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No.19944の一覧
[0] 【習作】ムカデの代わりの男(ゼロ魔三次創作)[あぶだび](2010/09/21 23:46)
[1] プロローグ ~ ムカデの代わり ~[あぶだび](2010/07/01 00:45)
[2] 第一話 『接触』[あぶだび](2010/07/01 21:00)
[3] 第二話 『自由を求めて』[あぶだび](2010/07/04 02:21)
[4] 第三話 『決意』[あぶだび](2010/07/04 03:01)
[5] 第四話 『再開』[あぶだび](2010/07/05 20:04)
[6] 第五話 『旅立ち』[あぶだび](2010/07/05 00:08)
[7] 第六話 『空高く』[あぶだび](2010/07/05 20:49)
[8] 第七話 『変わり始めた日常』[あぶだび](2010/07/11 22:31)
[9] 第八話 『闇の貴公子と絶望の魔女』[あぶだび](2010/07/11 22:28)
[10] 第九話 『魔剣』[あぶだび](2010/07/13 00:06)
[11] 第十話 『再々会』[あぶだび](2010/07/16 00:59)
[12] 第十一話 『うっとり』[あぶだび](2010/08/01 23:09)
[13] 第十二話 『使い魔』[あぶだび](2010/08/02 22:02)
[14] 第十三話 『契約』[あぶだび](2010/08/02 23:32)
[15] 第十四話 『精神汚染』[あぶだび](2010/08/17 21:01)
[16] 第十五話 『激戦』[あぶだび](2010/09/21 23:44)
[17] 第十六話 『本気』[あぶだび](2010/12/16 22:45)
[18] 第十七話 『兆し』[あぶだび](2010/12/18 00:17)
[19] 第十八話 『カリスマ』[あぶだび](2010/12/18 12:27)
[20] 第十九話 『擬態』[あぶだび](2010/12/19 21:12)
[21] 第二十話 『復帰』[あぶだび](2010/12/20 22:20)
[22] 第二十一話 『愛』[あぶだび](2011/04/23 20:34)
[23] 第二十一話 『愛』 ~番外編~[あぶだび](2011/04/23 20:34)
[25] 第二十一話 『愛』 ~追憶編~[あぶだび](2011/05/04 16:15)
[26] 第二十二話 『同化』[あぶだび](2011/05/04 21:56)
[27] 第二十三話『ムカデの代わりの男』[あぶだび](2011/09/04 00:17)
[28] 第二十四話『謀略』[あぶだび](2011/09/05 21:27)
[29] 最終話 『闇の貴公子よ永遠なれ』[あぶだび](2011/11/22 00:19)
[30] Episode2 『ムカデの代わりの代わりの男』[あぶだび](2012/02/04 10:10)
[31] 第1話「奇跡の少女」[あぶだび](2012/02/06 22:02)
[32] ムカデの代わりの男 最・終・章[あぶだび](2012/06/02 22:41)
[33] ムカデの代わりの男 最・最・終・章[あぶだび](2012/06/07 23:33)
[34] 【再開】 ムカデの代わりの男 -Revenge-[あぶだび](2015/01/22 21:46)
[35] 【再開】ムカデの代わりの男 -Revenge-  2話[あぶだび](2015/01/24 01:37)
[36] 【再開】ムカデの代わりの男 -Revenge- 3話[あぶだび](2015/02/04 23:32)
[37] 【再開】ムカデの代わりの男 -Revenge- 4話[あぶだび](2015/02/08 00:01)
[38] 【再開】ムカデの代わりの男 -Revenge- 5話[あぶだび](2015/02/10 21:15)
[39] 【再開】ムカデの代わりの男 -Revenge- Final[あぶだび](2015/02/17 23:34)
[40] おわりに・・・[あぶだび](2015/02/17 23:44)
[41] ムカデの代わりの男 ~dark side moon~[あぶだび](2017/07/16 23:02)
[42] 【復活】ムカデの代わりの男 -1-[あぶだび](2024/08/27 21:06)
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[19944] 【再開】ムカデの代わりの男 -Revenge- 5話
Name: あぶだび◆3d7473a9 ID:56adee96 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/02/10 21:15

"キャトルミューティレーションされた牛"になったデュマ様は、すでに瀕死だった。


グッドマン人形 → 人 → 仔犬 → キャトルミューティレーションされた牛である。
虚ろな目で目の前のラリカを見据えるデュマは、かすれた声で話し出す。

「み・・・見るがいい。これが・・・我が第3の変身よ・・・。」

矢の刺さった仔犬の時のほうが、まだ元気そうだった。
これは明らかに失敗である。

「血・・・血が足りねぇ・・・」

呻くデュマを後目に、ラリカは一歩づつ距離を空けはじめる。

「あ、あの・・・。私用事があるのでこれで・・・。」

仔犬の時は逃げたら追って来そうだったが、この牛ならその心配はなさそうだ。
尻尾を動かす力も残ってない。
離れた位置でデュマが何か訴えているようだが、もうラリカには聞こえない。
茂みに入り、視界からデュマが消えたところでラリカは走り出した。
早くこの島から脱出しなくてはいけない。
流石にあの状態の牛に止めを刺すことは気が引けたが、あの男はあと2回ほど変身できるはずである。
うかうかしている暇はなかった。
これ以上、こんな奇怪な島、いやあの奇怪な生き物のいる島に留まることはできない。

ガッ!!

必死で走っていたために、地面の突起に気づかなかった。
勢い良く地面に倒れ混んでしまうラリカ。
幸運にも下は雑草に覆われていたため、怪我はしなかったものの、倒れこんだ衝撃で一瞬息が止まる。

「・・・うぅ。」

よろよろと立ち上がり、足を引っ掻けてしまった場所に目をやる。

「ッ!?」

目を疑った。
ありえないはずのモノがそこにいたのだ。

「血が足りねぇよぉぉ!」

相変わらずか細い声で呻いているものの、ラリカにとってソレは恐怖だった。
あの場所からは確かに離れたはずだった。
ここに、ヤツがいるわけがない。
あまりの衝撃に、その場にへたり込むラリカ。

「な・・・なんで!?」

「血が・・・。」

「血が足りねぇよぉ!!」

そう、そこにいたのは紛れもなく"キャトルミューティレーションされた牛"だった。

------------

「ハァハァ・・・。」

急に現れた"キャトルミューティレーションされた牛"から、離れること数分。
ラリカは浜辺へ向かってひたすら走っていた。
立ち止まらずに行くと、ようやく見慣れた浜辺が見えてきた。
このまま船に・・・。
安堵し、足を止めた時だった。

「・・・りねぇ」

「!?」

「血が足りねぇ・・・。」

間近で聞こえるあの声。
信じたくない。
信じたくないが・・・。
ラリカは声のする方、そう自分の足元を恐る恐る見やった。

「うああぁぁあ!!」

叫び声を上げ、ラリカは地面にへたり込む。
そう、彼女の足元にいたのは・・・。


"キャトルミューティレーションされた牛"


「血が足りねぇよぉ!!」

相変わらず生気のない声で繰り返してはいるが、それが恐怖である。
確かに逃げたはずだった。
離れるとき、確かに遠くにいたはずだった。
それなのに、なぜここに動けないはずの"キャトルミューティレーションされた牛"がいるのか。

「う・・・ぁああ。」

声にならない呻き声を上げ、へたり込んだまま後退るラリカ。

「血が・・・血がたりねぇよ!」

船まであとほんの少しなのに、恐怖で体が前に進まない。

「なんで・・・、なんでアナタがここに・・・。」

ようやく言葉を発したラリカに、"キャトルミューティレーションされた牛"が呻き声を止めた。
そして、ゆっくりと語り出した。
あの忌まわしい出来事を。



---------------

ある日、一匹のモグラがいた。
モグラの名前は"スウィート・ダディ"。
モグラの中では良くある名前らしい。
スウィート・ダディ(略してSD)は、ふとした事から"海"という存在を知ることになった。
SDの縄張りは海岸沿いだったらしい。
それからSDの夢は"海"に行くことになった。
"海"がどんなモノなのかは仲の良い小鳥①が教えてくれた。
"海"の味は好敵手の小鳥②が教えてくれた。
だが、どれだけ話を聞こうと自らが体験しなくては満足できない。
SDの好奇心は高まる一方だった。
月日は経ち、立派な大人に成長したSDはついに決断する。
"海"に行く!と。
反対する仲間兄弟を押しきり、SDはひたすら掘り進む。
そう、SDは知っていたのだ。
自分の命があと僅かであること、そしてここで決断しなければ、恋い焦がれた"海"を感じることができないことを。
そこからSDの冒険は始まった。
縄張りの外は、もう興奮の連続だった。
出会ったことのない餌や触れたことのない土。
"海"に行ければそれで良かったSDの心は、いつの間にか"海"までの道のりを楽しむようになったのだ。
そう、結果ではなく過程を。

だが・・・

SDは決定的な間違いを犯していた。
まっすぐに"海"に進んでいたはずが、実は逆に進んでいたのだ。
気づいた時には、もう遅かった。
引き返すにはもう、SDに残された時間は足りなかったのだ。
SDはそこで決断した。
これ以上、生き恥を晒すわけにはいかない。
死すならば戦いの中で !!
SDが挑んだのは動物でも虫でもない。
真上に広がる死の空間(地面)、その先にある邪光。
そう、"太陽"である。
地中で勢いをつけ、その巨大な前足で"太陽"に向かって飛び出したのだ。

そして・・・


SD、いやスウィート・ダディは干からびて死んだ。



          つづく



【知恵袋】
キャトルミューティレーションとは
アメリカにて、家畜の不可解な死亡報告が多発。
レーザーを使ったような鋭利な切断面があったり、血液が全て抜き取られているなどの異常性の他、
この前後に未確認飛行物体の目撃報告が複数あることもあり、人間ではなく、
宇宙人の仕業ではないかと騒がれたもの。
ググるとちょっと気持ち悪いので気を付けたほうが良いよ♪


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