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No.844の一覧
[0] 屍山血河 【Fate/sn再構成】【微クロス】[東雲](2015/01/03 05:23)
[1] 屍山血河[東雲](2005/07/22 22:25)
[2] 1/或る前夜(1)[東雲](2005/09/10 02:59)
[3] 1/或る前夜(2)[東雲](2005/09/10 03:00)
[4] 1/或る前夜(3)[東雲](2013/04/27 21:21)
[5] 1/或る前夜(4)[東雲](2013/05/05 04:47)
[6] 2/水月(1)[東雲](2013/04/27 21:43)
[7] 2/水月(2)[東雲](2013/04/27 21:48)
[8] 2/水月(3)[東雲](2013/05/01 04:45)
[9] 2/水月(4)[東雲](2013/04/29 21:28)
[10] 2/水月(5)[東雲](2013/05/03 03:51)
[11] 2/水月(6)[東雲](2013/05/04 03:09)
[12] 2/水月(7)[東雲](2013/05/05 04:47)
[13] interrudeⅠ/Fate[東雲](2014/12/29 03:55)
[14] 3/Insomniacs(1)[東雲](2014/12/29 06:02)
[15] 3/Insomniacs(2)[東雲](2014/12/30 01:39)
[16] 3/Insomniacs(3)[東雲](2015/01/03 05:07)
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[844] 屍山血河
Name: 東雲 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/07/22 22:25

 昔話をしよう。
 ある二人の少年が旅に出た。
 一人はお人よしで正直者、しかし致命的なまでに運が悪かった。
 一人は口は悪いが人が良い、しかし決定的なまでに縁が無かった。

 何が悪かったというのか。否、悪いものなど何もない。
 何故ならば。
 こんな二人が災厄に巻き込まれるのは、物語の必然というものだからである。

 空には孔が開いていて、黒い物が流れ落ちてくる。
 旅先で立ち寄っただけの街は炎に包まれていた。
 阿鼻叫喚の焦熱地獄が広がっている。
 その中で、生きて動いていたのは彼らだけだった。

 一人は自分の身体が焼けることも厭わずに、生き残りを探して火の中に飛び込んでいった。
 その身はとうに死んでいる。自分を殺しても、他の誰かを救いたいと思っただけだった。
 それはそうだ。彼は運が悪いのだから。
 自分と他人、その両方を救うことなど出来はしない。

 もう一人の少年は、その光景を、ただじっと見つめていた。
 彼は何もしない。何も出来ない。
 それはそうだ。彼には縁が無いのだから。
 自分を救うことも、他人を救うことも、出来るはずがない。
 その眼差しは、羨望でもなく呆然でもなく。
 絶望のそれであった。

 かくして、幕は上がった。
 一人は今も演者として踊り続け、
 一人は今も観客として舞台を眺め続ける。

 これは、それだけの話である。


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