日付が変わり、とうとう最終日。
健人と琴音は午前6時過ぎに起き、移動する準備をしてテントを片付けた。なんだかんだ言ってもうこれでこの家出中にテントを使うのは最後だった。
テントを片付けた直後、麗佳から写真が送られてきたので、琴音と一緒にその写真を見た。健人からは「何かすごいねwどうやって撮ったの?」と返事し、麗佳から「隆俊が起きる前に上に乗って手を繋いで驚かせたw」と返信が来たため、健人は「これやったら琴音さんすごい驚きそうw隆俊でこれだもんw」と返信した。琴音も「私がいきなりやられたら本当すごい驚くな〜。まぁ、健人君だったら驚くのよりも嬉しいの方が勝つかもしれないけど。」と笑いながら言った。
その後、健人達は写真の話で少し盛り上がり、しばらくしてスマホをしまった。そろそろ行かないと混み始めるからと、2人は自転車に乗って海老名SAに行き、朝食を食べた。
琴音「にしてもここ本当に景色いいね〜。健人君と一緒に来といて良かった〜。」
健人「本当?それは良かった。俺も琴音さんと来れて良かったよ。」
2人はそう言うと、少し抱き合ってキスをした。その後、朝食を食べ終わり、片付けをして写真を撮り、お土産でメロンパンを買って海老名SAを後にした。その後、2人はしばらく話しながら自転車で移動した。
琴音「本当、今度機会があったら健人君と一緒に遺跡めぐりしたいな〜。」
健人「本当それな、今回の家出で出来なかったけどまじで行きたいよね〜。本当、LINE交換しておいて良かったわ...」
琴音「あはは。まぁ、私達一応カップルだからね〜。」
琴音達はそう話しながら、出会った戸沢橋に向かってゆっくりと向かって行った。もう、これからは会えるのが限られてくると考えると、2人はものすごく寂しくなったが、遠くからでもお互いのことを想い合え、お互いの事を好きで居られると信じた。
そうしてしばらく自転車で移動すると、戸沢橋に着いた。ここが自分達の出会った場所。初日の午後にすごい話したなぁ、なんて思いながら自転車をリュックの中に入れ、2人は手を繋ぎ、そして歩いて橋を渡り始めた。これまでにないくらい強く2人は強く手を握った。そして、とうとう琴音が健人に声をかけた場所に着いた。この日は、あの時とは違ってものすごい晴れていた。だけれど、小雨が降っていた。すなわち、それは天気雨だった。
琴音「そういや私達、どっちも親の行動が嫌だからって家出してきて、ここで会ったんだよねぇ。本当、この30日で自分が信じられないくらい前を向けたなぁ。これも健人君のおかげだね。」
健人「そんな、照れるよ。(笑)まぁ、初日はそんなことも言ってたよね。俺も実は琴音さんが居なかったら今日はもう居なかったかもしれない。琴音さん、この30日間、本当にありがとう。マジで楽しかった。」
琴音「こちらこそありがとう、健人くん。私もすごい楽しかったよ。何か...恋人が居るって、すごいいいよね。何か、自分が前を向くきっかけになれるからさ。」
琴音がそう言うと、健人も共感した。天気雨も止み、2人は少し話した後、お互いキスをして抱き合った。これでもう、この家出中最後の2人での時間。
健人「琴音さん。もう俺たちはここで別れるけど、元気でね。俺たち、カップルだからさ。次会う時も、ちゃんと2人で遺跡巡り出来るようにしよ。」
琴音「そうだね。健人君も、元気でね。そして、2人で遺跡巡りしよ。じゃ、私はこれで帰るね。じゃあね、健人君。また今度ね。」
健人「じゃあね、琴音さん。また今度ね。」
健人はそう言って琴音に再びキスをした。琴音もすかさず、キスをし返して、2人は戸沢橋の上で離れた。それぞれ、帰宅の道に帰った...と思われたが、今は昼。という事なので、2人の家出は別々ながらも午後も続くのであったー。
健人編、琴音編に続く