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No.36373の一覧
[0] 魁!!トリステイン学園【ゼロの使い魔 X 野中英次作品】[コールベール](2013/01/02 18:42)
[1] 第一話 ゼロ[コールベール](2013/01/02 20:53)
[2] 第二話 使い魔[コールベール](2013/01/02 18:44)
[3] 第三話 雪風の誘惑[コールベール](2013/01/02 19:16)
[4] 第四話 タバサの秘密 [コールベール](2013/01/02 19:20)
[5] 第五話 決闘[コールベール](2013/01/02 19:22)
[6] 第六話 モット伯[コールベール](2013/01/02 19:24)
[7] 第七話 姫君の変身[コールベール](2013/01/02 18:47)
[8] 第八話 魅惑の妖精[コールベール](2013/01/02 18:47)
[9] 第九話 閃光[コールベール](2013/01/02 18:48)
[10] 第十話 遭難[コールベール](2013/01/05 14:47)
[11] 第十一話 メカ沢くん[コールベール](2013/01/02 19:48)
[12] 第十二話 トリステイン学園[コールベール](2013/01/02 19:33)
[13] 第十三話 虚無のルイズ[コールベール](2013/01/02 18:53)
[14] ~双月編~ 第一話 銃士隊[コールベール](2013/01/02 19:43)
[15] ~双月編~ 第二話 青銅の闘い[コールベール](2013/01/05 15:05)
[16] ~双月編~ 第三話 炎の贖罪[コールベール](2013/01/06 13:34)
[17] ~双月編~ 第四話 秘密文書[コールベール](2013/01/07 16:40)
[18] ~双月編~ 第五話 デルフリンガー[コールベール](2013/01/07 15:53)
[19] ~双月編~ 第六話 ヴァリエール家の危機[コールベール](2013/01/08 17:23)
[20] ~双月編~ 第七話 ミョズニトニルン[コールベール](2013/01/10 22:41)
[21] ~双月編~ 第八話 魔法学園の危機[コールベール](2013/01/10 22:25)
[22] ~双月編~ 第九話 徴税官[コールベール](2013/01/11 21:28)
[23] ~双月編~ 第十話 風と水の邂逅[コールベール](2013/01/11 20:55)
[24] ~双月編~ 第十一話 七万[コールベール](2013/01/11 21:23)
[25] ~双月編~ 第十二話 エピローグ(sound only) [コールベール](2013/01/11 20:57)
[26] ~三美姫編~ 第一話 噂の新入生[コールベール](2013/01/17 03:24)
[27] ~三美姫編~ 第二話 夢見る公女[コールベール](2013/01/17 03:16)
[28] ~三美姫編~ 第三話 イザベラと人形たち[コールベール](2013/01/17 13:12)
[29] ~三美姫編~ 第四話 疑惑の晩餐[コールベール](2013/01/22 01:02)
[30] ~三美姫編~ 第五話 魔法学園の午後[コールベール](2013/01/22 01:12)
[31] ~三美姫編~ 第六話 三馬鹿の輪舞[コールベール](2013/10/17 20:49)
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[36373] 第十一話 メカ沢くん
Name: コールベール◆5037c757 ID:f6102343 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/01/02 19:48
アルビオンの侵攻は、
特に平民にとって、青天の霹靂であった。

ラ・ロシェールに召集された貴族たちの中には、
この時点で、まだ戦闘の開始を知らぬものすら居たが、
そこから500メイルも離れていないタルブ草原は、正に地獄と化していた。

シエスタは弟の手を握り、燃え盛るブドウ畑の脇道を走っていた。
怒りも悲しみもなかった。ただ、背に迫る恐怖だけが彼女を突き動かしていた。

「こっちだシエスタ!!急げ!!」

森へ切り込む獣道から、村人が叫んだ。
数分前、駆けつけた銃士隊から村に告げられた伝令は、
森を抜け、ラ・ロシェールに駐留するトリステイン本陣の後方に避難せよという旨だった。

戦いの雄たけびや、爆音が聞こえる。
もう少しすれば、うめき声も届くかもしれない。

だがそんな極限状態であるにも関わらず、
シエスタが森の入り口に辿りついた時、村の人々は、呆然と彼方の空を見上げていた。

「なんだあれは?鳥か?」

足を止めたままの皆をいぶかしみながら、
シエスタもそちらを見やり、そして息を飲む。

彼女は、それが何かを知っていた。
純白の細い雲を後にひき、戦場へと真っ直ぐに飛んでゆくそれを、シエスタは知っていた。

幼いあの日、母に抱かれ、安らぎの中で心躍らせたおとぎ話。
かつて少女の中で輝いていた、強く、優しく、正しい、そんな英雄譚。

「本当だったんだ……」

「お姉ちゃんはあれを知ってるの?あれは何なの?」

腕の中、自分にあどけない双眸を向ける弟に、
シエスタはかつての自分を重ね、思い出した。
無垢な希望と、その尊さを。

「あれはね……」








伝説が――――

タルブの空に降臨した――――――









第十一話 メカ沢くん



アルビオンの旗艦レキシントン号に通信が入った。
「チョウザメ座より本部へ。所属不明の謎の飛行体から攻撃を受けている」との内容だった。

連絡を受けたジョンストンはまず、裏切りの可能性を考えた。
ゲルマニアが援軍を寄越す可能性は低く、仮にそうであったとしても、
距離と時間に矛盾が多すぎる。

ロマンチストの造反でなければ、
せいぜい、トリステインの"忘れられた没落貴族"だろう。

祖国に殉じるつもりなら、そうさせてやればいい。
負け戦になることも読めず、下手な算盤を弾くような者だったなら、
似合いそうな汚名を与えれば、あとあと便利に使える。
その程度に考えていた。

彼が先行部隊壊滅の連絡を受けるのは、それからわずか10分後のことだった。






~~~~


「ボーウッド様!!あれを!!」

レキシントン号の進路前方、下士官が指差すほうに目をやると、
艦首から300メイル先を行く竜騎士隊の上空に、巨大な異変が起こった。

全天の空を覆う灰色の雲に、波紋のように、青い風穴が開き、
そこから、何かが降下してくる。

それが竜騎士隊と接触すると、程なくして小さな炎が、赤く細かく明滅した。
交戦していると認識するが早いか、ポロポロと火竜が墜落してゆく。
それから放電される紫光が、地上のオーク傭兵部隊を洗い流してゆく。

悪夢などという生易しいものではなかった。
正しく、出鱈目な光景だった。

ナメクジの群れが、白ヘビに襲われているかのようだった。
アリの群れをもてあそぶ、こどもの指先のようだった。
世界が意思を持ち、己に張り付いた異物をこすり、ねじり、かきむしり、
どうにか排除しようとイラだっているかのようだった。

現実を引き裂くその理不尽を目にしたものは、皆違わずこう思った。

「神よ……」







~~~~


クロムウェルは、困惑の極みにあった。

巡礼者への冷笑をひた隠しにすることが、彼の処世術だった。
世に崇拝されているものをどう換金するかが、彼の職業だった。
そんな彼の人生観を、粉々に打ち砕く出来事だったのだ。

「嘘だ……。現実にあんなものが……在りえない……」

ブリミル、サーシャ、ヴァリヤーグの叙事詩に遥かに先立つ、
遠く悠久に秘めて語り継がれし太古の神々。
六千年前、既に伝説として謳われていた、いにしえの猛き英雄。

遠見の鏡に映し出された戦慄の光景は、
クロムウェルにそれを思い起こさせていた。

けたたましい音を立て、艦長室の扉が開かれる。

「閣下!!」

クロムウェルは、現れた武官に取りすがり叫んだ。

「おお、ボーウッドよ!!アレはなんだ?!何が起こっているのだ?!」

「分かりません。何も分かりませんが……、一つだけ、確信を持って言える事があります。
 これはもはや、後に神話と呼ばれるであろう領域です」

「そんな……」

「いずれにせよ、あれは間違いなくトリステインに与しています。どうか降伏のご英断を」

「い、いやだ!!これは何かの間違いだ!!
 そもそも私は、あんなものに逆らうつもりはかったのだ!!」

「皆殺しにされますぞ!!」

クロムウェルがすがるような目でボーウッドを睨むと、
ドオンというにぶい音と激震が響き、吹き飛ばされた黒檀の机が、彼の体を壁に挟み込んだ。

「ぐふぁ…!!」

あれが、このフネを攻撃している――――――

「うぅ……。わかった、早く降伏を……」

しかし、その命に答えるものは居なかった。

顔を上げたクロムウェルが見たものは、
倒れ付す猛将ボーウッドと、それを足蹴にする、あの化け物だった。


「おめぇさんかい……?この戦争をおっぱじめたバカヤローは……」

「ひぃぃぃ!!しゃしゃしゃ、しゃべった……」

「ああ?!人間がしゃべって何がおかしい?!」

「に、人間……?」

「チッ!!まったく失礼なヤローだぜ……。アタイは烈風のカリンってんだ。覚えときな……」













~~~~


その頃トリステイン学園では。


「だから!!メカ沢くんは生き物なんだって!!」

「しつこいぞサイト!!これのどこが生き物だ!!」


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