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No.4371の一覧
[0] ゼロの使い魔と炎の使い魔(ゼロの使い魔xデジモンシリーズ〈フロンティア中心〉)[友](2009/03/15 21:23)
[1] プロローグ[友](2008/10/07 18:36)
[2] 第一話[友](2008/10/07 18:51)
[3] 第二話[友](2008/10/10 19:17)
[4] 第三話[友](2008/10/13 16:12)
[5] 第四話[友](2008/10/20 17:57)
[6] 第五話[友](2008/10/26 04:02)
[7] 第六話[友](2008/11/01 17:51)
[8] 第七話[友](2008/11/08 17:50)
[9] 第八話[友](2008/11/15 12:02)
[10] 第九話[友](2008/11/22 17:35)
[11] 第十話[友](2008/11/29 14:53)
[12] 第十一話[友](2008/12/05 19:52)
[13] 第十二話[友](2008/12/07 21:43)
[14] 第十三話[友](2008/12/14 16:23)
[15] 第十四話[友](2008/12/21 12:18)
[16] 第十五話[友](2008/12/28 16:54)
[17] 第十六話[友](2009/01/01 00:05)
[18] 第十七話[友](2009/01/02 16:26)
[19] 第十八話[友](2009/01/09 00:29)
[20] 第十九話[友](2009/01/11 06:34)
[21] 第二十話[友](2009/01/15 20:24)
[22] 第二十一話[友](2009/01/18 17:32)
[23] 第二十二話[友](2009/02/01 11:52)
[24] 第二十三話[友](2009/02/01 11:54)
[25] 第二十四話[友](2009/02/08 22:23)
[26] 第二十五話[友](2009/02/15 11:45)
[27] 第二十六話[友](2009/02/22 20:46)
[28] 第二十七話[友](2009/03/01 13:24)
[29] 第二十八話[友](2009/03/08 19:44)
[30] 第二十九話[友](2009/03/14 00:18)
[31] 第三十話[友](2009/03/14 21:51)
[32] 第三十一話[友](2009/03/15 21:22)
[33] 第三十二話[友](2009/03/26 19:38)
[34] 第三十三話[友](2009/04/11 22:44)
[35] 第三十四話[友](2009/04/11 22:43)
[36] 第三十五話[友](2009/05/02 13:14)
[37] 第三十六話[友](2009/05/02 13:13)
[38] 第三十七話[友](2009/05/04 18:13)
[39] 第三十八話[友](2009/05/05 10:08)
[40] 第三十九話[友](2009/05/05 16:55)
[41] 第四十話[友](2009/05/31 14:53)
[42] 第四十一話[友](2009/06/21 11:00)
[43] 第四十二話 7/19修正[友](2009/07/19 20:21)
[44] 第四十三話[友](2009/08/01 12:23)
[45] 第四十四話[友](2009/08/12 13:39)
[46] 第四十五話[友](2009/08/31 23:37)
[47] 第四十六話[友](2009/09/12 20:57)
[48] 第四十七話[友](2009/09/13 16:58)
[49] 第四十八話[友](2009/09/19 00:53)
[50] 第四十九話[友](2009/09/27 10:46)
[51] 第五十話[友](2009/10/17 16:40)
[52] 第五十一話[友](2009/12/06 14:33)
[53] 第五十二話[友](2010/08/08 22:23)
[54] 第五十三話[友](2010/08/22 23:45)
[55] 第五十四話[友](2010/09/26 20:09)
[56] 第五十五話[友](2010/09/26 20:08)
[57] 第五十六話[友](2010/11/20 11:51)
[58] 第五十七話[友](2010/12/12 23:08)
[59] 第五十八話[友](2011/01/02 19:02)
[60] 第五十九話[友](2011/01/24 14:57)
[61] 第六十話[友](2011/02/13 19:25)
[62] 第六十一話[友](2011/02/13 19:22)
[63] 第六十二話[友](2012/01/15 20:45)
[64] 第六十三話[友](2012/01/15 20:39)
[65] 第六十四話[友](2015/02/08 17:28)
[66] 第六十五話[友](2015/03/08 21:45)
[67] 第六十六話[友](2015/05/03 15:33)
[68] 第六十七話[友](2015/06/07 21:34)
[69] 第六十八話[友](2015/10/18 17:11)
[70] 第六十九話[友](2016/02/28 20:03)
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[4371] 第十一話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/12/05 19:52
――ラ・ロシェールに到着した日の夜。

拓也とアイナの部屋。

拓也が切り出す。

「アイナ、ちょっと聞いて欲しいことがある」

「え?何?」

アイナは少し期待した顔で聞き返した。

「ワルドのことだ」

拓也は真面目な顔で言った。

「ワルド子爵の?」

アイナの言葉に拓也は頷き、

「ああ。俺の勘だけど、ワルドは敵の可能性がある」

そう言った。

アイナは驚愕し聞き返す。

「そ、そんな!?ワルド子爵は魔法衛士隊の隊長だよ?敵だなんてこと・・・・・・・」

「先ず1つ目、この町に着く前に盗賊に襲われた」

「それがワルド子爵と何の関係があるの?」

「あのワルド言うとおり高度を下げた途端、襲われた」

「で、でも、偶然ってことも」

「ああ。それも考えた。けど、よく考えてくれ。メイジの使い魔の中でも、ドラゴンやグリフォンっていうのは、相当高ランクに位置するんだろ?」

「う、うん」

「それが2体。メイジの実力を見るには使い魔を見ろっていわれてる。とすれば、相当な魔法の使い手が最低でも2人いるってことは、簡単に想像できる」

アイナは頷く。

「じゃあ聞くけど、自分が魔法を使えない盗賊だった場合、そんな高ランクの魔法使いが最低2人いる一行を襲おうと思うか?」

アイナは首を横に振る。

それと同時に拓也が何を言いたいのか理解した。

「さっきの襲撃は、裏で糸を引いてる人物、もしくは組織がいる・・・」

アイナの答えに拓也は頷き、

「そういうこと」

「ワルド子爵が、私達を陥れたってこと?」

「まあ、さっきの襲撃は多分、様子見。それと、ワルド自身をこっちの味方ってことを印象付けるためだと思う」

「で、でも、それをワルド子爵がやったっていう証拠は無いよ」

「ああ。まだ引っ掛かることがあるんだ。アイナはワルドが才人さんに会ったとき、なんて言ったか覚えてるか?」

アイナは記憶を引っ張り出す。

「えっと・・・・確か『君がルイズの使い魔かい?人とは思わなかったな』だったと思うけど・・・・・」

「ああ。で、その後は?」

「うんと・・・・『僕の婚約者がお世話になっているよ』だったかな?」

「悪い。その後だ」

「え~と・・・・『どうした?もしかして、アルビオンに行くのが怖いのかい?なあに!何も怖いことなんてあるもんか。君はあの『土くれ』のフーケを捕まえたのだろう?その勇気があれば、なんだってできるさ!』だったかな」

「そう。何か違和感感じないか?」

「え?」

拓也に言われ、アイナはよく考える。

「確かに・・・・何か引っ掛かる・・・・」

「ああ、最初の言葉で、ルイズの使い魔が人とは知らなかった。それなのに、才人さんがフーケを捕まえたことを知っている」

「でも・・・・それはフーケを尋問したからじゃ・・・・・」

「だったら、ルイズの使い魔が『人とは思わなかった』っていう言動はおかしい。『本当に人とは思わなかった』って言うなら分かるけど。フーケは学院長の秘書をしていたんだ。才人さんがルイズの使い魔だっていうことは把握してたはずだ」

「確かにそうだね」

「そして、最後に、ヴリトラモンと俺自身を見たときの反応が少なすぎる。自分で言うのも難だけど、人が竜になる所を見て驚かない人はいないと思うぞ」

アイナは頷く。

「纏めれば、ワルドは敵で、何か目的があって、同行している。それで、恐らくフーケも味方に付けてるんだろう。何も知らない振りをしようとして、あの矛盾した会話になった。ま、いくら考えても、憶測の域を出ないんだけどな。それなら疑っとけばいい。何も無かったらそれが一番いいんだけどな」

「・・・・タクヤはこれから如何するの?」

「俺が思うに、ワルドから一番厄介だと思われてるのは多分俺だ。このままついていけば、どこかで不意打ちされる可能性も考えられる」

「・・・・・・」

「俺の予想では、多分もう一度襲撃があると思う。その時に俺は別行動をとろうと思う」

「でも、そうなったら、ワルド子爵は誰が抑えるの?」

それを聞き、拓也はアイナを見つめた。

「・・・・・もしかして、私?」

拓也は頷く。

「そんな!無理だよ!私にワルド子爵を抑えるなんて出来ない!」

アイナは叫ぶ。

「アイナ、確かに一人じゃ無理かもしれない。けど、お前には仲間がいる。仲間と力を合わせれば、出来ないことは無いさ」

「仲間・・・・」

「そうだ。俺だって、仲間がいたから最後まで戦えた。仲間がいたから勝ち残ることができたんだ」

「タクヤ・・・・・」

「アイナは『スクウェア』だ。ワルドとはそこまで絶望的な差はないと思う。だから、仲間がいるお前ならきっと勝てる」

拓也の言葉は、嘘でもなんでもなく、本当に信じている声で言った。

「分かった。私、頑張ってみる」

拓也の信頼に応えるように、アイナはしっかりと頷いた。






第十一話 脅威!漆黒の竜人 ブラックウォーグレイモン!!


「貴様の命だ!ウェールズ!!」

青白く光る杖がウェールズに向かって突き出される。

だが、1発の火球がワルドに向かって放たれていた。

「クッ!?」

ワルドは咄嗟に飛び退き、その火球を避ける。

ワルドは視線を火球が飛んできた方に視線を向ける。

そこには、立ち上がり杖を構えたアイナがいた。

「アイナ、君か」

ワルドは呟く。

「ワルド子爵、やっぱり貴方は敵だったんですね」

アイナは少し悲しそうな声で言った。

「そうとも。いかにも僕は、アルビオンの貴族派『レコン・キスタ』の一員さ」

ワルドは冷たい、感情の無い声で言った。

「どうして!?トリステインの貴族である貴方がどうして!?」

ルイズが叫ぶ。

「我々はハルケギニアの将来を憂い、国境を越えて繋がった貴族の連盟さ。我々に国境は無い」

ワルドは再び杖を掲げた。

「ハルケギニアは我々の手で一つとなり、始祖ブリミルの光臨せし『聖地』を取り戻すのだ」

「昔は、昔はそんなふうじゃなかったわ。何が貴方を変えたの?ワルド・・・・・」

「月日と、数奇な運命の巡り会わせだ。それが君の知る僕を変えたが、今ここで語る気にはならぬ。話せば長くなるからな」

ワルドは杖を構える。

「ルイズ!早くこっちへ!!」

アイナがルイズに呼びかける。

「ラ・ヴァリエール嬢、早く」

ウェールズがルイズを支え、アイナの方へ連れて行こうとする。

「させん!」

ワルドが魔法を唱える。

『ウインド・ブレイク』の魔法、風の衝撃波が2人を吹き飛ばさんと襲い掛かる。

だが、

「『ヒート・ウェイブ』!!」

アイナが放った、熱波の衝撃が壁となり、2人を守った。

「何だと!?」

ワルドは驚愕する。

その隙に、ルイズとウェールズは、皆と合流する。

ワルドは向き直る。

「やれやれ、手間をかけさせてくれる」

その顔は既に余裕を浮かべていた。

「アイナ、一つ聞かせてくれないか?君は、僕がウェールズを襲ったときには、既に呪文を完成させていた。『閃光』の二つ名を持つ僕より早くにだ。何処で僕の正体に気がついた?」

余裕の表れか、ワルドはそんな事を聞いてくる。

「・・・・・はっきりと確信したのは、ウェールズ皇太子が突き飛ばされたとき。けど、9割方確信したのは昨日、ルイズと結婚すると聞いたとき」

「ほう・・・・」

「いくらなんでも、ルイズに了承を得ずに、結婚式を挙げようとすること自体おかしい。それ以前にも、不可解な所がいくつかあった」

「なるほど・・・・・少々甘く見すぎていたようだ」

「あと、私に忠告してくれたのはタクヤ。ワルド子爵の不可解な行動に、最初に気付いたのも彼です」

「ふむ・・・・・だが、彼は決定的なミスを犯した」

ワルドは杖を構える。

「・・・・・・・・」

アイナは無言でワルドを見据える。

「それは、この場にいない事だ。目先の危険を回避するために、大局を見逃す。力は有ろうとも、やはり子供だ。愚かな平民だよ。クックック・・・・・」

ワルドは、そう言って笑いを漏らす。

「トライアングルが3人。ラインとドットが1人ずつ。そして、自分の才能にも気付かない役立たずが1人。まあ、少し手間だが、10分で終わらせよう」

「・・・・・・・ワルド子爵、少々訂正させていただきます」

アイナが静かに呟いた。

「タクヤは、間違いなど犯していません。こうなる事も予想していました」

「何?」

「そして、貴方の1番大きな間違いは・・・・・」

アイナは呪文を唱えだした。

「む!?」

ワルドは身構える。

そして、アイナは魔法を放つ。

「『フレイム・アロー』!!」

アイナの周りから炎が巻き起こり、そこから無数の炎の弾丸が尾を引きつつ、流星の如くワルドへ襲い掛かる。

「な!?何だとぉっ!?」

アイナが放ったのは、『火』、『火』、『火』、『風』のスクウェアスペル。

ワルドは驚くが、そこは腐っても魔法衛士隊隊長。

見事な身のこなしで、炎の弾丸を紙一重で避ける。

結局、身体の数箇所を掠めただけに止まった。

だが、ワルドの後ろにあった壁は粉々に破壊されている。

「ば、馬鹿な・・・・今のは確実にスクウェアクラスの魔法。アイナはラインメイジではなかったのか?」

動揺した声でワルドは呟く。

「ちょ・・・・アイナ!い、今のって『フレイム・アロー』よね!?スクウェアスペルよ!何でアイナが使えるの!?」

同じ火系統のキュルケは、アイナが使った魔法に一番驚いている。

アイナは頷き、

「私はスクウェアメイジだから」

そう答える。

「ス、スクウェアって・・・」

「ゴメン。話は後。いくらスクウェアでも、戦いに関しては素人だから、私1人じゃワルド子爵に勝てない」

アイナはワルドから目を離さず、少し焦った調子で言った。

「だから、皆の力が必要なの。お願い、力を貸して!」

その言葉に、タバサは無言で杖を構え、アイナの横に並ぶ。

「仕方ないわねぇ~。ちゃんと後で説明してもらうわよ」

キュルケも同じく、アイナの横に並んだ。

「え?君たち・・・・?」

ギーシュは、今だ状況が把握できていないようで、間抜けな声を漏らす。

「ほら、何ボ~っとしてるのよギーシュ。死にたくなかったら、ワルド子爵を倒すのを手伝いなさい」

キュルケが、ギーシュにそう言う。

「う、うん・・・・」

ギーシュは自信無さげに杖を構える。

「・・・・で、どうするのさ?一応ワルド子爵が裏切り者ってことは分かったけど・・・・仮にも魔法衛士隊の隊長だよ。僕達が敵うのか?」

「出来なきゃ殺されるだけね」

ギーシュの言葉にキュルケが答える。

「ギーシュは『ワルキューレ』で子爵の気を引いて。アイナは子爵からの攻撃を防ぐことに集中。私とキュルケで子爵に攻撃を仕掛ける」

タバサが、それぞれの役割を口にする。

「タバサ・・・」

「来る」

タバサがそう呟いたとき、ワルドが杖を振った。

「『ウインド・ブレイク』!!」

すぐにアイナが呪文を唱える。

「『ヒート・ウェイブ』!!」

風の衝撃波と熱波の衝撃波がぶつかり合い、相殺する。

「ワルキューレ!!」

ギーシュが青銅のゴーレムを錬金し、ワルドに攻撃を仕掛ける。

「クッ!」

ワルドは飛び退く。

だが、着地を狙って竜巻と、炎の渦が襲い掛かる。

タバサとキュルケの魔法だった。

「チィッ!」

ワルドは避けられないと悟ると即座に詠唱する。

「『シールド・ウインド』!」

風の壁が発生し、竜巻と炎をかき消した。

続けてワルドは詠唱する。

「『ライトニング・クラウド』!!」

ワルドの杖から稲妻が走る。

が、それと同時にアイナも詠唱を完成させていた。

「『クリムゾン・ライトニング』!!」

アイナの杖から放たれるのは紅の稲妻。

ワルドの稲妻と、アイナの紅の稲妻がぶつかり合う。

ワルドとアイナの中央で激しい光と轟音が響いている。

その時、アイナの紅の稲妻がワルドの稲妻の隙間を抜け、僅かだがワルドに届く。

「ぐおっ!?」

ワルドの体が少しの間硬直する。

タバサはその隙を見逃さなかった。

予め唱えておいた詠唱を完成させる。

タバサの頭上に氷の槍が作り出される。

「『ジャベリン』!」

氷の槍がワルドに向け放たれた。

硬直中のワルドは動けず、魔法の詠唱も間に合わない。

その場にいた誰もが勝利を確信した。

だが、

――ドゴォン

『何か』が天井を突き破り、ワルドの前に勢いよく着地する。

タバサの放った氷の槍は、その『何か』に阻まれ、ワルドには届かなかった。

「手こずっているようだな、ワルド」

その『何か』が声を発した。





一方、イーグル号の艦上では、舷縁に才人が寄りかかっている。

だが、才人の左目には先程からルイズの視界が映っていた。

ワルドが裏切ったところを見たときは、思わず艦から飛び出していきそうになったが、皆が力を合わせてワルドを追い詰めていった所を見ると、行く気が失せた。

その時、イーグル号が鍾乳洞の中にできた港を離れ始めた。

だが、才人の心の中には、何かが引っ掛かってスッキリしなかった。

先日、拓也から言われた言葉が心に浮かぶ。

『別に才人さんに無理をしろと言っているわけではありません。ただ、後悔の無い選択をしてください』

「後悔の無い選択・・・・・か」

才人は自然と呟く。

(本当に・・・このままでいいのか?)

心の中でもそう呟く。

その時、才人の左目に黒い『何か』が映った。

それを見た瞬間、才人は港があった方に駆け出す。

「相棒!何する気だ!?」

デルフリンガーが才人の突然の行動に叫ぶ。

「ルイズの所に行く!」

才人はハッキリと言った。

「相棒!無茶だ!もう船は港を離れてる!って言うか、もうすぐ下は空の上だぞ!」

デルフリンガーの言うとおり、イーグル号は秘密の出入り口を抜ける寸前だった。

それでも才人は止まらない。

「そんなの知るか!俺は、後悔したくないんだ!!」

才人はデルフリンガーの柄を握る。

ガンダールヴのルーンにより、才人の身体能力が上がる。

才人は、岸壁を登ってでもルイズの所に行くと決心した。

だが、岸壁を登る以前に、船と岸壁まで、20メイルはある。

甲板の高さから、一番下の岸壁まで10メイル程度、いくらなんでも届かない。

「アーイ・・・・・」

だが、

「キャーン・・・・」

才人は、

「フラァァァァァァイッ!!!」

跳んだ。

ガンダールヴを発動させ、才人自身、力の限り跳んだ。

「うおおおおおおっ!!」

だが、空しくも、後5メイル届かない。

才人は必死に手を伸ばすが、岸壁には届かず、空を切る。

「ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

才人の姿は、下の雲の中に消えた。





ワルドの前に着地した『何か』は、ゆっくりと立ち上がる。

先ず目に付いたのは何処までも黒い、漆黒の身体と、金色の髪。

暗い銀色をした頭部と胸当て。

両腕の肘まで覆う黒い手甲の先に、3本の鍵爪のような剣が付いたドラモンキラー。

それは、見るもの全てを威圧していた。

「ブラック、君か」

ワルドはその黒い存在に声をかける。

「貴様が手こずるとはな。少しは骨があるか?」

それは、アイナたちに向き直った。

「まさか・・・・『漆黒の竜人』か?」

ウェールズが呟く。

「『漆黒の竜人』?」

ルイズが聞き返す。

「ああ。貴族派との戦いの中で、幾度となく我々の前に現れた謎の存在だ。それが現れた戦場では此方の部隊は全て壊滅している」

「そんな・・・・」

ウェールズの言葉に、ルイズが悲痛な表情になる。

「俺の名はブラックウォーグレイモン。さあ、全力で来い!俺を満足させてみろ!!」

その叫びで、更に威圧感が高まる。

ブラックウォーグレイモンが構えた。

反射的にタバサとキュルケが魔法を唱えた。

タバサの竜巻と、キュルケの炎が混ざり合い、炎の竜巻となって、ブラックウォーグレイモンに襲い掛かる。

ブラックウォーグレイモンはその攻撃をまともに受け、炎に包まれる。

「『クリムゾン・ライトニング』!!」

更にアイナが、追い討ちを仕掛けた。

轟音と共に衝撃が走る。

「油断大敵ね。黒い御方」

キュルケは、勝利を信じて疑わなかった。

だが、

「その程度か?」

炎の中から聞えた声。

炎の中から、傷一つ無いブラックウォーグレイモンが姿を見せる。

「う、嘘・・・・・・」

キュルケは信じられないといった声を漏らす。

「その程度かと聞いている」

ブラックウォーグレイモンはもう一度聞いた。

「ど、如何しろっていうのよ」

キュルケの顔は蒼白になっている。

(・・・・タクヤが来ればきっと何とかなる・・・・・だから、少しでも時間を稼がないと)

アイナは震える体を抱きしめ、ブラックウォーグレイモンを見据えた。

「貴方・・・・・・デジモン?」

アイナの言葉に、ブラックウォーグレイモンが反応した。

「ほう・・・・この世界でデジモンを知っている奴がいるとは思わなかったぞ。何故知っている?」

「わ・・・私の使い魔が、デジモンに関わったことがある人間だから」

「なるほど・・・・」

アイナは再び杖を構える。

「次の攻撃に私のもてる限り全ての力を込める。これが通用しなかったら、もう打つ手は無いよ」

「・・・・・・いいだろう。受けて立つ」

ブラックウォーグレイモンは、仁王立ちのようにその場に立ち続ける。

アイナは呪文を唱えだした。

アイナの正面に火球が浮かび上がり、それが更なる炎を纏い、巨大化していく。

(まだ・・・・もっと・・・もっと!!)

アイナは力を込め続ける。

「は、半端な力じゃないわ!」

キュルケが驚きの声を上げ、

「全ての精神力をつぎ込んでる」

タバサが冷静に分析した。

「はあっ・・・・・はあっ・・・・」

アイナは立っているのがやっとの状態まで精神力をつぎ込んだ。

「いくよ」

「来い」

アイナの言葉にブラックウォーグレイモンが答える。

「『フレイム・スフィア』!!」

アイナは限界まで力を溜め込んだ巨大な火球を、ブラックウォーグレイモン目掛けて放った。

ブラックウォーグレイモンに迫る火球。

ブラックウォーグレイモンの近くにいたワルドは慌てて飛び退く。

そして、

――ドゴオォォォォォォォン

爆炎がブラックウォーグレイモンを包む。

アイナはそれを確認すると、その場で力を使い果たし座り込む。

「はあ・・・・・はあ・・・・・」

呼吸が荒い。

アイナは動けないほど疲弊していた。

「や、やったのかい?」

腰が抜けていたギーシュは、ポツリと呟く。

だが、

「やっぱり・・・・きかなかったみたい・・・・・」

アイナは、そう言った。

「え?」

ギーシュは視線を炎に向ける。

炎の中から、無傷のブラックウォーグレイモンが姿を現した。

「そんな!今のを受けて、斃れるどころか無傷だなんて!!」

ルイズは驚愕する。

「今の一撃、この世界に来てからは一番の威力を持っていた。だが、まだだ!この程度では満足出来ん!!」

ブラックウォーグレイモンがそう叫ぶ。

「これで、お手上げね」

「万事休す」

キュルケとタバサが、諦めかける。

ワルドがルイズに向かって話し出した。

「どうかなルイズ。君が僕の花嫁となるなら、君だけは助けてあげよう」

そう言うが、

「ふざけないで!友達を見捨てて助かるぐらいなら死んだほうがマシよ!!」

ルイズは即答した。

ワルドは首を振る。

「仕方ない。言うことを聞かぬ小鳥は、首を捻るしかないだろう。ルイズ、君は僕が葬ってあげよう」

ワルドは、ルイズに向かって歩き出す。

ウェールズがその前に立ちはだかるが、

「邪魔だ」

『ウインド・ブレイク』で吹き飛ばされる。

「がはっ!」

壁に叩きつけられるウェールズ。

「貴様もすぐに始末してやる。それまでそこで這い蹲っていろ」

ワルドはルイズに向き直る。

「さあ、ルイズ。覚悟はいいかな?」

「助けて・・・・・」

ルイズは小さく呟く。

「ん?なんだねルイズ?」

ワルドが聞き返す。

「助けて・・・・・お願い・・・・」

ルイズの助けを求める声。

だが、それはワルドに向けられたものではない。

「ここにきて命乞いか?幻滅したよルイズ」

ワルドの杖が振り上げられる。

呪文を唱えるワルド。

そして、杖が振り下ろされようとした時、

「助けて!!サイト!!」

ルイズは絶叫した。

その時、

――ドゴォォォォン

再び『何か』が天井を突き破り、勢いよく着地する。

その所為で、土煙が巻き起こり、姿が見えない。

「ワルドぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

土煙の中から才人が勢いよく飛び出し、ワルドに斬りかかった。

ワルドは杖でその一撃を受け止める。

「貴様・・・・ガンダールヴ」

更に、

「コロナブラスター!!」

無数の炎の弾丸が、ブラックウォーグレイモンに向かって放たれた。







次回予告


戦いの場に到着した拓也と才人。

だが、ブラックウォーグレイモンの前にヴリトラモンですら歯が立たない。

しかし、拓也は仲間を守るために立ち上がる。

2つのスピリットを1つにし、大陸を揺るがす激突が、今始まる!

次回!ゼロの使い魔と炎の使い魔

第十二話 激突!! 炎の闘士VS漆黒の竜人!!

今、異世界の物語が進化する。




オリジナル魔法(オリジナルってほどでもないけど)


ヒート・ウェイブ

『火』、『風』、『風』のトライアングルスペル。

熱波の衝撃波で敵を攻撃する。

威力はさほど高くないが、攻撃範囲が広い。

言ってしまえば、火属性の『ウインド・ブレイク』。



フレイム・アロー

『火』、『火』、『火』、『風』のスクウェアスペル。

無数の炎の弾丸を放つ。

一発一発が尾を引くのでまるで赤い流星群のように見える。

モチーフは、某魔法騎士女子中学生三人娘の炎属性の子の魔法。



シールド・ウインド

『風』、『風』、『風』のトライアングルスペル。

風の壁を発生させ、攻撃を防ぐ防御魔法。

モチーフは、上と同じく、某魔法騎士女子中学生三人娘の風属性の子の魔法。



クリムゾン・ライトニング

『火』、『火』、『風』、『風』のスクウェアスペル。

炎を纏った紅の稲妻を発生させる。

モチーフは、またまた某魔法騎士女子中学生三人娘の炎属性の子の魔法。



フレイム・スフィア

『火』、『火』、『火』、『火』のスクウェアスペル。

巨大な火球を作り出し放つ魔法。

ファイヤーボールの強化版。

ブラフマシルの縮小版と言ってもいい。




あとがき

第十一話完成。

短い?

いえ、前回、前々回が長すぎただけです。

自分的にはこの位が丁度良いんですけどね。

さて、振り返りますと、最初の拓也とアイナの会話シーン。

拓也はこんなに鋭いか?と自分でも思ってます。

あと、ウェールズ助かってます。

生かすか死なせるかで、結構悩みましたが、次回予告にもある、「物語が進化する」ってことで生かすことに決定。

あんまり出番は無さそうですがね。

とりあえず4人がかりで、ワルドを追い詰めてみました。

バトルの展開速すぎるかな?

あと、一歩というところで、遂にブラックウォーグレイモン登場。

コイツは、デジモンシリーズの中で自分が一番好きな敵キャラです。

並みの人間じゃあ傷一つ付けることも出来ないでしょう。

次回は、遂に拓也とブラックウォーグレイモンのバトルです。

また、自分の文才の無さが浮き彫りになりそうだな・・・・

ですが、出来るだけ頑張りますんで、よろしくお願いします。


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