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No.308の一覧
[0] BLOOD 02[銘天](2006/05/18 00:17)
[1] BLOOD 02-1-1[銘天](2006/05/18 00:20)
[2] BLOOD 02-2[銘天](2006/05/18 23:25)
[3] BLOOD 02-3[銘天](2006/05/19 09:16)
[4] BLOOD 2-4[銘天](2006/05/20 23:26)
[5] BLOOD 2-5[銘天](2006/05/24 01:33)
[6] BLOOD 2-6[銘天](2006/05/24 05:48)
[7] BLOOD 2-7[銘天](2006/05/26 09:41)
[8] BLOOD 2-8[銘天](2006/05/28 07:56)
[9] BLOOD 2-9[銘天](2006/06/02 00:15)
[10] BLOOD 2-10[銘天](2006/06/02 09:14)
[11] BLOOD 2-1[銘天](2006/06/03 23:54)
[12] BLOOD 2-12[銘天](2006/06/05 00:00)
[13] BLOOD 2-13[銘天](2006/06/09 01:31)
[14] BLOOD 2-14[銘天](2006/06/11 10:07)
[15] BLOOD 2-15[銘天](2006/06/14 00:45)
[16] BLOOD 2-16[銘天](2006/06/18 09:26)
[17] BLOOD 2-17[銘天](2006/06/23 00:38)
[18] BLOOD 2-18[銘天](2006/06/23 10:46)
[19] BLOOD 2-19[銘天](2006/06/25 01:13)
[20] BLOOD 2-20[銘天](2006/06/30 00:03)
[21] 終わりと誰か[銘天](2006/06/30 08:55)
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[308] BLOOD 2-7
Name: 銘天 前を表示する / 次を表示する
Date: 2006/05/26 09:41
ボース粒子の反応がレーダーに感知されたと同時に、顕現する。
暗黒と発光フィールドの間に現れたのは白き剣。
ユーチャリスはブラビティーブラスト砲門4機すべてにエネルギー充填を終えてその重力の刃を放つ。
守備隊の薄いコロニーの外縁部の、さらに停泊区域より外れた空白の区間から放たれる剣は、コロニーの下方部をほぼ半壊させた。居住区と資材倉庫ユニット。そして遺跡が格納されていると思われる、中央の13ブロックはしっかりとはずしている。
「ジャンプアウト。お見事。」
「グラビティーブラスト直撃。半壊を確認。」
アイの賛辞を受けてからガンナーペレーターのサキの報告を受ける。
ラピスは集中していた意識を弛緩させることなく、すぐさまに艦防衛のためにエステバリス全機とバッタの出撃を開始する。
「資材についてはもったいない。バッタにて搾取行動をとる。是非を。」
ラピスの提唱にリンクからアキトの是が出る。そして、アイとサキも是であり、現在艦長席に座っているサキとゲストシートの山崎もだ。
その回答が帰ってくることにうなずき、ラピスはバッタの射出を開始させる。
黄色と黒の、8対2の比率のバッタが射出され。エステバリスが艦首カタパルトより出撃する。
「艦の防衛に4機とバッタ小隊を二つ。後はオーディン君のサポートについてもらいましょう。」
ゲストシートのヤマサキはラピスに提案する。三層に分かれたシートブロックの最下層からの視線に、ラピスはうなずいて指示を飛ばす。


「戦艦の単独ジャンプだと。」
ウインドウの向こうであせり、汗をかきかき報告してくる部下に対して、動座は再び問うた。その様子はとてもじゃないが正気ではないことを物語っている。
「確かに、戦艦のジャンプです。ネルガルでしょうか。」
戦艦が単独ジャンプ可能だということは、理論上では動座も理解していた。だがどうだ、実際に自分がやる前にそれは行われ、そして襲撃を受ける。
これほどの驚愕はないだろう。なぜだと動座は胸の袂で弾劾する。
「そこまで私は、運に見放されているのか。」
動座が人権を無視したのは、そちらのほうが効率がよいという考えだった。だが、世間から見ての彼は淘汰されるべき人種である。それよりも、人を守ってさらに発展を可能とする技術のほうが喜ばれた。
効率を重んじて何が悪いと彼は思う。
なぜそれを、世界の真実を理解しようともしない。と世界へと恨み言を漏らさず。
「で、私は解放していただけるんですか?」
後ろに手を回して手錠で捕らえられながらルリはその動座の様子を見守っていた。
驚いたことは確かだ、戦艦の単独ジャンプが可能だというのは戦争中に知っていたし、実際に体験すらしたことがある。
だが、この時代において単独ジャンプを可能とする人材と、連合宇宙軍の表向き所属艦隊に属さないのはただひとつ。特務部隊ファントムとユーチャリスだ。
彼らが来たのならば、生死すら問わない逮捕命令の元に徹底的な殺戮が行われるだろう。
どんに理性的な、効率的な説得が送られて、その内容を聞いても、彼らは無慈悲に殺戮を行う。そして生きているのだったら良いということから、たとえ手足が一本ぐらいなくなってでも逮捕を敢行する。

彼らは軍人の本質を体現している。
だが、それゆえに相容れない感情がルリには芽生えていた。

彼らとの交渉をルリは行ったことが4度ルリにはある。
確かに人間味にあふれた人材と、無感情な人材に溢れているが。通常の彼等は陽気ではないが、友好的である。
だが、戦い。特に人体実験を行っていた者に彼等の印象は払底する。
「少佐、まもなくですよ。」
通信ウインドウが消えてから、動座はなるほどという風に納得した。
「連合宇宙軍の隠しだねですか。機動兵器のジャンプはある程度受け止められた。だが、戦艦のジャンプとは驚かされましたよ。」
「私は詳細は知りませんがね。」
ルリは返して、目の前の車椅子の男が開けた隔壁。その向こうにある光景に驚愕し息を呑んだ。
「遺跡と、ナデシコA?」
一瞬それがなんだかわからなかった。確かに口に出したが現実感が伴われなかった。
なぜここにあれがあるのかがさっぱり分からなかったし、理解の範疇にあったといえよう。そして、遺跡を中心に据え、厳かにも受け止めるナデシコAの姿は神聖すら覚える。
「遺跡に関しての回収はあまり難しいこともなかったんです。ただナデシコAの艦内へとA級ジャンパーをジャンプさせればいい。最も浮遊したのを確保したのが実情ですがね。」
動座の説明を聞きながら納得できないルリがいた。
なぜそんなことになったのか、宇宙の彼方というのはそんなにも近いものだったのか、全く以って不条理。
「そして、接続用ジャックは用意させていただきました。」
動座が片手を挙げて指示を出す。
遺跡の発光。空気のあるドックのような場所はナデシコAの亡骸を中心としてあり、遺跡の光はひときわ目を見張る。だが、目を見張るのはその内にあるモノだった。
「艦長。」
長らくルリに与えられた役職だ。だが、ルリにとっての艦長は彼女自身をあらわす記号ではない。

ミスマルユリカ

可能性の試算は行っていなかった。馬鹿らしい、そうかもしれないが会うことは二度とないだろうと思っていた。
「睡眠状態で融合しています。」
ミスマルユリカの体は下半身から遺跡に融合していた。銀色へと肌や髪の毛を変えて、どう見ても元素組成からして変質していることがうかがえた。
「インターフェイスとしての役職、それが少佐の協力していただきたい役職です。楔としてA級ジャンパーは打ち込みました。夢を見ることすら許されない、深い眠り。そして、あなたは彼女と人間を、遺跡を人類をつないでほしい。」


前回ので「駆る」を間違ってた。スマンです。
ともかく感想いただけてうれしいです。あと、顔見知りな方も読んでいただいてうれしいですね。


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