―佐世保―
光の粒子が拡散しその中から,青年が現れた。
青年の名はテンカワ・アキトと云う。
アキトは街を歩いていた,何か捜し物をしているだろう少しキョロキョロしていた。
と,アキトの眼にあるチラシが止まった。
アキトはチラシの内容を確認すると一人頷き,何処かへ駆けていった。
チラシには「機動兵器のテストパイロット募集中!!・経歴問わず・IFS必需・その他etc・・・応募の際はネルガルまで!」と,書いてあった。
―数ヶ月後 ネルガル機動兵器試験場―
アキトは現在ネルガルの機動兵器,エステバリス(通称エステ)のテストパイロットに成っていた。
ネルガルはアキトが火星出身者と云うこともあり(火星ではIFSが多用されている),すぐにテストパイロットにした。
当初,アキトは云われたとおりに機動実験や報告などをやっていただけなのだが,そのテストパイロットの中でも一番腕が良かったせいなのだろうか,改良点などを一度聞かれたことがあった。
そこでアキトが提案したのが,PDFSystemである(名付けは技術者だが)
内容は,手足の部位にディストーションフィールド(以下DF)を発生させられるようにする,と云う物である。
このシステムはすぐに実行に移され,良い結果を出すと,思われていた。
それはそうであろう,エステバリスの最大の武器は,現在エステバリスの一番,敵機動兵器に有効な武器だと思われているラピッドライフルでもなく,脚部に収納されているイミディエットナイフでもない。
DFを前方に纏い高速攻撃をするDFアタックである。
だが,これには欠点が有った,タイミングを合わせ,前方にしかDFを張れないので,アタック中に背後から攻撃されては無防備なのである。
そして,消費エネルギーも大きい。
そこら辺のタイミングを解っていて,IFSを付けている熟年パイロットは居ない。
なので,現在一番使われているのは,ラピッドライフルである。
話を戻そう・・・。
だが,このPDFSystemにも欠点が有った,手足にDFを発生させる事には成功したが,維持し続けられないのである。エステバリスはIFS,つまりパイロットのイメージにより動く機動兵器である,当然発生させるのはプログラムであるがDFを維持するのは,パイロットである(防御の際にでるDFとはまた違う)。
確かに維持し続けられる者は居た,だがそのまま戦闘行為にうつれるパイロットは少なかった,いや,通常の戦果を上げられるものは皆無であると云っても,過言ではなかった。
フィールド維持と戦闘行為をイメージし続けられなかったのである・・・発案者アキトを除いては。
アキトは,支部長室に喚ばれた(アキトの居る会社は本社ではなく,支部である)。
アキトは何故喚ばれたのかを向かいながら考えていた,職務態度は悪くなかった寧ろ良い方であった。
(まさかボーナスか?)
と考えたがすぐさま考えを辞めた,正社員でもないテストパイロットにボーナスが出るわけがない,と。
他にも2,3考えたが
(やはりアレだろうなぁ・・・・ハァ)
と,考えため息をついたとき,アキトは支部長室に着いていた。
コンコンッと,ノックし
「テンカワ・アキトです」
と,云う
返事が返ってきたので「失礼します」
ガチャッっと扉を開け中に入っていった。
そこには,有る意味予想内,ある意味では予想外な人物がアキトを待っていた・・・・・。
―後書き―
ボーナス云々は自分の考えです,バイトみたいな物かなと考えています・・・・。