6月26日 1650時(日本標準時)
東京都 ネルガル本社ビル
『マスター』
「なんだ?」
『実は部下から嘆願されまして、事情をマスターに話したいと…』
ダッシュが言いづらそうにしている。
「お前に部下なんて…」
明人が言いかけたその時、コミニュケからいくつものウインドウが現れる。
「!?」
ウインドウには黄色い昆虫に似た機械が写っていた。
かつて、ユーチャリスで明人たちの補佐をしていた無人兵器『バッタ』である。
『会長!僕達の話を聞いてください!!』
『ここ最近の僕らの扱いについてです!』
バッタは現在、天河邸とネルガル本社地下にあるユーチャリスの警備が主な仕事である。
『僕達はもっと自由な生活を要求します!』
『家に籠もってると体が鈍っちゃうんです!』
『天河邸は、僕達には狭いし…配置転換を!!』
『何言ってんだ!!お前らの方がいいよ、僕らは地下居るんだぞ!!そのうちキノコが生えてくるよ!!!』
『アキバに連れってください!!機械の聖地に!!!!』
『僕も行きたいな~。ここだとやることは警備以外じゃ、ネットやるくらいだからね』
『そうそう。僕らにはハッキング能力がないからね。僕は主に二次小説を読んでるよ』
『僕はいろんなブログ見てまわってるな~』
『僕は2ちゃ…』
『とにかく!!僕達の活動範囲を広げてください!!これは僕らバッタ12機全員の希望です』
明人は困った様子で少し考えると、
「…ダメ」
バッタの主張を却下した。
『ぶー!ぶー!』
『おーぼーだー!!』
『人(?)権侵害だー!!』
『AIにも自由をー!!』
バッタ達は不満不平を言いまくる。
「ダッシュ」
『……了解』
ダッシュはコミニュケの接続を絶った。
『ああぁぁぁ!きる……ブツッ』
そしてウインドウは全て消えた。
「ダッシュ…」
『何でしょう?』
「バッタに何がおきた?」
『バッタのAIは常に私と繋がっているので私の『自我』に感化されたのではないかと……推測ですけどね』
「……」
明人は頭を抱えた。
「だがおかしいぞ。あいつら記憶を並列化してるんだろ?何で固体ごとに人格が形成されてるんだ?」
『さあ?』(作者が『攻殻機動隊』にハマッてるだけなんですけどね…)
明人は溜め息をはくと、
「……まあいい。あいつ等にはECSを試験的に取り付ける」
『アキバに行かせる気ですか?』
「まあ、少しはいいだろ。ストレスで昔のお前みたいになるのはごめんだからな」
『ナデシコで軍を攻撃したときですね』
「ああ……さて終業時間だ。帰るか」
時計の針は既に17時をまわっていた。
6月26日 1730時(日本標準時)
東京都 某所
テッサは困っていた。
「あと少しで相良軍曹のセーフハウスなのに…」
研究所が襲撃された後、テッサはタクマを連れて置いてあった車を拝借し、安全確保のため相良宗介のセーフハウスに行こうとしていた。しかし、途中でガス欠になってしまったのである。ここから歩いて行けなくはないが、タクマはパジャマ姿であり、手錠もしている。警官に見られたらいろいろ面倒だ。
「どうしよう。いつまでもココにいる訳にはいかないし…」
今テッサはガス欠した車に乗っている。目の前には大きな家が建っており、車はその家の駐車場入口の真ん前に止まってしまったので住人には迷惑だろう。しかしテッサにはどうしようもなかった。
そうこうしていると一台の車がテッサの車の後ろに止まった。運転手がドアを開け出てくるとテッサの車に近づいてくる。この家の住人だろう。
「あの~。ココに入れたいんだけど…」
テッサは頭を下げて謝罪する。
「すみません。ちょうどこの場所でガス欠になってしま……って?」
頭を上げその人物を見るとテッサは言葉を失う。
なぜなら、そこに居たのはネルガル社の会長天河明人その人であったからだ。
あとがき
『攻殻』にハマッてるKIKIです。
すみません。やっちゃいました。
バッタとタチコマって似てません?
似てないって人はいると思うけど私は似てると思う!
え~、そんな訳でテッサは宗介ではなく明人に保護(?)されます。さてさてどうなることやら・・・