「ぐっ・・・」
急加速、急減速を繰り返し慣性制御にムチを打ち不規則に自らの相棒を疾走させていく
この広い宇宙の中、微かに見える赤いカメラアイが不気味に光りを放っている
燃料式スラスターを吹かして、攻撃を回避。
間を置かずにフルスロットルで距離を縮めていく、それにより
すさまじいGで体が軋み始める。
「っ・・・ぐぅ・・」
高熱の槍がビームキャノンから打ち出される
次々に命中していく、一機また一機と敵兵力は数を減らしていく
通常よりも強固なディストーションフィールドのおかげでダメージは通らず
当たったとしても、頑丈な鎧に阻まれたいした成果はあげれずにいる
<あの装甲!!あのキャノンの威力!!くそっ、死ねるかよ!!>
大量のミサイルの牽制を最高速度によりこれを突破し
<ぁ・・あぁ・・あの弾幕を抜けるのか?・・ば、化け物!!>
兵士達の帰る船を沈める
<冗談だろ・・・おい、雇い主!これではっきりゴーストだって証明されたわけだ!!
規約違反だぞ!!こんなの聞いてなっ!!くそ!!>
極力隙の無い機体制御を行い確実に撃墜数を増やしていく
おそらく、特注の耐Gスーツを着ただけではこのGには耐えられないだろう
五感がほぼ無い彼だからこそ痛みという感覚がないからこそ
<ゆ、幽霊は幽霊らしく墓に・・ひっ、ひひひひひひ>
高速の状態で一回転、急減速により急旋回を行うのと同時に狙ってくる敵は目標を見失う
そしてその敵めがけて急加速・・
<コレでしねぇぇ!!・・ぁ?どこだ、アラート?、後ろっ!?・・っ!!赤い目が!!赤ぃいぃ!!うぁぁぁああっ・・>
人間離れした高速機動をできるのか。
限界を認識できない体になったからこその、歪な力であり
そんな状態でこんな事をできる彼自信の力も、もはや通常の領域から一歩踏み出ている。
「残りは幾つだ。」
その問いにすぐさまアンサーが返って来る
[機動兵器:16 母艦:2 巡洋艦:4]
一瞬だけそのウィンドウに目をやり、次のターゲットに向かっていく
歯を食いしばり、Gに耐え憎悪の槍を放ち続ける
[マスター] [指示を]
ポツリと死神の鎌は頭を上げていく
<どうして牽制射撃がないんだ!!いからうちやがれ!!>
誰が気がついただろうか一直線上に全ての戦力が誘導されているなどと
「撃て。」
たった一言の命令で
[Yes. My master]
その鎌は全てをなぎ払った
[命中確認] [索敵中....]
少しだけシートに寄りかかり体を休める
日々こんな戦闘を繰り返している彼の体はもう限界なのかもしれない
機動戦艦ナデシコ IF STORY
In Case Of Another World ~もう一つの世界の場合には~
Presented by黒丸 葉っぱ
「ふぅ・・」
(最後の急減速は響いたな足が少し震えているな・・
そろそろ俺の最後も近い・・・と、いうことなのか)
軽い絶望感に襲われながらもう一人の相棒の報告を待った
[索敵完了] [戦闘宙域に残存敵機無し全滅を確認] [周辺宙域及びB級ジャンパーによる奇襲実行範囲に敵機無し]
「分かった、戻る。メンテ準備。」
[了解] [戦闘終了]
ユーチャリスの帰還はオートパイロットに任せて目を閉じシートに今度は完全にリラックスさせ寄りかかる
「はぁ・・・・」
ブラックサレナが格納庫に入ったのを振動で確認する
固定台に移動が完了し、ハッチが開く
昇降ワイヤーを使いサレナから降りて、ブリッジに向かう
(残党はあとどれ程いるのだろうか、アカツキからの情報ではまだ多いとのことだったが。
あの火星でのあの終り方では・・・やはり、草壁を脱獄させようとする部下はいるだろうしな・・)
[マスターどうされました?] [ご気分でも悪いのですか?]
顔を上げると目の前にウィンドウが表示されているのに気がついた
(相変わらずシンプルなやり取り・・・いやそっけないといった方がいいのかもしれない、だが
ナデシコのオモイカネは人間味が大きく出てきてはいたが、まだまだ子供だったからな・・)
「問題はない、考え事だ。」
[分かりました] [警告]
(警告?)
周辺にはなにもいない奇襲も考えられない、ということは・・!
「ナデシコか!?」
(まさか、早すぎる・・だがあいつらなら・・)
[いいえ] [0.57秒後足元にお気をつけ下さい] [段差です]
降ろそうとした足を止める
たしかに、段差になっておりこのままだとバランスをくずして転んでいただろう
だがそれほどのことで、わざわざ警告などだすだろうか?
ナデシコか!?などと慌てた自分がなんとも恥ずかしくなってくる
「あ、あぁ・・すまないな」
(意外と子供じみたところもあるのだろうか・・?
あのオモイカネのコピーなだけにありえるかもしれないな)
段差をバランスを崩さずに通る。
また小さく唸りながら考えにふけっているその後ろで
小さくウィンドウがでていたのは流石に気がつかなかっただろう
[おちゃめさんですねマスター] [しかし] [いつになったら気がつくのでしょうか]
なんて彼の纏う雰囲気と全く違う感想をAIの彼女に思われているその人は
身近の相棒に本質を日々暴かれつづけていた
「カネハナ、月ドックにジャンプだ。シーケンス開始」
[了解] [ジャンプシステム起動] [ジャンパーのイメージングをサポート開始]
子供の頃の思い出をおもいだすように、ジャンプ先の光景を頭に再生させていく
(アカツキがいて、エリナがいて、イネスさんがいて、セイヤさんがいて・・)
次第にはっきりと光景が頭の中で走馬灯のように流れていく
[ナノマシンの起動を確認] [イメージをジャンパーよりダウンロード] [状況異常なし]
そしてなによりも
(ラピス・・)
[ダウンロード完了] [インストール開始...]
(今日も家に帰ろう)
[インストール完了] [サポートサクセス] [ジャンプどうぞ]
(この大きな相棒と一緒に・・。)
「ジャンプ。」
[ジャンプアウト] [船体異常なし] [船員異常なし]
[船外環境異常有り] [状況確認...]
[完了]
[現在:西暦2196年12月25日][位置:地球/サセボ上空]
[Merry Christmas!! My master]
>>Next Another Story
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はじめまして、黒丸 葉っぱです
ほとんど衝動的に書いたようなもので、一応短編なのですが
プロローグのような物になってしまいました。
私的にはこの後のお話も書いていきたいと思うのですが
時間の都合もあり、なかなか書けないとおもいます
もし書けたら載せていきたいです。
誤字とか、日本語おかしかったり、英語違うとか
指摘してくださると嬉しいです
下手ですけれどもよろしくお願いします。
それでは、これにて
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