」「ハッ、今回の『光州作戦』は成功致しました。かなりの犠牲者は出ましたが、それでも退却戦としては、大成功民間人の撤退は無事終わり、任務も成功しました」「そう、それは良かったわ。そういえば、今回の光州作戦で『彩峰中将』などの高官達は無事なのかしら?」「ハッ、その事に関しても、無事生還致しました。…ただ、彩峰中将に関しては、危うかった所でした」「というと?」「彩峰中将の率いる部隊が突如、避難を拒む民間人を救出する為に、本来の持ち場から離れてしまい、危うく国連軍司令部が陥落する危険性がありました。しかし、前もって待機してたオーディン隊が代わりに入り、我々が到着するまで持ちこたえました。」「彩峰中将の事は殿下から聴いたわ。今回の事で、彩峰中将は厳重な処分を受け、准将に降格される事になったらしいわ降格程度に収まった理由として、避難を拒んだ民間人を救出し、尚且つ多くの大東亜連合軍の将兵達を救った事により、降格に止まったらしいわ」みちるや香月博士の会話を聴いて、『光州作戦の歴史』を変える事に成功した事を知るタケル達タケルの心の中で、ホッと安心する。 「…あと、今回の作戦で、オーディン隊と我々の部隊にも被害が出て、四名もの隊員が病院送りになりました…。死亡者が出なかった事自体は喜ばしい結果でしたが…少なくとも、二人は隊復帰は無理でしょう…。」「…そう、死ななかっただけでも、まだマシよ。」少し暗い表情になる香月博士だが、直ぐに表情を戻し、笑顔な表情でみちるの無事の生還を喜ぶ。 「とりあえず、アンタの無事な生還を知って安心したわ。アンタにはまだまだ働いて貰わないといけないからね。」「博士の下に着いた時から、こき使われる事は覚悟してますよ。」冗談交えながら、笑う二人そして、次の話に進みだす 「伊隅に紹介するわ。其処に居るヤツ、斯衛軍の白銀武中尉なんだけど、私達の『計画』の重要人物の1人だから、今後アンタとも付き合いがあるから、覚えておきなさい」「ハッ、私は国連軍所属の伊隅みちる大尉だ。」「白銀武中尉です。お互いに先生に苦労する者同士なので、宜しくお願いします。」「ふっ、そうだな。お互いに頑張ろう」お互いに自己紹介する二人香月博士の『犠牲者』として、ガッチリと握手し、仲間意識を高める。 「ちなみに、白銀に固っ苦しい事はしなくてもいいわ私がそういうのキライなの知ってるから、馴れ馴れしく接して来るから、伊隅も部隊内の奴等と同じように接すれば良いわ」「は、はぁ…了解しました。」少し呆然とするみちる。良く見ると、タケルと香月博士の接し方を見て『なる程』と理解する。「ぐは~…今日は疲れた…。」自分の部屋の真ん中で、ごろんと寝転がり、大の字になる。みちると『再会』し、感涙しそうになるタケルだったが、涙をこらえて平然と装っていた。その後、タケルはみちるに『温泉作戦』を教えると、滝のように感涙したみちるは、タケルに人生最大の感謝をした後、香月博士の下に行き、休暇を数日貰うその後直ぐに電話を借りて、想い人・前島正樹に連絡を取り、秘密のデートを約束する。 その際、『みんなには内緒よ。もし…バレたら…わかってるわね…?』とか『必ず休みを取りなさいよ、取らなかったら…フフッ』とか、なにやら死亡フラグが満載な会話が聞こえるが、気にしてはいけないと、自分に言い聞かせるタケル。 そして、遂に香月博士や沙耶に『真耶と一緒に寝てる』事がバレてしまい、血の涙を流しながら悔やむ沙耶と、『やるわねぇ~♪鑑達が知ったら、どう反応するかしら?』…などと、タケルに死亡フラグを立てようと企む香月博士に、素晴らしい土下座をして、『止めて下さい、まだ死にたくないです。』と説得する(結局は後々にバレる事になる)そのせいもあって、今夜は沙耶も同伴する事になり、『どちらが先に白銀の子を宿すかしら~?』…などと香月博士が言った為、二人の闘志が燃え上がる。 「オレ…みんなを守る前に生き残れるかな…?」違う意味で自分の将来を不安に思うタケル。そんな事を考えると、部屋に香月博士がやって来る。 「だらしない格好で寝てるわね~…」「誰のせいですか、誰の!!」「アンタ自身に決まってるじゃない」「グハッ!?」KOされるタケル。『やはり先生には適わないのか…』と呟く。「真面目な話に移すわよ。とりあえず、この部屋には誰も近づけないように、まりもと伊隅に『見張り』をさせたわ」即ち、『まりもとみちる』には、この会話を聴かせない為の処置として、『見張り』という理由を作り上げ、自分達の下に近づけないようにする。「光州作戦に関しては、さっき話した通りよ。そして、『彩峰中将』の行動のおかげで、アンタの『未来の話』を信じる事に繋がったわ。」「そうですか」「次は『BETA本土上陸』よ…けど、流石に今回はそう都合の良い方向に未来を変える事は出来ないわ…」「どういう事ですか!?」衝撃的な発言に驚愕するタケル。そして、香月博士の口から驚愕の事実を告げられる。 「流石に今回は分が悪いわ…。今、日本における戦力で、強襲して来るBETAの『物量』を防ぐ術は無いわ。例え、日本全ての戦術機にXM3を搭載して戦っても、『勝てる』とは限らない。」「理由を教えて下さい…」ゴクリと息を呑みながら、『理由』を問う。 「アンタも知っての通り、XM3があるからと言って、BETAに『勝てる』とは限らないわ…出来るならば、簡単にハイヴを攻略しまくってるわよ。」香月博士の返答に賛同するタケル『BETAを甘く見てはいけない』と知ってるからだ。「奴等の最大の武器は『物量』よ今回のBETAの数は、数万・数十万と考えて良いわ。どんなに急いだって、XM3の搭載率は『良くて八割』が良い所悔しいけど、時間が足りないわ…」「そんな…」絶望的な発言に唖然とするタケルしかし香月博士の発言はまだ止まらない。 「次に『佐渡島・横浜ハイヴの問題』…残念だけど、この2つは、変える事は出来ないわ…」「何故ですか!?」「勿論さっきの戦力差の問題も有るけど、あまり『未来』を変えると、今後の作戦に支障が出て来る可能性もあるわ。理由は簡単、『未来』をホイホイと変えたら『何も』起こらないと思う?」香月博士の問いに対しての沈黙するタケル…それは『否定』の意味をしていた。「答えは『NO』変えたら、変えた分だけ『代用品』を寄越して来るのよ。現に『一度目の世界の未来』を知ってるアンタは『二度目の世界』で歴史を変えた。その為『代用品』として『12・5事件』等の未来を呼ぶ結果になったわ…」「…つまり、迂闊には『未来を変える事』は出来ない…って事ですか?」 「そうよ。だから『全て』を変えるんじゃなく『一部』を変えるのよ。変えた分だけ『代用品』を寄越して来るなら、『一部』の方が被害は少なくすむわ今回の彩峰中将の結果もそう。『一部未来を変えた結果』、彩峰中将の処分も『死罪』から『降格』に変わったわ」香月博士の言ってる意味を理解するタケル すると、香月博士の表情がニヤリと笑みを浮かべる「今度の『BETA本土上陸』の変更点は『鑑純夏の死守と白銀武の生還』よ。勿論、その時はアンタは戦場に出て戦う事になるけど、絶対に生還する事。そして、鑑を守り抜く為にも、アンタは生還し、尚且つ鑑を逃がす『時間稼ぎ』をしなければならないわ」「なる程…わかりました、先生」『当面の目標』が出来て、やる気を出すタケル。絶対に純夏を助けてみせる---!!そう、自分自身に誓いを刻み込む。 「とりあえず『BETA本土上陸』の件の話終わりよ。何か聴きたい事や頼み事でもある?」「はい、あります」コクリと縦に頷くと、『何かしら?』と質問される。 「まずは、今年の『総戦技演習』の事で…」「なる程…『涼宮遙』の件ね…。安心なさい、既にその件に関しては対応済みよ。」「あ…ありがとうございます!!」ガバッと再び土下座して礼を言うタケル。 「これで涼宮も速瀬も、早い段階で衛士になれるわ。けど、それは同時に『明星作戦』にも出撃するって事よ?」「その時はオレが助けます!!絶対にあの二人を死なせはしません!!」強い決意を香月博士に見せ、納得させる。 「ついでに『鳴海孝之』や『平慎二』も救って頂戴。あの二人も死なせるには惜しい奴等よ。二人共オーディン隊に入隊する予定だから、オーディン隊ごと救いなさい。」「了解」速瀬・涼宮の想い人の『鳴海孝之』や、その親友の『平慎二』をも救う事になったタケル。 『他には無いかしら?』と問われるが、特に無い為、話は終わる そして、同時刻--- 「叔父様っ!!」帝都にある駅のホームに夜遅く到着する電車から降りる中年男性に15・6程の若い少女が抱きつき、感動の再会をする。 「ご無事で何よりです…叔父様…」「ハハハッ、『唯依ちゃん』の『花嫁姿』を見るまでは死なんよ。そして、唯依ちゃんの産んだ赤ちゃんの名前を考える楽しみがあるんだ…これをやらずに死んでは無念というものだ。」「おおおっ、叔父様っ!!」顔を真っ赤にしながら、ポカポカと中年男性を叩く少女・唯依。こんな日常に帰って来れた事を喜ぶ中年男性・巌谷榮二「良く無事に帰って来たな、巌谷君」「こ、これは斉御司大佐!!」二人の感動な場面に現れた斉御司兼嗣大佐。突然の来訪に驚きながらも、敬礼する 「良く無事に帰って来た。今回の功績を持って、明日付けで君を『中佐』に昇進する事が決まった。是からも、日本の為に貢献してくれ、『巌谷中佐』よ」「ハッ、有り難き御言葉です!!」『中佐』に昇進が決まり、より一層気を引き締める巌谷中佐「明日、大事な話があるから帝都城に来てくれ話が終われば、そのまま休暇に入ってくれ。…でないと、私が唯依君に恨まれてしまうからね。」斉御司大佐の一言にアワアワと慌てる唯依を見て、大笑いをする二人 そして、巌谷中佐の帰還により、タケルとの『出会い』が待っていたのだった…