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No.4371の一覧
[0] ゼロの使い魔と炎の使い魔(ゼロの使い魔xデジモンシリーズ〈フロンティア中心〉)[友](2009/03/15 21:23)
[1] プロローグ[友](2008/10/07 18:36)
[2] 第一話[友](2008/10/07 18:51)
[3] 第二話[友](2008/10/10 19:17)
[4] 第三話[友](2008/10/13 16:12)
[5] 第四話[友](2008/10/20 17:57)
[6] 第五話[友](2008/10/26 04:02)
[7] 第六話[友](2008/11/01 17:51)
[8] 第七話[友](2008/11/08 17:50)
[9] 第八話[友](2008/11/15 12:02)
[10] 第九話[友](2008/11/22 17:35)
[11] 第十話[友](2008/11/29 14:53)
[12] 第十一話[友](2008/12/05 19:52)
[13] 第十二話[友](2008/12/07 21:43)
[14] 第十三話[友](2008/12/14 16:23)
[15] 第十四話[友](2008/12/21 12:18)
[16] 第十五話[友](2008/12/28 16:54)
[17] 第十六話[友](2009/01/01 00:05)
[18] 第十七話[友](2009/01/02 16:26)
[19] 第十八話[友](2009/01/09 00:29)
[20] 第十九話[友](2009/01/11 06:34)
[21] 第二十話[友](2009/01/15 20:24)
[22] 第二十一話[友](2009/01/18 17:32)
[23] 第二十二話[友](2009/02/01 11:52)
[24] 第二十三話[友](2009/02/01 11:54)
[25] 第二十四話[友](2009/02/08 22:23)
[26] 第二十五話[友](2009/02/15 11:45)
[27] 第二十六話[友](2009/02/22 20:46)
[28] 第二十七話[友](2009/03/01 13:24)
[29] 第二十八話[友](2009/03/08 19:44)
[30] 第二十九話[友](2009/03/14 00:18)
[31] 第三十話[友](2009/03/14 21:51)
[32] 第三十一話[友](2009/03/15 21:22)
[33] 第三十二話[友](2009/03/26 19:38)
[34] 第三十三話[友](2009/04/11 22:44)
[35] 第三十四話[友](2009/04/11 22:43)
[36] 第三十五話[友](2009/05/02 13:14)
[37] 第三十六話[友](2009/05/02 13:13)
[38] 第三十七話[友](2009/05/04 18:13)
[39] 第三十八話[友](2009/05/05 10:08)
[40] 第三十九話[友](2009/05/05 16:55)
[41] 第四十話[友](2009/05/31 14:53)
[42] 第四十一話[友](2009/06/21 11:00)
[43] 第四十二話 7/19修正[友](2009/07/19 20:21)
[44] 第四十三話[友](2009/08/01 12:23)
[45] 第四十四話[友](2009/08/12 13:39)
[46] 第四十五話[友](2009/08/31 23:37)
[47] 第四十六話[友](2009/09/12 20:57)
[48] 第四十七話[友](2009/09/13 16:58)
[49] 第四十八話[友](2009/09/19 00:53)
[50] 第四十九話[友](2009/09/27 10:46)
[51] 第五十話[友](2009/10/17 16:40)
[52] 第五十一話[友](2009/12/06 14:33)
[53] 第五十二話[友](2010/08/08 22:23)
[54] 第五十三話[友](2010/08/22 23:45)
[55] 第五十四話[友](2010/09/26 20:09)
[56] 第五十五話[友](2010/09/26 20:08)
[57] 第五十六話[友](2010/11/20 11:51)
[58] 第五十七話[友](2010/12/12 23:08)
[59] 第五十八話[友](2011/01/02 19:02)
[60] 第五十九話[友](2011/01/24 14:57)
[61] 第六十話[友](2011/02/13 19:25)
[62] 第六十一話[友](2011/02/13 19:22)
[63] 第六十二話[友](2012/01/15 20:45)
[64] 第六十三話[友](2012/01/15 20:39)
[65] 第六十四話[友](2015/02/08 17:28)
[66] 第六十五話[友](2015/03/08 21:45)
[67] 第六十六話[友](2015/05/03 15:33)
[68] 第六十七話[友](2015/06/07 21:34)
[69] 第六十八話[友](2015/10/18 17:11)
[70] 第六十九話[友](2016/02/28 20:03)
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[4371] 第十話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/11/29 14:53
ラ・ロシェールで一日の足止めをくった一行。

その一日で、何が起こるのか。


第十話 風のアルビオン


ラ・ロシェールに到着した翌日。

拓也は宿の部屋のベッドで目を覚ます。

「くあ・・・・・・ん?」

目を覚ました視界の下のほうに、青い何かが見えた。

「何だ?」

拓也は視線を下に移す。

そこには、

「イ・・・・イイイ、イルククゥ?」

イルククゥが拓也のベッドに潜り込んで寝ていた。

それも裸で。

「のわあぁぁぁぁぁぁっ!!」

拓也はベッドから転がり落ち、更に壁ぶつかるまで後ずさる。

その悲鳴で、アイナが飛び起きた。

「な、何!?何があったの!?」

「あわわわわわ・・・・・・」

飛び起きたアイナが、壁際の拓也を見つけたとき、拓也は口をパクパクさせて自分が寝ていたベッドを指差していた。

「何?」

アイナが首を回して、拓也が寝ていたベッドに視線を向けたとき、

「きゅい~、うるさいのね~・・・・・」

イルククゥが目を擦りながら、起き上がった。

「な、ななななななな・・・・・・」

今度はアイナが口をパクパクさせている。

「イルククゥ!何やってるの!?」

「きゅい~?一緒に寝ただねなのね~」

イルククゥは寝ぼけ目を擦ってそう言った。

「何で拓也のベッドに潜り込んでるの!?」

「ぐっすり眠れるからなのね~」

イルククゥは寝ぼけ顔のままそう言う。

だが、アイナは気付いた。

イルククゥの口元がニヤリと笑ったことに。

――ブチッ

と、聞えるはずの無い音がした。



その朝、『女神の杵』亭の一部屋が業火に見舞われた。

目撃者の証言では、炎が起こる前に、青いドラゴンがその部屋の窓から離れるのが見えたとか。



その夜。

才人はベランダで月を眺めていた。

そして、激しく落ち込んでいた。

理由は、朝にワルドから立ち合いを申し込まれ、鼻っ面を折ってやろうと申し出を受けた。

だが、結果は才人の完敗。

手も足も出せずに負けた。

極め付けに、「君ではルイズを守れない」と言われ、激しく落ち込んだ。

更に2つの月が重なり、1つに見えているので、地球の月を思い出させ、才人はホームシックにかかっていた。

「才人さん、何してるんですか?」

才人の隣に拓也が並ぶ。

「・・・・・・・・・」

才人は何も答えない。

「ワルドに負けたことを気にしてるんですか?」

ピクッと才人が反応した。

「俺から見ても、あのワルドは相当な実力を持ってます。恐らく何度も実戦を潜り抜けているでしょう」

「何が言いたいんだよ!?」

才人は機嫌の悪さから、声が荒んでしまう。

「対して、才人さんは実戦と言える実戦は、ギーシュの決闘とフーケの騒ぎの2回だけ。それどころか、剣を握って1ヶ月も経ってないんですよ。そんな素人が、達人に敵うわけないじゃないですか」

「そんなことは分かってる。アイツにも言われたよ。『君ではルイズを守れない』ってな。確かに、俺は弱い」

拓也はその言葉に少し怪訝な顔をした後、

「ちょっと違いますね」

才人の言ったことを拓也は否定する。

「何が違うんだよ?」

「才人さんは弱いんじゃありません。“まだ”弱いだけです」

「はあ?」

「俺と才人さんは似たような境遇です。俺はスピリットを受け継ぎ、才人さんはガンダールヴとなった。元は同じ素人です。俺だって、最初は今ほど強くありませんでした」

「・・・・・・・・」

才人は黙って拓也の話を聞く。

「同じ敵に何度も敗北したこともあります。けど、俺達は諦めませんでした。・・・・・・才人さん。才人さんは一度負けたぐらいで立ち止まってしまうんですか?」

「・・・・・俺は・・・・」

才人は俯く。

「別に才人さんに無理をしろと言っているわけではありません。ただ、後悔の無い選択をしてください」

拓也はそれだけ言うと、中へ戻っていった。

入れ違うようにルイズが才人の方へ向かった。

その途中、拓也は思う。

(才人さんを追い詰めるような言動。最初に会ったときの違和感。そして、ヴリトラモンと俺を見たときの反応の少なさ。昨日、アイナに話しておいて正解だったな。そして、何かあるとすれば今夜・・・・・)

そう思ったとき、一階の酒場で悲鳴が聞えた。

「チッ!思った傍から!!」

拓也は駆け出した。



一階では、大勢の傭兵がアイナ達を襲っていた。

アイナ、ギーシュ、キュルケ、タバサ、ワルドが魔法で応戦しているが、多勢に無勢、どうやら、ラ・ロシェール中の傭兵が束になってかかってきているらしく、手に負えないようだ。

拓也は滑り込むように皆の元に行くと、全員が怪我もないことを確認し、安心した。

少しすると、才人とルイズも上から降りてきて、外にフーケがいることを伝えてきた。

「参ったね」

ワルドの言葉に、キュルケが頷く。

「やっぱり、この前の連中はただの物盗りじゃなかったわね」

「あのフーケがいるって事は、アルビオンの貴族が後ろにいるという事だな」

キュルケが、杖をいじりながら呟いた。

「・・・・・・やつらは、ちびちびと魔法を使わせて、精神力が切れたところを見計らい、一斉に突撃してくるわよ。そしたら、どうすんの?」

「僕のゴーレムで防いでやる」

ギーシュがちょっと青ざめながら言った。

キュルケは、淡々と戦力を分析しながら言った。

「ギーシュ、アンタの『ワルキューレ』じゃあ、一個小隊ぐらいが関の山ね。相手は手誰の傭兵達よ」

「やってみなくちゃわからない」

「あのねギーシュ。あたしは戦のことなら、あなたよりちょっとばっか専門なの」

「僕はグラモン元帥の息子だぞ。卑しき傭兵如きに後れをとってなるものか」

「ったく、トリステインの貴族は口だけは勇ましいんだから。だから戦に弱いのよ」

ギーシュは立ち上がって、呪文を唱えようとした。

ワルドがシャツの裾を引っ張って、それを制した。

「いいか諸君」

ワルドは低い声で言った。

「このような任務は、半数が目的地にたどり着ければ、成功とされる」

こんなときでも優雅に本をひろげていたタバサが本を閉じて、ワルドの方を向いた。

自分と、キュルケと、ギーシュを杖で指して「囮」と呟いた。

それからタバサは、残りの人物を指して「桟橋へ」と呟いた。

「時間は?」

ワルドがタバサに尋ねた。

「今す「ちょっと待ってくれ」」

タバサが答えようとした時、拓也が口を挟んだ。

全員が拓也の方を向く。

「その戦力分断が相手の狙いかもしれないだろ?だから、分かれる戦力は最低限のほうが良い」

「君の意見は?」

拓也の言葉にワルドが尋ねる。

「ここは、俺1人で受け持つ」

拓也は言った。

「何言ってるんだよ!?拓也!」

才人が反発する。

「相手はメイジ相手に手馴れてるんでしょ?だったらメイジじゃない方が隙を突ける。それに、本当にやばくなったら逃げればいいだけだし」

「それは・・・そうだけど・・・・アイナは心配じゃないのか?」

拓也に好意を寄せるアイナが何も言わないことが気になり、才人がアイナに尋ねる。

「・・・・心配だけど・・・・拓也は大丈夫って信じてるから」

アイナは無理に笑顔を作りそう言った。

「それに、正確には俺1人じゃありませんし」

そう言って、拓也は地下水を取り出す。

「頼むぜ地下水」

「任せてくださいっス!」

地下水の返事を聞き、拓也は地下水を傭兵の集団目掛けて投げつけた。

が、当然当たるわけもなく、地下水はカラカラと床に転がった。

それを見た1人の傭兵が、

「へえ~、中々良さそうな短剣じゃねえか」

そう言って、地下水を拾おうとして、地下水の柄を握った瞬間、ビクンと一瞬震えた。

そして、ゆっくり立ち上がると、風の魔法で傭兵の集団を薙ぎ払った。

地下水が傭兵の体を乗っ取ったのだ。

「今だ!」

拓也が叫びデジヴァイスを構える。

「スピリット!エボリューション!!」

拓也はデジコードに包まれ進化する。

「アグニモン!」

進化するとアグニモンは傭兵たちに向かって、

「バーニング!サラマンダー!!」

必殺技を放つ。

直撃させないようにしたものの、辺りは炎に包まれ、傭兵たちは大混乱に陥る。

「今だ!行け!!」

アグニモンが叫ぶ。

「諸君!行くぞ!迷ってる暇は無い!」

ワルドが全員を促す。

「拓也!死ぬんじゃねえぞ!」

才人が、

「あ、ありがとう・・・・・」

ルイズが、

「君の勇気に感謝するよ」

ギーシュが、

「タクヤ、やばくなったらちゃんと逃げなさいよ」

キュルケが、

それぞれが言葉を残し、裏口へ向かう。

タバサはアグニモンに近付くと、

「シルフィードを置いて行く。今の時期のアルビオンならシルフィードでも行ける」

そう呟く。

「わかった。ありがとう」

アグニモンは微笑み、礼を言う。

タバサも裏口へ向かう。

そして、

「タクヤ・・・・」

アイナが心配そうに見つめる。

「アイナ・・・・・気をつけろよ」

アグニモンの言葉には、裏の意味も込められていたが、アイナはそれをちゃんと理解し、コクリと頷く。

アイナも裏口へ向かった。

全員が行ったのを見届けると、アグニモンは視線を戻す。

「さてと、先ずは、フーケをどうにかしないとな」

因みに傭兵たちは、地下水の魔法とアグニモンの炎で相当な打撃を受けていた。




巨大ゴーレムの肩の上、仮面の男が舌打ちする。

突撃を命じた一隊が、炎や風に巻かれて大騒ぎとなっている。

「予定が狂ったな。せめて半数近くは分断させたかったのだが・・・・まあ、奴が残っただけでも良しとしておこう」

「寧ろ、あの使い魔相手に、どれだけ粘れるかが問題だね」

「なんだと?」

フーケの言葉に仮面の男が聞き返す。

「言っとくけど、アタシのゴーレムなんか、あの使い魔相手じゃ1分で倒されちまうよ」

「ぐぬっ!・・・・何としてでも船が出るまで時間を稼げ!」

仮面の男はそう言うと、闇夜にまぎれる。

「やれやれ・・・・言うだけ言って消えるなんて無責任だねえ・・・・でも、一応助けられた恩はあるからねえ。あいつらが来るまで時間を稼がせてもらうよ!」

フーケはゴーレムを操り、アグニモンへ攻撃を仕掛ける。

「チッ!」

アグニモンは飛び退く。

――ドゴォォォン

という音と共に、拳が地面に叩き付けられた。

岩で出来ているゴーレムは、前の土ゴーレムより破壊力は上だった。

「フーケ!!」

アグニモンが叫ぶ。

「久しぶりだね使い魔君!あの時の借りを、変えさせてもらうよ!」

フーケが叫びながら、ゴーレムの拳を繰り出す。

「おっと」

アグニモンは跳んで避ける。

アグニモンは建物の屋根に着地すると、

「無駄だフーケ!お前じゃ俺は倒せない」

そう言い放った。

「俺は無駄な争いはしたくない。今退くなら、追いはしない」

アグニモンは、フーケに後退を促す。

「そうしたいのは山々なんだけどね。こっちにも色々と事情があるのさ!」

フーケはそう言って、更に攻撃を仕掛ける。

「くそ、簡単には退いてくれないか・・・・地下水!」

アグニモンは地下水に呼びかける。

「了解っス!」

地下水は返事をすると、風の魔法で土煙を巻き起こし、アグニモンの姿を隠す。

「くっ!見えない!・・・・・なら!」

フーケはアグニモンの姿を見失い、狙いが付けれなくなると、ゴーレムの腕を薙ぎ払うように横に振った。

その風圧で土煙が吹き飛ばされる。

だが、既にアグニモンの姿はそこになかった。

「なっ!?何処に!?」

フーケがアグニモンの姿を探そうとした時には既に遅かった。

「そこは、危ないっスよ」

地下水は再び風の魔法を使いフーケを吹き飛ばす。

「うわっ!?」

フーケは、ゴーレムの上から吹き飛ばされる。

その瞬間、

――ドゴォォォォォォォォォン

上から降ってきた炎の竜巻がゴーレムを縦に貫き、粉々に破壊した。

「なっ!?」

レビテーションで何とか無事に着地したフーケは驚愕する。

「まだやるか?」

炎の中から現れたアグニモンがそう言う。

「そうだね・・・・・私の打つ手は、もう無いさ」

フーケは、あっさりと諦めた言葉を言う。

だが、その顔には余裕があった。

「ようやく本命のご到着さ!」

その瞬間、

「ジャッジメントアロー!!」

その言葉と共に、巨大な矢が飛んできた。

「何!?」

アグニモンは咄嗟に避ける。

――ズシャ

その矢は地面に深く食い込んだ。

明らかに人間が放てる矢の威力ではない。

――ドドドドドドド

町の通りを、砂煙を上げながら何かの大群が疾走してくる。

それは、

「姐御、遅くなりやした!」

「いいや!丁度いいタイミングだよ」

フーケに声をかけたのは、先頭を駆けていた、下半身が獣、上半身が人の姿をしていた。

そして、左腕が弓と同化している。

『それ』が引き連れていた大群も、上半身は人型だが、下半身は馬だった。

更に、そいつらは、アグニモンも見覚えがあり、

「「ああっ!!お前(テメェ)は!?」」

相手と同時に叫んだ。

「サジタリモン!?」

「あん時のガキ!?」

そう、相手はデジタルワールドで拓也達に盗賊行為をしようとしたサジタリモンと、ケンタルモン軍団だった。

「なんだい?知ってんのかい?」

「おうよ!俺達はあいつらに苦渋を舐めさせられたんだ!だが!ここで会ったが百年目!今度こそ、“着ぐるみ”剥がさせて貰うぜ!!」

サジタリモンは、気合をいれてそう叫ぶが、

「「「・・・・・・・・・・」」」

一瞬の沈黙。

そして、

「「「だから、それを言うなら“身包み”だって・・・・・」」」

アグニモン、地下水、フーケが同時に突っ込む。

「うるせーーー!!!そんなこと分かってるんだよ!!」

サジタリモンは誤魔化す為に叫ぶ。

「野郎共!あん時の屈辱、倍にして返してやりな!!」

「「「おおおっ!!」」」

サジタリモンの号令にケンタルモンが叫び声を上げ、突撃していく。

「地下水!お前は下がってろ!人間に敵う相手じゃない!」

突撃してくるケンタルモンに対して、アグニモンは両拳を合わせる。

手の甲から炎が発し、両腕に巻きつくように広がり、肘までを炎で包む。

「バーニング!サラマンダー!!」

放たれる灼熱の炎。

ケンタルモンが数体まとめて吹っ飛ぶ。

「バカヤロウ!正面からじゃ不利だ!奴を囲んで、袋叩きにしちまえ!!」

サジタリモンの指示が飛び、ケンタルモンはそれに従い、アグニモンの周りを囲う。

そして、ケンタルモン達の右腕が変化し、砲身となる。

「ハンティングキャノン!!」

次々と放たれるエネルギー弾。

「ぐうっ!」

アグニモンはガードするが、数が多いため、数発まともに喰らってしまう。

「手を休めるな!そのまま押し切れ!!」

サジタリモンは叫び、言われたとおり、攻撃を続行するケンタルモン。

爆発に巻き込まれていくアグニモン。

それに伴い、爆煙に包まれていく。

「ははは!やるじゃないか!口だけかと思ってたのに、これは中々」

「オウよ!金の分はもちろん、俺達の仕返しも含めて、それ以上働いてやらあ!」

調子に乗るフーケとサジタリモン。

だがその時、爆煙の中からアグニモンが跳び上がる。

「馬鹿め!空中では避けられまい!野郎共!狙い撃て!!」

ケンタルモンたちは空中に跳び上がったアグニモンに狙いを定める。

だが、

「アグニモン!」

アグニモンが叫び、アグニモンがデジコードに包まれる。

「スライドエボリューション!」

アグニモンは使用スピリットを、ヒューマンタイプからビーストタイプへ移行する。

アグニモンの姿がヴリトラモンへ変わっていく。

「ヴリトラモン!!」

デジコードが消えたとき、アグニモンはヴリトラモンへと姿を変えていた。

「なにぃ!?」

サジタリモンが驚きで、声を上げる。

ヴリトラモンは、放たれたハンティングキャノンを避ける。

腕のルードリー・タルパナが回転し、銃口が前を向く。

「コロナブラスター!!」

ヴリトラモンはコロナブラスターを空中から連射し、ケンタルモン達を怯ませる。

その隙に、サジタリモンの目の前に降り立った。

「あ・・・・・・・・・」

サジタリモンは固まり、冷や汗を流していた。

ヴリトラモンは右拳を握り締める。

そして、振りかぶった。

「おらあっ!!」

ヴリトラモンの渾身の一撃がサジタリモンの顔面に突き刺さる。

「ぐえっ!!」

そして、はるか彼方へ殴り飛ばされていく。

「また一撃かよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

その一言を残して。

「お、親分がやられた!に、逃げろ!!」

サジタリモンがやられたことで、ケンタルモンは逃げていく。

その場にはフーケだけが取り残された。

「まだやるか?」

ヴリトラモンは、フーケに問いかける。

「まさか。あいつらのお陰で時間も稼げたし、アタシの役目は終わりさ」

フーケがそう言った時、上空を船が通り過ぎていった。

フーケは踵を返し、立ち去ろうとする。

だが、一度立ち止まると、

「アルビオンへ行くなら急いだほうがいいよ。敵はアルビオンにいる貴族派だけじゃないからね」

それだけ言って姿を消す。

ヴリトラモンは拓也に戻り、一息つく。

「あ、しまった。サジタリモンにどうやってこの世界に来たか聞いとけばよかった」

拓也はそう口に出したが、既にケンタルモンたちも地平の彼方。

流石に追いつけそうに無い。

「ふう。ま、いっか。地下水」

「はいっス」

地下水が本体を手渡しする。

操っていた傭兵は、気を失った。

「ナイス援護だったぞ」

「どうもっス」

「きゅいきゅい~(タクヤさま~)」

その時、上空からシルフィードが降りてくる。

「シルフィード」

「きゅいきゅい。きゅいきゅいきゅい?(タクヤさま。アルビオンへは何時行くのね?)」

と、その時、拓也の足元の地面がもこもこと盛り上がり、

「ん?」

「きゅい?」

「なんスか?」

ぼこっと、何かが顔を出した。




アイナ達を乗せた船は、翌日の朝にはアルビオンに接近していた。

才人達がアルビオン大陸を見上げる中、アイナだけは逆方向、つまり、ラ・ロシェールの方角を見ていた。

その顔は、不安そうに見える。

それに気付いたキュルケが声をかける。

「どうしたのアイナ?やっぱりタクヤが心配?大丈夫よ。彼が負けるところなんて想像できないわ」

キュルケがそう言うと、

「うん・・・・・実は戦いに関してはあんまり心配してないんだ。私も、タクヤが傭兵やフーケに負けるとは思ってないから。・・・・・・むしろ、シルフィードがタクヤに何かしないかの方が心配ね」

「あははは・・・・・」

最後の台詞の時に黒いオーラを滲ませたアイナに、キュルケは乾いた笑いを洩らす。

「それよりも・・・・・私が不安にしてるのは・・・・・・」

アイナがボソッと呟く。

「え?何?」

聞き取れなかったキュルケは尋ねるが、

「あ!ううん、なんでもない」

そう言ってアイナは話をはぐらかす。

「何を悩んでるのか知らないけど、ほら、見て見なさい。絶景よ!」

キュルケはアルビオン大陸を指差して言う。

アルビオン大陸の大河から溢れた水が、空に落ち込んでいる。

その際、白い霧となって、大陸の下半分を包んでいた。

正に『白の国』と呼ばれるに相応しい絶景であった。

その時、鐘楼に登った見張りの船員が、大声を上げた。

「右舷上方の雲中より、船が接近してきます!!」

アイナ達が乗る船より一回り大きい船が一隻近付いてくる。

舷側に開いた穴からは大砲が突き出ている。

「へえ、大砲なんかあるんか」

才人はとぼけた声で感想を漏らした。

ルイズが眉をひそめた。

「いやだわ。反乱勢・・・・・・、貴族派の軍艦かしら」


後甲板で、ワルドと並んで操船の指揮を取っていた船長は、見張りが指差した方角を見上げた。

黒くタールが塗られた船体は、まさに戦う船を思わせた。

こちらに、ぴたりと20数個も並んだ砲門を向けている。

「アルビオンの貴族派か?お前たちのために荷を運んでいる船だと、教えてやれ」

見張り員は、船長の指示通りに手旗を振った。

しかし、黒い船からは何の返信も無い。

副長が駆け寄ってきて、青ざめた顔で船長に告げた。

「あの船は旗を掲げておりません!」

船長の顔も、みるみるうちに青ざめる。

「してみると、く、空賊か!?」

「間違いありません!内乱の混乱に乗じて、活動が活発になっていると聞き及びますから・・・・・・・」

「逃げろ!取り舵いっぱい!!」

船長は船を空賊から遠ざけようとした。

しかし、時既に遅し。

黒船は併走し始めていた。

脅しの一発をアイナ達が乗り込んだ船の針路めがけて放った。

ぼごん!と鈍い音がして、砲弾が雲の彼方へ消えていく。

黒船のマストに、四色の旗流信号がするすると登る。

「停船命令です、船長」

船長は苦渋の決断を強いられた。

この船だって武装が無いわけではない。

しかし、移動式の大砲が、三門ばかり甲板に置いてあるに過ぎない。

火力の差は圧倒的だった。

助けを求めるように、隣に立ったワルドを見つめる。

「魔法はこの船を浮かべるために打ち止めだよ。あの船に従うんだな」

ワルドは落ち着き払った声で言った。

船長は口の中で「これで破産だ」と呟くと、命令した。

「裏帆を打て。停船だ」




貴族という事でアイナとルイズ、ワルド、キュルケ、タバサ、ギーシュは空賊に捕らえられてしまう。

才人もおまけで捕まった。

船の積荷だけでなく、アイナ達の身代金でもう一儲けするつもりらしい。

「あ~も~!最悪だわ!何でこんなことに巻き込まれなきゃいけないのよ~!」

キュルケがグチをこぼす。

「アンタが勝手に付いて来たんでしょ!」

2人が喧嘩をしていると、再び船倉のドアが開かれた。

先程運ばれてきた食事の食器を回収にきたのか、空賊が入ってくる。

そして、「お前たちは貴族派か?」という質問をしてきた。

ここで、貴族派と答えれば、無事港へ送ってくれると言っていたが、ルイズは馬鹿正直に王党派への使いと答えた。

才人、キュルケ、ギーシュが騒いだが、空賊は「頭に報告してくる」と言って、部屋を出て行った。

暫くして、アイナ達は、空賊の頭の前に連れて行かれた。

そこで、びっくり。

空賊と思われていたこの船は、実は王党派の船で、空賊の頭を名乗っていた男は、なんと、アルビオンの王子であり任務の目的の人物である、ウェールズ・テューダーだったのだ。

結果的に、ルイズの馬鹿正直が実を結んだ。

ルイズ達は驚きながらも、ウェールズにアンリエッタからの手紙を渡し、目的を伝える。

ウェールズは了承するが、目的の手紙は、ニューカッスル城にあるため、一行はニューカッスル城まで足をはこぶ事となった。



ルイズはウェールズから手紙を受け取り、今は、最後のパーティに全員が出席している。

その中で、アルビオンの王、ジェームズ一世は臣下達に言った。

「諸君、忠勇なる臣下の諸君に告げる。いよいよ明日、このニューカッスルの城に立てこもった我ら王軍に反乱軍『レコン・キスタ』の総攻撃が行なわれる。この無能な王に、諸君らはよく従い、よく戦ってくれた。しかしながら、明日の戦いはこれはもう、戦いではない。恐らく一方的な虐殺となるであろう。朕は忠勇な諸君らが傷つき、斃れるのを見るに忍びない。したがって、朕は諸君らに暇を与える。長年、よくぞこの王に付き従ってくれた。厚く礼を述べるぞ。明日の朝、巡洋艦『イーグル号』が、女子供を乗せてここを離れる。諸君らも、この艦に乗り、この忌まわしき大陸を離れるがよい」

しかし、誰も返事をしない。

1人の貴族が、大声で王に告げた。

「陛下!我らは唯一つの命令をお待ちしております!『全軍前へ!全軍前へ!全軍前へ!』今宵、うまい酒の所為で、些か耳が遠くなっております!はて、それ以外の命令が、耳に届きませぬ!」

その言葉に、集まった全員が頷いた。

「おやおや!今の陛下のお言葉は、なにやら異国の呟きに聞えたぞ?」

「耄碌するには早いですぞ!陛下!」

王は、目頭を拭い、「ばかものどもめ・・・・・」、と短く呟くと、杖を掲げた。

「よかろう!しからば、この王に続くがよい!さて、諸君!今宵はよき日である!重なりし月は、始祖からの祝福の調べである!よく、飲み、食べ、踊り、楽しもうではないか!」

辺りは喧騒に包まれた。

そんな様子を見ていたアイナは、ポツリと呟いた。

「・・・・ここにタクヤがいなくて良かったかもしれない・・・」

「如何いう事だい?」

その呟きにギーシュが尋ねる。

「今の言葉・・・・それを聞いたらタクヤはきっと怒ってたと思う」

「そうかしら?確かに勝ち目の無い戦いに赴くなんて、無謀とは思うけど」

「タクヤは・・・・・・何よりも命を大事にしてる。名誉だとか・・・・王族や貴族の義務だとか・・・・そんなことで命を捨てるなんて聞いたら、多分殴りかかってでも止めると思う」

「お、王族に殴りかかるなんてするわけ無いだろう・・・・」

アイナの言葉を聞き、ギーシュは苦笑しながら言った。

「姫殿下には怒鳴りかかってたけど?」

アイナはギーシュにそう答える。

「な!?なんだと!?可憐なる姫殿下に怒鳴りかかるとは不届き千万。次に会ったら成敗してくれる!」

「返り討ちになるのがオチね」

そうまくしたてるギーシュにキュルケが冷静に突っ込んだ。

タバサは相変わらず本を読んでいる。

そんな時、ワルドが話しかけてきた。

「ちょっといいかな?」

「なんでしょうか?」

ワルドは、その場にいるアイナ、ギーシュ、キュルケ、タバサを見回すと言った。

「明日、僕とルイズはここで結婚式を挙げる」

「え?」

その言葉にアイナは声を漏らし、ギーシュは固まった。

「こんな時に、こんな所でですか?」

キュルケが尋ねる。

「是非とも、僕達の婚姻の媒酌を、あの勇敢なウェールズ皇太子にお願いしたくなってね。皇太子も快く引き受けてくれた。決戦の前に、僕達は式を上げる」

アイナは少し考えるような仕草をすると、ワルドに尋ねた。

「その事は、ルイズには言ってあるんですか?」

「いや、まだ言ってはいない。だが、彼女が僕の求婚を断るはずがないだろう?」

アイナは一瞬、怪訝な顔をするが、

「そうですね」

笑顔を作って頷いた。

「それで、君達も出席するかね?」

ワルドが問いかける。

「もちろんです。ルイズは友達ですから」

アイナが答えると、

「わたくしも出席いたしますわ。宿敵の結婚式なんですもの」

キュルケも答えた。

ギーシュは少し考え、

「そうですね・・・・学友のよしみで僕も出席します」

そう答え、

「同じく」

タバサも同意した。

「そうか。分かった。席を用意しておくよ。序に言っておくが、使い魔君は、出席せずに帰るそうだ」

ワルドはそう言って、行ってしまった。

そんなワルドをアイナは見ていた。

(ワルド子爵・・・・・やっぱり貴方は・・・)

そう、心の中で呟きながら。




翌日。

ウェールズ皇太子は礼拝堂にてルイズとワルドが来るのを待っていた。

アイナ、タバサ、キュルケ、ギーシュ以外に他の人間はいない。

皆、戦の準備で忙しいのだ。

礼装に身を包んだウェールズの前に、礼拝堂のドアを開けてワルドとルイズが現れる。

「では、式を始める」

ルイズはうつむいたまま、顔を上げようとしない。

「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして妻とする事を誓いますか」

「誓います」

ワルドは重々しくうなずいて、杖を握った左手を胸の前に置いた。

ウェールズはにこりと笑って頷き、今度はルイズに視線を移した。

新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール・・・・・・・・」

朗々と誓いのみことのりを読み上げるウェールズ。

だが、ルイズは何かを考えているのか、俯いたままである。

「新婦?」

ウェールズが声をかける。

その言葉に慌てて顔を上げるルイズ。

「緊張しているのかい?仕方が無い。初めての時は事が何であれ緊張するものだからね」

にっこりと笑って、ウェールズは続ける。

「まあ、これは儀礼に過ぎぬが、儀礼にはそれをするだけの意味が有る。では繰り返そう。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして夫と・・・・・・」

だが、ウェールズの言葉の途中、ルイズは首を振った。

「新婦?」

「ルイズ?」

2人が怪訝な顔でルイズの顔を覗き込む。

ルイズはワルドに向き直った。

悲しい表情を浮かべ、再び首を振る。

「どうしたね、ルイズ。気分でも悪いのかい?」

「違うの。ごめんなさい・・・・・・」

「日が悪いなら、改めて・・・・・・」

「そうじゃない、そうじゃないの。ごめんなさい、ワルド、私、貴方とは結婚できない」

いきなりの展開に、ウェールズは首をかしげた。

「新婦は、この結婚を望まぬのか?」

「そのとおりでございます。お二方には、大変失礼をいたすことになりますが、わたくしはこの結婚を望みません」

ワルドの顔に、さっと朱がさした。

ウェールズは困ったように、首をかしげ、残念そうにワルドに告げた。

「子爵、誠にお気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続けるわけにはいかぬ」

しかし、ワルドはウェールズに見向きもせずに、ルイズの手を取った。

「・・・・・・緊張しているんだ。 そうだろルイズ。 君が、僕との結婚を拒むわけが無い」

「ごめんなさい。ワルド。憧れだったのよ。もしかしたら、恋だったかもしれない。でも、今は違うわ」

するとワルドは、今度はルイズの肩をつかんだ。

その目がつりあがる。

表情が、いつもの優しいものではなく、何処か冷たい、トカゲか何かを思わせるものに変わった。

熱っぽい口調で、ワルドは叫んだ。

「世界だルイズ。僕は世界を手に入れる!そのために君が必要なんだ!」

豹変したワルドに怯えながら、ルイズは首を振った。

「・・・・・・私、世界なんかいらないもの」

ワルドは両手を広げると、ルイズに詰め寄った。

「僕には君が必要なんだ!君の能力が!君の力が!」

ワルドの剣幕にルイズは恐れをなし、後ずさる。

「ルイズ、いつか言ったことを忘れたか!君は始祖ブリミルに劣らぬ、優秀なメイジに成長するだろう!君は自分で気付いていないだけだ!その才能に!」

「ワルド、あなた・・・・・」

ルイズの声が、恐怖で震えた。

ルイズに対するワルドの剣幕を見かねたウェールズは、間に入ってとりなそうとした。

「子爵・・・・・・、君はフラれたのだ。 いさぎよく・・・・・・」

が、ワルドはその手を撥ね退ける。

「黙っておれ!」

ウェールズは、ワルドの言葉に驚き、立ち尽くした。

ワルドはルイズの手を握った。

ルイズはまるで蛇に絡みつかれたように感じた。

「ルイズ!君の才能が僕には必要なんだ!」

「私は、そんな、才能のあるメイジじゃないわ」

「だから何度も言っている!自分で気付いていないだけだよルイズ!」

ルイズはワルドの手を振りほどこうとした。

しかし、物凄い力で握られているために、振りほどくことが出来ない。

苦痛に顔をゆがめて、ルイズは言った。

「そんな結婚、死んでも嫌よ。あなた、私をちっとも愛してないじゃない。分かったわ、あなたが愛しているのは、あなたが私にあるという、在りもしない魔法の才能だけ。ひどいわ。そんな理由で結婚しようだなんて。こんな侮辱はないわ!」

ルイズは暴れた。

ウェールズが、ワルドの肩に手を置いて、引き離そうとした。

しかし、今度はワルドに突き飛ばされた。

突き飛ばされたウェールズの顔に赤みが走る。

立ち上がると、杖を抜いた。

「うぬ、何たる無礼!何たる侮辱!子爵、今すぐにラ・ヴァリエール嬢から手を離したまえ!さもなくば、我が魔法の刃が君を切り裂くぞ!」

ワルドは、そこでやっとルイズから手を離した。

どこまでも優しい笑顔を浮かべる。

しかしその笑みは嘘に塗り固められていた。

「こうまで僕が言ってもダメかい?ルイズ。僕のルイズ」

ルイズは怒りで震えながら言った。

「嫌よ、誰があなたと結婚なんかするもんですか」

ワルドは天を仰いだ。

「この旅で、君の気持ちをつかむために、随分努力したんだが・・・・・」

両手を広げて、ワルドは首を振った。

「こうなっては仕方ない。ならば目的の1つは諦めよう」

「目的?」

ルイズは首をかしげた。

ワルドは禍々しい笑みを浮かべた。

「そうだ。この旅における僕の目的は3つあった。その2つが達成できただけでも、よしとしなければな」

「達成?2つ?どういうこと?」

ルイズは不安におののきながら、尋ねた。

ワルドは、右手を掲げると、人差し指を立てて見せた。

「先ず1つは君だ。ルイズ。君を手に入れることだ。しかし、これは果たせないようだ」

「当たり前じゃないの!」

次にワルドは、中指を立てた。

「2つ目の目的は、ルイズ、君のポケットに入っている、アンリエッタの手紙だ」

ルイズははっとした。

「ワルド、あなた・・・・・」

「そして3つ目・・・・」

ワルドの『アンリエッタの手紙』という言葉で、全てを察したウェールズが、杖を構えて呪文を詠唱した。

しかし、ワルドは二つ名の閃光のように素早く杖を引き抜き、呪文の詠唱を完成させた。

「貴様の命だ!ウェールズ!!」

ワルドは風のように身を翻させ、青白く光るその杖を、ウェールズ目掛け、突き出した。





次回予告


ついに本性を現したワルド。

だが、アイナの奮闘により、互角以上の戦いを繰り広げる。

しかし、ワルドを追い詰めるかと思われたその時、『漆黒の竜人』がその姿を現す。

アイナ達の、そして、ウェールズの運命や如何に!?

次回!ゼロの使い魔と炎の使い魔

脅威!漆黒の竜人 ブラックウォーグレイモン!!

今、異世界の物語が進化する。




あとがき

祝!第十話です!

いや~、続くもんですね。

更新不定期とか書いておきながら、ほぼ週一更新になってます。

何故か、一話書き上げると一週間経ってるんですよね。

話の長さに関わらず。

さて、今回を振り返りますと、朝っぱらからアイナとイルククゥのひと悶着。

これは、自分がやってみたかった事であります。

序にアイナがキレました。

最初と比べると、やっぱり性格変わってるかな?

次に傭兵&フーケ襲撃。

原作と変えて、拓也が居残り役に。

拓也が船に乗ったら、空賊もどきの王党派の船を落しかねないですからね。

序に地下水にも活躍してもらいました。

敵の体を乗っ取って、アグニモンのサポート役に。

敵から投げられた短剣を戦闘中に拾うのか?

んで、思いつきでサジタリモン、ケンタルモン軍団が参戦。

前回の台詞を引き継いで、ここでも着ぐるみネタを。

傭兵とフーケだけでは、時間稼ぎは不可能と判断しましたので、それなりの強さと手駒が揃ったサジタリモン達に時間稼ぎ&やられ役を。

この世界にいる理由は、後々明らかになる・・・・・・かも?

そのあとは、アイナ達がいること以外、大体原作どおりですかね。

次回はいよいよ奴が出てきます。

そして、ウェールズの生死は。

次回も頑張ります!



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