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No.3997の一覧
[0] 【ネタ】冒険の書【半オリジナル/ドラクエ世界観】[あるふぁ](2010/05/24 11:23)
[1] 一頁目 「旅立ち」[あるふぁ](2010/05/28 18:36)
[2] 二頁目 「盗賊団」[あるふぁ](2010/05/28 18:42)
[3] 三頁目 「最初の壁」[あるふぁ](2010/07/16 03:13)
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[3997] 一頁目 「旅立ち」
Name: あるふぁ◆57098d03 ID:ad17056c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/05/28 18:36
とりあえずあの後俺は勇者と認められ、旅立つことになった。
まさかの急展開。

だが俺は普通の人間だ。
将来兵士になろうと思って身体を鍛えたりなどしているはずがない。
…ということで王様と相談して、しばらくはこの街周辺で経験を積んでから旅立つ事になった。
そのうちに冒険の書の使い方も慣れてくるだろう、ということ。

あ、100万Gはもらえたよ!
100万Gは勇者として旅立つ手当みたいなもんだが、この小さな国で大金を使っても整えられる装備などたかが知れている。
だからこの金は俺自身というよりは家族のためのものらしい。
ぶっちゃけていえば、

「この金やるからそのかわりお前の家の息子を勇者として差し出せ」

という感じだ。
無茶苦茶だな。

まぁ俺も勇者扱いされて悪い気はしない。
しかも、いくら死んでもやり直しがきくなら、必要以上に怖がる必要もないし。
若干軽い気持ちで引き受けた。
お金に目が眩んだわけじゃないんだからね!

とりあえず衛兵と一緒に家に向かう。
帰宅した俺を見た親父は、付き従う衛兵を見て当然のごとく勘違いした。
…だから俺は盗んでねぇって言ってるだろ。










ーー冒険の書ーー
   一頁目
  「旅立ち」
ーーーーーーーー










あの後は衛兵が事情を説明してくれた。
親父は最初は信じてくれなかったけど、最後には
「さすがは俺の自慢の息子だ」
的なことを言って納得した。
おい、さっきまで泥棒扱いしてたのはどこのどいつだよ。
お袋はまた泣いてた。
でも俺は見たんだ。
100万Gをみた瞬間、お袋の涙が止まるのを。
…俺の扱いひどくね?

まぁ、いろいろ相談した結果、とりあえずお金は家に置いておく事になった。
どのみちしばらくは家で寝泊まりするし、大金を持ち歩くなんて物騒な真似は避けたい。

近所の店で装備を整えてから、試しに街の外に出る事にした。
街の外はモンスターが跋扈している。
これまで一人で外に出た事なんてなかったから、少し緊張する。
おっと、とりあえず外に出る前に「セーブ」しておこうか。

『3月1日、これから街の外に出る』

よし。
それじゃあいざ出発!


街の外を散策していると、モンスターが飛び出してきた。
スライムだ!
愛くるしい顔をしているが、こいつも立派なモンスター。
モンスターの中ではもっとも弱いと言われているが、それでも度々幼い子供が殺されたりしている。
初心者勇者の俺には油断できない相手だ。

…と思っていたんだが。
さきほど買った銅の剣で数回斬りつけると、スライムを倒すことが出来た。
体当たりを1回食らっただけ、痛みは少しあるがどうってことはない。
あれ?案外簡単に行けるんじゃね?

そう思い、調子に乗ったのがまずかった。
スライムを次々と倒して、悠々と散策していると。
スライムの大群に囲まれた。

一匹一匹の脅威は低くても、これだけ集られるとたまらない。
結果。
俺はフルボッコにされる。

痛い…頭がくらくらしてきた。
ボキッと嫌な音がする。

「がっ…」

くそ…肋骨が折れた…のか?
痛みはもちろん、息苦しさもある。
喉にこみ上げてきたものを吐くと、それは血だった。
肺に肋骨が刺さったのだろうか?
とにかく痛い。痛い痛い痛い痛い痛い!!!

そして俺が最後に見たのは。
嗤いながら俺の顔面に体当たりをしてくるスライムの姿だった。





















「…あれ?」

目眩のようなものを感じて、俺は少しふらついた。
どこかで味わったような感覚。
そう、これは…『ロード』の感覚だ。

慌てて冒険の書を見る。
そこには

『3月1日、これから街の外に出る』

と書いてあった。
つまり俺は…街の外で死んだのか?
どうして死んだのだろう。
この装備なら、俺でもスライム如きには負けないだろう、と道具屋の店主も認めてくれたんだが。
スライム以外の強いモンスターにでも出会ってしまったんだろうか?
くそ
何もわからねぇ!

とりあえずもう一回出てみよう。
おっと、『セーブ』しておかないとな。
さっきよりももう少し詳しく書いておこう。

『3月1日、これから街の外に出る。スライムを倒す事が目標。スラム以外のモンスターが出てきたら絶対逃げる』





















「…あれ?」
また死んだのか?
俺は自室で呆然としていた。

俺はスライムに勝てないくらい弱いという事なのだろうか?
それとも途中で何かアクシデントがあったのか?
くそ!全然わからねぇ!!
ならとりあえずスライムに勝てるかどうかだけ確かめよう。

『3月1日、これから街の外に出る。スライムを1匹倒す事が目標。スライム一匹倒したらセーブしに戻る。スライム以外のモンスターが出てきたら絶対逃げる。』






よし!
スライムを倒した。
なんだよ、スライムには楽勝じゃねぇか。
ならこの後強いモンスターとかが出てきて死んだって事かな?

とりあえずすぐに家に戻ってセーブしよう。

『3月1日、スライムを1匹倒して帰宅。これからもう一度出発。次はスライムを2匹倒したら帰宅する予定。』

よし、出発だ!






…そんなことを繰り返していると既に夕方になっていた。
レベルが上がって2になった。
かなりスライムを倒すのが楽になってきた。
よし、今日は次で最後にしよう。
夜は強いモンスターが出やすいし。


『3月1日、今日最後の散策。スライム5匹くらい倒したら帰宅』




















「あれ、また死んだ…のか?」

この街周辺にいったいどんな脅威があるって言うんだ。
もう今日は外に出るのやめようかな。
でも何回も死んでるみたいだから気になるんだよな。

そうだ!城の兵士の人に着いてきてもらおう。
それくらいなら手伝ってくれるよね?


事情を話すと、王様は快く兵士を貸してくれた。
腕利きの兵士らしい彼と一緒に街の外を出た。
そしてしばらくすると、スライムの大群に囲まれていた。

あ、つまり俺はこいつらに殺されたのか。
確かにこれだけの数に囲まれれば逃げる事も出来ない。
俺のレベルではこいつら全部を倒す前にやられてしまうだろう。

今回は兵士の人がいるので楽勝だ。
スライムの群れを撃退して街に戻る。
兵士の人にお礼を言って別れ、帰宅する。



なんとなくこの冒険の書の使い方がわかってきた。
あらゆる可能性を想像して対応策を考えてあらかじめ書き残しておかないといけないわけだ。
なんか勇者なのに、武よりも知が要求されるなぁ。
教会の勉強よりよほど難しい。

それにしても…
今回は、まだいい。
兵士の人の力を借りる事で突破できたのだから。

だが、例えば…セーブした直後に強盗が入ってきて殺されたとしたら…
セーブした時点に戻っても何も出来ないんじゃね?
そうしたら俺は延々と殺されるハメになるんじゃ…
その可能性を思い浮かべてぞっとする。
セーブとロードの間に捕われ…永遠と死ぬ事を繰り返すのか?
そんな詰んだ状態になったら最悪だ。

とりあえず、セーブする時はもっと慎重にしよう。
周囲の安全を確実に確認してからセーブするようにしないと…



勇者になって初日。
想像以上の前途の多難さに、俺は頭を抱えた。







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