「まさか....、私の『魔矢の審判』が・・・・・・」
「なんと....、我の『ケラウノス』の一撃を・・・・・・」
_____反らされた......ッ!!?
双方の宝具が直撃する寸前、あまりの強大な力と力の接近にお互いが同極の磁石のように的が反れて矢はランサーの左脇腹に、そしてそのランサーが放った槍はアーチャーの右肩を貫き去っていった。
「我が宝具の一撃を反らすとは大した矢よのう、これぞまさしく神をも射殺さんとする矢だ」
「そう言うあなたも、心臓を狙った筈なのにかなり的外れな方に当ててしまった。その威力はまさに神の射出す槍であった」
お互いに面食らった様子の両雄、その結果は最終的に五分といったところであろうか。
「我から提案なのだが、ここは一時休戦というのはどうだ? お互いに魔力はあまり残っていないだろうしな」
「悔しいですが、そうさせて頂きましょうかね.....。それでは私は・・・・・」
そう言い残して消えていくアーチャー、するとこの場に残っていたランサーの司会には遠くで上がってこようとする朝日が映り込んできたのであった。
「我もそろそろマスターを回収して退散するとしよう」
そう言って踵を返したランサーは朝日に背を向けるようなかたちで消えていったのであった。
「あーもー疲れた~~~!!」
自室のベッドに倒れ込みつつそう言ったのはヨル、そして部屋に隅に佇むアサシンへとこう呟いた。
「僕はもう眠いから寝る、だから何かあったら知らせてくれアサシン」
「お前に命令されずとも、そのつもりだがな」
「むっ、素直じゃない奴め」
「俺がいつお前に素直になったことがあるんだ?」
そう言って消えていったアサシン、一人部屋に残ったヨルはベッドの上で一日の疲れを癒すため直ぐに寝入ってしまったであった。
「おいマスター、聞いてるのかマスター」
「すー.....すー............んっ?、なにアサシン?」
何時間かは眠れたような気がする、ヨルはそう思いつつ自身を上から覗き込んでくるアサシンにそんな事を問いかけた。
「外に客が来ているぞ、その他のマスターではないらしいが魔術師である事に変わりはなさそうだ。お前ならどう出るつもりだマスター?」
「まぁ、僕のところに訪ねてくる魔術師なんて一人しかないしなぁ.....多分きっと“あいつ”だ」
「あいつ?」
「まあいいから一応付いてきて、たぶん平気だとは思うけど用心のためにね」
そうヨルに言われ仕方なくその背後に付いていくアサシン、そしてヨルは玄関へと辿り着くと覗き穴から先に見える人物を見てやっぱりという表情を見せたのだった。そして鍵を解錠しドアを開けようとした瞬間、ドアの向こう側にいた人物によってドアが一気に開けられてしまいそのままの勢いでその人物はヨルへと乗しかかってくる。
「ちょ、ちょっと“シャル”。また重くなったんじゃないの?」
「うるさい!、今私は成長期なのよ!」
「高校生にもなって成長期というのは女子の場合どうなのかな?」
「ヒドイじゃない!、だけど内心では妹に乗っかられて喜んでたりして・・・・・」
「ば!、バカやろ! 妹に欲情とかする訳がないだろ!」
「それは残念....、だけど久しぶ・・・・・・」
「ちょっと待てマスター、これは一体全体どういう状況なんだ?」
「おっと、そう言えば説明がまだだったねアサシン」
シャルと呼ばれた少女を押し退けつつそう言ったヨルはひとまず立ち上がると、その後こう説明する。
「紹介が遅れたけど“シャルマ・テオープ”、僕の6つ下の妹だ」