俺は今護身術部の前に立っている。
俺はかつて、この部の部長に不覚を取った。
惨めだった。意気揚々と乗り込んで敗れたのだ。
しかも後になって敗れた相手が女であることを知り、もっと惨めな気分を味わった。
しかし、冷静になって考えると思う所があった。
親父が死んでから今日まで自分に勝てる人間などいないと思っていた。
現に、俺を満足させる相手はいなかった。
それに俺は女は弱者だと思っていた。
これらの要因が俺に驕りをあたえたのかもしれん。
いや!あたえたのだ!!
それを天河は俺に教えてくれた。
「たのもぉぉ!!」
皆一同にこちらに振り向く。
「天河は居るか!!」
今日はメガネをかけている。
天河は………居た!!
「だれ?」
な!?覚えてないのか!!!
「忘れるな!!空手同好会の椿一成だ!!」
ま、まだ考えている。
暫らくすると何か気づいたようにこちらを見た。
「思い出したようだな」
よかった。忘れられると困る。
「何用?」
「まず、この前の一軒は俺が悪かった。このとおり謝る」
これは本心だ。
どんなに言い訳しても女の胸を触ったことに違いはない。
「用が済んだら帰って」
「そう焦るな。今日は言いたい事があって来た」
さて、ここからが本題だ。
「じ、実はな…」
……そういえばこのような場合どう言うべきなのだろう?
俺は今までこのような事をやったことがない。
「実は、その…」
どう言えばいいのだ?
「だから…」
何を言うか考えてくるべきだったな…
「一体何!?」
「つまりだな……」
ここは、俺の本心を聞いてもらおう。
「お前がほしい…」
…………。
なんだこの沈黙は?
まあいい、続けよう。
「お前の技、実に見事だ!俺自身くらってその技のすばらしさがよくわかった。そして目覚めたんだ。俺にはお前が必要だと!!」
「それはどうゆう意味?」
話してる途中になんだ?
「言葉どおりの意味だ」
…………。
なんだこの空気は?
「みんな。やっぱりこいつは変態よ!!」
………へっ?
「技をくらって目覚めた!?」
「何に!?」
「そんなの一つしかないじゃない!!」
「不潔…」
「まさか先輩でそんなことを考えてるなんて!!」
な!なぜだ!?
なぜそのような結論にたどり着く!?
「ま、待て!!」
「変態よ!変態!!」
俺はただ天河に空手同好会へ出稽古に来てほしいだけだ!
今思えば護身術とは実戦を意識したものだからな!!
「話を聞け!!天河に俺の道場に来て…」
「自分の部室に連れ込む気だったの!!」
違う!だんじて違う!!
「みんなどいて!!」
唐突に天河が叫ぶ。
天河!お前はわかってくれたか!!
「私が始末する」
全然わかってない。
「覚悟!!!!」
ここは冷静になってもらうしかない。
「今日はメガネをかけている!前回とは違う!!」
俺は瞬く間に天河を床に押さえ付けた。
「俺の話を聞いてもらうぞ!!俺はっ」
その刹那、俺は天河を離し後方に飛ぶ。
見ると他の部員がホウキやモップといった物を持っている。
あのままでいたらフルスイングが俺の頭に直撃していただろう。
「先輩!逃げてください!!」
「そんな!みんなを残して逃げるなんてできない!!」
「私たちは大丈夫です。だから早く!!」
「ゴメン!すぐに援軍を連れてくるから!!」
なんだかとんでもない事になってるような…
とにかく誤解を解かねば!!
「待て!話を聞け!!」
俺は目の前の女達を押しのけて天河の後を追った。
ヤバイ。
私は今変態に追われている。
それも腕の立つ変態にだ。
前に来た時に只者じゃないと思ったけどアレ程とは…
私は天河・ラピス・ラズリ。か弱き花の女子高生。
「待て!!!」
そんな!みんなが突破されるなんて!!
「みんなの犠牲は無駄にしない」
何とかしないと…
でもどうしよう。相手はかなりの変態だ。前よりパワーアップしてる。
「明人…」
そうだ明人に!!
………連絡する時間がない。
「待てー!俺の話を聞けー!!」
どうしようどうしようどうしよう。
そうだ!あそこに行けばいい!!
私は全速力である部屋に走った。
「あの場所に行きさえすれば…」
どれだけ走っただろうか。
やっとたどり着いた。
その部屋の看板が掛けられている。
『生徒会室』
私はすぐさまドアを開けた。
「あれ?ラピスどうしたの?」
相良!!相良は………居た!!!
「助けて!!校内に変態がいるの!!!」
私は相良に必死に訴えた。
あの変態を始末できるのは校内で相良だけだ。
「ええー!!」
「まぁ…」
かなめとお蓮さんは驚いた顔をしているが相良と林水は冷静だ。
「会長閣下」
「うむ」
生徒会長に確認を取ると相良は鞄から小型のショットガンを引き抜く。
「ちょっとラピス!!ホントなの!?」
かなめ心配してくれるんだ。
持つべきものは親友だね。
「うん。突然私の部室に現れたの。応戦したんだけど歯が立たなくて、相良なら何とかしてくれると思ったの」
「賢明な選択だ。今後もそうしろ」
「ちょっと宗介!」
「問題ない」
「いや、そうじゃなくて。殺しちゃダメだから」
「了解した。ゴム・スタン弾を使用する」
そう言って相良は廊下に出て行った。
『天河はどこだー!!!』
『お前が変態か』
『何だ貴様は!!』
『安全保障問題担当・生徒会長補佐官の相良宗介だ。これ以上、事を荒立てると為にならんぞ』
『退け!!貴様などにかまっている暇はない!!』
『そうはいかん!』
ドンッ!!
あ、銃声!
『貴様っ!!飛び道具とは卑怯だぞっ!!!』
『卑怯?相手より優れた装備を、適切・効果的に使用することのどこに問題がある』
『だまれっ!銃など認めん!!』
ここはもういいだろう。
「私道場に戻る。みんなが心配だから」
「へ?でも…」
「構わんよ。後は我々に任せたまえ」
林水の許可がでた。
「うん。後は相良に任せる」
こうして私は生徒会室を後にした。
ちなみに廊下では相良と変態が死闘を繰り広げてたから窓から失礼した。
「酷い目にあった」
あれから俺は生徒会の奴等に捕らえられ尋問させられた。
あの男、こちらの話を聞こうともしない。
苦労した。副会長が話を聞いてくれたので誤解は解けた。
千鳥かなめ。いい人だ。おかげでこうして家に帰れる。
それはそうとして、天河はなぜあんな勘違いをしたのだろうか?
「…まさか」
あれは天河の策略だったのでは?
本気を出した俺に敵わないと思った天河は、己の配下を使い俺を動揺させようとした。
それでも敵わないと知った天河は公的機関(生徒会)に俺を誘い込んだ…
「俺は一杯食わされたのかっ!!」
間違いない!
おのれ卑怯者め!!
次に会ったら………ん?
「桃色の髪…間違いない」
こんなところで天河に会えるとはな…
「天河っ!!!覚悟おおぉぉぉっっっ!!!!」
俺は問答無用で奴に突っ込んだ。
女であろうと容赦はしない。
武道家として…
「グェッ!!」
なんだと!みぞおちに…
そして俺は意識を失った。
「俺に挑戦するなど百年早い」
「明人早く行こ!」
「今行く。まったく、家の食材を切らすとは…天河明人一生の不覚」
あとがき(いいわけ)
『ふもっふ』編でした。
元ネタは銀色の髪の変態です。(わかるひとはわかる)
一成君が酷い目にあってます。
勝手に父親を殺しちゃったけどまずいかな…
>DFとLD
基本的にLDはDFで防げます。
ただし順安のような場合のみです。
あの時ガウルンは、
『機体をバラバラにする→衝撃をあたえる→衝撃波』
と考えたようです。
そのため、DFで防げました。
ガウルン自体、実戦でLDを使用したのは初めてですし、乗っていたASも試作機なので…
もし、DFの存在を理解していればDF無視して機体に痛打をあたえられます。
あと、宗介の様に「貫く(貫通する)イメージ」なら(威力によりますが)DFを破れるかもしれません。
>レーザー兵器、ビーム兵器
出ません。
仮にエステに装備したらエステ一機の値段はとんでもない額になる。
F-2の二の舞はしません。
P.S
現在フロントミッション5をやってます。
これ普通にフルメタの世界観でできる話だよ…
数年後の設定で、
ウォルター=宗介
リン=テッサorマオ
グレン=クルツ
にして、少し設定を変えればいけるんじゃないかな。(書かないけど…)