佐藤:というわけで、今度久しぶりに本気で料理をすることになったshin:何がというわけでなのかはわかりませんが、佐藤さんの料理ですか。私も食べてみたいかも佐藤:男の料理なんて大雑把というか、現役で料理作っているshinに勝てる気がしねえshin:そんなことないですよ。でもこれからの季節はサンマがおいしいかも・・・うん、今日はサンマの蒲焼き丼にしよう佐藤:完全に主婦(夫)的発想だよそれ(苦笑火打ち石さんがログインしました火打ち石:今日は佐藤とshinだけか。佐藤:ちわ、火打ち石氏。久しぶりに見たけど元気だった?shin:こんにちわ、お元気ですか?火打ち石:うむ、少し長丁場だったが、無事に解決して、今は休暇がてら温泉宿からアクセスしている。佐藤:温泉! ああ、俺考えてみたら温泉行ったことないや。shin:私も無いですね。今度オフ会で行ってみましょうか。佐藤:いいねえ、仕事人間の御大将もたまには羽を伸ばした方がいい。御大将さんがログインしました御大将:失礼な私だって仕事ばかりしているわけではないよ佐藤:じゃあ、先週の休日は何をしてたんだよ御大将:久しぶりに面白い講演があるから聞きにいった。専門とは少しかけ離れるがとても興味深くてねshin:・・・・・・佐藤:・・・いや、御大将それって火打ち石:俺たちが言いたいのはもう少し、学問から離れろということだ御大将:君達、いくら私が学者だからって全てを学問でまとめるのはねえ佐藤:すまん、御大将は学問オタクだったな。俺たちの認識が足りなかったわshin:すみません、そろそろ出かけますから落ちますね佐藤:おつー御大将:では、また今度shin:また会おうshin:さんがログアウトしました佐藤:んじゃ、俺もそろそろ落ちますわ。人と会う約束があるんで火打ち石:デートか御大将:へえ、佐藤君も隅に置けないなあ佐藤:違いますってば。まあ、人生相談って若い内は大切ですよって話御大将:ははは、君だって私より年下だろ佐藤:中身は40代のおっさんかもしれませんよ火打ち石:そうだな、お前の言葉には俺たちより年輪の重みがある佐藤:そんなもんですかねぇ・・・では、失礼佐藤さんがログアウトしました「しかし、作った自分が言うのも何だが、この文明が発達した世の中で、文字オンリーのチャットとかねえ」シンプルイズベストとでも言うのだろうか、メル友でもあるshinさんはもちろん、仕事人間の御大将や、不思議系というか神秘的存在である火打ち石氏、今日はいなかったが、姉魂(シスコン)さんなど変な常連が多かった。「うん、今度ノイ先生も誘ってあげよう」きっとよく馴染むはずだ。あの人も変人だし。「お待たせしました。ジルベルトさん」急ぎ足で駆け寄ってくるお嬢さんもとい、レイン嬢。「別に待ってはいないよ。しかし、買い物といってもそんなに面白いものでは無いんだけども」「そうですか? それで今日はどこに行くんです?」そう、買い物に行く話をしたらぜひ付いていきたいという話になったのだ。本当に面白くないんだが、一応女性の視点から見てもらうのもいいだろう。「ここですか?」レインボーストアというネーミングの欠片もないスーパーマーケットだが、適度な値段で品質もまあまあで俺は結構気に入っている。「今度、食事を作ることになったんだけど、女性的にどんなのがいいのかアドバイスが欲しくてね」「・・・女性の方ですか」「そうだけど。でも、女性って言っても好みの差あるし、あの人何でも食べそうなイメージあるけど、レインは好き嫌いが結構ありそうだよな」「そ、そんなことはないですよ」「そうか、じゃあ水餃子は決まりとして、豚とキクラゲの中華炒めに、肉末粉絲もいいなあ」「ろーもうふぇんすー?」「日本的に言うと麻婆春雨。おかずというか酒のつまみにもいい」デザートに杏仁豆腐は外せないとして、もう一品くらい欲しいが。「中華得意なんですか?」「いや趣味の範疇。中華って手間かかるけど、手順と火力さえ間違えなければ問題なくできるよ。俺は餃子だったら皮から作る派だけど」以前は市販のをメインに使っていたのだが、この時代に来てからは自作している。「ん?」「どうかしたのですか?」「知り合いを見つけたんでちょっとあいさつしてくる」やっぱり今日はサンマがおいしそうだけど、こっちのイカにも浮気したい気分だ。予算的に買えなくも無いけど、そうなると副菜に問題が。「こんにちわ真ちゃん」声を掛けられてつい身構えてしまうのは悪いくせだ。世界は悪意ばかりじゃないけど、怖いものは怖い。おそるおそる後ろを振り向くと、鳳翔の制服に身を包んだ赤い髪の男性。「あ」確かジルベルトさんだ。「この間はどうも。へえ、真ちゃん料理をするんだ」私は首をコクコクと振る。「サンマもいいよね。今日の夕飯はサンマの竜田揚げにしようかな」うっ、そう言われると竜田揚げもいいかもしれない。私の中では蒲焼きにしようと思ったけどちょっと心が揺らぐ。「あう」「イカをオイスターソースで甘辛く炒めるのもいいなあ」この人はどうして私を迷わせるのだろうか。私は今日サンマの蒲焼きを作ろうと決意したはずなのに。「ジルベルトさんのお知り合いですか?」「うん、知り合いの先生の患者さんで、俺の師匠的存在」「はあ」師匠さんか。確かに現段階では私の方は腕が上だけど、その内抜かされるかもしれない。素人のはずなのに、切り返しとかがとにかく早いのだ。思考から行動へのタイムラグが無いというのか、それが才能と言えばそうなのかもしれないけど。それにしても同じ鳳翔の生徒さん、美人さんだな。彼女さんなのかな?亜季先輩と同じくらい大きいし。「そうだ、今週末先生を呼んで料理を作ることになったんだけど、真ちゃんもよかったらどうかな?」「え」この間知り合ったばかりの人の家に行っても大丈夫かな。でも、ノイ先生と一年以上前からの付き合いだって言うし、不思議と悪い感じはしない。「返事は後でもいいよ。ノイ先生経由でいいから」私はとりあえず頷いた。でも、この時の私は行く方向に心が定まっていたのだが、何か鳳翔の彼女さん?の機嫌が心なしか悪いような気がする。何というか、最近いい感じの甲先輩と千夏先輩に対するお姉ちゃんのジェラシーみたいな。菜ノ葉ちゃんがこの頃、「私、幼なじみなのに・・・料理だってできるのに・・・脱いだらすごいのに」とか呟いているのは怖いけど。最後のは諦めた方がいいと思う。どう考えても私<菜ノ葉ちゃん<越えられない壁<お姉ちゃん<多分千夏先輩<間違いなく亜季先輩というヒエラルキー・・・。アレ? もしかして私嫉妬されてる?つまり、あの人はジルベルトさんが好きだけど、ジルベルトさんは興味がないって関係か。でも、ノイ先生のお友達ということは、変人だろうし。突然修羅場に巻き込まれるのは怖そうだし逃げることにしよう。「じゃ、またです」「うん、また」お呼ばれするなら、私も何か持って行こうかな。何となく私の中の料理人魂がうずいたのだった。「ああ、どうしよう」スーパーで不機嫌になった後、逃げるように自宅に戻ってきてしまった。「何であんな態度取っちゃったんだろ」あんな小さな子に嫉妬する自分に自己嫌悪する。でも、自分以外の女性に彼の意識が向けられているのが嫌。「先生か・・・ラヴィータのマスターなら知ってるかな?」ジルベルトさんは、色んな場所に行くけど、基本的にあそこにいることが多い。なら、マスターに聞けばわかるかもしれない。「これは、ジルベルトさんに悪い虫が付かないようにするための、そう予防行為なんです」先生という立場を使ってそんないかがわしい行為をするなんてうら・・・じゃなくて許せません。私は意気揚々と立ち上がろうとしたが、身体が空腹を訴えたのでキッチンに向かった。帰りに買ってきたお弁当を食べながら思う。とりあえず、私も何か、そう何か一品くらいは得意料理がないと。先日試しに作ってみたオムレツは何とか食べられる味だった。よし、今度はお袋の味の定番である『肉じゃが』と『きんぴらごぼう』に挑戦してみよう。だが、今私がやることは。「どうにかして、その週末の食事会に参加できないものでしょうか」週末まであと4日。その間にどうにかしないと、とりあえず明日ジルベルトさんに話を何となく振ってみよう。2話は前後編で終わらせる予定でしたが、3パートに伸びた。如月寮は順調に恋愛が進んでいるようです。そして、菜ノ葉さんが病みはじめているようです。レインさんは独占欲強そうですよね。その辺もかわいく思えると思う彼女の補正値がマジで怖い。あと長官の寿命が少し延びました。すれ違い系SSの定番チャットをやってみました。火打ち石氏と御大将の2キャラが登場+姉魂の1キャラが登場予定です。彼らの正体は何者なんでしょうね。2-3が終わったら、少女達の律動を更新予定。