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No.16916の一覧
[0] THE BIRDMAN (旧題:幼女が正義の味方を召喚しました(クラフトソード)チラ裏から移動してました)[偽馬鹿](2010/06/09 13:29)
[1] バーゲンとツンデレと素敵マスク[偽馬鹿](2010/12/03 23:27)
[2] 激しくなる勘違い、そして嫉妬[偽馬鹿](2010/12/03 23:28)
[3] 新たなる敵とおっさん[偽馬鹿](2010/04/12 16:55)
[4] プラティのお小遣いは、月1250バームです[偽馬鹿](2010/04/30 23:31)
[5] ツンデレ鍛聖とヤンデレ悪魔と[偽馬鹿](2010/05/14 20:22)
[6] 新ジャンル・ツンヤンデレ。それと幼女祭り[偽馬鹿](2010/06/09 13:34)
[7] 斬った張ったで締め上げた。そしてゆーしゃは決闘者[偽馬鹿](2010/12/03 23:38)
[8] ファザコンマキシマム![偽馬鹿](2011/12/27 01:52)
[9] 馬鹿やごく一部の病気は死んでも治らない[偽馬鹿](2011/12/27 14:18)
[10] 秘密は隠すもの でもバレるもの[偽馬鹿](2012/07/16 01:31)
[11] 返信と設定[偽馬鹿](2012/07/16 01:39)
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[16916] 秘密は隠すもの でもバレるもの
Name: 偽馬鹿◆5925873b ID:0acd115d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/07/16 01:31
「―――――うわぁ……!」

アレクの後ろをついて行って辿り着いた先で、本当に花が咲いていた。
といっても、全部同じ種類の花だった。
それでも凄く綺麗で、悩み事なんて消し飛んでしまいそう。

……悩み事がないのがわたしの悩みみたいなもんだけど。



少し落ち込んだけど、それよりも先にラジィを探さないと。
トキは金なり早起きは三門の得だっけ?
早いことはいいことっていう意味だった気がする。

そんなわけで、探検開始。
結構広いから時間かかりそうだけど、ここにいるならきっと見つかるはず。
隠れる場所なんてほとんどないんだから、当然だけど。



「……あ、アネキ」

思ったとおり、ラジィはすぐに見つかった。
一番大きな花の影にひざを抱えて隠れてた。
なんだか不思議な花だけど、どんな名前なんだろう。

「……ねえラジィ、この花の名前って知ってる?」

いつもここに来てるラジィなら知ってるかな、と思って聞いてみる。
ちてきこーきしんという奴である。

「知らないよ」
「へ……?」

だから、こんな返事が返ってくるなんて思ってなくて、ちょっと驚いた。
だって、名前も知らない花で花畑を作ろうだなんて、普通思わないじゃない。

と思ったけど、なんだかラジィにも理由があるみたい。
昔を思い出してるみたいな顔をしてから、喋りだした。
……まるで昔を思い出してるお母さんみたいな顔してる。









「あのね、アネキ―――――」









……ラジィの話を聞くと、この花に思い出があるみたい。
ずっと前に、ブロンさんに怒られて落ち込んでいたラジィが、同じ花をもらったことがあったんだって。
その時の人の格好が、変なマスクつけた男の人だっていうのも聞いた。

……もしかしてアレク?
そう思ってアレクを指差してみたけど、もっと変だったって。



……いや、アレクのあれは変じゃないよ。
他の人とセンスがズレてるだけだから。
だから落ち込まないでちょっと面倒臭いから!




…………もっと落ち込んじゃった。


















膝抱えて転がってるアレクを放置して、わたしはラジィと話をする。
もうすぐ警備が強化されるから、暫く出れないってラジィが言ったからだ。
そういうことがわかるくらい忍び込んでるのに見つかってないなんて、逆に凄い。

時間もできたし、色々聞いてみようと思う。
実を言うと、あんまり同年代の子と話したことないんだよね、わたし。
サナレくらい……かな?
あとバニラだっけ、あの男の子?

なんでか友達少なかったんだよねーわたし。
どうしてだろう?



…………少し前に出没してたマスクつけてた女の人と特訓とかしてたせいかな?
『ハイパーデンジャラスアルティメットクオリティインモラルバーストアルティメットドラゴンクロウ』っていう槍を貸してもらったけど、重くて全く動かせなかったんだよね。
あの人は片手で振り回してたのに……。



じゃなくて。
今はラジィと話してるんだから、昔のことは後回し。



ラジィと話してみてわかったけど、この子も友達があんまりいないみたい。
元気な子だからいっぱいいると思ってたけど、なんだか元気すぎるのが原因みたい。
ラジィが遊ぼうとすると、他の子がついていけなくなっちゃうから、遊べなかったんだって。

それで、遠慮するようになったラジィがこの花畑を見つけて入り浸るようになったみたい。
時々警備が凄くなる時があるらしいけど、それ以外なら結構忍び込んでるんだとか。
ここまで来る勇気が凄いよ。



あとはブロンさんの所に遊びに行ったり、爆発起こしたり床砕いたり家倒壊させたり色々やってたみたい。
……家倒壊させるってなにやったんだろう?









「―――――っと、ちょっと話し込み過ぎちゃったかな」
「あ、そうだねアネキ」

気がついたら外は結構暗い。
こんなに話したのは久し振りかも。
母さんとはいつも喋ってたのに、今はちょっと離れてるから話せてない。
帰る時にブロンさんがついてきそうだからあんまり帰りたくないっていうのが理由なんだけど。

「よし、とりあえず帰ろっか。みんな心配してたよ」
「……うん」

さすがにこれ以上は怒られそうだし、っていうのは口に出さない。
怒られるってわかってて家に帰るのはちょっと気持ち的にアレだから。
マスクの人と遊びすぎた時に思い知った。



……さて、アレクは気付く様子もないし、先に帰っちゃおうか。
置いて行ったってダイジョウブでしょ……多分。
わたしたちより全然強いし、ここは安全だし。



それに、もうそろそろ嫌な予感が止まらない。
ピリピリした感じがする。
怖いというか、やばい感じ。
アレクならともかく、わたしじゃとても役に立たなそう。

こういうときは……逃げるが勝ち。
マスクの人にも『勝てないなら勝てそうな人に押し付けて逃げるべし』とか言ってたし。



というわけで、アレクに任せる。
わたしはラジィを探しに来ただけだし、戦ったりできるような状態じゃない。



―――――肉を切り、命を奪う感触が甦る



……勝手に震える腕を押さえる。
今はここを離れないと。
早くラジィを連れて行かないと。



そう思ってラジィの手を握ろうとして……何故かその手が空を切った。



「あ……アネキッ!」



振り返ると、ラジィが誰かに捕まってしまっている。
黒い鎧に黒い兜で、顔は見えない。
だけど、いい人ではないってことはわかる。

そいつは左腕でラジィを抱えるように捕まえていて、左手には大きな剣を持っている。
そして、その剣の切っ先をラジィの首筋に立てている。
どうすればいい。

アレクは少し遠い。
いつでも飛び込める準備はしてるみたいだけど、動く時は凄い風が起こるからうかつに動けない。
黒鎧の手元が狂ったら困る。

そんなのは駄目、駄目だ。
でも、それならどうすればいい。考えなくちゃいけない。武器はある。けれど握る腕に力が入らない。でも動けるのはわたしだけだ。だから動かないと駄目だ。わたしがやらないと駄目なんだ。だから動け。動け。動け動け動け動け。何を躊躇してるんだ動かないと駄目なんだから。でもどうしてわたしはこんなこと考えてるんだろう。だってラジィと会ったのはほんの少し前だしこんなに悩む必要はないはず。ザッそれなのに。手が震えるけど何とか剣の柄を握ろうとしてる。いつでも飛びかかれるように足に力が入っていく。ザッけれどまだ心が震えてる。命を奪う感覚が甦る。駄目だ。でも。だけど。ああ。どうすれば。そんなこと考えてる間に人が動く。動くなって言ってるのかな。もう遅過ぎてわからない。でもそんなこと気にしてる場合じゃないし気分じゃない。ザッ身体がふわふわ浮かびそうで沈みそうでみちみちいってる。いつ動けばいいのかわかってる油断したらすぐにザッだけどわたしは動けないかも。ううん動かないと駄目なんだけど。わたしはどうすれば。ザッ嫌だ怖い。ザッ怖い怖い怖い。ザザッ怖い怖い怖い怖い怖い怖い。ザァッッ



……でも、わたしがやらなきゃ駄目なんだ。
剣を握れ、腕を振るえ、足を突き出せ。
今ここで逃げ出したら、わたしは母さんにとパパに顔向けできないじゃない……!



「ッ!?」



息を呑む音。
それが誰のものかは考えない。
今は無心になって、この剣を振るだけ。

薙ぎ払うように振ったアイアンセイバーが、黒鎧の剣にぶつかる。
面を撃って弾く。
バクチみたいなもんだったけど、何とかその剣を弾けたみたい。

黒鎧は驚いてる。
わたしみたいなのに武器をぶっ飛ばされたからかな。



でも、これ以上は無理。
もし手元が狂ってぶつかったら、とか考えてしまった。
だからわたしの身体は、石みたいに固まった。



「グッ!?」



でも、ラジィはわたしが固まってる間に頭突きをして抜け出した。
いやなんで抜け出せてるのかわかんないけど。
だけどとにかくもう安心だ。
だってわたしの後ろには、パパの護衛獣だったアレクがいるんだから。




後ろから、何かが駆け抜けたような衝撃。
誰なのかは見えなかったけれど、わたしにはそれがアレクだってわかった。



だって、気絶する前に見えた後ろ姿は、赤い翼で飛ぶ―――――






































そういえば鳥の交尾って短いらしいね。
いや、別に俺がどうこうってわけじゃないんだけど。
というかこの身体でそういうことになった経験ないし。

……ないよな?
あの時のあれは夢だったはず……多分。
夢ってことにしておこう。
今は割とどうでもいい話だ。



何故こんな風に考えているかというと、暇だからだ。
プラティがラジィと話をしてる間、俺は何もできないのである。

この場を放棄して移動するのは護衛獣として駄目。
かといってあちらの会話に入るのは不可能。
となると、暇してるしかないわけだ。
悲しいことに。



こういうことは結構あった。
シンテツに限らず、男陣が減ると俺が会話できる相手が減る。
そして女性陣営は、そわそわしたり愛しの彼を小脇に抱えて三角跳びしたり素振りで海割ったり色々。
字面通り阿鼻叫喚である。



ともかく、暇を潰す手段が少ない。
全くないわけじゃないが、それも家にいるか下準備が必要なものが多い。
TRPGくらいならこの世界でもできるんだが……サイコロを忘れてしまった。
一生の不覚である。
これで通算二百五十三回目の不覚だが。



「……何やってんのよあんた」



俯いてると、何故か目の前にビーニャの顔面が。
しかも上下逆。
寝転がってるということだ。

女の子がはしたないからやめなさい。
……いや、悪魔だから男女差はないんだったな。

「暇を持て余している」
「だったらわかりやすいとこにいなさいよ」
「面倒臭い奴だな」
「面倒じゃない悪魔なんていないでしょ」
「ごもっとも」

打てば響く鐘のような受け答えに、気兼ねなく喋ることの出来る友人はやはりいいものだと実感した。
いや、敵対組織同士ではあるんだが。
ロミオとジュリエットはこんな感じだったのだろうか。
こっちは恋愛感情なぞ発生することもないだろうが。

というかこいつ、やけにこっちに顔を出すな。
何、もしかして暇なの?
それとも何か用事でもあるのか。
できれば前者だと色々嬉しいのだが、それはそれで困るような気もする。

前者だとマグナと色々うまくいってないってことだからだ。
つまり八つ当たりで俺が死ぬ。
というか何度か死んだ。



「……で、何の用だ。流石に暇なだけ、というわけじゃないだろう」
「ちょっとあんたに言いたいことがあったのよぉ。暇なのは事実だけど」



事実なのか。
どこぞの組織の幹部だったろお前。
部下が代わりに苦労してるっていうことか。
嫌な上司だ。

ひとまず、哀れな部下の話は後回し。
今はビーニャの話を聞くことにしよう。
やる気はなさそうだが重要度はかなり上だろうし。



「なんかぁ、アタシの部下が勝手にこっちに来てるみた―――――」
「あ……アネキッ!」



……なんか、後ろから悲鳴が。
しかも妙な殺気まで漏れている。
なんか知らんが嫌な予感がする。
ビーニャがいる時点でそんな気がしてたが。



「そうそう、あれあれ。なんだかアタシの方針が嫌みたいでさぁ」
「だからと言って上司の命令を無視するのはどうかと思うが」
「元々はアタシの部下じゃないしぃ」
「今はそうだろ」
「えー」



どことなくなげやりな様子のビーニャ。
この無責任さはやはり悪魔か。

契約には律儀なんだが、それが絡まないと全く信用ならない。
雇用契約は契約じゃないとか言っていたような気もするが、それはどうなんだ。
上司に嫌な思い出でもあるのか。



……あるかもしれないな。
何せあの極悪悪魔だ。
俺は絶対関わりたくない。



とはいえ、俺はこの状況で動けない。
いや……ほら……こんなところで飛んだら花全滅だし。
人の宝物をぶっ壊すのはどうかなって。

「アタシは宝物をぶっ壊すの好きぃ」
「ッ!?」

読心からまさかのにやけ顔殲滅宣言である。
これはルマリといい勝負。
ちなみにルマリは有言実行というか、言いながらぶっ放す。
おかげで余計な仕事が増えた。

ああ……もう無限回廊に落ちるのは嫌だよ……。



「……やらないわよぉ」



黙ってたら何か誤解された。
ちょっと傷ついた感じな顔されてしまった。



「お前は信用ならん」
「酷ぉい」



誤魔化してみると、何とか笑ってくれた。
自分のことが判ってるというか、俺のことが判ってるというか。
これが以心伝心という奴か。



『違うと思いますよ。特にあなたが誰かと心を通わせるってことが不可能です、というかありえません。神経が鋼か何かで出来ているんじゃないかって思うくらい硬いし鈍いし重い貴方が他人の気持ちを理解するなんて無理です。というかなんですか貴方馬鹿ですか。普通天狗に真正面からぶつかって来ますか。貴方の頭には脳が詰まってないんですねそうなんでしょう。まるで本物の鳥みたいですね傑作です。え、なんですか、辛辣とでも言いたいんですか。貴方の反応の方が私にとって辛辣ですよええ本当に。しねばいいのにこの朴念仁更に言えば私よりも速いってことがムカつきます。ええ嫉妬ですよそうですよ。耐久面を度外視すれば私よりも速いという事実がムカつくんです。1回その真っ赤な羽毟られてしまいなさい』



……そういえば、そんなことを言われていたような。
羽を毟られたのは1回だけじゃ済まなかったが。



……いやいや、今はそんなことどうでもよくて。
それよりもこの状況を打破しなければならないのだ。

速度を出せば花が散る、だが速度を出さなければ近寄れない。
遠距離攻撃性能が並以下の俺には難しい問題だ。
下手すれば普通の人間にも劣る。
あるのはアホみたいな加速力と最高速だけである。

チャンスがあれば一瞬で詰め寄るだけの能力はある。
というかそれしかない。
既に機会を1回逃している気もするが、きっと気のせいだろう。



「グッ!?」



そんなことを考えているとチャンス到来。
ラジィが頭突きで鎧の腕から抜け出した。
頭は痛くないのだろうか。

いや、そんな疑問は後回しである。
今は奔らなければ。
主に今回唯一の出番的な意味で。



翼を広げ、両方をぶつけるように振る。
衝撃波がぶつかりあって、推進力に変わる……らしい。
よく知らないが。

なんとなく雰囲気だけでやってることだから、細かいことは知らないのだ。
この方法なら加速するし、衝撃波が一方向に向かうから被害が少ない。
壊すたびにぶん殴られてれば対処法くらい覚える。
ツッコミだとしても、痛いものは痛いのである。









―――――一歩踏み出して翼をぶつける



ラジィが鎧の腕から抜け出し、俺と鎧を結ぶ直線上から外れる。
活躍することしか考えてなかったから忘れていた。
うっかりでラジィを轢き殺すところだった、、、、、、、、、、



―――――二歩進んで翼を畳む



いやいや、それは拙い。
拙いってことが判らないってことが一番拙い。
俺は随分と苛立っていたようだ。

ここで戦うことになるだなんて思わなかったからか、リンドウの宝物を汚すことになるからなのか。
今更だが、結構リンドウのことも気に入っていたってことか。
こんなことに今更気付くなんて、鈍いと言われても仕方ないか。



―――――三歩踏み抜き翼を開く



……ちなみにではあるが。
俺が扱える召喚術は、遊戯王OCGの中で再現できるものである。
防御も、攻撃も全てその法則内で完結する。
所謂ターン制も再現され、無駄に拘束がきつい。

俺は先制攻撃を行えるが、倒し切れなければ必ず反撃を食らってしまう。
それこそ、初撃決殺しなければ必ずである。
直撃するかは運次第だが、それでも起こるのだ。

これは、俺がバードマンであるという思い込みによるものであると思っている。
そうでなければ困る。
そうじゃないと、俺はただ単に才能が皆無なために召喚術を会得できなかったみたいになるからだ。



……まあ、何が言いたいかというと。
この一撃で全部決めてしまおう、ということである。









―――――《突進》の3枚重ね掛け。
ターンを譲る万が一の可能性をも吹き飛ばす、全力の一撃である。



……まあ、ルマリには全く効かない上にカウンター食らって俺が死ぬんだが。
何事にも例外はあるってことで。



「グッ……ァ!?」



横道に逸れた思考をよそに、俺の蹴りが鎧の腹部に直撃した。
鉄の塊を砕き、割れた欠片を飛び散らせながら空を舞う黒鎧。
うむ、暫く使っていなかったが衰えていなくてよかった。

黒鎧に動きはない。
呼吸はしているようだが、意識がないようだ。
呼吸音くらいなら結構離れていても聞こえるのだ。



警戒はしながら、後ろを振り返る。
プラティは気絶しているし、ラジィは今の突進に驚いて動けないようだ。
ついでに花は無事。

とりあえず、黒鎧を捕まえてリンドウに突き出すべきだろう。
流石にここまで進入されて無罪放免、というわけにもいかない。

心苦しいことではあるが……抹殺である。
機密を知られ、更に国の重要人物を危機に追いやった人間を生かしておくわけにはいかない。
ついでに花の件。
仲間に優しく敵には厳しくがモットーなのである。



「それには及ばないわよぉ」



さて回収しようとしたところで、ビーニャが鎧のすぐ横に立つ。
いつもより悪役臭い顔をして仁王立ちである。
身長的にはプラティと同じくらいしかないのだが、威圧感がある。
流石悪魔ということだろうか。



「命令違反されて困ってたけど、部下は部下。返してもらうわよぉ」
「……それだと、今度はこっちが困る」



一応、ラジィも聞いてるっぽいので、敵対してますよアピールをする。
流石に友人をしていることが周りに知られるのはまずい。
特に部外者に知られるととても面倒臭くなる。
身内にはほぼ全員にバレているが。



「そぅ? でも今のあんたじゃアタシに勝てないでしょぉ?」
「……」
「足手まといもいることだしぃ、見逃した方が身の為よぉ」



ビーニャは笑いながら鎧の上に座る。
俺は羨ましくないが、人によっては御褒美になるような絵面である。
俺にとっては苦痛だろうが。

あと、勘違いされては困るが……俺はビーニャに勝ち目がない。
というか勝ったことがない。
別に今の俺どころか最盛期の俺でも勝てない。
あれは多分俺の顔を立ててくれただけだろう。



ぶっちゃけ相性が致命的に悪い。
ビーニャは耐久力高い、一撃が強い、俺の戦い方がバレていると3拍子揃ってる。
初撃決殺ができない相手だという点で相性が悪いのに、その上それを知られているのが痛い。
恐らくカウンター食らって即死だろう。



「ま、そぉゆぅことでぇ」



右手をヒラヒラ振りながらビーニャが沈んで消えた。
召喚術を利用した特殊な転移術である。
俺の場合は音速で移動するので不要であるが、便利であることには変わりない。
つーか欲しい。
バシルーラ的な意味で。



……とまあ、一応の危機も乗り越えた。
あとはラジィ及びプラティの連行と、リンドウへの報告ぐらいだ。
迷子を捜すだけで何故こんなことになるのか。









……思い返すと結構あったな、そんなこと。







-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


やだ……時間かかりすぎ……
どうも作者です。
色々ありましたが、私は元気です。

ここ最近、にじファンでの騒動とか色々あって大変みたいですね。
お気に入りの作品が散り散りになって少し悲しい気分です。
保存作業で1週間ほど更新が伸びたのは秘密です。

ちなみにちょくちょく出てくる天狗の人は(判りやすいですが)秘密です。
ただちょっと、初めてできた弟弟子にいい顔したがって空回りした挙句暴走したところをフォローされて感謝したいけど年下相手に素直になれずに漸く決心したところで弟弟子がいなくなりどこにぶつければいいのか判らなくなった感情のせいで久し振りに顔を会わせた弟弟子と顔をあわせることもできなくなってるところでまたいなくなってしまった弟弟子に対してイライラしながらもなんだかんだいって嫌いにはなれないツンデレ気味な女の子(年齢不詳)ということだけは言っておきます。

登場する予定はありません。





それでは、また次回。


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