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No.39254の一覧
[0] 【完結】【「大隆起」と対決!】宰相ヴェネッサ、まかりとおる!【ルイズ魔改造】[山田太郎](2014/03/20 16:01)
[1] 第1話「ロマリアの陰謀」 [山田太郎](2014/01/19 16:58)
[2] 第2話「イザベラ殿下、インド魔力を召喚!」[山田太郎](2014/01/19 16:58)
[3] 第3話「始祖の遺した邪術、『生命』」[山田太郎](2014/01/19 16:59)
[4] 第4話「『聖戦』の挫折」[山田太郎](2014/01/19 16:59)
[5] 【完結】第5話「大隆起」[山田太郎](2014/01/19 16:59)
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[39254] 第1話「ロマリアの陰謀」
Name: 山田太郎◆c8b14625 ID:55a6cbb5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/01/19 16:58
2012.12.17(初版)
今回の予告編は、ルイズが「大隆起」にどう対応するかについてのお話です。ルイズが提案する「ハルケギニアの救済」策とは?などについてとりあげます。

(23:43)ジョゼットの召喚失敗と、イザベラのインド魔術召喚の成功についての記述を増補

2013.1.4【ゼロ魔】板より移転
**************

 ガリア王ジョゼフは、グラン・トロワに侵入したルイズが、ガリア王家の秘宝 "土のルビー" に対してかけた虚無魔法 “リコード(記録)”により、弟シャルル(故オルレアン大公)の自身に対する妬み・そねみ・嫉妬を目の当たりにすると、涙を流して大泣きし、そのあと廃人のようになってしまった。

 ルイズはミョズニトニルン・シェフィールドに頼んで、彼女の実家(さと)にジョセフを連れて行かせることにした。教皇ヴィットーリオによる虚無の大魔法『生命』の発動を妨害するにはそのほうがよい。
 また、ジョゼフの命令で製造されていたヨルムンガンドや火石など、猛悪な兵器類もハルケギニアの平和にとっては脅威にしかならない。ルイズがシェフィールドにこれらの兵器の引き取りを求めると、彼女は快諾、ヨルムンガンドの専用輸送船にジョゼフも積み込み、大喜びで故郷のエーラーン・シャフル(地球でいう旧ペルシア帝国)にむけて旅だっていった。
 虚無の担い手が分散することは、エルフにとっても都合がよい。シェフィールドとジョゼフの夜逃げ船がサハラ(地球でいうトルコ・シリア・ヨルダン・サウジアラビア・北アフリカあたり)の上空を通過する許可を獲得するのに、ビダーシャルはきっと大いに活躍するだろう。

 さて、ガリアの後始末をジョゼフから丸投げされたイザベラ王女。

 彼女の根性と性格は、これ以上ないというほどひんまがっているが、暗愚ではない。それどころか知能の高さ、人の本性を見抜く目の確かさ、各種の実務処理能力など、歴代のガリア王族のなかでもきわめて高い水準の持ち主であった。
 そんな王女殿下が現在の状況をつらつらと沈思黙考するに、父ジョゼフの悪評はガリア全土にあまねくとどろきわたっているうえ、いままでの自分自身の振る舞いも人望を高める方向には一切向いていなかった。
 すなわち、ジョゼフ王ただひとりの嫡子として正式に立太子されているとはいえ、このまま女王に即位しようものならすぐに大叛乱が勃発し、王位を失うどころか命まで落とすはめにおちいることは確実だ。 

 そこでイザベラは、政権の掌握は摂政王太子の名義で行うこととし、最初に取り組んだのが、大赦の布告である。ジョゼフがオルレアン派として弾圧した人々の名誉回復である。
 不穏分子のご機嫌をとり、かれらが叛乱を起こすのをとりあえず少しでも先延ばしさせようという狙いである。

 そしてオルレアン大公の遺児であるタバサに密かに忠誠を誓う東薔薇騎士団のバッソ・カステモールを呼び出した。

「シャルロットを探し出して、連れてきてほしいんだ」

 イザベラは、カステモールに、ビダーシャルに作らせてあった解毒薬や、タバサに対して“オルレアン大公女シャルロット・エレーヌ"の名乗りを改めて許可する書類などを渡していった。
 
「シャルロットに王位についてもらう。あたしが女王になろうものなら、どんなにがんばっても結局内戦に突入して、悲惨な末路をたどらなきゃならないのは目に見えてるしね。そんなことはまっぴらごめんだ」

 “僭王”ジョゼフを打倒し、オルレアン大公シャルルの遺児であるタバサを王位につけようと密かな陰謀をめぐらせてきたカステモールにも、まったく否やはない。
 オルレアン大公夫人とタバサは、トリステイン魔法学院の級友たちとおぼしき連中にアーハンブラ城から誘拐されてから消息は知れないが、ガリア国内を潜伏しながら移動していると推測された。
 カステモールらが参加していたジョゼフ打倒のための秘密組織は、目的を変えて公然と姿をあらわし、全力をあげてオルレアン大公夫人母子の捜索にとりかかった。

 カステモールにともなわれて摂政府がおかれているプチ・トロワに母とともに出頭したタバサは、イザベラから、ジョゼフをアル・ロバ・カリイエのエーラン・シャフルに夜逃げさせたことを聞かされた上で、王位につくよう求められた。
 タバサは、アーハンブラ城からゲルマニアのフォン・ツェルプストー伯領をめざしてガリアの国土を縦断する潜航の旅を通して、伯父ジョゼフ打倒の機運がガリア全土に満ち満ちているのを見聞し、内乱を未然に防ぐにはイザベラの求めどおり自分が王位を継ぐしか無いという結論に達していた。

 こうして、”王継戦争”は勃発することなく、”ガリア女王シャルロット”が誕生する運びとなった。

             ※                       ※

 ロマリアは、アルビオンについて失敗を重ね続けた。

 プリンセス・オブ・モード(モード大公女)の身柄を確保しようとしたら、ホワイトヘイブン卿ヴェネッサなる女のグループに先をこされた。
 アルビオン戦役で、ヴェネッサの一党がレコン・キスタをあっという間に解体し、アルビオンの政権を握るのを、なすすべもなく傍観した。
 ヴェネッサ一党がモード大公女を即位させようとしたので、教会関係者を使い、ハーフ・エルフが女王になるなんてとんでもないと反対させたら、アルビオンにいたロマリア人の聖職者が根こそぎ国外追放された。
 ハーフ・エルフの女王ティファニアに異端認定を、ヴェネッサをはじめとするティファニアの支持者に破門を宣告したら、彼らは恐れ入るどころか“フォルサテの裔とその眷属(教皇と聖職者に対する蔑称)に、ロタール(始祖ブリミルの長子で、初代アルビオン王)の裔を侮辱する資格はない”として、”アルビオン国教会”を樹立し、教皇の権威を完全に否定した。

 ロマリア首脳部だけが、ひそかに把握してきた始祖の伝承によれば、初代ガンダールヴは、サーシャというエルフであった。そのうえ、ロタール、ルイ、シャルルら「みっつの王権」の初代となるブリミルの子供たちは、全員がサーシャから生まれたハーフ・エルフであった。
 だからロマリアは、この埋もれていた伝承を明らかにすることにより、ティファニア女王のアルビオン新政権をモラール・サポート(精神的支援)する選択肢だってあったはずだが、「聖地」への出兵にハルケギニアを動員するうえで、伝統的な”エルフに対する敵愾心”には手をつけないことを優先した結果が、このざまとなってしまったのである。

 アルビオンの宰相に就任したヴェネッサは、なかなかの凄腕であった。
 彼女の手により、ロマリアがアルビオン国内に永い時間をかけて営々と構築してきた諜報網は一掃された。
 ”虚無の担い手”たるティファニアやヴェネッサを、誘拐、もしくは暗殺するために送り込んだ優秀な使い手たちは、ことごとく返り討ちにあった。

 虚無の大魔法”生命”の発動には、四人の担い手・四人の使い魔・四つの指輪・四つの秘宝をそろえる必要があるのに、アルビオンがこのような有様ではとてもおぼつかない。

 しかしながら、トリステイン・ゲルマニア連合帝国の女王・皇妃(カイザーリン)のアンリエッタ、皇帝(カイザー)アルブレヒトとヴェネッサは、なにやら個人的にも親交が深いらしく、教皇が女王ティファニアに対して異端宣告を行ったにもかかわらず、ゲルマニア・トリステインは、アルビオンとの交易その他の交流を堂々と盛んに行い、恥じる様子も無い。

 さらにそのうえ、ハルケギニア最大の大国ガリアでも、ロマリアにとって見過ごせない事態が進行している。

 ハルケギニアに大動乱をもたらす策動の震源であったジョゼフ王に対し、ロマリアとヴェネッサは、競い合いながら彼の打倒に取り組んだものだが、ジョゼフが無力化されたあとには、これもヴェネッサに恩義を感ずる女王シャルロット・エレーヌ、摂政イザベラの政権が確立されようとしている……。

 そこで、教皇ヴィットーリオ・セレヴァレは、一発逆転のため、とっておきの切り札を切った。かねてから密かに手なづけていたガリア女王シャルロットの妹ジョゼットを、ガリア女王の即位式典の会場ですりかえ、”シャルロット”として即位させたのである。

 ジョゼットは、”恋人”ジュリオ・チェザーレ(教皇エイジスの使い魔)のいうがまま、”女王シャルロット”としてさっそく宣言した。

 「ガリア王国を統べる女王として、みなさまがたに宣言いたします。ガリア王国は神と始祖ブリミルのよき僕として、ロマリア皇国連合の主導する『聖戦』に、全面的に協力いたします。ハルケギニアに始祖の加護があらんことを」

 本物のシャルロットや、ガリア摂政イザベラは、捕らえられて軟禁された。
 即位式典に列席するためリュティスに参集していた皇妃アンリエッタ,皇帝アルブレヒト夫婦は、ガリアの重武装兵やロマリアの聖堂騎士団をひきつれた教皇ヴィットーリオとジョゼットに迫られ、”アルビオンに対する聖戦”への参加の表明を行うことを余儀なくされ、さらには”アルビオンの異端と密かに結びついているマドモアーゼル・ド・ラ・ヴァリエール(ヴァリエール家令嬢,ルイズ)の逮捕令”まで出すことを強要された。

 ヴェネッサがルイズの”偏在”(もしくはトリステインにいるルイズがヴェネッサの”偏在”)であることは、両親や姉たち、アンリエッタとアルブレヒト、キュルケやタバサ、コルベールなどにはルイズが自ら明かしていたが、ロマリアにもその情報が伝わったらしい。

 この逮捕令がとどいた時、ルイズの父ピエール(トリステイン摂政)や母カリーヌ、ゲルマニアのエルプグラーフィン・フォン・ツェルプストー(キュルケ)らは、ルイズを庇護するために”叛乱”を起こしてあげようか?とルイズに打診したが、ルイズは断り、
「いまはロマリアに従うふりをしていてちょうだい」
といって、アルビオンへ逃げた。
 
             ※           ※

「準備はいいかい?」
「わたしはとっくにできていますわ。でも、ジュリオ以外の人を使い魔にするつもりはありません」
 教皇ヴィットーリオは、優しくさとすように言った。
「ジョゼット、ジュリオはすでにわたくしの使い魔なのですよ」
「知っております。でも、聖下はおっしゃったではありませんか。強い想いは使い魔を引き寄せると」
「ええ」

 教皇ヴィットーリオとその使い魔ジュリオ・チェザーレ、シャルロットの名義ですりかわってガリア女王に即位したジョゼットがなにか色々と話している。

「もし、喚びだしたのがあなたでなかったら。この場所に召喚ゲートが開かなかったら。わたしはこれで頭を打ち抜くわ!」

 ジョゼットは、自分の頭に短銃をつきつけながら叫んでいる。ようするに、ジョゼットは自分の使い魔としてジュリオを召喚したいようだ。

「あなたを愛しているわ、ジュリオ」
「ぼくも君を愛しているよ、ジョゼット」

 ジョゼットは、左手で短銃を頭に突きつけたまま、呪文を唱えはじめた

 ジョゼットの目の前と、ジュリオの目の前と、この部屋の中に召喚ゲートが2枚現れたなら、ジュリオがジョゼットの使い魔として召喚されることになる。
 ジョゼットの目の前に1枚しか現れないなら、ジュリオではなく、どこかにいるなにか別の生物の前に召喚ゲートが開かれたということになる。その場合は自殺する、とジョゼットは言っているのだ。

 呪文が完成すると、ジョゼットはゆっくりと杖を振り下ろした。時間にすればわずかに数秒だが、ジュリオもジョゼットも、その間を永久のように感じた。

 ……召喚ゲートは、1枚も、部屋の中にあらわれなかった。

 ジョゼットがとつぜん崩れおれた。緊張が極まり、精神が耐えきれなくなったのであろう。

 ヴィットーリオはつぶやいた。
「ジョゼフが生きているかぎり、新たな『ガリアの担い手』は覚醒することができないのだろうか?」

 前王のジョゼフが夜逃げしていったエーラン・シャフルという国は、エルフの国サハラをさらに東に越えた、アル・ロバ・カリイエの一角にあるという。
 これからジョゼフの命をうばうため、そんな遠方の国に、成功するまで何度も繰り返し刺客を送り込まねばならない。
 気の遠くなるような困難な作業が待ち受けている……。
 
                 ※                   ※

 じつは、そうではなかった。
 彼らは先をこされたのである。

                 ※                    ※

 ガリアの”オルレアン派”と呼ばれる勢力の、特に活動的な者の中には、タバサ個人に忠誠を誓うものが多くいた。
 彼らは、ロマリアによる女王すりかえにすぐ気がついた。
 シャルルの遺児であれば誰でもよいわけではない。花壇騎士団の騎士としてすぐれた技量を見せた姉姫と、ロマリアのあやつり人形の妹姫と。彼らにとって忠誠に値するのはどちらか、いうまでもない。
 
 本物の女王たるシャルロット・エレーヌがきわめて厳重に警備されたのとくらべ、イザベラの警備は手薄だった。イザベラは、彼らの手引きによって脱出をはたし、ヴェネッサのもとに逃れた。

 ヴェネッサ=ルイズは、イザベラと語り合ううち、彼女が魔法がたいへん苦手なことを聞いた。系統魔法がさっぱりなのはむろん、コモンマジックも、ろくに成功させることができない。
 ルイズは思った。

 (爆発しないだけで、わたしとそっくりじゃない)

 「イザベラ、あなたの系統も、虚無なんじゃないかしら?」

 さっそく色々な実験がはじまった。そして、サモン・サーヴァント。
 人間が召喚されたら、召喚者は虚無の系統である可能性が高い。

 「我が名は、イザベラ・ド・ガリア。5つの力を司るペンタゴン。我に従う使い魔をここに召喚せよ!」

 ぶわっと空気がゆらぎ、召喚ゲートが形成された。その中から現れたのは、異国風の若い男。とまどいの表情をうかべ、周囲をきょろきょろと見回している。  
 
 禅師とともにバーラト国(インド)にわたり、数年間、優婆塞(うばそく)として仏教を学んだルイズには、それがバーラト国の貴人であることがわかった。

 成功である。

 ガリアにおける虚無の担い手であったイザベラの父ジョゼフは、今はハルケギニアを捨て、アル・ロバ・カリイエのエーラーン・シャフルに暮らしている。
 
 イザベラが、新たな『ガリアにおける虚無の担い手』、すなわち【ブリミルの次男ルイの裔たる虚無の担い手】に選ばれたようだ。


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