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No.19794の一覧
[0] 天河くんの家庭の事情(逆行・TS・百合・ハーレム?)[裕ちゃん](2010/07/24 18:18)
[1] 天河くんの家庭の事情_00話[裕ちゃん](2010/07/23 17:46)
[2] 天河くんの家庭の事情_01話[裕ちゃん](2010/06/26 12:59)
[3] 天河くんの家庭の事情_02話[裕ちゃん](2010/06/24 07:53)
[4] 天河くんの家庭の事情_03話[裕ちゃん](2010/06/24 07:53)
[5] 天河くんの家庭の事情_04話[裕ちゃん](2010/06/24 07:54)
[6] 天河くんの家庭の事情_05話[裕ちゃん](2010/07/10 22:31)
[7] 天河くんの家庭の事情_06話[裕ちゃん](2010/06/24 07:55)
[8] 天河くんの家庭の事情_07話[裕ちゃん](2010/06/24 07:55)
[9] 天河くんの家庭の事情_08話[裕ちゃん](2010/06/24 07:55)
[10] 天河くんの家庭の事情_09話[裕ちゃん](2010/06/24 07:56)
[11] 天河くんの家庭の事情_10話[裕ちゃん](2010/06/24 07:56)
[12] 天河くんの家庭の事情_11話[裕ちゃん](2010/06/24 07:57)
[13] 天河くんの家庭の事情_12話[裕ちゃん](2010/06/24 07:57)
[14] 天河くんの家庭の事情_13話[裕ちゃん](2010/06/26 02:01)
[15] 天河くんの家庭の事情_14話[裕ちゃん](2010/06/26 11:24)
[16] 天河くんの家庭の事情_15話[裕ちゃん](2010/06/26 23:40)
[17] 天河くんの家庭の事情_16話[裕ちゃん](2010/06/27 16:35)
[18] 天河くんの家庭の事情_17話[裕ちゃん](2010/06/28 08:57)
[19] 天河くんの家庭の事情_18話[裕ちゃん](2010/06/29 14:42)
[20] 天河くんの家庭の事情_19話[裕ちゃん](2010/07/04 17:21)
[21] 天河くんの家庭の事情_20話[裕ちゃん](2010/07/04 17:14)
[22] 天河くんの家庭の事情_21話[裕ちゃん](2010/07/05 09:30)
[23] 天河くんの家庭の事情_22話[裕ちゃん](2010/07/08 08:50)
[24] 天河くんの家庭の事情_23話[裕ちゃん](2010/07/10 15:38)
[25] 天河くんの家庭の事情_24話[裕ちゃん](2010/07/11 07:03)
[26] 天河くんの家庭の事情_25話[裕ちゃん](2010/07/12 19:19)
[27] 天河くんの家庭の事情_26話[裕ちゃん](2010/07/13 18:42)
[29] 天河くんの家庭の事情_27話[裕ちゃん](2010/07/15 00:46)
[30] 天河くんの家庭の事情_28話[裕ちゃん](2010/07/15 14:17)
[31] 天河くんの家庭の事情_29話[裕ちゃん](2010/07/16 17:35)
[32] 天河くんの家庭の事情_30話[裕ちゃん](2010/07/16 22:08)
[33] 天河くんの家庭の事情_31話[裕ちゃん](2010/07/17 01:50)
[34] 天河くんの家庭の事情_32話[裕ちゃん](2010/07/21 01:43)
[35] 天河くんの家庭の事情_33話[裕ちゃん](2010/07/21 23:39)
[36] 天河くんの家庭の事情_34話[裕ちゃん](2010/07/22 04:13)
[37] 天河くんの家庭の事情_35話[裕ちゃん](2010/07/24 18:16)
[38] 天河くんの家庭の事情_小話_01話[裕ちゃん](2010/06/25 20:30)
[39] 天河くんの家庭の事情_小話_02話[裕ちゃん](2010/07/07 03:26)
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[19794] 天河くんの家庭の事情_25話
Name: 裕ちゃん◆1f57e0f7 ID:326b293b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/12 19:19
「花見させてよ花見!」
「うぉあ!」

3月も終わりに近づき、ニュースで桜の花見前線の話題が上り始めたある日の事。
ネルガルの会長室で仕事に励んでいたアカツキの下へアオからウィンドウ通信が入った。
疲れた身体に一服の清涼剤をとすぐに繋げたアカツキの目の前にキラキラした目のアオがドアップで映し出された。
思わず驚いてのけぞってしまう。

「な、なんだい。アオ君?」
「いや、だから花見だってば。明日佐世保公園の桜が満開らしいのよ!
だから、明日の花見をする為に今日のお昼過ぎから明後日までサセボドック閉めていいかな?」
「し、閉めるのかい?」
「どうせならみんなでやりたいし、そうなると場所取りしないといけないでしょ?」
「エリナ君...」

何が何でも行こうとしているアオをどうやってなだめようか考えるがいい案が浮かばない。
その為にエリナへと助けを求めるが、すげなく首を振りつつ口を開く。

「プロジェクトは遅れてるどころか想定より大分早く進んでるから2-3日臨時休暇でもいいんじゃないですか?」

むしろアオを後押ししていた。
そう言いつつ、手を動かして何かの手続きをしているようだ。

「私も明日1日有給を頂きますね。サセボで用事が出来ましたから」
「え、エリナ君!?」
「わ、エリナも来るの?それならもう決定だね。だよね、ナガレ?」
「ぐっ...」

一瞬の間に外堀は埋め立てられ、自陣の将と思ってた者も相手の陣営についていた。
元々アオには弱いアカツキではこうなってはどうしようもない。

「わかった。その代わり僕もいかせてもらうよ」
「お、待ってるね~」

アオはそう言うと通信を切る。
アカツキはそのウィンドウがあった場所を見ながらふっとため息を吐くと。

「さて、明後日までの分終わらせておかないとね」
「明後日...?」
「酒を飲まされそうな予感がする...」
「あぁ...そうね.....」
「...あぁ」
「手伝うわ」

アカツキの一言を聞いて、エリナの背筋にも何か冷たいモノが走った。
苦笑しつつエリナも席へ戻ると、一気に仕事を終わらせていく。
アオに嫌われない為に日頃しっかり仕事をするようになったアカツキである。
明後日までに必要な分とはいってもそんなに量はない為、すぐ終わる事になる。

一方、サセボドックでは全職員へアオのウィンドウ通信が開かれていた。

「休み取ったよ~♪」
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」

大騒ぎである。
流石アオちゃん等とそこらで歓声が上がっている。

「じゃあ、打ち合わせ通りやりましょう!
女性陣と料理上手な一部男性陣は大食堂で食堂職員さんの指示の下お弁当作りへ入りましょう!。
残りの男性陣はウリバタケさんの指示で佐世保公園へ向かって場所取りをお願いします!」
「は~~~い!」
「おっしゃ、いくぜ!!」

アオの号令の下、場所取り組のウリバタケ一向は場所取り用のシートを手に持ち駆け出していった。
一方大食堂では料理組と買い出し組に分かれていた。
アオ、ルリ、ラピスや元々食堂に努めてる料理人に加え、料理が巧い女性と一部男性が料理組。
それ以外の大多数の女性達は買い出し+お弁当への詰め込み作業をする事になる。

そして買い出し組が戻ってくると、アオ達料理組が場所取り組への差し入れと花見弁当の下拵えに取りかかっていく。
残り大多数である買い出し組は談笑しつつまったりと弁当箱の用意などを進めていった。

それから数時間後、買い出し組が20人程差し入れの弁当を持って佐世保公園へとやってきた。
場所取りに出たのは100人以上になり、その弁当ともなると結構な量である。

「陣中見舞いで~す」

場所取り組は目を輝かせながらその弁当に見入っている。
手分けして全員に手渡すと、ウィンドウが開きアオが注意事項を伝える。

「え~、本番は明日なので、お酒は出来るだけ控えて下さい。
後、お弁当箱も含めてゴミを散らかしていたと報告が入ったり、見つけた時は折檻します。
それと近くの銭湯に話は通してあるので手分けしてお風呂へ入って下さいな。
最後に...毛布!」

差し入れを持ってきた女性の一人がじゃ~んと言って毛布を取り出した。

「暖かくなってきたといっても夜は冷えるから、体調が変だと思ったら無理しないように。
避難場所として近くのホテルにダブルで10部屋借りてます。
交代交代で仮眠しに行ってもいいと思うのでそこはウリバタケさんの判断で使って下さい。
以上です」
「「「「「おぉぉぉ~~~」」」」」

今日思いついたとは思えない程の段取りに場所取り組全員が唸る。
その様子を見てアオは胸を張った。

「息抜きも全力です!」

アオの様子に差し入れに来た女性陣はクスクスと笑う。
そして、女性陣がサセボドックへ戻っていったのを見たウリバタケはにやりと笑う。

「おめぇら、わかってるか?」
「これで場所取り組は明日まで自由ですね」
「そう、ならばやる事は一つ!それは...!」

その時ウリバタケの目の前にウィンドウが開く。
そこにはアオが映っており、悪戯っ子のようにはにかみながらぺろっと舌を出してウリバタケ達にごめんねと伝える。

「言い忘れてましたけど、ウリバタケさん含めてナンパは厳禁なんです。
ネルガルとして場所取りお願いしちゃってるので今日だけは本当に駄目です」

そうしてウィンドウが消える。
その言葉に全員がうなだれていた。
しかし、ウリバタケがそんな仕打ちでへこたれる事はない。

「...そうか、わかったぞアオちゃん。そっちがその気ならこちらにも考えがある!」

そう言うと場所取り組全員で悪巧みを始めた。

サセボドックの食堂では下拵えが終わり、手分けして片付けに入っていた。
実際に作り上げるのは明日になり、今日の分は終了である。
下拵えが終わってすぐの時は、調理場の中がさながら戦の跡のような状況になっていた。
しかし、アオと料理長を中心にして手早く指示を出し凄い勢いで片付けも終わらせていった。
そこへ陣中見舞いの差し入れを持って行った女性陣が戻ってきた。

「「「「「ただいまぁ~」」」」」
「「「「「お帰りなさい」」」」」

全員が揃った所でアオは大食堂全員へ向けてウィンドウを開いた。

「みんな一旦手を休めて聞いて下さい。もう少しで片付けが終わりますので、そうしたら今日は一旦解散します。
明日はみんなも知ってる通り調理・詰込・運搬組と現地組に分かれます。自分がどっちだったか忘れた人は聞きに来て下さいね」
「「「は~い」」」

そうして手早く片付けを終わらせると、明日の為に手早く帰路へついていく。

次の日、朝7時過ぎのサセボドック大食堂には30人程の男女が集まっていた。
朝早いにもかかわらず一様に士気は高く、気合いが乗っている。

「みんなで一気に作りあげちゃいましょ~!!」
「「「「「おお~!!」」」」」

アオの号令の下、調理場にいるアオと料理長を筆頭にした10人が慌ただしく動き始める。
作るのは約300人分の昼弁当+夜弁当に加えおつまみもあるのでかなりの量である。
そうしてどんどんと出来あがって来る料理を残りの20人が詰め込んでいく。
料理開始から2時間弱、終に出来あがった。

「終わった~~~!」

そのアオの言葉に思わず歓声が上がった。
大量の弁当箱を詰められた段ボールも結構な数になっている。
用意した8人乗りのワゴン車5台に手分けして詰め込むと一路佐世保公園へ向かう。

「お!来た来た!」

佐世保公園でアオ達が向かっていると報せを受けたウリバタケが数人を連れてアオを今か今かと待ちわびていた。
そしてアオ達の乗った車が到着するとすぐに駆け寄っていった。

「お待たせしました。分けて積んであるのでどんどん持っていっちゃって下さい」
「おうよ!」

ウリバタケは威勢よく答えると連れてきた男達へ指示を出し、手際良く弁当を運んで行く。
アオ達は運転手を残して車から降りると、車を停めてくるように頼んだ。
そうして公園へと足を向けた所でそのアオへと声がかかった。

「あ、姉さん」
「おう、嬢ちゃん。久しぶりだな」

アキトとサイゾウであった。
アオは花見をやるという事であらかじめ声をかけていたのだ。
いきなりの男性二人の出現にアオ達と来たみんなが戸惑う。
だが、アキトの姿を知ってる者がおり、『あっ』と声を上げた。

「あれ、男の子の方ってアオさんの弟さんですよね?」
「そうだよ。それでもう一人の方はサイゾウさんといって雪谷食堂というアキトが住み込みで働いているお店の店長さんです」

それからそれぞれ挨拶を交わすと全員でぞろぞろと場所取りをした方へと向かっていく。
その場所へ近付くとそれぞれ仲のいい者同士で固まり、自然と解散していった。
そしてアオ達が向かう先には既にアカツキにエリナ、プロスとゴートに加えマナカまで準備万端揃っていた。

「あれ、みんな来るの早くない?」
「やぁアオ君にルリ君、ラピス君。アキト君も来たのかい」
「アカツキ君が朝から行くと言って聞かなくてね、昼過ぎからゆっくりとする予定なのに早起きよ...」
「会長がこんなイベントを逃すはずないですからなぁ」
「うむ。花見は久しぶりだ」
「アオさん達お花見に呼んでくれてありがとう」
「みなさんお久しぶりです」
「みんな久しぶり」
「え~っと...」

サイゾウが初対面の人ばかりで少し困っていた。
アオ達はサイゾウの事をアカツキ達へ紹介するとそのまま挨拶を交わす。
それも終わるとアオとルリ、ラピス、アキトはそのままアカツキの座ってるシートへと座る。
やっと一息つく事が出来たアオとルリ、ラピスはふと上を見上げる。

「凄いよね...」
「えぇ、本当に綺麗です」
「うん、綺麗...」

そう呟きながら桜を見上げるアオ達に釣られるようにアキトやアカツキ達も桜を見上げる。
そうしてしばらく桜が散る様子を全員で見上げていた。
そんなみんなを現実に引き戻したのはウリバタケの声だった。

「何みんなして黄昏てるんだ?アオちゃん達特製のお弁当持って来たぞ!」

そこには両腕に大量の弁当を抱えたウリバタケがいた。
そのお弁当から漂う匂いによって、みんなの意識は花より団子へと変えられる。
そしてウリバタケを見たアカツキが思い出したように声をかけた。

「あぁ、ウリバタケ君。せっかくだからビールサーバーを15台レンタルしておいたよ。
もうそろそろ着く頃だから要所要所に設置するようにしてくれないか?」
「まじか!!」

ウリバタケは大喜びで整備士の部下へと連絡し、土台作っておけと指示を出す。
そして自分は今座っている隣へと土台を用意して行く。
それからすぐにビールサーバーが到着してウリバタケが設置をする。
本当に嬉しそうに設置をしていくウリバタケをみんなが呆れながらも楽しそうに見守る。

そして弁当とビールやジュースが行き渡ったのを確認したアオは乾杯をする為に立ち上がる。

「あ、ナガレがやった方がいい?」
「いや、今回はアオ君主催だからね。気にしないでくれ」
「うん。では...」

そういうと全員へとウィンドウを開く。

「みなさん、今回は急な決定でしたけど問題なく用意が出来てとても助かりました。
さて、今日一日丸っと休みですし夜のお弁当やおつまみも用意してありますし、足りなければ屋台も出てます。
常識の範囲内で好きなだけ羽目を外して下さい。逸脱した場合は独房入りとなりますのでよろしくです。
では、長くなりましたが綺麗な桜とみなさんの笑顔を見れた喜びを挨拶に変えたいと思います」
「「「「「乾杯」」」」」

それからは大騒ぎだった。
どこから持ち込んだのか、いきなり日本酒一気をして開始早々潰れる。
ハンディカラオケでカラオケ大会を始めたり、普段面識がない部署の女性へとナンパを敢行する者。
その大騒ぎはどこにそんな体力があるのか、夜まで続いて行く事となる。

「みんな元気だね~」
「ナデシコの関係者ってみんなこうなるんでしょうか?」
「でも楽しいからいい」

どこかナデシコを彷彿とさせる雰囲気に3人の顔が綻んだ。
アオ達が居るシートは周りの喧騒を余所に終始和やかだった。
お弁当に舌鼓を打ちつつ普段の生活の話からナデシコの話など話題はなくならない。

サイゾウもウリバタケと意気投合し、ビール片手に談笑を続けていた。
二人してアキトを手繰り寄せネタにしているようだ。

そんな中アオの横にウィンドウが開く。
ルリやラピス以外には見えないように巧妙に陰に隠れている。

「どうしたの、ダイア、フローラ?」

小声で呼びかけるアオにルリとラピスも注意を向けた。

『アオ、緊急事態だよ』
『アオさん、至る所にカメラが設置されてる。メモリへ録画するタイプだった上に巧妙に隠されてて今まで気付かなかったの。
設置場所や設置可能な時間帯を考えると、主犯者は場所取り組くらいしかないよ』
「.....ふぅん」

アオの目がすっと細くなると一瞬だけウリバタケの方を向けるがすぐに表情を戻した。
そのアオの表情にルリとラピスは内心でウリバタケへ合掌していた。

「場所は把握してる?」
『外だから、正直全部の場所は難しいよ...ごめん、アオ』
『なんとか探してるんだけど、ごめんなさい』

ウリバタケ達の隠し方はかなり巧妙な上電波を飛ばす訳でもない為にかなり発見は困難だった。
それを申し訳なく思うダイアとフローラはしょぼんとしたようなウィンドウを出している。

「それなら、無理して探さなくて大丈夫。その代わり場所取り組全員の動きを捕捉しておいてくれないかな。
そっちなら楽勝でしょ?」
『『え、それでいいの?』』

まさか探さなくていいと言われるとは思ってなかった為に思わず聞き返した。
そんなダイアとフローラへ悪戯っ子の様な笑みを向ける。

「うん。泳がせてここぞという時に逃げられないようにするよ。後は...ここの片付けでも全部やらせようかな」
『『わかったよ』』

アオのやろうとする事に納得したダイアとフローラは安心したようにウィンドウを消した。
そしてアオは苦笑しながらルリとラピスへ呟いた。

「これもナデシコらしいっちゃらしいよね」
「...そうですね」
「そうなんだ」

その言葉にルリとラピスも苦笑していた。
それ以降は特に事件もなく時間が過ぎて行き、空が夕焼け色に染まってきていた。
今はアキトとアカツキ、マナカとエリナ、プロスとゴートにウリバタケとサイゾウ、そしてアオとルリ、ラピスの組み合わせで談笑中である。

アキトとアカツキはアキトが精神的にも成長してきており、かなり仲良くなっていた。
二人がプライベートでも連絡をしていると知った時、アオは嬉しそうな寂しそうな表情をしていた。
自分が昔に今のアキトと同じくらい大人だったら、あんな事がなかったら、自分もあいつと...そう思ってしまったのだ。

マナカとエリナは相変わらず不老化ナノマシンの話である。
かなりいい所まではいってるのだが、副作用が問題らしくどうしたものかと悩んでいるそうだ。
オペレーター用IFSにも使われている他のナノマシンを調和させるナノマシンを使えば身体へのダメージは出ない。
だが、消費カロリーが通常の2~3倍に跳ね上がってしまう事がわかったのだ。
アオのデータから調和させるナノマシンがその辺りも調整していると考えていたのだが、何かが足りないらしい。
それでもいい風に考えれば老化をしない上に痩せやすいのだが、悪く言うと食費が2~3倍かかる上に下手をするとすぐに餓死してしまう。
そこで、せめて消費カロリーを1.5倍程度まで落とせればと調整中なのだがかなり難航しているそうだ。
このナノマシンを知った彼女達二人に取っては1日1秒経つ毎に老化していってるという思いに駆られており二人で頭を抱えている。

プロスとゴート、ウリバタケとサイゾウについては4人で静かに大人の空間を作り上げている。
静かにしているとウリバタケもかなり渋い親父だ。
しかし、それもつかの間段々と興が乗ってきたのか、ウリバタケがにやにやと意地の悪い顔をしながら席を立つ。
昼頃からずっと飲んでいるためか、先程の雰囲気に呑まれたのか顔が赤くなっている。

「アキト、いいものやるからちょっと待ってろ」

そういうと楽しげにシートから離れていき、すぐに両手にコップを持って帰ってきた。
そしてアキトの目の前に座るとコップを差し出す。

「お前も男ならぐっといけ!」
「え、これって!」
「いいから!」

ウリバタケはアキトの顔を抑えると無理やり飲ませていく。
アキトは無理やり一気飲みさせられ盛大にむせていた。
その様子をサイゾウも笑いながら見ている。

「げふ!がは!う、ウリバタケさん...」
「いけるじゃねぇか、ほらもう一杯」

更にもう一杯飲ませていく。
いきなりの二杯一気にアキトは頭がふらついている。
それを見てウリバタケは更に大笑いをしていた。

「ちょ、ウリバタケさん。ひどいっすよ...」
「あほ。こうやって男は大人になっていくんだ。これくらいでダウンしてたらアオちゃんに笑われるぞ?」
「そうだねぇ。これくらい飲めないと大人とは言えないな、アキト君」
「くっ...」

ウリバタケに加えアカツキまで挑発に乗ってきた。
それを聞いてアキトは覚悟を決めた。

「...わかっ」
「わからないでもいいよ、アキト」
「「「え!?」」」

いつの間にか満面の笑みを浮かべたアオが立っていた。

「ナガレ、アキトは未成年なんだから挑発しないで下さい。
アキトも挑発にかかって飲まないの、家の中ならともかくここは外なんだからね。
あと、ウリバタケさんは乾杯の時に私が言った事覚えてますか?」

とても優しげで怖い笑顔を浮かべるアオに冷や汗をかきながらもウリバタケは必死に思いだそうとした。
しかし、いくぶん酒が回っている上に混乱していて頭がうまくまわらない。
そんなウリバタケを見兼ねたアオは自分で言う事にした。

「私が言ったのは『常識の範囲内で好きなだけ羽目を外して下さい。逸脱した場合は独房入りとなりますのでよろしくです。』
これ、覚えてますよね?」
「あ、あぁ...覚えてる...」
「ウリバタケさん。昨日の夜ってちゃんと場所取り"だけ"していたんですか?」
「も、勿論だ!」

ウリバタケは冷や汗が止まらない。
何か嫌な予感がしてたまらないのだ。

「あ、そうそう。ダイアとフローラがですね。何者かが私達を狙っているという話をしてるんですよ」
「どういう事だい?」
「詳しくお聞きしたいですね」
「む?」

突然の不穏な話にアカツキやプロス、ゴートが反応する。
しかし、ウリバタケは急に話が変わった事についていけていない。

どういう事だ?とアオを見上げるウリバタケにすっと手を差し伸べた。
その手の平に乗っていたのはウリバタケ達が設置した小型カメラだった。

「あ...」
「こんなカメラが至る所に設置しているんですよ、ウリバタケさん。
私には生憎わからないのですが、ウリバタケさんならどこのメーカーのカメラかご存知ですよね?
それに、昨日場所取りをなさっていたんですから、不審者がいなかったかとか報告受けてませんか?」
「うっ...」

アオはにっこりと笑う。
ウリバタケは冷や汗を流しながら目線を逸らした。
この言い方、絶対にアオは気付いている。
しかもやったのが場所取り組全員だという事も確信しているだろう。
なんとか言い逃れできないか、何かネタはないかと考える。

「それでですね、まずは中身を確認しようと思うのです」
「そうだね、何を目的でこんな物を設置したのかがわかれば犯人も見つけやすい」
「私も賛成ですな」
「うむ」

アカツキ達は純粋にその案に賛成し、犯人への繋がりを探そうと思っている。
そんな中ウリバタケは冷や汗が止まらない。

「ウリバタケさん。これって内部メモリーに録画されるタイプっぽいんですが、映像をコミュニケで再生出来ませんか?」
「あ、あぁ...物が分かれば接続するだけだから出来ると思うが...」
「じゃあ、お願い出来ますか?映ってる内容によっては女性陣全員に報告して犯人全員の性根を叩き直さないとならないでしょうから」
「わ...わかった」

その言葉でアオが内容にも見当が付いていると確信した。
そこでウリバタケは悩む。
さっさと白状してデータを諦めて罰を軽くするか、このままうやむやにしつつデータ回収に望みをかけるか...
手を動かしながらも悩み、そして決めた。

「すまん、アオちゃん!出来心で!」

ウリバタケは諦めて罪を認めた。
アオの物言いから言い逃れをする事が出来るとは思えなかったのだ。
それならばさっさと認めて赦して貰った方が罰は軽いだろうと考えたのだ。
いきなり謝りだしたウリバタケにアカツキ達は驚いた。

「どういう事だい?」
「これは...」
「むぅ」
「やっぱり、そうですか。これを設置したのはウリバタケさんというので間違いないという事ですね?」
「お、俺だけじゃねぇ!場所取り組全員だ!!」

そして仲間全員を生贄にした。
しかし、その選択は決してベストではなかった。

「どちらにしろ映像を見てみないと罪状はわかりませんからね。しっかりと女性陣全員で確認しますね」
「なっ!?」

そうしてウリバタケがメモリーを再生する為にコミュニケとの接続ケーブルを持ってくる間にアオは女性陣全員へとウィンドウ通信を入れる。

「え~っと、昨日の場所取り組が私達を盗撮しているという事が判明しました。
直ちに場所取り組全員を拘束して下さい。ただ、手荒な真似はしないようにお願いします」

その通信が終わった瞬間阿鼻叫喚の渦が起きる。
すぐ捕まる者、隠れる者、逃げようとする者が入り乱れる。
しかし、ダイアとフローラに捕捉されてるのでどこへ逃げようともばれてしまい、そう時間が経たない内に全員がお縄になる。
全員その場で正座させられ、しょんぼりと下を向いていた。
そして全員捕まったと報告を受けたアオは全員へお疲れさまと声をかけた。

「ウリバタケさん、用意はいいですか?」
「あ、あぁ...」

そして盗撮映像を流し始めた。

「うわぁ...」

そこに映っていたのは座った時のスカートの中、飲み物を飲む時の口元や仕草など、自動で撮ったにしては妙にアングルにも凝っていた。
それが流される時間が長くなればなるほど女性陣の怒りが増していく。
そして映像が終わる頃には全員が近くにいる場所取り組を凄い視線で睨んでいた。
その視線に晒されている場所取り組は一様にぶるぶる震えていた。

「...という訳なんですが、全員を独房に...となっても足りませんね。警察呼ぶのも体裁悪いですしね」
「警察は勘弁して貰いたいねぇ」
「そうね、悪評が立ちすぎるわ」

流石に100人規模の醜聞はネルガルにとって体裁が悪すぎるため、アカツキとエリナは顔がひきつっていた。

「なので、独房入りはウリバタケさんだけにして、全員に今からカメラの回収及び花見中の使い走りをして貰います。
それに加えて花見が終わった後の撤収と掃除も総て場所取り組のみなさんにやって貰おうと思いますが、どうでしょう?」
「回収もやらせたら、メモリーだけ回収されるんじゃないですか?」

女性陣の一人がアオの案に対して疑問に思う所を質問した。

「だいじょぶ。こっちでダイアとフローラが見張ってるからね。何かしたらすぐ教えてくれるよ」

その返答にほっと息を漏らした。
それ以外には何も意見がないようなので、その案で決定とした。

「じゃあ、そういう事にしちゃいましょう。では、ウリバタケさんを拘束して車へお願いします」

いつの間にかウリバタケの両脇に立っていた女性が車へと引きずっていく。
その背中は哀愁に塗れていた。

「場所取り組のみなさんはまずカメラの回収をお願いしますね。
その間にもご飯持ってきたりとか頼まれたらそちらを優先するようにして下さい。
では、中断してしまって申し訳ありませんでした。まだまだ夜はこれからなので一杯楽しんで下さいね」

そうして場所取り組は花見が終わるまで使い走りとして走りまわる事となった。
料理組で残った男性陣は自分が料理出来た事を心から喜んでいたらしい。

そんな事がありながらも花見は続いて行く...
しばらくして辺りも暗くなった頃、ルリとラピスはアオに寄り添い肩へ頭を乗せてのんびりとしていた。
アキト達他のみんなもふと会話を止めて、その様子を微笑ましそうに眺めつつそれを肴に呑んでいた。
そんな中、一斉に桜のライトアップが始まった。
柔らかい風に吹かれて舞い落ちる桜の花びらと桃色に彩られた桜の樹が綺麗に浮かび上がっている。
そしてアオが静かな声で呟いた。

「花見なんて初めてだったけど、こんな綺麗だとは思ってなかったよ...」
「アオさん、凄い綺麗ですね...」
「うん、綺麗...」

アオはふと遠い目をして、光の中で桜が散る様子を見るともなしに見ている。
ルリとラピスも同じようにしてアオと同じ何かを見ていた。
桜の樹を背にし、桜の花びらと光に包まれて物悲しげに何かを見上げるアオとルリとラピス。
そんな幻想的な雰囲気を纏う3人の様子が年相応には見えず儚げで美しく、そこにいる全員が思わず息を呑んだ...
エリナとマナカは何故か胸を締め付けられるような想いに駆られ無意識に胸を掻き抱いていた。
アカツキやアキト達は絵に描かれたような光景に頬を染めつつ呆然と眺めている。
それがどれくらい続いたのだろうか、ふと顔を戻したアオが妙な顔をした。

「え、なに?みんな変な顔してどうしたの?」
「あ...いや、それはこっちの台詞なんだけどねぇ」

自分が原因だと全く気付いてないアオにアカツキは苦笑しながら答えていた。
アカツキの言葉に全員頷くが、アオ達3人は首を傾げるばかりだった。

「いいけど...まだまだ時間もあるし一杯食べよう?」
「そうだね。そうしようかな」

それからは気を取り直したように会話と食事を再開し、遅くまで楽しく騒いでいた。


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