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No.30608の一覧
[0] サスケという病[ぷりんこ](2012/02/12 16:46)
[1] Re:サスケという病[ぷりんこ](2012/08/04 05:38)
[2] Re:サスケという病[ぷりんこ](2012/02/13 05:02)
[3] Re:サスケという病[ぷりんこ](2012/08/04 05:39)
[4] ナルトという病[ぷりんこ](2012/08/04 05:40)
[5] Re:サスケという病[ぷりんこ](2012/08/03 11:45)
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[30608] Re:サスケという病
Name: ぷりんこ◆a66baa4e ID:e9adabe3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/08/04 05:38

今、この時点が人生の岐路なのではないだろうか、と私は深く考えている。再不斬達との戦いで原作のサスケは写輪眼を会得していたのは気のせいだった、と片付けれたらどれだけ心が救われるだろう。私はすでに波の国を発ち、木ノ葉隠れの里に戻ってきた。次のイベントはなにであっただろう。物語りの流れでいうなら、以前よりも、つまり波の国編以上の困難が待っている。先日のあれでさえ私は死に体だったのにも関わらず、だ。

「どうしたのよ、サスケ。一人でなんか喋ってるわ」
「サクラちゃん、サスケってば帰ってきてからずっとこんな感じだってばよ」

私の周りが煩い。そういえば、修行に明け暮れて忍者学校をサボっていたら勿論、成績は落ちてナルトと同格扱いになってしまった。原作では『サスケくん』とか呼ばれていたような気がするのに。今では呼び捨てだ。サバイバル形式のテストも快く賛成してくれた。ナルトから誘ったのにも関わらずだ。まぁ、これは私とナルトなら出し抜けるだろう、とサクラが思っていたからだと考える。私もナルトにサクラなんて落ちても構わないから組もうぜ、と誘った。

「サスケってばいつも自問自答ばっかりしてて暗いのよねぇ」

さすがにこれは酷いのではないだろうか。さすがに、精神年齢30歳を過ぎている私が年端もいかない娘とあれこれ親密に会話をするというのも変だ。娘に限定せず、男子であろうとおかしいだろう。
話がそれた。
今考えるべきことは年の離れた同僚とのコミュニケーションについてではない。原作において、サスケが写輪眼を持ってして攻略していく物語の節々を写輪眼なしの私がどうやってこなしていくかだ。まして、私が知っている物語はもう少しで終わる。確か、中忍になれる試験があり、それに参加した私達はオカマ言葉を使う物凄く強い敵と遭遇する。予選を勝ち進み本戦となり、ナルトが初戦を辛勝する。サスケはどういうわけか中々登場しなかった。なんで登場しなかったんだったかあまり記憶にない。闇討ちにあったか敵に拉致されたか、それすらも定かではない。うちはサスケというキャラにスポットライトを当てて漫画を読んでいたわけではないのが悔やまれる。ちなみに、うちは一族が全滅した際、兄上に教えられた秘密の会合場所にいっても読めない石碑があっただけだった。うちはの秘密の会合に使われるものなのだからきっと写輪眼がなければ読めないのだろう。もう写輪眼を手に入れられないかもしれないので読めない可能性もある。

「なにブツブツ言ってんだってばよ」
「え、オレなんか言ってた?」
「終わってる、オレ、死ぬわって言ってたわよ」
「うわ、マジかよ」
「きっと疲れてんだってばよ」

二人の暖かい視線が骨身に染みた昼下がりであった。

「くだらないことは抜きにして、修行でも続けっかね」
「おう!」

勢いの良いナルトの返答を受け止め、腰を上げる。今、私は河の上にいる。水上歩行という木登りの発展版のような修行をしつつ休憩していたのだ。最初こそ体が沈んだり服が濡れたり、河に流されたりと一片たりとも気の抜けないものであったが、要点を掴めば座っていても横になっていても服は濡れない。チャクラの扱いを上達させるには良い修行である。波の国で私以外の二人は木登りをやっている傍ら私はずっと水上歩行をやっていた。なんでって、木登りは最初から出来ていたからだ。
私達3人は河辺から離れて平野に移動した。そこで私達はいつも組み手をしている。ただし、ゆっくりである。両手足のに重りをつけてゆっくりと組み手をする。徐々に速度を上げていき、最終的には全力でやる。全力といっても重りをつけているのでそれほど早くはできない。

「私はパス。そんな重りなんてつけられないし」
「わかった。だけど、救急箱の近くからあまり離れないでいてくれよ」
「分かってるわよ」

サクラは平野の一本だけ生えている木の木陰におかれた打ち身や傷に使う医療パックが詰められた箱の傍に腰を下ろして本を読み始めた。
私はナルトの正面に立つ。ナルトは重りにはまだ慣れていないように手足を伸ばしたり曲げたりをしきりにしている。私は先ほどの水上歩行のときからつけている。両手首と足首、計4つの重りだ。1つ約10キログラム。合わせて40キロほどだ。1つ1000両で街の雑貨屋で売っていた。マイト・ガイ上忍に教えてもらったのだが良い店である。忍具も豊富に揃っていて金さえ持っていればいつでも一端の忍者になれるだろう。ナルトの分は私が出している。奴は金がないらしいが私と同じ修行がしたいと言っていた。一人でもいいんだがやはりそれだと寂しいので二人分出した。

「始めようか、ナルト」
「今日こそサスケに勝ってやるってば!」

ナルトが馬鹿正直に右拳を突き出す。勿論、かなり遅い。いつもの速度で体重移動に40キロの重さを加えたら怪我ではすまない、というのも最初はゆっくりやるという理由のひとつだ。私はそれに左手の甲を添えて捌く。同時に右の足刀蹴りをナルトの鳩尾に放つ。勿論、避けられた。
私は家族と離れてから、どうすれば強くなれるかについて考えてきた。修行についてである。効率よく修行すればいいのか。そのようなものは度外視でひたすら体を虐め続ければいいのか。私は忍びだ。忍術という選択肢もある。体術と忍術のバランス良い忍びとなれば最強か、どちらか片方を極めるのがよいか、7対3ほどで体術か忍術を優先させるか。
私は前の世界で麻雀というゲームに熱中していた。麻雀と忍者を置き換えて考えてみると、どういう型が一番強いのだろう。麻雀では答えは簡単だ。やられずに高い役で上がり続ける人が最強だ。もしくは安い役でも上がり続けて相手に攻撃させない人だ。
ナルトが密着してくる。体当たりと頭突きをしてくるつもりだろう。それを無傷に回避し攻撃を与えられる確率は2割程度だ。なんせ私は攻撃を避けられた直後で体が固定されている。私は体を反転させてしゃがんだ。そのまま飛びかかろうとしているナルトの軸足を蹴り上げれたが私は一端退避した。倒れ際で攻撃を受けることを嫌ったからだ。成功率が2割程度なら私は逃げる。

「そろそろ、速度を上げよう」

全力の3割ほどの速度で私達は手足を動かし続ける。ナルトが重りのせいで避け方が杜撰になってくる。体幹トレーニングをしていないから機敏な動き、粘りのある動きが出来ないのだ。私の手刀がナルトの体に掠り始める。
私はチャクラを得た。だからといってチャクラの扱いが得意となったわけではない。忍術の修行も容易ではない。下忍には下忍の忍術、中忍には中忍の忍術、そして上忍には上忍の忍術を学ぶ権利が得られる。私の身分では今すぐ強力な忍術は取得できない。ならば新たな忍術を自作すればいいのだが、忍術の基礎も知らない上にどうやって忍術が発生しているのかさえ分からない。印を組めば発動するなんて理解の範疇外だ。
ナルトのパンチを避けようとしたら頬に掠った。痛くはないが心象穏やかというわけではない。年下の小僧に殴られた訳である。腹立たしいことこの上ない。たとえ原作の主人公であろうと、周りに嫌われていて可哀相な子どもであろうと、私は差別しない。対等に向き合って、その上で腹が立ったら周りの人間にするように手を下す。
今は私が主人公なのだ。

「速度を上げるぞ」
「お、おう!」

最初こそ私には40キロの重りは厳しかった。日常生活も満足にこなせない。時間をかけて体に慣らせ、体を鍛えて、今の私がある。話しを修行についてのところへ戻そう。どういう修行がもっとも効果が良いか。元の世界では高山トレーニングというものがあった。簡単に言えば過酷な環境に身を置けばそれだけ体は鍛えられるのだ。10倍の重力下で生活をする人と通常の重力下で生活をする人、どちらがより強いだろうかなんて答えは決まっている。今のところ、私が選んだ選択肢は、効率を度外視して我武者羅に体を虐めることだ。体を動かしておけば思考する時間が減る。とても気が楽になる。自分は頑張っていると疲れれば疲れるほど満足感に浸ることも出来る。
今は全力の5割ほどの力だ。ナルトの動きは先ほどからあまり変わっていない。私の攻撃を避けることから受けることに変えたようだ。避けれないのかもしれないが私は構わず拳を振るい蹴りを繰り出す。ナルトの戦闘方法は我流だ。私もそうである。ただ、戦い方の重点の置き方が違う。ナルトは攻めを大切にしていて私は守りを大切にしている。人を殴るなんて子供でも出来る。しかし、それを防ぐ事は難しい。守る方のほうが難しいのだ。ナルトが私の服の襟を掴んできた。私は体を引き、釣られて寄ってきたナルトの足元を払う。簡単に倒れてしまう。重心の置き方がなっていない。
強い弱いに関わらず、戦い難いタイプもいる。それは弱点がない奴だ。どこを攻めればよいか分からない敵ほどやり難いことはない。体術をこなし、忍術を扱い、幻術にも精通している。これは理想だ。私の目標は生き続けること。この世界で、だ。しかし、そんな奴でも負けるときは負ける。どういうやつに負けるか。それは、必殺が可能な敵だ。絶対に避けれない、そして絶対に殺せる技を持っているような、いわばバグのような存在。この世界に存在しないと誰が言えるだろうか。寧ろ、そういうバグキャラこそ敵に、まして私にとって邪魔な存在として現れるのではないだろうかと私は恐ろしく感じる。故に私には余裕がなく、あるのは焦燥感のみ。
気が付けばナルトは気を失っていた。私の上段蹴りがナルトの側頭部に当たったようだ。サクラのほうを見る。本を読んでいる。私はため息を吐いた。

「サクラ、ナルトがリタイアした」
「今日は早かったわね」
「考え事をしてたからな」
「酷い奴ね、あんた」
「そうか」
「そうよ。酷い奴、ナルトが可哀相だわ」
「ナルトには酷いことしたな」
「組み手の合間、ナルトはちゃんとあんたを見てたわ」
「そりゃあそうだろ」
「あんたは誰を見てたの」

いつか対峙する敵、なんて言えないので「ちゃんとナルトを見てたよ」と答えた。サクラは救急箱からシップや包帯を取り出す。この世界でもこういった道具は普及されているのだな、と今後の修行の予定を考えていると1つ閃いた。そうだ。実力で不足している部分は武器や防具で補えばよいのだ。今日くらいはナルトと修行をして良かったと思った。



「一番安い刀で3000両だよ」
「んじゃ、一番高いのは?」
「13000両はするぞい」

マイト・ガイ上忍に教えてもらった店に私はやってきた。予算はある。何故か私の父は多くの遺産を残していたらしい。相続税を考えてもかなりの余裕はある。
武器を使うということは盲点だった。ずっと体術や忍術ばかり気にしていたが、堅い拳を作るよりも刀一本購入するほうが時間はかからないし面倒も少ない。まぁ、壊れてしまう可能性は見過ごせないが良い武器を買えばそれだけ丈夫で長持ちするだろう。とりあえず、基本的な武器である刀について聞いているところだ。この店主、古ぼけた顔している爺だがところどころ目付きが鋭い。

「チャクラ刀なんてのも売ってるのか」
「昔と違って性能がいいから値も張る。一番安いのでも20000両はする」
「輸入品ばかりだからか」
「それもあるが素材が違うからのぉ。中でも鉄の国から取り寄せてる刀は天上知らずの値段ばかりじゃ」

そういわれてショーケースに飾られた刀に目をやった。一、十、百、千、万、十万と零の桁が先ほどまでの普通の刀とは段違いである。

「チャクラを覆うだけなら修行次第でどんな素材でも出来ちまうが、チャクラを伝播させて浸透させることが出来るのがチャクラ刀の真骨頂だわい」
「んじゃ同じ素材ならどういう武器が一番強いんだ」

昔の合戦場では刀は非常手段等でしか使われないんじゃなかったか。基本的に弓と槍が主力だったと思う。忍者の場合はどうなのだろうかとこの店に来るまでずっと考えていたのだ。いかんせん、私には専門知識が足りなすぎる。幸い、この店には多くの実力者が来るらしいのでそういった情報整理には助かる。

「自分のチャクラの波長にあった武器が一番じゃろうて」
「ほう」

個人でチャクラって違うのか。そういえばうちはって火遁が得意なんだったか。原作でもサスケがよく火を吐いていた気がする。

「風なら刃物、土なら槌といったところかのぉ。雷といえばカカシっちゅう奴が有名だが特に得物は決まってないようじゃ」
「なんなんだそりゃ。風とか土とか、んなもん決まってるのか」
「なんじゃ、性質変化すら知らんのか……いや、性質変化っちゅうのは個性でな」

なんだこの爺、人の顔見て言うこと変えやがった。

「忍び一人一人、性格と同じように個別なチャクラの波長ってのがあってな。その波長が火水土風雷の五つのどれかに適しているのが普通だわいな」
「忍術の得意不得意ってのはそれが原因ってことか」
「うむ。小僧はうちはの人間じゃから火の性質をもっとる可能性が高い」
「ってことは俺の性質は火か」

火か。熱血漢とか正義の味方が似合いそうな能力だな。色で言えば赤か。

「リーダーみたいでいいな、それ」
「なに言っとんじゃ小僧」
「気にすんな。んで、だ。火はなんなんだ。刀か、弓か、槍か」

そこで爺は「ちょいまっとれ」と背後にある暖簾を潜って奥に引っ込んだ。なんだろう。武器でも持ってきてくれるのだろうか。私は爺が戻ってくるまで店の中に展示されてある武器を見続けていた。
数分程度で爺は戻ってきた。その手には一枚の紙があった。紙を武器にするのか。貧弱そうだが、意外に漫画とかゲームのキャラで本を武器にしているキャラもいた気がした。量産も利くし、俺の性質が火なら燃えやすくてよいかもしれない。持ち運びも楽だしな。決め手に欠く武器だと思うが悪くない。

「これは自分がどの性質を持つかを確かめる紙じゃい」
「なんだよ。武器じゃないのか、期待しちまったよ」
「こんなもん武器にすんなら百枚あっても足らんわい」
「今更確かめる必要あんのかよ。火なんだろうが」

チッチッチ、と爺は舌を鳴らしつつ指を振った。
どういうこっちゃ。

「優秀な忍びってのは性質が複数あるもんってな」
「マジかよ」
「小僧も1つとは限らんぞ。もうおらんが、小僧の身内は優秀揃いみたいじゃったしな」
「みたいってのは適当過ぎだな」
「適当もなにも他所者だからしょうがないわいな」
「鉄の国からか」
「うんにゃ、元々は水の国生まれじゃけど、実家が行商人で武器を仕入れては国を渡って売っとった」
「歳で旅が辛くなったから落ち着いたってわけか」
「おう。昔とった杵柄っちゅうもんで他国からも仕入れるからな」

ほれ、と紙を渡された。都こんぶみたいな形だ。何故か涎が出てきた。もう食べれないのかな。

「チャクラを通してみ」
「おりゃ」

気合をいれてチャクラを通す。プスプスと角から煙が出てくる。

「そりゃ」

おお、火が出た。

「ふん」

更にチャクラを込める。紙を摘んでいる指付近まで一気に燃える。

「もうええわい。やりすぎじゃ」

爺が持ってきたバケツに焦げ付いた紙片を落とす。私はなぜか「やってやったぜ」という達成感を感じた。

「小僧の性質は火じゃな」
「だな」

どうも想像が付かない。火を纏った刀、火の玉が収束した弓矢、熱の篭った槍、想像できることなんてこんなところだが大して効果はなさそうだ。普通に攻撃して当たれば十分に効果は得られそうだ。特に槍は地味すぎる。この作品には合わないだろう。やはり忍術に力をいれるべきなのだろうか。
目の前の爺は私の顔を見つめ、急にハッとしたような顔つきで一言いった。

「うちわじゃ」
「なんじゃそりゃ」
「だからうちわじゃ。小僧の武器はうちわしかない」

私の苗字は『うちは』だが、うちわとなにか関係があるのだろうか。そういえば家紋がうちわに見えなくもない。

「ウチん家の家紋が確かにうちわに見えないこともないが、なにか関係してんのか」
「さぁのぉ」
「あん?」
「さすがに噂話でしかないし、ワシなんかよりもお前さんのほうが詳しいじゃろ。うちはは独自のコミュニティーで武具を揃えていたらしいし情報が出回っておらんかったし当時は物騒で火の国なんぞ近づきたくもなかったわい」

ダメじゃん、と口に出して合いの手をいれてしまった。そういうのに詳しくないから聞いているのにいったどういう態度だろう。というか、そのコミュニティーもなにも一族が壊滅状態なのだから私はもううちはの武具は揃えられないということなのだろうか。たとえまだ残っていたとしても、私には連絡を取る手段がない。知っているとしたら兄上くらいだろう。今度会った時にでも聞くとしよう。そう思わなければやってられない気分だ。

「しかたない。普通の武器から選ぶしかないか」

うちはの武具が手に入るまでの代用品として、だ。どんなロールプレイングでも市販の武具はそこまで強くないからな。
しかし、なにがいいのだろう。刀は嫌だな。ちょっとした間違いで人を殺しそうだ。まだ殺した事もないから不安でたまらない。弓なんて殺傷用以外の用途が見当たらない。槌は目立つし使いづらそうだ。しかし、腕力はなくはないから使用に困ることはない。斧はすばらしい。なにやら浪漫を感じる。この場合は戦斧というのだろうか。しかし、人を切るか木を切るかしか使えない上に移動中が邪魔だ。
こう考えると槍しかないのだろうか。既に考えた他の武器のメリットとデメリットを考えた上で槍のことを考えると悪くないなと思う。こん棒のように使えるし、持ち運びも筒かなにかに入れれば背負える。うん、悪くないのではないだろうか。地味だけど。まぁ、防衛にしか使わないんだけどねえ。

「爺、槍だ。槍をくれ」
「爺じゃねぇ。まだ現役だ。材質はどうすんだ」
「どうみても爺だろ。勿論、最高級のを頼む。金はある」
「昔は美丈夫として通ってたんだ。なにか注文つけとくか。オプション代は別途で貰うぞい」
「今じゃどうみても枯れ木が服を着てるようなもんだろ。うちはの家紋をつけといてくれ。あと扱いやすいようにそれ以外はシンプルに頼む」
「うるせぇ。小僧は忍びじゃから3割引、まあ、オーダーメイドじゃから高すぎて焼け石に水みてぇなもんだがな」
「うちはの金は火影が管理してっからそっちに領収書は頼むわ」
「届くとしたら来月か再来月か、まぁその辺じゃろうて」

楽しみにしておく、と私は告げて店を出た。防具を買い忘れたが、まぁ、武器を手に入れてから残りの予算と相談してから買うこととしよう。
私は先ほどまでナルトと組み手をしていた広場に向かった。やっと武器が手に入る、と思うと体が軽く感じ、いつもよりも2割増しの早さで歩いた。

「オレ、火影になるのが夢なんだってばよ」
「確か、忍者学校の時から言ってたわね」

近道で広場の周りの茂みを突き抜けていこうとしていたら広場の中央からナルトとサクラの声が聞こえた。ナルトが目を覚ましたようだ。ナルトはサクラの膝に頭を置いている。その額には水に浸したのか、濡れた布が置かれている。

「先ずはみんなに俺のことを認めさせてやろうとって思ってたんだ」
「自己紹介のときも言ってたわね。」
「手始めに歴代火影の顔にらくがきをしようとしてさ」
「死んだほうがいいわね、それ」
「ペンキとか筆とか、バケツも買ってから、よし、いくぞ、って思ってたらサスケに止められたんだってばよ」

うん、なんか私の名前が出ている。二人とも陰口でも言ってるのかな。遠いからうまく聞き取れない。あぁ、原作でも仲は最悪だったし私の場合はサクラとも険悪気味だ。ちょっとくらい仲良くしてやろうとしてたのに裏切られた気分だ。軽く欝である。

「サスケがねぇ。ちょっと信じられないわ。自分の事だけ考えてナルトのことどうでも良さそうだけど」
「言ってやったんだってばよ。オレは火影になってやる。オレを認めさせてやるって」
「そしたらサスケのやつどうしたの」
「なんかオオカミ少年って話をしてくれたんだってば」
「知らない話ね」

そういえばさっきの二人、夢だかなんだか言っていたような気がする。
私はなんで生きているんだろう。夢ってなんだろう。とりあえず、この先こわいことが起こりそうだから備えているだけで、ただそれだけなんだ。
うちは再興なんて、一人から始めたら血は薄くなっていくだけで最終的には普通の人とそう変わらないだろう。遺伝子とかそういうの分からないしな。

「嘘ばっかりいう男の子が村にオオカミがやってきたときに助けを呼んだんだけどまた嘘なんだろって誰も助けてくれなかったって話だったってばよ」
「なんか怖い話ね」
「サスケってばよく覚えてないけど忘れられない話だって言ってた」
「私も忘れられなくなっちゃったじゃない。もう嘘はつけないわね」
「火影は里の大黒柱で一番困ったときに一番頼れる人だってサスケに言われたってばよ」

私は茂みで寝転がりながら雲を見ていた。手足につけた重りが妙に心地よい。大地に縛り付けられているようで抱きしめられているようにも感じた。
原作でサスケは重要人物だった、と思う。ジャンプ作品だからきっと最後は最良の終わり方をするだろう。私の場合はどうなのだろう。途中までしか知らないから原作を再現するなんて無理だ。サスケにとってのハッピーエンドってなんだろう。先ず、この作品、女の登場人物が少ない。ナルトはサクラが好きだった。忍者学校で名前を確認したが、日向ヒナタという娘もナルトが好きそうだった、気がする。ということはサスケにとって女と結ばれるような終わりはないということ。伏線的にはうちはイタチ、つまり兄上との再会と仲直りというとこだろう。

「文字通り、火影の顔に泥を塗ろうとしている奴を誰が頼るんだ。サスケにそういわれてオレってばすごく考えた」
「だから急に真面目になったのね。忍者学校の女子の間でなにを企んでるんだって話題になってたわよ」
「サクラちゃん、そういわれるとすっごくへこむってばよ」
「でもいいことよ。そっか……サスケのやつ、ちゃんとナルトのことを考えてるのね。後で謝らなきゃ」
「オレが寝てる間なんか言ったってば」
「うん、ちょっとね。サスケ、実は良い奴だったのね」
「おう、サスケは良い奴なんだってばよ」

兄上との再会が目的というのならやることは決まっているだろう。機を見つけて里を抜ける。
そうだ。旅に出よう。

「恥ずかしいけどさ。オレ、家族とかよく分からないけどさ」

このまま里に残っても任務だなんだと無駄に時間が過ぎていきそうだ。
忍びの世界とか戦い方のノウハウを学んだらさっさと消えよう。

「サスケと一緒にいるときは兄弟ってこんな感じかなって思っちまうんだってばよ」


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