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若槻さん、幣原さん。さようなら。
お二人の在任中に満洲事変勃発。
すべての対応が後手後手に回り、迷走に迷走を重ね、有効な対策を何ひとつ取れないまま、全世界からのバッシングの矢面に立たされ続けた、日本史上最低の内閣。
さぞや私たちを怨んでいらっしゃるかと思いますが、不運だったなんて思わないでくださいね。
四年前のこと、覚えてらっしゃいますか。
あの時から、復讐の歯車は回っていたんです。
あなたたちが、よりにもよって、またもや、日本の命運を背負う立場に舞い戻った。
背負っていただきました。
ご満足いただけましたかしら。
実際のところ、この内閣だからこそ、計画は実行に移された。
あなたたちがいたからこそ、完璧なまでのシナリオが描けた。
必然かつ重要な、パズルのピースだったんです。
おわかりですか?
わかっていただけたら、もう二度と、私たちの前に現れないでいただきましょう。
ご冥福をお祈りいたします。
さようなら。
2591年12月13日。新内閣誕生です。
首相、犬養ツヨシ。
軽く記憶にあるんですが、何やった人だったかな。76歳のおじいちゃんです。事態収拾という大役を担わされてますから、未来ある人はやりたがらないのでしょう。軍歴はありません。外相も兼任。またかー。田中義一のときより悪条件。誰もやりたがらないのか。そうだろうな。
陸相、荒木サダヲ。
ついに出てきました、皇軍先生。この人は頼りになりそうです。実は内通者の一人でした。関東軍との連携を謀ってくれます。
海相、大角ミネオ。
知らない人です。もともと日本の陸軍と海軍って連携とってないのですが、荒木さんの根回しが効いてるってことらしいので、お手伝いいただけるとなれば、有難し。
蔵相、高橋コレキヨさん。
この方もおじいちゃんで、よく出てくる人ですね。さっそく戦費調達のため公債を発行すると言ってます。ワカツキそれすらやってなかったんかい。内地では関東軍を応援してくれてる国民も多いので、これは、たすかりますね。一緒に、盛り上げていきましょう。
最後に。これは、わざわざ言うべきかスルーすべきか迷いましたが。言っちゃえ。
文相、ハトヤマ一郎。
濱口首相をいじめ殺した男でしたね。文部大臣?正気ですか?先が思いやられます。お前が勉強しろ。人の道とは何たるかを勉強しろ今すぐに。誰だよコイツ選んだの。犬養さんですか。そうですか。私はこの首相には期待しません。今回はツナギだと判断します。せざるを得ません。
内閣もフルチェンジしましたからってことで、三宅坂の参謀本部から新しい担当さんが挨拶に参りますって連絡きてます。岡村さん。
マトモな人だといいけど。だとしても、交渉役をこれ以上コロコロ替えるのやめてもらえませんかしら。
前にも言いましたけど。毎回イチから説明させられて、そんな話聞いてませんでしたって驚かれるの、ほんと時間のムダだし、相手との友好度をひたすら下げる効果しか生まないと思うんですね。おわかりですか?
日本への敵意と軽蔑心を焚きつけることが目的なら、お望み通りになってますけど。