Fate/zero×spear of beast 27 やっと眠れる。 ああ、やっと眠れる。 それが言峰綺礼の嘘偽らざる本心だった。 徹夜で呑んだくれたあとに、妹弟子を探索しながら修羅場をくぐり、キャスターがかどわかした子どもたちを連れて教会に戻ったら、半死半生の間桐桜の治療を父親に言い渡された。しかも、桜の症状は、綺礼の神業ともいうべき治療魔術の腕でも難儀するほどの重傷で、ほとんどすべての魔力と半数に近い魔術刻印を使い果たした。サーヴァントの現界する程度の魔力は、まだなんとか残っているが、それでもほぼ二日間にわたる徹夜である。 確かに聖堂教会の代行者としての任務には、もっと過酷なものもあった。一週間以上もの間、不眠不休で死徒を狩ったり、外道へと堕ちた魔術師の工房へと殴りこみを掛け、五〇近い使い魔を一人で倒したこともある。。 しかし、今回の件は、単純な疲労よりも精神的な負荷のほうが大きい。 眠い。ひたすら眠い。というか眠らせろ。 本来は間桐桜の治療など、綺礼には一切関係ないのだが、父親の命令では仕方ない。はっきり言えばめんどくさかった。しかし、酒臭いにおいをプンプンさせながら、父親の命令に逆らう度胸はさすがに綺礼にもない。 そして、半日にも及ぶ綺礼の心霊手術の結果、間桐桜は一命を取り留めた。苦痛によって魔術回路が暴走し、起源が発現しかけていたが、自分の治療そのものは上々の出来といえる。あと数日も、一般病棟で安静にしていたら、退院できるだろう。 別に、手を抜いて治療するという選択をしても良かった。しかし、あれだ。こういったことで、手を抜いたことは綺礼にはない。むしろ、どんなことであっても手を抜くとか、いい加減に力を抜くということが綺礼にはできない。克己の果てに、自分の求める答えがあると信じていた。信じていたのだから。 しかし、あれだ。損な性分である。 全くもってサイテー極まりない。 しかも、何より最悪なのは、そんな疲労ではない。 懇願するかのような顔でこちらを覗いていた間桐雁夜に、自分が何をしようとしていたのか。 考えるのもおぞましい。 あの恐怖に怯える雁夜の顔が、慚愧と絶望に塗りつぶされるさまを××たいと感じていたのだ。 間桐桜を治療しながら、ずっと考えていた。間桐桜が、どのような境遇にあったのかは、アサシンの調べでだいたいわかっている。魔道の世界ではよくある話だ。そんな境遇の少女を観て、綺礼の心は常人とは全く別の方向へと動いていた。 もっとこの少女を××めたいと。この少女が×き×ぶ姿が見たいと考えていたのだ。 そのときのことを思い出すだけで、頭の芯にぼうっと霧がかかる。 あれだ。 寝よう。 寝て忘れよう。 そう考えて、教会の自室に急いでいたら、空気が揺らいだ。 大量の魔力の塊。サーヴァントの気配だ。協会にいるサーヴァントは2体。一体目は教会に駐留している自分のアサシン。アサシンは自分の気配を遮断して、決して間桐雁夜が協会にいる間は、決して姿を見せるなと言い含めている。そしてもう一体は間桐雁夜の使役している…………。 そこまで思い当たると、思考よりも先に綺礼の口が動いた。「バーサーカー。今更、サーヴァントのいないマスターを相手に、いまさら一体何用かね?」 “脱落したマスター”と言わないあたりが、この綺礼の損な性分の所以である。“サーヴァントのいないマスター”というのは、紛らわしいが嘘ではない。綺礼は、相当追い詰められなければ全くのウソというものを口にすることはない。もっとも、わざと勘違いさせるように言っているのだから、ただの嘘つきよりもタチは悪いのだが、本人に罪悪感は一切ない。「あの“さくら”を助けるたぁ、いい腕だな。オメェ」 バーサーカーは現界するなり、しわがれ声でそうつぶやいた。 普段の聞くものを威圧するような剣呑な気配は、鳴りを潜めている。「礼ならいらないぞ? バーサーカーよ。私は神父だ。助けよというのならば、助けよう。死にたいというのならば、死なせよう。しかし、あの少女は生きようとしていた。だから祝福したまでのことだ」 助けたいから助けたわけではない。助けるのが神父の使命だから助けた、と言っているのだ。 随分と周りくどい物言いに、バーサーカーはぶっきらぼうに応えた。「今回は、オメェらを見逃しといてやる。影でコソコソ嗅ぎまわってる奴らもな」 そうして小さく舌打ちをした。 綺礼の心身に、小さな慄きが生じた。アサシンの気配遮断スキルはAランクだ。一体、いつバーサーカーはアサシンの生存に気づいたのか? いかなる失策で綺礼たちの奸計が看破されたのか……。 いずれにしても、ここで誤魔化したところで意味は無いだろう。「なぜ気づいたのか聞かせてもらえるかね? バーサーカーよ」「気配は消せても臭いは消せねえ。キャスターの根城の近くで嗅いだ臭いがこの“きょーかい”で、ついたり消えたり幾つもしやがる。一体、後何匹アサシンとやらがいやがるんだ?」 そう、ぶっきらぼうに応えた。 人間の英霊の嗅覚では不可能な芸当だが、そこは異形のサーヴァントである。常識外のスキルを持っていても不思議はない。「すべてお見通しか。それならば仕方がない。しかし、バーサーカーよ。なぜ私を見逃す? 敵であるマスターを殺しておいたほうが何かと都合が良いのではないかね?」 ここで、もしも「それなら」などとバーサーカーに気を変えられたら綺礼の命運は詰むのだが、ひねくれ者に生まれた綺礼である。聞かずにはいられない。「ますたーは聖杯せんそーで勝つのに興味がね~し、わしも叶えたい願いなんてね~から見逃しといてやるんだよ、ボケ」 これは綺礼にとっては聞き逃せぬ情報だった。 よもやまさか、叶えたい願いのない英霊が、召喚に応じるなど信じられることではなかった。「それは本当か?」 小さくバケモノは頷く。 見逃すということは、つまり、綺礼と聖堂教会の実質の癒着や遠坂陣営の不正を黙認するということだ。 聖堂教会に匿われている脱落したマスターのサーヴァントが、実は生存していたなど、これ以上ないほどのスキャンダルである。聖堂教会の監督役としての威信が地に落ちる。場合によっては遠坂陣営と教会に、他のマスターすべてが結束して敵対することにもなりかねない。それを見逃すということは、マスターである雁夜への重大な背信行為ではないだろうか? 綺礼の巡らす思いを断ち切るように、バケモノはその口を開く。「だから、わしらをこれからさきのぞくんじゃねーぞ。うっとーしい」「善処しよう。見逃してくれるというのならば是非もない」 あっさりと取り決められた密約だった。 遠坂師父へは、今後バーサーカー陣営についてのみ虚偽の報告をすることになるだろう。「おい、しんぷ。わしのマスターをどう思う?」「間桐雁夜のことか? なぜそのようなことを聞く?」「テメーは見たままを答えりゃいいんだよ」 なんともぶっきらぼうな物言いだ。どうして金色のアーチャーといいこのバーサーカーといい、英霊という連中は、こうもアクが強いのかと鼻白みながらも聞かれたとおり返答する。「特になにも思うところはない。強いて言うのならば聖杯戦争の参加者。おまえの主でわたしの敵。教会内でアサシンが暗躍してマスターを殺すなど、ありえない状況であるがゆえにアサシンには襲わせていない。一年前までは魔術の修行をしたことが一切なかったそうだが、貴様のような強力なサーヴァントを召喚し、維持している時点で先天的には相当なマスター適正を持っていたのだろう。よりにもよって、他人の娘を助けるために魔術師になるなど、命知らずの極みだが本人がそれを贖罪だと思うのならば、私がどうこういう筋の問題ではないだろう。しかし、分別の付いた大人ならば笑うかもしれないな。ましてや命をかける戦いに、なんの願いもなく参加するなど、まったく正気ではない。しかし、正気ではないところに間桐雁夜の怖さがある。敵として見た場合、狂気に毒された敵ほど恐ろしい敵はいないからな。しかし、狂気ゆえに自滅を待てば、対処のしようはある。自分以外の何者かと噛み合わせるのが上策だろう。しかし、ここ最近の様子を伝え聞くに、遠坂師父への怒りがやわいだとも見て取れる。間桐の怪老を弑逆したことで、間桐桜を救い出すという目的を果たしたつもりになっているのかもしれないが、そこは本人に聞かねば分からないたぐいの話だ」 特になにも思うところはない、などといっておきながらこれほどの観察を間桐雁夜に対して行なっていた。それを執着というのだが、綺礼だけはそのことに気づいていない。「そんで、オメーから観てうちのますた~は、あと、どれぐらい持つ」「マスターの命数を計るか? 全くなんとも不遜なサーヴァントもいたものだな。サーヴァントとマスターの関係とは、長くともせいぜい2週間程度。聖杯戦争が終わるまでの仮初の主従関係だ。間桐雁夜の命数など、知ったところで埒もない話だろう」「さっさと答えろ。食うぞコラ」 バーサーカーは不機嫌さを増したかのようにつっけんどんに応えた。「問われたらば答えよう。間桐の虫は、体内にいるだけで適性の少ない魔術師の寿命を縮める。刻印虫が体内に居るだけでいずれ死ぬが、命があるというのであれば、三月は持つだろう。しかし、体の中に入っている間桐の虫の毒素は、魔力を使えば使うほど生成されることから考えるに、聖杯戦争に参加してサーヴァントを使役するなど自殺行為だろう。宝具を使うなどもってのほかだ。もしも聖杯戦争に参加して、マスターとして自身も戦うというのならば、一〇日持つまい。最悪、明日死んでいたとしても、私は驚かない。しかし、貴様が全面に出て戦い、魔術師として戦わないというのならば、聖杯戦争中は持ちこたえるだろうな」 淡々と事実だけを告げる。「もし、オメーがうちのますたーの体から、虫けらをひきずり出したらどうだ?」 それは思いも寄らぬ言葉だった。「まさか、バーサーカーよ。貴様はわたしをそのために見逃すのか?」 マスターの体から、魔術回路として働いている虫を取り除くということは、つまり現界する手段をなくすということにほかならない。それはサーヴァントの実質的な死を意味することだ。そこまで考えて始めて頭に思い浮かぶものがある。「…………」 沈黙。 数秒の間であったが、あるいはもっと長かったかもしれない。 根負けしたかのように口を開いたのは綺礼だった。「もしもかりに、私が治療を引き受けたとしても、いつまで持つかはわからない。正直わからない。しかし、いつ死ぬかわからない程度には伸びるだろうな」 一年か、三年か、あるいは五年か……。いずれ死ぬ。それ程に雁夜の体は衰弱している。しかし、それを言うのならば、人間は必ずいつか死ぬ。必ず死ぬ。いつ死ぬかわからないということは、もしかしたら普通の人間と同じ命数であるかもしれない。「こちらからも聞かせてもらおう。バーサーカーよ。それは、私とアサシンを見逃す見返りの取引と考えて良いのだな?」 是非もない。こちらの命の掛かった取引である。引き受けるのが得策であろう。利害だけを考えればまさにそのとおりだ。最低でも、聞いたふりだけでもしておけば良い。それこそが賢いやり方であろう。 しかし、綺礼は色よい返事をしなかった。「了解はできない。私と間桐雁夜は敵同士だ。少なくとも聖杯戦争中はな」 なんとも命知らずなことだ。 しかし、安易に引き受けるわけにはいかない。「それに、もしも、延命が可能であるとして、間桐雁夜自身がそれを望むだろうか? 死の中にこそ、彼の求める安息があるやもしれないぞ? バーサーカーよ。生きる意思のないものに、治療を施す愚を犯すはめになるやもしれないぞ」 助けて良いのは助かる意志のある人間だけだ。あの女のように。 間桐雁夜の状況は、これからまさしく、生きることが苦痛という状況になるだろう。そのときに、雁夜は命数を伸ばすという選択肢を選ぶだろうか? 思い出そうとすると、頭が痛む。自分を愛していると言った聖女のように。「それでかまわねえよ。本人が死にてえってんだったら、そんときゃ勝手にくたばらせろや」 死にたいというのならば、そのまま死なせておけ、ということならば、断る理由はない。 「今すぐ了解はできないが、聞いたということだけは覚えておこう。もしも、聖杯戦争が終わった後に、私と間桐雁夜が存命であったのならば」 なんとも歯切れの悪い返答だ。 しかし、バケモノはそれを了としたようだ。 そして、二、三考えるような仕草をした後、「ところでしんぷ。おめーアレか? 何が楽しくて生きてんのかわかんねークチか?」 まったくの不意打ちを浴びせてきた。「……なぜ……解った?」 人間が誰にも知られていなかったはずの本性を言い当てられたときの反応は、全く独創性から程遠いものになる。 それは感情がろくに働いていない綺礼であってもそこは同じであった。「もしかして、なにやってもつまんねえし、熱くもなれねえ、嬉しいとも思わねえ、天才ってやつか?」「貴様は、私がどうしたら良いのか知っているのか?」 叫びだしたい衝動をなんとか押し殺して聞いた。 答えを見出したい。なんとしても。それがこの場で与えられるというのならば。 愛するということはなんなのか。この空しさを止める方法はあるのか? そう懇願したい衝動を何とか抑えて聞いたのだ。「昔っからたまーにいるんだよ。おめーみて~な奴は。強いくせにその力をどう使っていいのかわからない間抜けはよ。英雄とか天才とか言われてる馬鹿どもが、心に風が吹いてるとか何とか言いやがって。チョックラ小突いたら死ぬくせに、好きに生きられねえ。だからよわっちくてキレエなんだよ。あくせくしながら好きなコトやって生きてりゃいいくせに。ニンゲンは」 そう吐き捨てると、怪物は子どもっぽい仕草でそっぽを向いた。 もしかすると、この言峰綺礼の欲する答えを、この異形のバーサーカーは知っているのだろうか? ならば問わずにはいられない。「…………もしも、その私が好ましい、と思う行動が、他者から見て許されざる悪徳だったとしたらどうしたら良いのだ? 他者を苦しめるときにのみ、快楽や愉悦を感じられるような罪深い人間だったとしたら、果たしてそれは許されるのか?」 覚悟を決めて、尋ねた。「ニンゲンなんてそんなもんだろうが。わしから見りゃあ、弱っちくて小さいくせに、自分より強い奴にケンカ売って、笑いながら死んでいく偽善者のほうが気持ちわりぃわ。おめえアレか? 自分から好んで貧乏くじ引きたがる馬鹿か?」 分からない。綺礼にはこのバケモノがなにを言っているのかわからない。「……貴様は、私のような人間を知っているのだな? その男は、満足して死んだか?」 それは祈りに近い心情の吐露だった。懇願といっても良いかもしれない。「さぁな」 バケモノは音もなく消えた。 最後にただ一言。「思い出しちまった」 とだけ言い残して。 雁夜は桜が再び眠りについてから、部屋の外に出た。 ここに居なければならない、もう一人の人間。凛を探すためだ。 凛と桜が一緒にいる姿が見たい。もう一度、姉妹のように屈託なく話している声が聞きたい。 せめて、桜が眠っている傍にいて手を握ってあげてほしい。 その自分勝手な願いを叶えるために、雁夜はおぼつかない足取りで、教会の中を歩きまわった。 聖堂教会のスタッフと思しき人間には、何度かすれ違ったがいずれも工作活動のために慌ただしく歩きまわっており、声をかけにくい雰囲気を漂わせていた。どうやら子どもが一人、どこに居るかなどという些事には、構っている余裕はないようだ。 ムダに広い教会の敷地内をゆっくりとした足取りで歩きまわっていると、小さな人影が、礼拝堂の椅子に腰掛けているのが目に映る。 緩やかなウェーブのかかった黒髪が、可愛らしい髪留めで2つにまとめられた後ろ姿。 できるかぎり感情をこめないように、名前を呼んだ。「凛ちゃん」 ピクン、と小さな肩が揺れた。 わかっている。この察しの良い少女がどんな思いを抱えてここにいるのか。 臆病者の自分が、この聡明な少女にお説教をするなど噴飯物だ。そもそも事の元凶である自分が、偉そうに何か言えた義理ではない。 しかし、それでも口にせずにはいられなかった。「桜ちゃんには会いに行かないのかい?」 声に出した途端に、言いようのない恐怖と後悔が押し寄せてきた。しかし、逃げるわけにはいかない。「いま、会わないと一生後悔するかもしれない」 まったくどの口が言うのだろうか。赤面せずにはいられない。「わかっていますっ!」 叫ぶような声だった。 自分でも予想したよりも大きな声を出してしまったのだろう。驚いたように息を吸い、顔を真っ赤に染めた。「……わたしは、わたしは、もうあの娘の、桜の、姉じゃないんです!!」 それはまるで堰を切ったかのような感情の本流だった。「わたしがこの街に戻ってきたのはっ――桜をたすけっ助けるためじゃないんです。あの娘っ――どんな、どんなめにあってるのかも知らないでっ。お父様のいいつけだから――まちがいはない――から、わたしにはっ、同しようもないからって――」 強い意志を秘めた瞳を開けたまま、大粒の涙は音を立てずにこぼれ落ちて。「お父様のいいつけで――桜のことは忘れよう、もう、あの娘とは、わたしは――かんけいないんだって。桜を助けたのは、おじさんとおじさんのサーヴァントで――桜に会えないんです。どんな顔したらいいのかわかりません――。優しいお姉ちゃんの顔して、逢えません」 会うのが怖い、今は会えない、なにを話していいのかかわからない。すべてがもっともで、どうしようもない。「わたしは、あの娘が幸せに、間桐の家で過ごしてるって思ってたんです。お父様の後はわたしが継げば、あの娘は痛いのや苦しいのとは関係がなくなるって。間桐の家で、魔術師としてつらい目に会ってるなんて全然想像もしないで、勝手にわたしが頑張れば、その分、桜が幸せになると思ってたんです」 雁夜にはどう声をかけていいのかわからない。以前ならば、すべて時臣のせいにして、復讐心へと転嫁することも出来ただろう。しかし、今の自分にはできない。なにを言っても、運命から逃げ続けてきた自分には、かけられる言葉などない。 だから、そっと肩を抱いた。 かけられる言葉がないのなら、怯える凛の肩を、震えが止まるまで抱えるようにそっと抱いた。 どれぐらいそうしていただろう。 凛が落ち着くまで、五分かそこら、いや、もう少し長かったかもしれない。「凛ちゃん、僕といっしょに行こう」 少女は小さくうなずく。 それはまるで、叱られるのを怖がる少女が、大人が一緒に謝りに行こうとするかのような錯覚に陥る。 その様は、年齢相応の幼さの残ったものだった。