無限界廊の異端児
第13話 汚染増殖・噴出編
ある晴れた日の海。
美しい砂浜に、浅瀬を泳ぐ色とりどりの魚たち、近くには温泉の湧き出る場所もあり、行楽地として一押しの場所である。
そんな海を眺める血のように赤い海パン姿の少年が、一人佇んでいた。
封印の魔剣『碧の賢帝』シャルトスを狙うアズリア率いる帝国軍との戦い、島の子供達の授業とアリーゼの個人授業、さらに島の住人たちのお手伝いなどなど。
島に流れ着いてから休むことなく多忙なスケジュールを送っているアティ。それを見かねた仲間たちは、アティに一日の休暇をあげる事にした。
しかし、有効な余暇の過ごし方など頑張り過ぎ屋のアティには思いつかず、仲間たちに相談してみんなで一緒に出かけることに決まった。
そして、アティの休日に際して、仲間たちが最も注意していることがある。それは―――
「うっっっひょおおおおおおおおお!!!!」
今現在、イスアドラ温海の浜辺で雄たけびをあげる真っ赤な海パン姿の少年、上杉 真樹をアティに近づけないようにする事。
アティが疲労に感じる事柄は多々あるが、そのほとんどを顔に見せることはない。仲間たちに心配をかけないようにいつも気を張っているためだ。
しかし、アティが唯一疲労もストレスも隠す事ができないほどの事柄があった。
その最大の要因、セクハラナイト、エロリスト、πの伝道師、その名を進化させつつアティの羞恥心を極限まで引きずり出し、限界突破させて悶えることを生態とする少年、上杉 真樹。
真樹の存在は、アティにとって乗り越える事のできない壁であり、近づくだけで積み重ねられた羞恥をさらに上乗せするスイッチとなっていた。
すでに、『真樹のあるところにアティの涙あり』という事実に基づく格言が広まっていた。
故に、せっかくの休日にアティの安息を守るため、嘘の情報を用い、真樹の保護者?兼師匠であるメイメイの協力の下、真樹をイスアドラ温海に足止めする役目を担った者たちが居た。
「ほらほら、いっくよ~!」
スポーティなセパレートを纏って控えめな胸を揺らし、若く瑞々しい健康的な美脚を惜しみなく見せてサーブをうつソノラ。
「うおッ!?」
「ナイス、ヤッファ! おら、マキ!」
囚人水着のヤッファが拾ったボールを赤褌のカイルが見事なトスを上げる。
「ナイス、トス! ちゅりゃぁあー!!」
男三人チームの中で最も背が低いものの、もっともジャンプ力のある真樹が、最高点に達すると同時に強烈なスパイクを射ち込む。
相手チームがすべて女性であるという事実など考慮する事などない真樹の一撃が、慣れないスポーツと砂場に足を取られフラフラするアルディラに向かう。
「きゃぁっ!?」
狙いすましたかのようにアルディラの肩口を掠ってボールが落ちていく。
白と黒のビキニを着用するアルディラが、動くたびにたわわに実る禁断の果実が揺れる。
その様に男チームは、その揺れをコンマ1も見逃さぬように瞬きなど一切せずに両の目を見開いて凝視する。
そして、真樹の度重なる狙い撃ちにより蓄積されたダメージによって、アルディラの水着の肩紐が解れる。
「「「のほほほほほぉっ!!」」」
すでに真樹の毒電波に汚染されたカイルとヤッファも野太い声を上げて決定的な瞬間を逃さないように前のめりになる。
もはやゲームの行方なんぞ気にするオスはいない。
「にゃははは~」
「「「ぷろろろろろろぉっ!!」」」
アルディラのポロリに釘付けになっていたオス共が、メイメイのファインプレイを片目で捉える。
見事な龍の銀刺繍が真紅のビキニに栄えるメイメイの肢体、ボールを追って宙を舞うとダイナミックに揺れる二つの宝珠。
出るとこ出ているアルディラとメイメイに視線を奪われる男共を他所に高々と空を舞うソノラ。
「メイメイさん、ナーイス! そーれっ!!」
ソノラの見事なアタックが決まる。
「マキっ! いい加減にしなさい!!」
「にょほほほのほぉ!! なんのことざましょ」
顔を真っ赤にしながら解れた肩紐を直すアルディラが怒るが、真樹はしらんぷりをしつつも視線は、狙いをはずさない。
「―――って、無視!!」
勝負は、完全に女性陣の圧勝なのだが、男たちは気にしない。
何しろ男たちの目には、ダイナミックかつ淫靡にゆれる四つの奇跡が映っているのだから!
約一名納得いかない様子の少女がプンスカぶーたれているが、毒電波に汚染されている海の男と虎男は見向きもしない。
しかし、そんな少女にもちゃんとフォーローが入る。
「僕は、無視しませんよ、ソノラさん!」
「と言いつつ、視線がアルディラとメイメイさんに向いてるじゃない!」
両陣営のネット際選手同士の交流も妙なことになっている。
鼻の下が伸びきった真樹にいきり立って詰め寄るソノラ。
「兄貴たちは、しょうがないとして! アンタに無視されるのは、ムカつくのよ!」
ネット越しに拳をぶんぶん振りかぶるソノラに真樹は突然真顔になる。
「な、何よぉ! いきなりな――ぁ、ぁぁぁ」
いきなり真面目な表情になった真樹に一瞬気圧されたソノラ。
次の瞬間、ネットの網目から伸びた真樹の両手が、まだまだこれからのソノラの双桃を奇跡の秒間11揉み!
「小さな桃ちゃ――「ぃきゃあああ!!!」ぶるぅおぁッ!!!」
ナチュラルに胸を揉みしだかれたソノラが、3秒ほどの硬直を経て、超空間チャンネルを開いて招きよせた銃を乱射。
アティの代わりにその身を捧げるアルディラとソノラ、アティの為に真樹を押さえつける役を担っていた海の男カイル&虎男ヤッファ。
混迷を極める即席ビーチボール対決。
真樹を丸一日押しとどめるために、どんなセクハラ技を受けても健気に立ち向かう女性陣と毒電波・Bに侵食され意気を荒くする男共。
アルディラとソノラは、あま~いりんごのように真っ赤に熟す中、メイメイのみは酒気が原因で赤くなっている。
真樹のナチュナルなセクハラを受け止める真樹の師匠兼保護者?のメイメイだけは、そのヤンチャなバディを隠すどころか見せ付けている。
先ほどソノラの胸を3秒間33揉みした真樹だが、メイメイやアルディラの胸は、1秒で朱の華を咲かせて10秒ほど自滅してしまう。なので、真樹の海パンは真樹自身の鼻血で真っ赤に染まってしまっている。
昼前から続く足止め計画は、競泳(不自然な接触事故多発)、ビーチフラッグ(約一名、旗ではなく水着を狙う)、スイカ割り(見えないはずなのに的確にメロンやモモに直行する輩が一匹)などなど、最高の萌エロティ-チャー・アティがいない為、『萌』がなくなり『エロ』のみが加速する展開になりつつあった。
憔悴しつつも血色の良くなる女性陣の姿にブレーキの壊れた妄想エクスプレス、真樹は止まらない!
「もう、いやああああ!!」
「ひえええええええん!!」
「にゃははは~!!」
「ぬぴょぴょぴょ~!!!」
瞳を潤ませながら耐える女性陣、人語を解さなくなりつつある男性陣。
普段なんら制裁を受けることで停止する真樹のセクハラも、アティの休日が終わるまで足止めしなくてはならないために抵抗することができない。
真樹は、アルディラたちの思惑を理解しつつも、この状況から離れられない。
アルディラとソノラの犠牲は、決して 無駄ではないのである。
そんなビーチの様子をヤシの木の陰からひっそり監視する影が二つ。
「クノン殿は、行かないのでありますか?」
「……いえ、私は私の役目を果たします」
真樹が逃走した際に即時アティ保護チームに連絡する役目を得ているクノンとヴァルゼルド。
飛行可能なヴァルゼルドが、イスアドラ温海と蒼氷の滝を定期的に行き来しており、今はちょうど二度目の提示連絡のためにやってきていた。
「しかし、その水中用装備は大佐殿からの「支援要請」ltカウイオfbヴィオジャw!!!!!!」
余計なことを口走りそうになったヴァルゼルドに、強制インジェクスを食らわせて黙らせるクノンは、無表情のまま真樹の所業を記録する。
クノンの視線の先で、アルディラのヒップにダイブした真樹が真っ赤な華を咲かせていた。
「…………62回目、です」
無表情のクノンが数えるのは、真樹のセクハラの回数。
「アルディラ様への接触62回。ソノラ様への接触21回。メイメイ様への接触51回―――」
ヤシの木に顔半分を隠し、背後でオーバーヒートするヴァルゼルドを放って、黙々と真樹の所業を記録し続けるクノン。
最近では、表情からは読み取れないクノンの内心を感じ取れるようになっていた真樹だが、今日は目の前の獲物に夢中で感づく事ができないでいた。
「あの……は……い……です」
ただひたすらに監視の役目を全うするクノンは、ブツブツと何事かを呟きつつ本日7本目のヤシの木をへし折った。
この日の午後、休日を楽しむことのできたアティたちが、解放を求めて立ち上がったジャキーニ海賊団をマルルゥと共に懲らしめ終わった後に帰還した『真樹足止め隊』たちは、羞恥の余韻と恍惚の余韻にそれぞれイイ表情をしていた。
本日の真樹のパラメータ
Lv.95
クラス-セクハラ将軍
MOV7、↑6、↓6
防具-水着(血染めの海パン)
特殊能力
毒電波・π、毒電波・B
本日のカイルのパラメータ
クラス-汚染されし赤褌
防具-水着(赤褌)
本日のヤッファのパラメータ
クラス-汚染されし縞々
防具-水着(縞々水着)
本日のソノラのパラメータ
クラス-揉みしだかれし乱射魔
防具-水着(セパレート)
本日のアルディラのパラメータ
クラス-羞恥に染まりし貴婦人
防具-水着(白黒ビキニ)
本日のメイメイのパラメータ
クラス-豊満なる占い師
防具-水着(赤ビキニ)
本日のクノンのパラメータ
クラス-潜める看護師
防具-水中用装備(スークル水着&下だけブルマ)
オリ特殊能力解説
<主人公>
毒電波・π-自身と同じ対象に魅了された男たちを洗脳し、数分間見事なシンクロ技を発揮する。
毒電波・B-基本は、πと同種だが、こちらは汚染された者の基準で対象を凝視し続ける。