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No.41935の一覧
[0] 東方不敗でMuv-Luvオルタ[獅子座](2019/04/19 23:16)
[1] Muv-Luv Alternative in MASTER ASIA 第一話 [獅子座](2016/02/18 14:02)
[2] Muv-Luv Alternative in MASTER ASIA 第二話 [獅子座](2016/02/24 23:31)
[3] Muv-Luv Alternative in MASTER ASIA 第三話 [獅子座](2017/09/06 04:28)
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[41935] Muv-Luv Alternative in MASTER ASIA 第一話
Name: 獅子座◆cff0ab9c ID:c50847de 前を表示する / 次を表示する
Date: 2016/02/18 14:02
 



 む、儂はどうしたというのだ? 確かあの後死んだはずだが? というより何か変な夢を見ていたような気がすが……気のせいか? まあいいだろう、それなりに楽しめた。さて、深淵なる地獄へ落ちるとするか……



 ……

 ………



「お~い……あれ? 聞こえてないのかな? お~い」

(誰だ? 儂を呼ぶのは……)

「お願いだから起きてぇ~」

(ふむ、誰だ? 儂を呼び覚まそうとする者は)

「むうぅう!! 起きろぉおお!!!」

「うるさい! 誰ぞ! 儂の眠りを妨げようとする奴は!」


 そう怒鳴りを上げ起き上がると、目の前には少女が涙目でこちらを見つめていた。


「いきなり怒鳴らないでよぉ……」


 最初の勢いはどこへいたのやら、かなり凹んでいるようだ。


「む、すまんな。些か怒鳴りすぎた。で、貴様は誰だ?」


 そう言うと腕を組み、目の前の少女を見つめる


「グス……コホンッ! おじさん中々起きないんだもん」


 そう涙と鼻水を拭き、表情を整えながらそう言う少女


「それは悪かった。しかしお前も悪い、いきなり大声で起こされてはいくら儂でも気分は悪いぞ」

「ごめんなさい」

「まあ良い。怒鳴った儂も悪い、お互い悪かったということでこの件はもう良しとするか」

「うん」


 少女が持ち直したので、早速質問する


「さて、お前は何ものぞ? それからここはどこだ?」

「私は鑑 純夏、ここは……ん~虚数時空間って所だよ~」


 彼の質問に適当に答える『鑑 純夏』と名乗る少女


「儂は死んだと思っておったが? つまりここは三途の川の手前みたいなものか」


 そう言うと少女は笑みを浮かべながら


「違うよ~ん~なんていうかここは異次元? みたいな所だよ」


 なるほどさっぱり解らん。ともかく、ここが地獄で無い事だけは理解した。


「ふむ、どっちでもいいさっさと地獄へと案内せい」


 そう言うと少女を見据える。


「実はおじさんに御願いがあるの」


 掌をあわせる純夏。


「儂に頼みだと? 大罪人である儂にか」


 顎を摩りながら考える。


「うん、武ちゃんを……皆を……人類を助けて!」


 必死に東方不敗の肩を掴みながら懇願する。


「儂にだと? 人類を抹殺しようとした儂に救済を頼むとは……どういうつもりだ」


 少し表情を厳しくする……すると少女は悲しげな笑顔を浮かべながら


「うん、なんでか解らないけど……おじさんなら皆を救える気がするんだ……それに私……武ちゃんにいっぱい迷惑かけちゃったし……」


 涙を浮かべる純夏。


「ふむ……言ってみるがいい」


 どうやら色々と複雑な理由があるらしい。真っ直ぐな彼女の頼みを聞いて見ることにした東方不敗。


「その……実は……」


 静かに説明をする純夏。最初は落ち着いて効いていたが、段々と表情が厳しくなっていく。そんな彼と同様説明する純夏も感情が抑えられなくなっていったようで段々涙が溢れ、最後の方はほとんど喋れなくなっていた。


「もう良い……お前のいた地球ではそのようなことが。確かにそのような下賎な輩に滅ぼされかけていたとあっては許せんだろう。なるほど……」


 それでも尚語ろうとする純夏の頭を撫でると優しく語り掛ける東方不敗。いきなり頭に手を置かれて一瞬驚いた純夏であったが、その手の暖かさに目を細める。


「う、うん……だから……武ちゃんの助けになってあげて!!」


 目に涙を溜めながら叫ぶ。


「いいだろう。今すぐ儂をそこへ連れて行け」


 そんな純夏に優しい笑顔を浮かべると手を差し伸べる東方不敗。


「は、はい!? 今すぐですか?」


 即断即決、東方不敗の言葉に少し驚く純夏。


「そうだ。もはや一刻の猶予もならん、今すぐ行って纏めて叩き潰してくれる」


 驚愕する純夏をよそに静かに闘志を燃やす。


「よし、では儂を今すぐそのハイブという場所に連れて行け」

「い、いきなり無理だよぉ……こっちにも色々と……」


 流石にどうしていいか解らず困ってしまう純夏。


「そうか、なら良い。勝手にさせてもらうまでよ。出でよマスターガンダム!」


 大きな声で叫ぶと、何も無い空間から彼の愛機『マスターガンダム』が現れる


「だからぁあ!! 無理だってええ!!! なんでそんなの出せるの?!! 御願いだから落ち着いてよぉ!!」


 いきなりマスターガンダムを呼び出して出て行こうとする東方不敗にしがみ付く純夏。


「どうした、何をそんなに焦っている。それに儂に任せておけばすぐに終わらせてやる。そうこの東方不敗マスターアジアが奴等を木っ端微塵にして、青き地球を取り戻そう」


 そういう意味じゃない。そう突っ込みたい純夏であったが、


「だぁあかぁあらぁあああ!! 話を聞いてぇえええ!!!」


 純夏の叫び声が無限に広がる何もない空間に響きわたる。なんだこれ?




 ……


 …………


 ………………



「はあ、はあ、もう……無茶苦茶だよぉ……おじさん……」


 純夏が本気で泣き出したので暴走を止めた東方不敗


「そのような話を聞いてしまっては、致し方あるまいぞ」


 苦笑いを浮かべる。


「うん、だからお願いします……武ちゃんを……皆を、地球を助けてください」


 頬を膨らませ非難していた純夏であったが、今度は真面目な表情でそう言うと深く頭を下げる。目には涙を溜めながら……


「よかろう、この東方不敗マスターアジア お前のその願い、全身全霊を持って聞き入れようぞ」


 そんな彼女に答えるように咆哮する東方不敗


「ありがとう……ごめんね……私……そっちでは何もできないかも知れない、覚えてないかも知れない……けど……だから……」


 その返事に笑顔を浮かべながら、消えていく純夏……


 そうして光の塵となり消えていった後は何も無い世界が広がる


「ふむ、次こそは道を誤らぬ、大罪人が今度は世界を救うか……おもしろい」




 そう呟くと消えていく世界……


 かくして絶望に包まれた世界に、一筋の……いや巨砲のような太さの希望の光が降り立つ……







 ……

 …………


 ………………




「これがこの世界の地球の現実か」


 儂がこの地に降り立って数時間、目の前には瓦礫と廃墟そして荒れ果てた荒野が続いていた。


「ここは日本か? まるでガンダムファイトに現を抜かしている地球と同じでは無いか」


 様々な看板には日本語の表記があり、平和な時代にはかなり賑わっていたことが想像できる。しかし、今ではその頃の面影が全く無かった。


「これが、この惨状が宇宙生物のせいだとは……」


 ここまでまったく人の気配が無いところを見ると、この世界の人類の数がかなり少ない事がわかる。


「さて、横浜基地だったか? そこへ行き『白銀 武』と『香月 夕呼』なる人物に会わねばならん」


 この二人がこの荒れ果てた世界を救う重要人物であり、純夏と呼ばれる少女が大切に思っている思い人。
 二人がどういう人物か考えながら歩いていると、前方に砂煙が上がっているのを見つける。

 かなり距離があるなと、思いながら歩いていると何かがこちらへと向ってやってくる。それもかなりの速度で近づいてきてることが解る。そうして暫く眺めていると近づいてくる物の外観がはっきりと見えてくた。


「む、ガンダム? ではないな。なるほど、あれが戦術機というものか」


 凄まじい速度でこちらへと向かってくる機体を見ながら情報を整理する。確かに似ているが、どちらかといえばMS(モビルスーツ)に近い感じである。そんな風に思っているとその内の一機が目の前で止まる。

 常人であればその大きさに威圧されそうになるが、元の世界で慣れている彼はそのまま腕を組み静かに見上げる。


≪貴様、何をしている!民間人か?……一体どこから紛れ込んだ!?≫


 目の前の戦術機から怒声に近い声が発せられる。声の種類からして女性か。


≪大尉?どうしたんですか?≫


 もう一機こちらに近づいてくる。


≪わからんが、どうやら民間人が紛れ込んでしまったようだ≫


 軍人か、なら話が早い。


「少し道を尋ねるが、横浜基地とやらはどっちへ行ったら良い?」


 彼女らの言葉を無視し二人に質問する。大きな戦術機に見下ろされているのにまったく動じない男を怪しく思ったのか


≪横浜基地? 貴様一体そこに何のようだ?≫


 警戒した声色で答える。


「野暮用でな。方角さえ教えてもらえば一人で行く」


 腕を組み偉そうに見上げる。


≪はあ!? 一人でって……まもなくここは戦場になるってのに生身で行くですって!?≫


 そんな彼の態度にもう一機の戦術機から、呆れとも驚きとも呼べる声色が発せられた。


≪ハハハ! 速瀬よりも肝が据わってるんじゃないか? 此奴は≫


 愉快といった感じの声色に変わると、少し空気が軽くなる。


「まあ、どっちでもいい。で、どうするつもりぞ……ん?」


 不意に気配を感じる。殺気とも闘気とも違う嫌な感じ……その方向へと振り返った瞬間、地中から何か得体の知れない影が飛び出してた。


「ほう、面妖な……」


 顎に手をあて呟く。地中から現れたソレは余りにもグロテスクな姿をしていた。人のような姿をしているが、頭部が異様に膨らんでおり黄色がかった歪な歯が特徴的であった。

 化物、誰もが最初に浮かぶであろう言葉であろう。その化物が生身の人間の目の前に現れたのである。


≪兵士級!? 逃げなさい!! 早く!!!≫


 戦慄した声が響き渡る。先ほどまでと違い焦り出す二機。

 彼女は後悔していた。問答などせずに彼をすぐに救出すべきであったと、しかし、すぐに気持ちを切り替える。今は後悔している場合ではないこのままでは自分の目の前で惨劇が行われる前になんとかしなければならない、そう思いながら網膜投影システムで見つめながら照準を向ける。


「なるほど、此奴等が地球を……ふむ、確かに此奴からは何も感じぬ。やはりただの化物か」


 ほぼ目と鼻の先に兵士級が歯を剥き出しにして現れたというのに、逃げようともせず腕を組み見据える。


≪何を考えている!!! そこから逃げなさい!!! 死ぬわよ!!!≫


 焦りと怒りが交じり合った声を上げるも一歩遅かった。もう既に兵士級はその剥き出しにした歯を開き目の前の男へと襲い掛かっていた。もう彼は駄目だと、そう諦めた瞬間一瞬目を閉じる。しかし、次に瞼を開けた時、彼女らは信じられない光景を目にすることとなる。


「ふん! 甘い!」


 組んでいた腕を解き右手を挙げる、すると兵士級の動きが止まる。彼の行動を目撃していたもう一人の衛士は驚愕する。


≪う、嘘でしょ……≫


 彼女らの網膜投影システムが映し出した光景に思わず目を擦る。しかし、映像に変化は無かった。動きの止まった兵士級の顎に人差し指を立てる東方不敗。そう、彼は人差し指一本で兵士級の噛み付きを防いでいたのであった。彼のその行動にまるで目の前の人間を何故かみ殺せないのか、感情の無いはずのBETAが何故か苛立っている様に見える。

 そして、その映像は別のもう一機の方にも見えていたらしく


≪な、なによ……あれ……≫


 震える声が聞こえてくる


「所詮は武闘家にあらずか、その程度の攻撃では止まって見えるわ」


 未だ諦めず噛み砕こうと歯を剥き出しにする兵士級の顔を見上げながらつまらなそうに呟くと、


「ふんっ!!」


 気合と共に左の拳を繰り出し吹き飛ばす。


「なんと脆い。その程度で地球を滅ぼそうとは、笑止!」


 構えを解かないまま彼女らに視線を向けると、


「この程度の気配に気づかず、遅れを取るとは未熟ぞ!」


 と言い放つ東方不敗。


≪な!? ば、馬鹿な事を言っていないで早く止めをさしなさい!! 死にたいの!?≫


 いきなり未熟と言われムッとするも、今はそれどころではない。兵士級は未だ絶命していない、ゆっくりと立ち上がると再び目の前の男を殺そうと襲いかかってきた。


「ふんっ! まぁだ生きておったか……ならば! 流派東方不敗!! 酔舞・再現江湖デッドリーウェイブぅぅうう!!!」


 右手をシュタっと伸ばし独特の構えから腰を溜め膝を立てると、そのままありえない速度で兵士級へと突っ込んでいく。黄金に光る膝が兵士級を貫き、仰々しくポーズを決めると、


「爆発!」


 その場で爆砕する兵士級、その余りにも現実離れした光景に唖然とする。装備と呼べる物など何も持たず、素手で人類の天敵を倒した男に戦慄を覚えてしまう。

 静かに残心を解くと振り返る。そんな東方不敗に驚愕しながら、


≪あ、貴方……人間なの?≫


 震える声で質問する


「儂か? 無論、人間ぞ……そう、儂は東方不敗マスターアジア。唯の武闘家ぞ」


 腕を組み斜めに構え宣言する。それに呼応するかのように轟音が鳴り響く。


≪ちぃっ! 問答している場合じゃない!! 速瀬! 私が彼を救助する、哨戒を!≫

≪な!? 大尉無茶です!≫


 コンソールにはアラートシグナルが鳴り響く。それは奴らがこちらへと向かっていることを意味していた。早く目の前の人間を助けなければと慌てて出て行こうとする戦術機をもう片方が必死に止める。


「喝!!」


 大きく目を見開き叫ぶ、まるで大気が震えるほどの大きな声。その声を聞いた二人の動きが止まる。


「愚か者が! 敵が現れたのであれば、まず冷静に分析をせんか! よく見よ! 未だこの周辺には気配なぞ感じぬ。まずは慌てず状況をよく確認せんか!」

≪はっ、はい!≫


 余りの迫力に思わず返事を返してしまう。そうして冷静になると自分達の後方2km先から砂煙が上がり異形の化物たちが飛び出してくる。


「この雑魚共が……いくら集まったところで無駄な事よ」


 煩わしそうな表情でこちらに向ってくる集団に対して吐き捨てる。


≪な、なにを……≫

「ふんっ! この儂の強さを知らんと見える。ならば儂の力を強さを見せてやろう」


 組んでいた腕を解くと駆け出す。


≪な!?≫


 余りにも現実離れした光景と、速さに驚愕し思考が完全に止まる。


「地球を滅ぼさんとする、貴様らを叩き潰してくれるわ!」


 叫び声を上げBETAの集団の中心へと気を纏いながら突撃していく。それはまるで大きな砲弾が着弾したかのごとく到着した瞬間、BETAが爆ぜる。


≪た、大尉……私……夢でも見ているんですかね……≫

≪残念だが……夢では無い……夢だとしても悪夢だろうな……≫


 目の前に広がる光景に絶句する。そこには嵐が巻き起こりありえない事が起こっていた。人間が何百といるであろうBETAの群に単独で、しかも生身で突っ込み吹っ飛ばしている。あるBETAは爆砕し、あるBETAは遥か上空へと吹き飛ばれ、蹂躙する。それはまるで悪夢のように彼女らの網膜に刻み込まれたのであった。

 そんな彼が、人類にとっての救世主となろうとは今は誰も知らない。





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