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No.34254の一覧
[0] MuvLuv Alternative Possibility (TE&Alt) オリ主[Haswell](2013/03/11 22:45)
[1] プロローグ[Haswell](2013/08/23 18:40)
[2] 横浜基地にて[Haswell](2013/08/23 18:41)
[3] 想い[Haswell](2013/08/23 18:46)
[4] MANEUVERS[Haswell](2013/08/23 18:51)
[6] War game[Haswell](2013/08/23 19:00)
[8] Alternative[Haswell](2013/08/25 16:33)
[9] 番外編 試製99式電磁投射砲[Haswell](2012/10/29 02:35)
[10] Day of Days[Haswell](2012/10/27 22:34)
[11] Project  Diver[Haswell](2012/11/06 23:11)
[12] Dog Fight[Haswell](2012/12/03 20:55)
[13] Active Control Technology[Haswell](2013/03/12 21:28)
[14] Tier1[Haswell](2013/06/13 16:56)
[15] FRONTIER WORKS[Haswell](2013/08/23 01:10)
[16] ATM[Haswell](2014/01/02 03:12)
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[34254] Project  Diver
Name: Haswell◆3614bbac ID:a910b73a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/11/06 23:11
私事で忙しく、もしかすれば
次回の更新が1か月ほど先の事になると思います。
決して蒸発するわけではないので、心配してくださる方?(恐らくいないだろうと思われますが)がいらっしゃるのであれば、心配はご無用です。






対BETA戦術の要と言われる戦術機。
1972年、米国が同盟国に初めてその存在を公表して以来、全ての軍事作戦の根幹となった。その市場を握るものは世界を制すとも言われた。


1990年代当時の設計思想といえば、軽量高機動を主とし、ステルス性を持つ対戦術機戦闘能力を併せ持つ戦術機の開発が主流となっていた。
この時代戦術機市場に君臨したのはロックウィードだった。
開発予算は一国の予算に匹敵、開発チームはスカンクワークスと呼ばれ、ノーベル賞級学者や著名なエンジニアなど200人を有する鉄壁だった。
世界一厚い開発体制と言われた。

挑むのは時代遅れ、落伍者の烙印を押された、国籍も性別も違うたったの70名の落ちこぼれ達。


 無謀な戦いだった。

 
 
これは世界最強をめざし一機の戦術機の開発に命を懸けた彼らの物語である。



Project  Diver


その日、輪島 英一はF-15Eの解体を指揮しながら、まだ年端もいかぬ少年士官―蘇芳 林太郎より提示された新型戦術機開発計画に思いをはせていた。
ハイヴ内という特異な空間での使用を追求したかなり特異な要求仕様が提示されており、それだけでも輪島の開発者魂をくすぐる計画だった。
開発チームの結成に向けて蘇芳が各方面に駆けずり回っている状態であるため、今はまだ計画そのものには何ら大きな動きはないのだが、輪島は童心に返ったように眠れない日々を送っていた。
輪島はかつて光菱重工で開発チームを率いていたベテランの開発者だ。
TSF-TYPE89 F-15J 陽炎のライセンス生産やTSF-TYPE94 不知火 の開発に携わってきたいわば会社のエースであった。
経歴から考えれば横浜基地で整備兵を統括する立場を務めるような人間ではない。
そんな輪島がこの立場に甘んじているのには、もちろん理由があるわけである。
輪島が開発に携わった不知火は第三世代戦術機としては大きな成功をおさめ、そのポテンシャルの高さは世界各国の関係者をうならせるものであった。
国防省技術研究本部で長年研究されてきた空力研究の結果がすべて集約された結果、他国の戦術機には見ることのできない頭部のセンサーマストや特徴的な形状のナイフシースなどが採用され、戦術機を正面決戦で運用する日本帝国軍のお眼鏡にかなう戦術機が開発されたのである。
しかし不知火にはこのとき巨大な弱点が存在していたことに誰も気付けなかったのである。それは最前線に面した日本だからこそ起こりえた弱点であった。
高性能な戦術機を投入するためには新素材の採用や新型アビオニクスの開発、搭載など多額の資金を必要とする。
それは開発にかかる費用ももちろんのこと、生産ラインの歩留まりの問題や新材料を使用することによる価格の高騰などによる。
おのずと一機当たりの製造単価は上昇する。
この問題を解決するためには、スケールメリットが出るよう自国以外の国家でもその戦術機が採用されるように営業をかけなければならない。
しかし武器輸出反対派が大きな勢力を誇る大日本帝国は今のところ自国の戦術機を他国に対して販売する予定はなかった。
結果として戦術機一機当たりの単価を下げるためには、徹底したコストダウンを図らなければならないといった事態に陥るわけである。
結果として不知火は同世代の他の戦術機に比べて遥かにコストパフォーマンスに優れた戦術機となった。しかし後々これが大きな問題となった。
不知火は現場の衛士や整備兵たちを大いに満足させたが、絶対的に最強の戦術機などこの世には存在しない。
最前線の衛士たちの性能に対する飽くなき要望はあっという間に不知火を追い越してしまったのである。
現場からは度々不知火改修の要望が各メーカーに届けられた。開発を担当した光菱重工、河崎重工、富嶽重工の開発チームが額を寄せ合って協議し、対応できるものに関しては改修を加えていった。
しかし現場から寄せられる主機出力の向上と兵装強化改修の要望は小手先の改修ではいかんともしがたいものだったのである。
この状況を打破すべく国防省が中心となり不知火の大幅な回収を図った。不知火壱型丙の誕生である。当時不知火をベースにしてさらに高性能化を図った第3世代戦術機 武御雷に採用される予定のFE108-FHI-225に搭載主機を変更し、更なる出力の強化によって機体ジェネレーターの大型化と機体から武装への電力供給を成しえた。
1998年 関係者の期待を一身に背負いスプリッター迷彩が施された一号機が試験生産された。しかし機体は関係者の期待とは裏腹にとんだ出来損ないであった。
具体的に言えば現場の要望に応えるための改修を強行した結果、戦術機の稼働時間の大幅な低下を招いてしまったのである。
メーカーは専用OSの開発 燃料、出力系の電子制御を行うなどしてこの問題を克服しようとしたが、焼け石に水程度の効果しか得られなかったのである。
それどころか機動特性に深刻な副作用が発生し、扱うことが出来るのはもはや熟練の衛士のみであった。
困難な要求を達成するため突き詰められた設計は不知火から冗長性を奪っていた。
メーカー各社はこの結果に対し、国防省からの発注のキャンセル等を覚悟した。しかし同年8月のBETAの本土上陸により損耗した穴埋めに、100機弱の発注がかけられ、前線の精鋭たちの手元に届けられたのである。
こうした経緯からメーカーは不知火のこれ以上の改修は困難であると判断し、不知火改修計画を実質上凍結した。
各メーカーは第四世代戦術機に関する概念設計の検討を始めたのである。光菱重工も例にもれず、国防総省技術研究本部との間で契約が成立し先進技術実証機ATD-X(心神)の開発が始まった。
ATD-Xは第三世代戦術機の後継となる次世代戦術機の純国産開発が念頭に置かれている。
そのため先進的な軍事技術の実証は義務であり、同時期にアメリカで行われているATSF計画 (先進戦術歩行戦闘機計画)のコンセプトの一つであったステルス能力については心神に付与される方向で調整がなされるのは当然の帰結であった。
それに真っ向から異を唱えたのが当時光菱重工の主任開発者であった輪島 英一である。
ステルス性の向上を優先すればRCS減少の対策の一環として空力性能が大幅に低下してしまうのは仕方のないことであったが、輪島はそれが気にくわなかったのである。
対BETA戦において一体ステルス性の何が有効であるのか! 居並ぶ重役を前に輪島は声を荒げ、ステルス付与の有用性は低いと唱え続けた。
当初は輪島が重役に目を付けられることを心配した同僚たちが必死で彼を説得したのだが、輪島の決意は固く意見を頑なに曲げようとはしなかった。
輪島の態度に次第に同僚は彼から離れていき、最終的に輪島は社内で一人孤立することになる。閑職に追いやられた輪島は、自ら光菱重工を辞め、その足で横浜を目指したのである。 
そして今戦術機開発の夢破れた輪島の前に再び神から手が差し伸べられた。輪島はこのチャンスを逃すつもりはなかった。
これが最後のご奉公になる。 この時解体されてフレームだけとなったF-15Eを見上げて、輪島の胸中にはなにか予感めいたものが揺蕩っていた。



 


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