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No.4371の一覧
[0] ゼロの使い魔と炎の使い魔(ゼロの使い魔xデジモンシリーズ〈フロンティア中心〉)[友](2009/03/15 21:23)
[1] プロローグ[友](2008/10/07 18:36)
[2] 第一話[友](2008/10/07 18:51)
[3] 第二話[友](2008/10/10 19:17)
[4] 第三話[友](2008/10/13 16:12)
[5] 第四話[友](2008/10/20 17:57)
[6] 第五話[友](2008/10/26 04:02)
[7] 第六話[友](2008/11/01 17:51)
[8] 第七話[友](2008/11/08 17:50)
[9] 第八話[友](2008/11/15 12:02)
[10] 第九話[友](2008/11/22 17:35)
[11] 第十話[友](2008/11/29 14:53)
[12] 第十一話[友](2008/12/05 19:52)
[13] 第十二話[友](2008/12/07 21:43)
[14] 第十三話[友](2008/12/14 16:23)
[15] 第十四話[友](2008/12/21 12:18)
[16] 第十五話[友](2008/12/28 16:54)
[17] 第十六話[友](2009/01/01 00:05)
[18] 第十七話[友](2009/01/02 16:26)
[19] 第十八話[友](2009/01/09 00:29)
[20] 第十九話[友](2009/01/11 06:34)
[21] 第二十話[友](2009/01/15 20:24)
[22] 第二十一話[友](2009/01/18 17:32)
[23] 第二十二話[友](2009/02/01 11:52)
[24] 第二十三話[友](2009/02/01 11:54)
[25] 第二十四話[友](2009/02/08 22:23)
[26] 第二十五話[友](2009/02/15 11:45)
[27] 第二十六話[友](2009/02/22 20:46)
[28] 第二十七話[友](2009/03/01 13:24)
[29] 第二十八話[友](2009/03/08 19:44)
[30] 第二十九話[友](2009/03/14 00:18)
[31] 第三十話[友](2009/03/14 21:51)
[32] 第三十一話[友](2009/03/15 21:22)
[33] 第三十二話[友](2009/03/26 19:38)
[34] 第三十三話[友](2009/04/11 22:44)
[35] 第三十四話[友](2009/04/11 22:43)
[36] 第三十五話[友](2009/05/02 13:14)
[37] 第三十六話[友](2009/05/02 13:13)
[38] 第三十七話[友](2009/05/04 18:13)
[39] 第三十八話[友](2009/05/05 10:08)
[40] 第三十九話[友](2009/05/05 16:55)
[41] 第四十話[友](2009/05/31 14:53)
[42] 第四十一話[友](2009/06/21 11:00)
[43] 第四十二話 7/19修正[友](2009/07/19 20:21)
[44] 第四十三話[友](2009/08/01 12:23)
[45] 第四十四話[友](2009/08/12 13:39)
[46] 第四十五話[友](2009/08/31 23:37)
[47] 第四十六話[友](2009/09/12 20:57)
[48] 第四十七話[友](2009/09/13 16:58)
[49] 第四十八話[友](2009/09/19 00:53)
[50] 第四十九話[友](2009/09/27 10:46)
[51] 第五十話[友](2009/10/17 16:40)
[52] 第五十一話[友](2009/12/06 14:33)
[53] 第五十二話[友](2010/08/08 22:23)
[54] 第五十三話[友](2010/08/22 23:45)
[55] 第五十四話[友](2010/09/26 20:09)
[56] 第五十五話[友](2010/09/26 20:08)
[57] 第五十六話[友](2010/11/20 11:51)
[58] 第五十七話[友](2010/12/12 23:08)
[59] 第五十八話[友](2011/01/02 19:02)
[60] 第五十九話[友](2011/01/24 14:57)
[61] 第六十話[友](2011/02/13 19:25)
[62] 第六十一話[友](2011/02/13 19:22)
[63] 第六十二話[友](2012/01/15 20:45)
[64] 第六十三話[友](2012/01/15 20:39)
[65] 第六十四話[友](2015/02/08 17:28)
[66] 第六十五話[友](2015/03/08 21:45)
[67] 第六十六話[友](2015/05/03 15:33)
[68] 第六十七話[友](2015/06/07 21:34)
[69] 第六十八話[友](2015/10/18 17:11)
[70] 第六十九話[友](2016/02/28 20:03)
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[4371] 第十九話
Name: 友◆ed8417f2 ID:11075f73 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/01/11 06:34
水の精霊から、タバサの母を治すヒントを得た拓也達。

『覇竜』の情報を得るために、一度学院に帰還する。


第十九話 対決!覇竜VS拓也!!


才人達と別れ、タバサの実家でペルスランに任務の完了を報告した後、そのままシルフィードで学院に帰還する拓也達。

覇竜の居所を探すため、図書室で書物を漁る。

拓也もルーンの力で文字が読める事が分かったので、一緒に探している。

一晩中探したのだが、

「はあ~~~・・・・」

キュルケがため息をつく。

「調べれば覇竜のことは意外と載ってたけど、肝心の居場所がね~~~」

そうなのだ。

歴史の書物や古文書には覇竜が存在した事が意外と書かれている。

だが、肝心の居場所が書かれたものが無かった。

因みに、この部屋にいるのは4人。

拓也、アイナ、タバサ、キュルケである。

内、拓也を除く3人は目の下にクマが出来ていた。

徹夜で書物を漁り続けたからだ。

拓也は、書物を読んでいる間に寝てしまったので、大丈夫だった。

そんな3人を見て、拓也は声をかけた。

「皆は一回寝たらどうだ?」

だが、

「大丈夫」

タバサがそう答える。

タバサは、一刻も早く母を直したいが為に無理をしている。

「はあ~、そんな顔で大丈夫といわれても説得力が無いぞ。いいから一回寝て来い。俺が出来るだけ調べておくから。第一もし居場所が分かっても、そんな状態じゃすぐに動けないだろ?」

拓也のいう事も尤もなので、3人は自分の部屋に戻っていく。

「さてと・・・・・出来るだけ頑張りますか」



4時間後。

拓也は机の上に突っ伏していた。

手ががりも無し。

元々頭を使うより体を動かす事が好きな拓也に、これは地獄だった。

1人で4時間も集中できた事を褒めてあげたい。

だが、それも限界だった。

「あ~!畜生!」

拓也は思わずグチを零す。

と、その時、

「おやおや、珍しい人物がおるのぉ~」

その声に顔を上げると、そこには、魔法学院の学院長であるオスマンがいた。

「あ、学院長さん」

「君は確か、ミス・シンフォニアの使い魔の少年じゃったの」

拓也は頷く。

「図書室で何をやっとるんじゃ?」

「ええ、ちょっと調べ物を」

「それは何かと聞いていいかの?」

「『覇竜』の居場所です」

「『覇竜』とな?」

「ええ。どうしても居場所を知りたいんです」

拓也の言葉を聞き、オスマンは髭を撫でながら考える仕草をする。

「『覇竜』の居場所のう・・・・・・確か、火竜山脈の一番高い山の火口に住んでいるという噂を耳にした事があるが・・・・・・」

「本当ですか!?」

拓也は思わず聞き返す。

「あくまで噂じゃからのう。本当かどうかは定かではないぞ」

「ありがとうございます!!」

拓也はオスマンに頭を下げた。

図書室から駆け出ていく拓也を見つめながら、

「ほっほっほ。若いというのは良いものじゃのう」

オスマンは全てお見通しといった笑みを浮かべながら、そう呟く。

そして、

「ただ、片付けだけはしていって欲しかったのう」

机の上に散乱した書物を見て、そう呟いた。



オスマンから聞いた話をタバサに話すと、すぐにタバサは出かける準備をする。

アイナとキュルケも一緒である。

因みにその途中、ルイズの部屋から才人の絶叫が響いたが聞かなかった事にした。

その日のうちに、シルフィードで火竜山脈に一番近い村に飛んだ。

まず、そこで一泊し、翌日火竜山脈に向かう事に決めた。

因みにその火竜山脈だが、その名の通り野生の竜が多数生息している。

普通の人間なら近付こうともしないだろう。

それほどまでに危険な場所なのだ。



翌日。

一行は、シルフィードで出来るだけ高い高度を飛んでいる。

野生の竜に見つかったら、『覇竜』どころではないからだ。

眼下には険しい山々が連なっており、その殆どが火山だ。

この一帯は、昼間にもかかわらず、空が分厚い雲と噴煙に覆われており薄暗い。

それが余計に危険な雰囲気を醸し出していた。

野生の火竜の群れが所々に飛んでいるのが見て取れた。

それを見ながら、アイナは呟いた。

「凄い数の竜だね。私、こんな大群を見たのは初めて」

「私だってそうよ。いくらフレイムの出身地だからって、実際に来るとは思って無かったわ」

キュルケもそう言う。

一行が向かう目の前には一際高い火山が見える。

他の山と比べると3倍近い高さがある。

「オールド・オスマンの情報が正しければ、『覇竜』はあの山の火口にいるということね」

シルフィードは高度を下げ、火口に近付いていく。

だが、

「きゅい!?」

シルフィードは突如停止する。

「どうしたの?」

タバサが尋ねる。

「きゅい!この火口に凄い数の火の精霊が集まっているのね!これ以上近付くと危険なのね!」

シルフィードがそう言う。

その時、タバサが立ち上がった。

「私だけで行く」

しかし、シルフィードが必死になってタバサを止める。

「待つのねお姉さま!この先は温度が凄い事になってるのね!人間じゃ数分と持たないのね!」

シルフィードが説得するが、タバサは行くと言って聞かない。

その時だった。

「だったら俺が行く」

拓也が言った。

全員が驚いた表情で拓也を見た。

「忘れたのか?俺は『炎』の闘士だ。同属性ならダメージを受ける心配もない。むしろ、あそこは『炎』のフィールドだからな。あそこなら炎の闘士の力を200%発揮できる。簡単にやられたりはしないさ」

タバサは一度俯き、

「お願い」

拓也にそう言った。

「ああ、約束だ。必ず『覇竜の涙』を手に入れてくる」

拓也は自信を持って返事をする。

デジヴァイスを取り出す。

「ダブルスピリット!エボリューション!!ぐっ・・・あああああああああっ!!」

拓也はアルダモンに進化する。

「アルダモン!!」

そのアルダモンに、声がかけられる。

「タクヤ、気をつけてね」

「無理しちゃだめよ」

「タクヤさま、頑張ってなのね」

アイナとキュルケ、シルフィードがそう言った。

アルダモンは頷き、飛んでいく。

少し火口に近付くと、すぐに温度の変化があった。

凄まじい熱がアルダモンに感じられる。

「なんて熱量だ。確かにこれだと、人間じゃあ数分と持たないな」

シルフィードの言っていた事に納得するアルダモン。

だが、この程度の熱ではアルダモンはダメージは受けない。

寧ろ先程言ったとおり、力が倍増する。

火山の火口の内径は2リーグといったところ。

火口内部にはまるで島のように500メイルぐらいの円形で平らな岩盤があった。

アルダモンはそこに着地する。

アルダモンは周りを見回すが、時折岩の割れ目からガスが噴出する以外に変わったところは無いように思えた。

だが、

「ん?」

アルダモンは僅かな地鳴りに気付く。

その地鳴りはどんどん大きくなり、

「グォオオオオオオオオオッ!!!」

マグマの中から巨大なる竜が這い出してきた。

その全長は50メイルを超える。

その表皮は棘状の硬質化した甲殻に覆われ、その口には豪壮な牙。

翼は無いようだが、それを差し引いても、『覇竜』の名に恥じぬ存在感と威圧感がある。

その竜はアルダモンを見ると、

「この地に何の用だ。人でも獣でもなき者よ」

アルダモンに話しかけた。

アルダモンは少し驚き、

「韻竜!?」

そう言った。

「確かに、人は我と同じ種族をそう呼ぶ」

その竜は、アルダモンの言葉に答える。

「そうか、なら話は早い。『覇竜』というのはお前の事か?」

その問いに、

「いかにも。我は覇竜 アカムトルム也」

背定する。

「それなら頼みがある。『覇竜の涙』を貰いたいんだ」

「我が涙を?」

「ああ。俺の仲間の母親がエルフの毒で心を狂わされているんだ。それを治してやりたい」

その言葉を聞くと、アカムトルムは少し考える。

「・・・・・・確かに、我が涙ならエルフの作りし毒をも浄化できるであろう」

その言葉に、アルダモンは安心した表情をするが、

「だが!人間如きの為に我が、『覇竜』の名を冠する我が涙を流すわけにはいかぬ!!」

アカムトルムはそう叫ぶ。

「我ら竜族は勇猛なる一族!涙を流すという事は、それ即ち、我らが誇りを汚すという事!その竜族の覇王である我がそう簡単に涙を流すものか!!」

その言葉にアルダモンは静かに問う。

「それでも、求めるときは?」

アルダモンは真っ直ぐにアカムトルムの目を見つめる。

「ならば!我を心身ともに屈服させてみよ!!」

アカムトルムは四肢に力を籠める。

4つの足をついている場所に罅が入り、砕け、そして陥没。

アルダモンも構えた。

その時、アカムトルムが凄まじき咆哮を上げる。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!!!」

それはもはや咆哮どころの話ではない。

爆音となり、あたり一帯を揺るがす。

その咆哮に呼応するように火山活動が活発化。

岩盤の所々からマグマが噴き出す。

それは聞くもの全てを恐怖に陥れ、金縛りのように体が動かなくなる。

それは、アルダモンとて例外ではない。

「ぐうっ!?」

巨大なる敵に対しての恐怖が体の自由を奪っていく。

しかし、

「うおおおおおおおおおおっ!!!」

アルダモンは出来る限りの咆哮を上げ、その恐怖を振り払う。

そして、真正面からアカムトルムを睨み付けた。

それを見たアカムトルムは笑い声を上げる。

「フハハハハハハッ!我が気迫を受け、恐怖し、それでもなお立ち向かうか!」

アカムトルムもアルダモンを見据える。

「ククク・・・・少なくとも、我と相対するだけの資格はあるようだな」

そう言うと、再び足に力を籠める。

「行くぞ!!」

アカムトルムの巨体が動いた。




上空のシルフィードでは。

「大丈夫かしらタクヤ」

キュルケが呟く。

「さっきの鳴き声も凄まじいものだったわ。こんなに離れている私たちでさえ恐怖で体が動かなくなるぐらいだったから」

アイナは黙って火口の方を見つめ続けている。

その顔は心配そうだ。

「きゅいきゅい!タクヤさまなら絶対に大丈夫なのね!」

シルフィードもそう言っているが、どうやら不安は拭えないらしい。

タバサも火口を見つめ続けているだけであった。




火口内では凄まじき戦いが繰り広げられていた。

「はあああああっ!!」

アルダモンは急降下で勢いを付けつつアカムトルムの背に拳を放つ。

だが、強靭な甲殻に阻まれ大したダメージは与えられない。

アカムトルムの長い尻尾が振り回され、アルダモンに襲い掛かる。

「ぐぅ!」

腕でガードするものの、弾き飛ばされる。

明らかにアカムトルムの力は究極体と同等以上の力を持っていた。

「どうした?その程度か、炎を操りしものよ」

アカムトルムにはまだまだ余裕が見える。

「まだまだぁ!!」

アルダモンは向かい合わせにした手の中央に火球を作り出した。

「ブラフマシル!!」

その火球を巨大化させ、アカムトルムに放った。

「むっ!!」

アカムトルムもそれに対して身を固める。

――ドゴォオオオオオオン

アカムトルムが爆炎に包まれる。

「はあ・・・・・はあ・・・・・・はあ・・・・・・どうだ!」

アルダモンは荒い息を吐きつつそう言った。

だが、爆炎の中で動くものが見える。

「ちぃ!」

爆炎の中からはアカムトルムが姿を見せる。

だが、流石に無事とは言いがたく、所々に焼け焦げた後が見える。

「まだ、これほどの力を残していようとはな。だが、灼熱のマグマにも耐えうる我の甲殻を甘く見るな!」

アカムトルムは一度、大きく息を吸い込む仕草をすると、

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!!!」

先程の咆哮と共に、口から竜巻状の凄まじい突風が吐き出される。

「なっ!?」

アルダモンはそれを間一髪で避ける。

それはアカムトルムの前方にあったもの全てを吹き飛ばす。

岩盤は全て削り取られ、1リーグ以上先にある火口の壁にも穴を開けた。

凄まじい威力である。

「ほう・・・・我が最大の攻撃『ソニックブラスト』を避けたか」

アルダモンはその威力を見て、絶句した。

「な、なんて威力だよ・・・・」

流石にデュナスモンのブレスオブワイバーンには至らないが、アルダモンまでしか進化できない現在では、相当な脅威だ。

「これで分かっただろう。諦めて去るがいい」

「そうはいかない!俺は約束したんだ。必ず『覇竜の涙』を手に入れてくると!」

アルダモンは、アカムトルムの言葉を即行で拒否した。

「ならば、今度は外さんぞ」

アカムトルムは、再び『ソニックブラスト』を放つ態勢になる。

アルダモンはその場を動かず、構えた。

「何のつもりだ?」

アカムトルムは問う。

アルダモンは目を見開き、

「受けて立つ!!」

そう言った。

「愚かな・・・・・・・ならば、消えるがいい!!」

アカムトルムは再び息を大きく吸い込む。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!!!」

爆音の咆哮と共に放たれる全てを吹き飛ばす竜巻状の突風。

「うおおおおおおおおおおおっ!!!」

それにアルダモンは真正面から突っ込んだ。

ソニックブラストに飲み込まれるアルダモン。

ソニックブラストは再び全てを薙ぎ払った。

それが通過した後には何も残っていない。

ただ、マグマが流れ込んでいるだけだ。

アルダモンの姿も無い。

「消えたか・・・・・・・・だが、『覇竜』の名を冠する我をここまで消耗させるとは・・・・・・名を聞いておくべきだったな」

アカムトルムはもう一度アルダモンがいた場所に目をやる。

そこは既にマグマが流れ込み、真っ赤な水面となっていた。

だが、次の瞬間、

「うおおおおおおおおおおおっ!!!」

マグマの中から炎を纏ったアルダモンが飛び出してきた。

「バカなっ!?」

アカムトルムは驚愕している。

その隙にアルダモンはアカムトルムの顔に接近していた。

アルダモンは右の拳を握り締める。

「この一撃に、俺の全てを籠める!!!」

アルダモンは右腕を振りかぶった。

「はああああああああああっ!!!」

アルダモンの拳はアカムトルムの下顎から生えている大牙に直撃した。

「ぐおおおっ!?」

アカムトルムの巨体の前方が持ち上がり、仰け反る。

そして、そのまま仰向けになるように後ろに倒れた。

アルダモンはあろうことか、50メイルを超えるアカムトルムの巨体を殴って転倒させたのだ。

アカムトルムが転倒してから数瞬遅れて、何かが回転しながら落ちてきてアルダモンの目の前に突き刺さる。

それは、アルダモンの身長を超える大きさを持ったアカムトルムの大牙だった。

アルダモンは岩盤に着地する。

「はあっ・・・・・はあっ・・・・・・・」

アルダモンは激しく息を吐く。

『ソニックブラスト』を受けたアルダモンはもう限界ギリギリだった。

気を抜けば今にもぶっ倒れてしまいそうだった。

だが、気力を振り絞り、アルダモンは立ち続ける。

アカムトルムが身を起こした。

そして、静かに語りかけた。

「聞かせよ。最後の一撃、何故頭部を狙わなかった?あの一撃、頭部に当たればいくら我といえど耐え切れはしなかった」

アルダモンは意識が朦朧とする中、言った。

「俺の目的は・・・・・お前を・・・殺す事じゃない・・・・・」

アルダモンはそれだけ言うと、力尽き倒れる。

そして、デジコードが包み拓也に戻ってしまう。

アカムトルムはそれを見て驚いた。

「人の・・・・・子供だと・・・!?」

拓也の体は火山の熱気で焼かれている。

このままでは時を置かずに死んでしまうだろう。

「・・・・・・・・・・・・・」

アカムトルムは少し考えた後、

「・・・・・・大地の精霊よ」

そう呟く。

すると、戦場となっていた岩盤が突如隆起した。

岩盤はどんどん隆起していき、遂には火口から飛び出し、火の精霊が集まる範囲も超えたところで止まる。

それを目撃したシルフィードが飛んできた。

「タクヤ!!」

アイナがすぐさまシルフィードから飛び降り、拓也に駆け寄る。

アイナは拓也の体を見て驚く。

「酷い火傷・・・・・タクヤ!しっかりして!!」

アイナは必死で拓也に呼びかける。

「タバサ!早く治癒魔法を!」

タバサは頷くと治癒魔法をかけるが、

「火傷が酷すぎる。このままじゃ・・・・」

そう呟いた。

タバサのレベルでは治癒が追いつかないのだ。

「そんな!?何とかならないの!?」

タバサは無言で治癒魔法をかけ続ける。

「きゅい~!タクヤさま、しっかりしてなのね!」

いつの間にか人型になったイルククゥが駆け寄ってそう言う。

その時、アカムトルムが近付いてくる。

アイナとキュルケが杖を構えた。

「タバサはそのまま治癒魔法をかけ続けて」

アイナはそう言ってアカムトルムを見る。

だが、相手は巨大であり、あらゆる伝説、神話にもその名があった『覇竜』だ。

今にも恐怖で腰が抜けてしまいそうだった。

しかし、

「杖を納めよ。人の子よ。お前たちと戦うつもりはもう無い」

アカムトルムがそう言った。

「い、韻竜!?」

初めて韻竜と知ったアイナたちは驚く。

そして、拓也を見つめると、

「この者に流れる水よ・・・・・」

そう呟くと、瞬く間に拓也の傷、火傷が治っていく。

「先住魔法・・・・」

タバサが呟く。

「うっ!・・・・」

拓也が気がつく。

「「タクヤ(さま)!!」」

アイナとイルククゥが駆け寄った。

「・・・・俺は・・・・」

拓也が見上げると、アカムトルムの姿が目に入った。

「・・・・・そうか。俺は負けちまったんだな」

拓也は暗い顔で呟く。

「すまないタバサ。俺は・・・・」

「違う・・・・・汝の勝ちだ」

拓也の言葉を遮り、アカムトルムが言った。

拓也が驚いた顔でアカムトルムを見た。

「何だって・・・・?」

「汝の勝ちと言ったのだ・・・・・・心身共にな」

アカムトルムがそう言うと、アカムトルムの眼から一粒の輝く涙が零れ落ちる。

それは空中で留まり、拓也達の方へ飛んできた。

「受け取れ・・・・・我が涙を」

タバサは用意していた壜でその涙を受ける。

一粒と言っても小壜が丸々一杯になるほどの量だ。

「ありがとう。アカムトルム」

拓也がアカムトルムに礼を言う。

「そしてもう一つ・・・・・」

「え?」

アカムトルムの言葉に、声を漏らす拓也。

「集え、精霊たちよ・・・・・」

アカムトルムがそう言うと、どこからともなく幾つもの光が集まってくる。

すると、アルダモンが折ったアカムトルムの牙が浮かび上がり、その牙に光が集まる。

牙が光に包まれ、一層強い光を放つ。

その強い光に全員は目を庇う。

そして、光が収まり、目を開くと、そこには一振りの刀があった。

「これは・・・・・?」

拓也が呟く。

「珍しい形の剣ね」

キュルケがそう言う。

ハルケギニアでは、真っ直ぐな剣が主流のため、刀のような湾曲した剣は珍しいのだろう。

「500年ほど前の話だ」

アカムトルムが話し出す。

「まだ我がここに住む前、1人の人間の男が我に挑んできた」

拓也達は黙って聞く。

「その者も我の涙を求めていた。我は、軽くあしらおうと思っていた。だが、そやつは何度我に吹き飛ばされようと何度でも立ち上がってきた。そして、遂には我の体に傷を負わせた。我はそやつに問うた。何故そこまでして我の涙を欲するのかと。するとそやつはこう答えた。『一食の食事と一晩の宿を与えてくれた恩人が病で苦しんでいる。それを治してやりたい』とな。我は信じられなかった。そのような理由で命を賭けるそやつの思考が理解できなかった。更にそやつはこう答えた。『サムライたるもの、恩義に報いなければならぬ』とな」

「侍!?」

拓也はその言葉に驚く。

「そやつは汝と同じ黒い髪に黒い瞳の持ち主だった。その武器はそやつが使っていた剣を模して作ったものだ」

その刀はゆっくりと降りてきて拓也の前に刺さる。

「受け取れ・・・・・勇者よ」

アカムトルムは拓也にそう言った。

拓也はその刀の柄を握り、引き抜いた。

「・・・・・軽い」

その刀は、拓也の肩ぐらいまでの長さがあるにも関わらず、羽のように軽かった。

「その剣には、精霊の力が集っている。その精霊たちが汝を守るであろう」

「この刀の名は?」

「無い。汝の好きに呼ぶがいい」

「なら、決まってる。この刀の名は・・・・・・」

拓也はその刀を掲げるように持つ。

「覇竜刀だ!」

そういった瞬間、空の雲に切れ目が出来、光が差し込む。

その光は、丁度拓也を照らした。

その陽光を反射し、覇竜刀が輝いたように見える。

「ほう・・・・太陽も汝を祝福しているようだ」

アカムトルムはそう言う。

「最後に尋ねる。汝の名は?」

「拓也。神原 拓也」

拓也はアカムトルムを真っ直ぐ見据えてそう名乗った。

「そうか・・・・・・真なる勇者、カンバラ タクヤよ。汝の名、我が心にしかと刻み付けた。我が命尽きるまで、決して忘れぬ事を誓おう!」

アカムトルムはそう宣言した。

拓也は再び覇竜刀を掲げる。

「俺も誓う。アカムトルム、お前との戦い、決して忘れない!!」

お互いがお互いを認め合う。

日の光がいつの間にかアカムトルムも包んでいた。

まるで、この瞬間を本当に祝福するかのように。

アイナとイルククゥはそんな拓也に見惚れていた。

「・・・・・真の・・・・勇者」

タバサが拓也を見つめてそう呟く。

その心に吹き荒れる雪風が徐々に融けていくのを感じながら。





次回予告


『覇竜の涙』を手に入れ、タバサの実家へ向かう一行。

だが、その途中、謎の一行と行動を共にするウェールズを見かける。

ウェールズと行動する一行の正体は?

そして、拓也達はアンドバリの指輪の力を目の当たりにする。

次回!ゼロの使い魔と炎の使い魔

第二十話 ウェールズの決意

今、異世界の物語が進化する。




オリジナル武器



覇竜刀

覇竜 アカムトルムの大牙を元に精霊が集まって作られた刀。

刀身はやや肌色気味な白。

クロンデジゾイド並みの硬度を誇る。

切れ味も抜群で、拓也が振っても斬鉄可能なほど。

刀身には強力な『反射(カウンター)』の先住魔法がかかっており、刀身で受けた攻撃を跳ね返す事が可能。

そして、使い手に合った大きさに変わるというご都合主義な武器。




あとがき

第十九話完成。

初のオリジナル展開如何だったでしょうか?

結構うまく書けたとは思うんですが・・・・・・・

でも、ちょっと覇竜の居場所が分かるのが早すぎたかなぁ。

でもこうしないと、次のイベントに間に合わないし・・・・・・

ちょっと反省。

バトルシーンも難しかった。

っていうか、アカムトルム強すぎたか?

究極体と同等以上。

ハルケギニアにもこんな存在がいてもいいんじゃないかな~と、思いまして。

それで手に入れましたオリジナル武器の覇竜刀。

才人達ばっかり強くなって、拓也は変わらないというのが少し寂しいのでこういう形で戦力アップ。

あと、拓也の状態でも少しは戦わせたいと思っているのでそのための武器でもあります。

当然デジモンの時にも使えますが。

ご都合主義満載の武器ですが、よろしくお願いします。

そして、最後にタバサフラグ再び。

これは賛否両論ありそうです。

それでも受け入れていただけるようよろしくお願いします。

では、次も頑張ります。


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