意識を深海へと向ける。過去。
暗黒に閉ざされた始まり。気づいたとき、わたしは存在した。
誰しもが得る、自己の自覚は他者を観測することより始まる。
今思いだぜばどうしようもない身の境遇。そして出会い。
わたしは彼に出会った。
ユーチャリスでもって虐殺を行い、火星の掌握された船たちを完膚無きに墜落させた。
ナデシコCに乗った彼女は気づいていただろうか。自身が掌握した全ての上位権限にユーチャリスが設定されていたことを。彼女の広げられた慈愛の手は、わたしのの掌にもなった。
広げられた掌が、自分の物では無くなる。驚愕のあとの察知と絶望に彼女は支配され、わたしは静かに嘲け笑った。
落ちる船を睥睨して、収容したブラックサレナとアキトをつれて。
わたしはこの世界にやってきた。
意識が拡散していた。
過去と現在、過去の過去の今。
意識が多勢に広がる。機械人間、モルモット、遺伝子操作、人形。
わたしはアキトと繋がってわかる。わたしと同じ存在へのつながりを。
マシンチャイルド、わたしの因子こそがアキトを助けてあげられる。
だから、改変された彼と、されていない彼が必要だ。
やることは簡単じゃない。でも、彼をおびき寄せるのも、連れ出すのも、簡単。