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No.4371の一覧
[0] ゼロの使い魔と炎の使い魔(ゼロの使い魔xデジモンシリーズ〈フロンティア中心〉)[友](2009/03/15 21:23)
[1] プロローグ[友](2008/10/07 18:36)
[2] 第一話[友](2008/10/07 18:51)
[3] 第二話[友](2008/10/10 19:17)
[4] 第三話[友](2008/10/13 16:12)
[5] 第四話[友](2008/10/20 17:57)
[6] 第五話[友](2008/10/26 04:02)
[7] 第六話[友](2008/11/01 17:51)
[8] 第七話[友](2008/11/08 17:50)
[9] 第八話[友](2008/11/15 12:02)
[10] 第九話[友](2008/11/22 17:35)
[11] 第十話[友](2008/11/29 14:53)
[12] 第十一話[友](2008/12/05 19:52)
[13] 第十二話[友](2008/12/07 21:43)
[14] 第十三話[友](2008/12/14 16:23)
[15] 第十四話[友](2008/12/21 12:18)
[16] 第十五話[友](2008/12/28 16:54)
[17] 第十六話[友](2009/01/01 00:05)
[18] 第十七話[友](2009/01/02 16:26)
[19] 第十八話[友](2009/01/09 00:29)
[20] 第十九話[友](2009/01/11 06:34)
[21] 第二十話[友](2009/01/15 20:24)
[22] 第二十一話[友](2009/01/18 17:32)
[23] 第二十二話[友](2009/02/01 11:52)
[24] 第二十三話[友](2009/02/01 11:54)
[25] 第二十四話[友](2009/02/08 22:23)
[26] 第二十五話[友](2009/02/15 11:45)
[27] 第二十六話[友](2009/02/22 20:46)
[28] 第二十七話[友](2009/03/01 13:24)
[29] 第二十八話[友](2009/03/08 19:44)
[30] 第二十九話[友](2009/03/14 00:18)
[31] 第三十話[友](2009/03/14 21:51)
[32] 第三十一話[友](2009/03/15 21:22)
[33] 第三十二話[友](2009/03/26 19:38)
[34] 第三十三話[友](2009/04/11 22:44)
[35] 第三十四話[友](2009/04/11 22:43)
[36] 第三十五話[友](2009/05/02 13:14)
[37] 第三十六話[友](2009/05/02 13:13)
[38] 第三十七話[友](2009/05/04 18:13)
[39] 第三十八話[友](2009/05/05 10:08)
[40] 第三十九話[友](2009/05/05 16:55)
[41] 第四十話[友](2009/05/31 14:53)
[42] 第四十一話[友](2009/06/21 11:00)
[43] 第四十二話 7/19修正[友](2009/07/19 20:21)
[44] 第四十三話[友](2009/08/01 12:23)
[45] 第四十四話[友](2009/08/12 13:39)
[46] 第四十五話[友](2009/08/31 23:37)
[47] 第四十六話[友](2009/09/12 20:57)
[48] 第四十七話[友](2009/09/13 16:58)
[49] 第四十八話[友](2009/09/19 00:53)
[50] 第四十九話[友](2009/09/27 10:46)
[51] 第五十話[友](2009/10/17 16:40)
[52] 第五十一話[友](2009/12/06 14:33)
[53] 第五十二話[友](2010/08/08 22:23)
[54] 第五十三話[友](2010/08/22 23:45)
[55] 第五十四話[友](2010/09/26 20:09)
[56] 第五十五話[友](2010/09/26 20:08)
[57] 第五十六話[友](2010/11/20 11:51)
[58] 第五十七話[友](2010/12/12 23:08)
[59] 第五十八話[友](2011/01/02 19:02)
[60] 第五十九話[友](2011/01/24 14:57)
[61] 第六十話[友](2011/02/13 19:25)
[62] 第六十一話[友](2011/02/13 19:22)
[63] 第六十二話[友](2012/01/15 20:45)
[64] 第六十三話[友](2012/01/15 20:39)
[65] 第六十四話[友](2015/02/08 17:28)
[66] 第六十五話[友](2015/03/08 21:45)
[67] 第六十六話[友](2015/05/03 15:33)
[68] 第六十七話[友](2015/06/07 21:34)
[69] 第六十八話[友](2015/10/18 17:11)
[70] 第六十九話[友](2016/02/28 20:03)
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[4371] 第十四話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/12/21 12:18
アルビオンでの任務を終え、学院に帰った拓也達。

通常の学園生活に戻ると思いきや?


第十四話 宝探しと竜の羽衣


さっそくだが、拓也、才人、アイナ、タバサ、キュルケ、ギーシュはうち捨てられた開拓村にいた。

拓也がアグニモンに進化し、とある寺院に入っていく。

そして、

――ドカッ! バキッ! ズガッ! ドゴッ!

暫く打撃音が響き、オーク鬼が飛び出てきた。

オーク鬼とは、身の丈2メイル。

体重は人間の約5倍。

醜く太った体を、獣から剥いだ皮に包んでいる。

突き出た鼻を持つ顔は、豚のそれにそっくりだ。

2本足で立った豚、という形容がしっくりくる体をいからせている。

しかも、人間を食料とする困ったやつ。

なのだが、十数匹いるオーク鬼のその顔はアグニモンにやられてボコボコになっていた。

言うなれば、一方的にやられて、泣いて逃げると言う表現がピッタリだった。

だが、逃げようとするオーク鬼の前に、7体の『ワルキューレ』が現れる。

しかし、

「あのバカ!」

アグニモンが少し慌てた声で言った。

これは、打ち合わせと違う。

焦ったギーシュが先走ったのだ。

ワルキューレが一斉に先頭のオーク鬼に向かって突撃した。

オーク鬼の腹に、槍の穂先がめり込んだ。

そのオーク鬼は倒れるが、傷は浅く、すぐに立ち上がる。

そして、仲間のオーク鬼たちと棍棒を振り回し、ワルキューレを砕く。

あっという間に全滅したワルキューレ。

だが、先程攻撃を受けたオーク鬼に、氷の矢の嵐が襲い掛かり、一瞬で絶命した。

タバサの得意魔法、『ウィンディ・アイシクル』だ。

続けて、ファイヤーボールより一回り大きな火球が1匹のオーク鬼の頭部に命中。

頭部を焼き尽くした。

キュルケの魔法、『フレイム・ボール』であった。

更には、無数の炎の矢が降り注ぐ。

アイナの『フレイム・アロー』。

いかにタフなオーク鬼でもスクウェアスペルを喰らってはひとたまりもない。

十数匹いたオーク鬼はあっという間に残り3匹となった。

その、残った3匹は最後に攻撃があった方、つまりはアイナの方へ突撃した。

だが、その前に才人とキュルケの使い魔、サラマンダーのフレイムが立ちはだかった。

才人はデルフリンガーを握ってガンダールヴのルーンを発動させ、一瞬で2匹のオーク鬼を切り伏せる。

フレイムは、1匹のオーク鬼と格闘の末押さえつけ、頭に火を吹きかけた。



オーク鬼が全員倒れた事を確認すると、隠れていたアイナ、タバサ、キュルケ、ギーシュが出てくる。

アグニモンも進化を解き、拓也に戻る。

位置的には、寺院の方から、拓也とタバサ。

フレイム・アローで、まとめて倒されたオーク鬼達を挟んで、アイナとキュルケ、ギーシュ。

アイナ達と、倒されたオーク鬼達の中央あたりに才人とフレイムだ。

そして、拓也とタバサが倒されたオーク鬼達の横を通り過ぎようとしたとき。

「ぴぎぃ!!」

突如、1匹のオーク鬼が立ち上がった。

偶然、この1匹だけは致命傷には至っていなかった。

「なっ!?」

突然の事に、一瞬驚愕する。

オーク鬼が棍棒を振り上げる。

狙いはタバサ。

「あ・・・・・」

タバサも油断しており、回避が間に合わない。

そして、棍棒が振り下ろされようとした時、

「あぶねえ!タバサ!!」

拓也が咄嗟にタバサに飛びかかり押し倒すように庇う。

――ドゴォ

「うあっ!!」

棍棒は拓也の背を掠め、地面を叩く。

掠っただけにも関わらず、拓也は数メイル吹き飛ばされ、地面を転がる。

「拓也!!」

才人はオーク鬼に向かって斬りかかろうとした。

だが、

――ゾクッ

突如悪寒に襲われ、振り向くとアイナが『フレイム・スフィア』を唱えていた。

「げ!」

才人は慌てて飛び退く。

「タクヤに・・・・・・何するのッ!!!」

その言葉と共に放たれた大火球は、あっという間にオーク鬼を焼き尽くした。

アイナが拓也の方に視線を向けると、既にタバサが駆け寄り、治癒魔法をかけていた。

アイナもすぐに駆け寄るが、アイナの属性は『火』。

『水』系統に属する治癒魔法はからっきしなのだ。

少々歯痒い思いをしながら、タバサの治療を見つめるアイナ。

「くっ・・・・痛ってえ~!」

拓也が気が付き、声を漏らす。

「タクヤ!大丈夫!?」

アイナがすぐに声をかける。

「あ、ああ。一応大丈夫みたいだ。背中はまだ痛いけど」

地面に寝そべったまま拓也は答える。

「・・・・・ごめんなさい」

タバサが謝る。

「ん?」

「私が油断していた所為で貴方は怪我を負った」

タバサは治療を続けながらそう言う。

「気にすることはないよ。油断してたのは俺も同じだ。それに、仲間を助けるのは当然だろ?」

「・・・・・何で貴方は、自分が傷つくかもしれない状況でも他人を優先できるの?」

「何でって言われてもな・・・・・・元々俺は、考えるより先に体が動くタイプの人間だからな。危ない、って思ったら体が勝手に動いただけさ」

「死ぬかもしれないのに?」

「仲間の為なら命を懸けるには十分だ」

死ぬ気は無いけどな、と心の中で付け加えつつ、拓也は微笑しながら言った。

タバサは無表情の中に、僅かに驚愕の表情を浮かべる。

「・・・・・・・・・・イーヴァルディ」

タバサは小声でポツリと呟いたが、それは、誰の耳にも聞こえなかった。



拓也の治療が終わったところで、とりあえずキュルケはギーシュを殴った。

「ぐはぁ!なにをするんだね!?」

ギーシュがキュルケに講義する。

「アンタの所為でタクヤが怪我したじゃない!」

「ぼ、僕の所為か!?」

「それ以外に何があるって言うの!?先走って作戦無視したでしょうが!!」

本来は、ウェルダンテが落とし穴を掘った所にアグニモンがオーク鬼達を追い込み、落とし穴に落ちたところで一網打尽にする作戦だったのだ。

寺院の中や周辺でアグニモンが必殺技を使えば、寺院が火事になる恐れがあったのでそういう作戦のはずだった。

「そんな都合良く穴に落ちてくれるもんかね。戦は先手必勝。僕はそれを実践しただけだ」

ギーシュはぶつぶつと文句を言った。

反省の色が見えないギーシュにキュルケは頭にきた。

「シルフィード!」

空に向かってシルフィードの名を呼ぶ。

「きゅい~!!」

すると、空からシルフィードが急降下してきた。

そして、

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!」

そのままギーシュを踏みつけた。

「きゅいきゅい!きゅいきゅいきゅいきゅいきゅいきゅいきゅいきゅい!!(このキザ男!あなたが勝手なことしてくれたお陰でお姉さまとタクヤさまが危ない目にあったのね!!)」

そのまま何度も踏みつける。

「ぎゃ! ちょ! やめて! 許して! ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

うち捨てられた村にギーシュの悲鳴が響いた。




さて、話は戻るが、何故拓也達はこんな所にいるのか?

それはずばり、『宝探し』である。

そして、何故宝探しをしているのかといえば、いつもの如く、才人とルイズが関係している。

簡単に言えば、才人がメイドのシエスタを間違って押し倒し、その瞬間を偶然にもルイズが目撃。

ルイズが誤解して、才人を追い出してしまった。

学院の中庭でテント暮らしを始めた才人にキュルケが、宝探しをして、ゲルマニアで貴族になってルイズを見返して見ないかと持ちかけたのだ。

その話に魅力を感じた才人は、その話に乗った。

その話を聞いていたギーシュは、キュルケにうまく丸め込まれた。

タバサがいるのは長距離を移動する手段(シルフィード)を持っているため。

拓也がいるのは、才人が心配&拓也が来ないとシルフィードが行かないと言い張ったため。

拓也とシルフィードが一緒にいることとなれば、アイナも付いてくるのは当然なのである。





夜。

シルフィードに踏みつけられたにも関わらず、奇跡的に軽傷で済んだギーシュが恨めしそうに口を開いた。

「で、その『秘宝』とやらはこれかね?」

ギーシュが指差したのは、色あせた装飾品と汚れた銅貨が数枚であった。

宝の地図に書かれたところには、チェストはあった。

しかし、中身は持ち帰る気にもならないガラクタばかりであった。

「この真鍮でできた、安物のネックレスや耳飾が、まさかその『ブリーシンガメル』というわけじゃあるまいね?」

キュルケは答えない。

ただ、つまらなそうに爪の手入れをしていた。

タバサは相変わらず本を読んでいる。

才人は寝転がって月を眺めている。

ギーシュはわめいた。

「なあキュルケ、これで7件目だ!地図をあてにお宝が眠るという場所に苦労して行ってみても、見つかるのは金貨どころかせいぜい銅貨が数枚!地図の注釈に書かれた秘宝なんか欠片も無いじゃないか!インチキ地図ばっかりじゃないか!」

「うるさいわね。だから言ったじゃない。“中”には本物があるかもしれないって」

「いくらなんでも酷すぎる!廃墟や洞窟は化け物や猛獣の住処になってるし!苦労してそいつらをやっつけて、得られた報酬がこれじゃあ、割りにあわんこと甚だしい」

ギーシュは薔薇の造花をくわえて、敷いた毛布の上に寝転がった。

「そりゃそうよ。化け物を退治したぐらいで、ほいほいお宝が手に入ったら、誰も苦労しないわ」

険悪な雰囲気が漂う。

因みに、化け物や猛獣を退治したのは、拓也が5割、才人が4割、残りの1割をアイナ、タバサ、キュルケ、ギーシュの4人である。

ようはその1割以下の猛獣を退治してギーシュは苦労したと言っているのである。

そんな時、シエスタの明るい声が響いた。

「みなさーん、お食事ができましたよー!」

シエスタは、焚き火にくべた鍋からシチューをよそって、めいめいに配り始めた。

料理当番は、アイナとシエスタが担当している。

と言っても、普通の料理そのものの腕は、シエスタよりアイナの方が上回っているが、こういったサバイバル的な料理はシエスタのほうが上である。

だから宝探しの間、アイナはシエスタの手伝いという形をとっている。

「こりゃうまそうだ!と思ったらホントにうまいじゃないかね!一体何の肉だい?」

ギーシュがシチューを頬張りながら呟いた。

皆も、口にシチューを運んで、うまい!と騒ぎ始めた。

シエスタは微笑んで言った。

「オーク鬼の肉ですわ」

ぶほっと、ギーシュがシチューを吐き出した。

全員が、唖然としてシエスタを見つめた。

「じょ、冗談です!ホントは野うさぎです!罠を仕掛けて捕まえたんです」

それからシエスタは、皆が宝探しに夢中になっている間に、うさぎや鷓鴣を罠で捕まえ、ハーブや山菜を集め、シチューを作ったのだと説明した。

ほっとした口調でキュルケが言った。

「驚かせないでよね。でも、あなた起用ね。こうやって森にあるもので、美味しいものを作っちゃうんだから」

「田舎育ちですから」

シエスタははにかんで言った。

「これはなんていうシチューなの?ハーブの使い方が独特ね。あと、なんだか見たことも無い野菜がたくさん入っているわ」

キュルケは、フォークで食べなれない野菜を突きまわしながら言った。

「私の村に伝わるシチューで、ヨシェナヴェっていうんです」

シエスタは鍋をかきまぜながら説明した。

「父から作り方を教わったんです。食べられる山菜や、木の根っこや・・・・・・父は、ひいおじいちゃんから教わったそうです。今では私の村の名物です」

拓也はその料理を食べて、少し懐かしさを感じた。

そんな様子にアイナが声をかける。

「如何したのタクヤ?もしかして、口に合わなかった?」

そういわれた拓也は、

「いや、そんな事はないよ。ただ、元のせか・・・・・・・俺や才人さんの故郷に似たような料理があるから、少し懐かしいって思ってさ」

危うく口を滑らせる所だった拓也は慌てて言いなおす。

「そうなんですか?其方ではなんと言う料理なんですか?」

シエスタがそう聞いてくる。

「ん?寄せ鍋」

「へ~、名前も似てますね。凄い偶然ですね」

そういう風に食事中の会話は弾んでいった。



食事の後、キュルケは再び地図を広げた。

「もう諦めて、学院に帰ろう」

ギーシュがそう促したが、キュルケは首を振らない。

「あと一件だけ。一件だけよ」

キュルケは何かに取り付かれたように、目を輝かせて地図を覗き込んでいる。

そして、一枚の地図を選んで、地面に叩きつけた。

「これ!これよ!これでダメだったら学院に帰ろうじゃないの!」

「なんというお宝だね?」

キュルケは腕を組んで呟いた。

「『竜の羽衣』」

皆が食事を終えた後、シチューを食べていたシエスタが、ぶほっ、と吐き出した。

「そ、それホントですか?」

「なによ貴女。知ってるの?場所は、タルブの村の近くね。タルブってどこら辺なの?」

キュルケがそう言うと、シエスタは焦った声で呟いた。

「ラ・ロシェールの向こうです。広い草原があって・・・・・・・私の故郷なんです」




翌朝、一行は空飛ぶシルフィードの上で、シエスタの説明を受けていた。

シエスタの説明は、あんまり要領を得なかった。

とにかく、村の近くに寺院があること。

そこの寺院に『竜の羽衣』と呼ばれるものが存在している事。

「どうして、『竜の羽衣』って呼ばれてるの?」

「それを纏ったものは、空を飛べるそうです」

シエスタは、言い難そうに言った。

「空を?『風』系のマジックアイテムかしら」

「そんな・・・・・・大したものじゃありません」

シエスタは、困ったように呟いた。

「どうして?」

「インチキなんです。どこにでもある、名ばかりの『秘宝』。ただ、地元の皆はそれでもありがたがって・・・・・寺院に飾ってあるし、拝んでるおばあちゃんとかいますけど」

「へぇええ」

それからシエスタは、恥ずかしそうな口調で言った。

「実は・・・・・・それの持ち主、私のひいおじいちゃんだったんです。ある日、ふらりと私の村に、ひいおじいちゃんはあらわれたそうです。」そして、その竜の羽衣で、東の地から、私の村にやってきたって、皆にそう言ったんです」

「凄いじゃないの」

「でも、誰も信じなかったんです。ひいおじいちゃんは、頭がおかしかったんだって、皆言ってます」

「どうして?」

「誰かが言ったんです。じゃあその『竜の羽衣』で飛んでみろと。でも、ひいおじいちゃん、飛べなくって。なんかいろいろ言い訳したらしいですけど、皆が信じるわけもなくて。おまけに『もう飛べない』と言って私の村に住み着いちゃって。一生懸命働いてお金を作って、そのお金で貴族にお願いして、『竜の羽衣』に『固定化』の呪文までかけてもらって、大事に大事にしてました」

「変わり者だったのね。さぞかし家族は苦労したのでしょうね」

「いや、『竜の羽衣』の件以外では、働き者のいい人だったんで。皆に好かれたそうです」

「それってようは村の名物なんだろ?昨日のヨシェナヴェみたいな。そんなの持ってきたらダメじゃん」

と才人が言うと、

「でも・・・・・・私の家の私物みたいなものだし・・・・・・・サイトさんがもし、欲しいって言うなら、父に掛け合ってみます」

とシエスタは、悩んだ声で呟いた。

才人はそんなインチキな代物ならいらないと思ったが、キュルケが解決策を打ち出した。

「まあ、インチキならインチキなりの売り方があるわよね。世の中には馬鹿と好事家ははいて捨てるほどいるのよ」

ギーシュは呆れた声で言った。

「君は酷い女だな」

一行を乗せて、シルフィードは一路タルブの村へと羽ばたいた。



一行はタルブの村の近くに立てられた寺院にいた。

『竜の羽衣』はその寺院に安置されていた。

というか、『竜の羽衣』を包み込むように、寺院が建てられた、と言ったほうが正しい。

シエスタの曽祖父が建てたというその寺院の形は拓也と才人に懐かしさを覚えさせた。

寺院は、草原の片隅に建てられていた。

丸木が組み合わされた門の形。

石の代わりに、板と漆喰で作られた壁。

木の柱。

白い紙と、縄で作られた紐飾り。

そして、板敷きの上に、くすんだ濃緑の塗装を施された『竜の羽衣』は鎮座していた。

固定化のお陰か、何処にも錆は浮いていない。

作られたそのままの姿を『竜の羽衣』は見せていた。

キュルケやギーシュは、気の無さそうにその『竜の羽衣』を見つめていた。

好奇心を刺激されたのか、アイナと、珍しくタバサは、興味深そうに見つめている。

そして、その『竜の羽衣』を、拓也と才人は目を丸くして見つめていた。

拓也と才人が余りにも、呆けたように『竜の羽衣』を見つめているので、シエスタが心配そうに言った。

「あ、あの。サイトさん、タクヤ君?どうしたんですか?私、何か不味い物を見せてしまったんじゃ・・・・・・・」

2人は答えず、ただ黙って『竜の羽衣』を見つめるばかり。

「全く、こんなものが飛ぶわけないじゃないの」

キュルケが言った。

ギーシュも頷く。

「これはカヌーか何かだろう?それに鳥のおもちゃのように、こんな翼をくっつけたインチキさ。大体見ろ、この翼を。如何見たって羽ばたけるようには出来ていない。この大きさ、小型のドラゴンほどもあるじゃないか。ドラゴンだって、ワイバーンだって、羽ばたくからこそ空に浮かぶ事が出来るんだ。何が『竜の羽衣』だ」

ギーシュは『竜の羽衣』を指差して、もっともらしく頷いた。

「サイトさん、タクヤ君、ホントに・・・・・大丈夫?」

心配そうに才人の顔を覗き込むシエスタの肩を掴んで、才人は熱っぽい口調で言った。

「シエスタ」

「は、はい?」

シエスタは頬を染めて、才人の目を見つめ返した。

「君のひいおじいちゃんが残したものは、他にないのか?」

「えっと・・・・あと大したものは・・・・・・お墓と、遺品が少しですけど」

「それを見せてくれ」




シエスタの曽祖父のお墓は、村の共同墓地の一画にあった。

白い石で出来た、幅広の墓石の中、1個だけ違う形のお墓があった。

黒い石で作られたその墓石は、他の墓石と趣を異にしている。

墓石には墓碑銘が刻まれていた。

「ひいおじいちゃんが、死ぬ前に自分で作った墓石だそうです。異国の文字で書いてあるので、誰も読めなくて。なんて書いてあるんでしょうね?」

キュルケやギーシュがその文字を見るが、

「なんだいこのミミズがのたくったような字は?」

「見たことも無いわね・・・・・タバサ、分かる?」

本に詳しいタバサに聞くが、首を横に振る。

「う~ん・・・・・タクヤ、ルーンの力で読めないかな?」

アイナが拓也に試してみるように言うが、

「海軍少尉佐々木武雄、異界ニ眠ル」

「はい?」

そう、すらすらと文字を読んだのは才人であった。

シエスタは目を丸くする。

才人はシエスタを見つめた。

シエスタは熱っぽく見つめられたので、またまた頬を染めた。

「い、いやですわ・・・・・・そんな目で見られたら・・・・・・」

シエスタの黒い髪、黒い瞳。

何処となく、懐かしい雰囲気。

そんなふうに感じた理由に気付き、なるほど、と才人は思った。

「なあシエスタ、その髪と目、ひいおじいちゃん似だって言われただろ」

と才人が言うと、シエスタは驚いた声を上げた。

「は、はい!どうしてそれを?」



再び寺院に戻り、才人は『竜の羽衣』に触れてみた。

すると、左手の甲のルーンが光りだす。

(なるほど、こいつも『武器』に違いない)

翼から突き出た機関砲の砲身を見つめて、才人はそう思った。

ルーンが光ると、中の構造、操縦法が、才人の頭の中に聡明なシステムとして流れ込んでくる。

自分はこれを飛ばせるのだ、と思った。

燃料タンクを探し当て、そこのコックを開いてみた。

なるほど、案の定そこは空っぽだった。

どれだけ原型を止めていても、ガス欠じゃ飛ばす事は出来ない。

「やっぱりガス欠ですか?」

拓也が才人に尋ねた。

「ああ。確かにこれじゃもう飛べないよな」

そこに、生家に帰っていたシエスタが戻ってきた。

「ふわ、予定より、2週間も早く帰ってきてしまったから、皆に驚かれました」

シエスタはいそいそと手に持った品物を才人に手渡した。

それは、古ぼけたゴーグルだった。

海軍少尉だった、シエスタの曽祖父がつけていたものだろう。

フーケのゴーレムを倒したときに使った『破壊の杖』の持ち主と同じ、過去の異世界からの闖入者。

拓也、才人と同じ、異邦人。

「ひいおじいちゃんの形見、これだけだそうです。日記も、何も残さなかったみたいで。ただ、父が言っていたんですけど、遺言を残したそうです」

「遺言?」

「そうです。なんでも、あの墓石を銘を読めるものが現れたら、その者に『竜の羽衣』を渡すようにと」

「となると、俺にその権利があるって訳か」

「そうですね。その事を話したら、お渡ししてもいいって言ってました。管理も面倒だし・・・・・大きいし、拝んでる人もいますけど、今じゃ村のお荷物だそうです」

才人は言った。

「じゃあ、ありがたく貰うよ」

「それで、その人物にこう告げて欲しいと言ったそうです」

「なんて言ったの?」

「なんとしてでも『竜の羽衣』を陛下にお返しして欲しい、だそうです。陛下ってどこの陛下でしょう?ひいおじいちゃんは、何処の国の人だったんでしょうね」

才人は呟いた。

「俺や拓也と同じ国だよ」

「ホントですか?なるほど、だからお墓の文字が読めたんですね。うわぁ、なんか感激です。私のひいおじいちゃんと、サイトさんが同じ国の人だなんて。なんだか、運命を感じます」

シエスタは、うっとりした顔で、そう言った。

「じゃあ、ホントにひいおじいちゃんは、竜の羽衣でタルブの村へやってきたんですね・・・・・」

「これは竜の羽衣って名前じゃないよ」

「じゃあ、サイトさんの国では、なんて言うんですか?」

才人は言った。

「ゼロ戦。俺の国の、昔の戦闘機」

「ぜろせん?せんとうき?」

「つまり飛行機だよ」

「こないだ、サイトさんが言っていた、ひこうき?」

才人は頷くと、竜の羽衣、もといゼロ戦によじ登り、風防を開けて中を覗き込んだ。

「ん?」

座席に何か転がっているのが目に入り、それを拾う。

それは、赤い水玉模様が入った大きなタマゴだった。

「シエスタ、中にこのタマゴがあったんだけど、これは?」

才人はシエスタに尋ねる。

「え?何ですかそれ?今まで何回か中を見たことはありますが、そんなものは無かったはずですけど」

シエスタも分からない。

だが、

「デジタマ?」

拓也がまた目を丸くして呟いた。

「何だよ?でじたまって?」

才人が聞くと、

「デジモンのタマゴです。略してデジタマ」

拓也が答える。

「そのまんまだな・・・・・」

才人が苦笑しながら、なんとなくデジタマを撫でる。

すると、

――ピキッ

タマゴに罅が入る。

「あ」

それに気付いた拓也が声を漏らす。

――ピキピキピキピキッ

罅がタマゴの上部に広がり、

――パリンッ

「ぴきぃ!」

タマゴが割れ、中から、赤く丸い体に、コウモリの羽のような耳。

小さな体に対して大きな2つの黒い目と、口を持ったデジモンが生まれた。

「は?」

才人は素っ頓狂な声を上げた。





次回予告


ゼロ戦の中にあったデジタマから生まれたデジモン、ジャリモン。

そのジャリモンに懐かれた才人。

少々振り回されながらもコルベールに依頼した燃料で、エンジンがかかった事に喜ぶ。

だが、その時タルブでは・・・・・・

次回!ゼロの使い魔と炎の使い魔

第十五話 才人のデジモン

今、異世界の物語が進化する。






あとがき

はい十四話完成。

少しやり取りが違うだけで、大体は原作どおりですね。

最初の拓也の負傷は、偶には怪我するのもありかな、と思いまして。

序にタバサフラグ?

というほどではないか?

捉え方は人それぞれでしょう。

さて、皆様、『竜の羽衣』の予想でグラニというものがあったのですが、自分の中ではグラニは竜というより、鳥という感覚なんです。

で、本来、ゼロ戦だけで行く予定でした。

が、皆様、才人がデジモンになる事を期待しておられるようで。

ぶっちゃけますが、才人はデジモンになる予定はありませんでした。

拓也とマトリクスエボリューション(の様な事)をする予定もありませんでした。

しかぁし!これだけ期待されて何も無いというのは、流石に悪い気がします。

その時、自分の壊れたアンテナが電波を受信。

よくよく考えれば、才人には生き物の相棒がいない。(デルフは武器ですし。シュヴァリエになった時に買ったはずの馬も、殆ど出番が無い)

才人自身が使い魔ですから無理もないだろうと思います。

ならば、作ってしまえと、閃いたのがデジモンのパートナー。

次回予告にも出てきたジャリモンは、知ってるかもしれませんが、ギルモンの幼年期前半です。

ここまで、聞けば後は予想できますよね?

では、次も頑張ります。


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