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No.310の一覧
[0] 最終決戦[U.H](2006/07/18 12:36)
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[310] 最終決戦
Name: U.H
Date: 2006/07/18 12:36
火星極冠遺跡上空・・・

そこで黒き機体と、紅い機体を先頭に六つの機体が並び対峙していた。
沈黙を守りつつ、黒い機体「ブラックサレナ」に搭乗しているパイロット「テンカワ アキト」は
ついに来た決戦の時に自分の感情、主に「憎悪」をコントロールしていた。家族と暮らしていた日々・・・そこにあった確かな幸せ。
その全てを壊した元凶である男が、目の前の紅い機体「夜天光」に乗っているのだ。
「夜天光」に搭乗しているパイロット、「北辰衆」の隊長「北辰」は、目の前に立つ男「テンカワ
 アキト」の事を、懐かしむように見ていた・・・

(奴は昔の我だな・・・地球連合軍に妻と娘を奪われ、闇に囚われた時の我に似ている・・・)

 北辰も復讐に囚われて生きていた。今も形勢は、不利と解っていても「草壁 春樹」率いる「火星の後継者」による「地球連合軍」および「地球」に対する「熱血クーデター」に「影」と参加しているのだ。

(彼奴の憎しみは半端ではなかったというわけだ・・・我らをここまで追い詰めるとはな・・・
 しかし、ここで引けぬは我らも同じ!我が憎しみも未だに晴れぬまま・・・)
 「火星の後継者」たちの現状は、大変不利であった。地球連合に所属する機動戦艦「ナデシコC」
およびその艦長である「ホシノ ルリ」により、火星全域のシステムを掌握、完全停止させられていた。
 現状を打破するには、「ナデシコC」の撃沈、更なるハッキングを防ぐため、「ブラックサレナ」の近くにある戦艦「ユーチャリス」を撃沈。システムを復旧し、こちら側の士気を高揚させ「地球連邦軍」に「ボソンジャンプ」による奇襲攻撃を仕掛けて、
総司令である「ミスマル コウイチロウ」のいる本部を叩くしかない。
 しかし、それを黙ってやらせるほど目の前の男は、甘くはないだろう。

(この状況下で、長期戦闘を行なうは愚の骨頂。早期決着が望ましいが、そうも言ってられまい・・・「六連」(むづら)と共に一斉攻撃を仕掛け早期殲滅を重点にやるか・・・本来ならばこの者との決着はもっと相応しい場所にて着けたかったが、致し方あるまい・・・)

 人が卑劣と侮辱しようとも、勝利のためにどんな汚い仕事もやる。その仕事により、自分と同じ「闇」に囚われているここに立つ男との戦いは、苛烈を極め、いつどちらが死んでもおかしくはなかった。
そんな戦いをこのような形で終わらせるのは大変不本意だったのだ。
 
「作戦名は「神無月」にて一斉攻撃・・・即時殲滅だ。」

後ろに控える自分の部下たちにそう告げ、前にある黒い機動兵器に対し通信回線を開く。

「我らの二年に渡る長き因縁に・・・決着を着けよう。」

 静かに戦闘準備が整ったことを告げた。
「決着を着けよう。」

 その言葉を聴いた瞬間、抑えていた感情が溢れだした。
何もかもが綯い交ぜになった「それ」は抑えられるものではなかった。
感情に呼応し体中のナノマシンが熱を帯び、光を放つ。
熱さは気にならないが、「負」の感情を全て含んだ「憎悪」は滅多に動くことのない表情を歪めるのは簡単だった。

「・・・・・・」

 言葉は無い。
 しかし、いままで放ったことが無いぐらい強い殺気を北辰にぶつけた。
その殺気は漆黒のヘルメットとバイザー越しにも十分すぎるほどのものだった。
(この戦力差でも怯まぬか・・・よほど我を殺したいと見える・・・
 だが、この状況下に置いて真正面から突っ込んでくるつもりか?
 以前、戦った時よりもよほど強くなったのか、それとも理性より感情に先走る獣と成り果てたか・・・)

「・・・来るがいい、テンカワ アキト!我らの全力を持って叩かせてもらおう!」

「・・・いくぞ」

 この言葉を最後に彼らの決戦が始まった。全てにケリを着けるために・・・
 バーニアを吹かし、上空へと舞い上がる機体達。先手を打ったのは「ブラックサレナ」だった。

「障害は排除する。」

 「ブラックサレナ」の機体性能は、火力に劣るものの特筆すべきはこの世界に存在するどんな
機体よりも高度な機動を可能にしたことだ。
 そのため装甲を硬くする必要があり、さらにスピードを追求した結果、兵装がハンドカノンと胸部バルカン二丁ずつと硬い装甲および、高出力ディストーションフィールドによる体当たり攻撃のみなのだ。

 即座に一番近くにいる「六連」に、照準を合わせ両手に装備されたハンドカノンを乱射する。
しかし、当たったのは数発程度で、他は全て「六連」の独特な機動方法である「クグツ舞」で回避されてしまった。だが、アキトにはその数発で十分だった。なぜならその攻撃は、少し「六連」ディストーションフィールドの出力を削ることが目的だったからだ。

「・・・ジャンプ」

 弾丸の命中を確認すると他の「六連」の反撃を受けないように「ボソンジャンプ」の準備に入る。
ボソンジャンプとは、簡単にいえば「ワープ」の一種のようなものだ。
古代火星遺跡にあった「演算ユニット」を介して、遺跡のシステムにジャンプする意思と場所のイメージ
を行い、イメージされた場所に「跳ぶ」ことを言う。
 アキトの乗る「ブラックサレナ」は、「ボソンジャンプ」に対応した機体で、短距離と長距離に跳ぶ事が出来る。長距離に跳ぶには、「チューリップクリスタル」という「ボソン粒子」の結晶を必要とするが、短距離ならば「A級ジャンパー」であるアキトならば、「イメージリンク」を行なうだけで跳ぶ事が出来るのだ。

「馬鹿な!!こんな短時間に「跳躍」を行なうことができるとは!!!」

驚いたように叫ぶ北辰衆の一人。
その背後から「ジャンプアウト」してきた「ブラックサレナ」の体当たり・・・「ディストーションアタック」が襲った。

「む、無念!・・・ぐうぁ!!!」

 残っていたディストーションフィールド(以下フィールド)を貫通し本体を貫く「サレナ」
攻撃を受けた「六連」は爆散していった。

「烈風!!おのれぇ!!!」

 仲間の撃墜を目にして激昂し、攻撃を仕掛ける「六連」。
それを見越していたように突き出される「六連」の「釈杖」を右腕のハンドカノンで切り払い、
左腕ハンドカノンを「六連」の胸部に突き出す。

「・・・・・・」

そして、引き金を引いた。

「ぐわぁぁぁ!!!」

 またひとつ花が咲いた。
赤くて儚い花は、すぐに散ってしまった。何の感慨も抱けない。
昔のように敵を殺さないように手加減する術など、この三年間に忘れ去ってしまっていた。

(まさか、瞬く間に二人も屠るとはな・・・)

「功に焦るな・・・少しずつ力を殺いでいくように行くのだ。」

北辰の一言で落ち着きを取り戻す北辰衆。
クグツ舞を使い接近戦を仕掛ける。
残り四人によるコンビネーション攻撃をかけ、夜天光が隙を逃さないように「釈杖」による斬撃を見舞う
一転して、防御体勢を強いられるブラックサレナ。

「俺の邪魔を・・・するな!」

 そう吼えるように言うと脚部のスラスターを全開にし、一気に距離を取り、肩のブーストを使って右回りに
高速回転をかけ六連に突っ込む。
 六連は回避体勢に入りブラックサレナはかわしたが、サレナに付いていた「テールバインダー」をかわし切るのは叶わなかった。

「フィールドを貫通!?そんな・・・!隊長ぉ!!!」

「テールバインダー」は六連の頭部に直撃する。食い込んだテールバインダーを振り回し、
さらに近くの六連に叩きつける。

「う、迂闊っ!!・・・ぐはぁ!!!」

アキトは容赦をせずに、上空から一気に下降し、二体の六連を地面に叩きつける。
絶命し、動かなくなる六連×2。

「よもやここまでの戦闘力があるとは・・・」

呆然としたように呟く北辰衆。
ここにきて漸く気づいたのだ。目の前にいる黒き悪魔の真の実力を・・・

「ここにきて、このような事態が起こるとは・・・」

「しかし、我らも引けぬ!!行くぞ!!」

仲間を鼓舞し、サレナへと再度攻撃を再開する最後の六連二体。
その時なぜか、夜天光は動かなかった。

「・・・貴様らの動き、完全に見切った。」

アキトはそう言うと六連の進行方向に先回りし、ハンドカノンで六連一体を串刺しにする。
さらに残ったほうのハンドカノンで、コックピットを打ち抜いた。
悲鳴も上げられずに爆散していく六連。

「烈火!!おのれぇ!!」

仲間の最後をみて反撃に移ろうとするが、気づいたらすでにブラックサレナの射程範囲内だった。

「堕ちろ・・・」

ブラックサレナの射撃武装、「ハンドカノン」と「胸部バルカン」が火を吹いた。
それはフィールドを突破するには十分過ぎた。

「ここまでか・・・ぬわぁぁ!!」

北辰衆最後の一人が、堕ちて逝った・・・
(部下たちは、全滅か・・人の執念・・・)

本当ならとうの昔に堕ちていたであろうと思われた機体は、傷を負いながらも
自分の目の前に居る。
しかし、自分としては嬉しかった。ここで自分のなかでの「真の決着」をつけることが
出来そうだからだ。

「クックックッ・・・よくぞここまで・・・
 人の執念見せて貰った。」

笑いを交えながら、賛美を送る。

「勝負だ・・・!」

アキトは今まで溜め込んできた全ての感情を、吐き出すように強く答えた。
しばらくの間、にらみ合う様に対立していた両者だったが、合図が合ったように同時に動き出す。
ブラックサレナは体当たりを仕掛けようと突進を掛けるが、夜天光はいきなり後方へバーニアをかけて
一気に後退する。

(・・・どういうつもりだ?)

アキトはこの戦闘に入って、初めて相手の行動に疑問を持つ。
しかし考える間もなく、北辰が行動を起こす。

「迂闊なり・・・テンカワ アキト。」

降り注ぐ北辰の放った、ハンドミサイル。
かわすことにに必死で、肝心な北辰の動向に気を配っていなかった。

「!?・・・何処に」

その時、ブラックサレナに取り付けられているAIが、警報をかき鳴らす。

「ボソン反応!?・・・しまった!」

ミサイルを囮にして、自らはジャンプの準備に入りサレナの目の前にジャンプしたのだ。
即座にハンドカノンをむけるが・・・

「木連式 抜刀術 “飛燕”(ひえん)!」

上下段の二連続の斬撃によりハンドカノンは、一刀両断されてしまう。
ならばと、胸部バルカンを撃とうとするが・・・

「木連式 抜刀術 “沙羅時雨”(さらしぐれ)!」

無数の突きにより、発射口を破壊されてしまう。
執拗に続く突きにより、回避行動を取ることもボソンジャンプで逃げることも叶わなかった・・・

「怖かろう、悔しかろう!
 例え鎧を纏おうと、心の弱さは守れないのだ!!」

嘲笑うように聞こえる北辰の声。
確かに悔しかったが、それは今の状況のことではなく
昔の自分に守りきれなかった生活を悔やむ気持ちが強く湧き上がってきた。
笑顔の妻「ミスマル ユリカ」・・・
戦争後、義理の娘として引き取った「ホシノ ルリ」は暮らしていくうちに笑顔を見せてくれる
ようになった。その自分の理想を破った者に復讐を遂げることすら出来ずに落とされてしまうのか・・・

「・・・くっ!」

無理やりバーニアを全開にし、夜天光に突っ込む。
しかし、そんな些細な抵抗すら北辰は許さなかった。

突っ込んでくるサレナの胸部装甲に「釈杖」を叩き込むように投げつける。
サレナのフィールドを貫き、コックピットには当たらなくともダメージは充分だった。
衝撃で吹き飛ばされるサレナ。それに追い討ちを掛けるべく拳打の姿勢をとる夜天光。

「愚か也!・・・滅!!」

一気に間合いに入り、思いっきり力を込められた拳がサレナを襲った。

「木連式 格闘術 “破鎚”(はつい)!!」

さらにコックピットを狙った一撃だったが、アキトは咄嗟の機転を利かせてバーニアを吹かして、夜天光の拳を肩の「フィールドジェネレーター」で防ぐことに成功する。

「・・・何!?」

(ここにきて、さらにこのようなことが出来るのか!?)

そしてこの一瞬こそが、命運を分けた・・・
北辰が驚きに固まっている一瞬の隙を突いて、「ディストーションアタック」を掛ける。
夜天光は慌てて回避に移るが、少し遅かった。
逃げを打つ夜天光の胸部に、「テールバインダー」の一撃が襲った。

「ぬうぅ!!馬鹿な・・・衝撃で一時制御不能だと!?」

その一撃は、システムの一部をフリーズさせアキトの技の溜めの時間を稼ぐ。

「外部装甲フルパージ!」

ブラックサレナの装甲が全て剥がれ落ち、中から出てきたのは・・・
アキト専用の「エステバリス」だった。

「お前だけは・・・オレの手で倒す!!
 堕ちろ!・・・北辰!!!」

残るエネルギーを全てフィールドに回し、バーニアを最大出力で夜天光に突っ込んでいく。
アキトの一発限りの大技「ディストーションアタックS(エステバリス)」だ。
その一撃は北辰のコックピットを深く抉った・・・

「ごふっ・・・見事だ・・・。」

(やはりこうなったか・・・奴は我と一緒であったが、
 奴の執念には今一歩及ばなかったのだろう。)

しかし、北辰は満足感でいっぱいだった。
負けたとはいえ、自分の全てを出し切った上での敗北なのだ。

「・・・さらばだ・・・テンカワ アキト・・・」

崩れ落ちるように地上に落下して行き、地面で爆発し炎上した。

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

上空で荒い息を吐きながら、その炎を見ていた。
アキトはようやく終わった復讐劇に哀淡な気持ちを抱かずにはおれなかった。
憎しみを牙に変え、心に黒き鎧を身に纏い、血を吐く思いで訓練を受けた。
だが、終わってみるとなんとも虚しい気持ちを感じてしまい呆けていた。

「もう・・・戻れないのかな?
 貧しくも確かな幸せを感じられた・・・あのころに」

しかし、妻を助けるために自分がたくさんの人々を屠った事実は消えない。
そのうち指名手配犯になり、多くの追っ手に追われる身になるのだ。
いまさら引き返せるわけが無い。

「さようなら・・・ユリカ。
さようなら・・・ルリちゃん。
さようなら、ナデシコ・・・ユリカの愛した仲間たち・・・」
あとがき

お初にお目にかかります。U.Hと申すものです。
勢い込んで書いてみましたこの作品いかがでしたか?
とりあえず偽造しているものがあったり、北辰の技名勝手につけたり、
文章力が足りなさ過ぎたりしていますが、なにぶん処女作ですので大目に見てくださると
嬉しいです。
後、アキトと北辰の戦闘は「スーパーロボット大戦MX」と「A.C.E2(アナザーセンチュリーエピソード2)」
の技から作者が妄想したものです。(ディストーションアタックSとか・・・釈杖とか・・・)
少し解りにくいでしょうが、解る人には解るかと思います。
まあ、ようは劇場版の決着シーンをアキト一人でなおかつ、エースパイロット級で納めたと言うのがこの作品です。


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